2019年01月31日 (木)

マクロン大統領 大丈夫?

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2019年1月27日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのサヘル・ローズさん、国際部権平恒志デスクです。

 

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「ちょっくらパリに行ってきたんだけどよ、大好きなパリが大変なことになっていたんだヨーソロー。」

 

フランスでは、去年の11月からマクロン大統領の政策に不満を持つ人たちによる、デモが行われています。

フランス全土でおよそ7万人が参加し、マクロン大統領の退陣を求めていますが、普段デモが行われないシャンゼリゼ通りや凱旋門といった場所でも行われています。

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その回数も異例の多さです。

去年11月の中旬から毎週土曜日に行われ、1月26日の土曜日で11回目のデモとなりました。

 

今、フランスで何が起きているのか、国際部権平デスクが解説しました。

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権平デスクがパリで取材した時のマクロン大統領の印象は、エリート中のエリート。自信にあふれた野心家です。

最初は人気があったんですが、今は厳しい状況に置かれています。

おととしの大統領就任当初は60%を超えていた支持率は、いまや20%にまで落ち込んでいます。

支持率40%台のアメリカのトランプ大統領から「支持率が非常に低い」とツイッターでやゆされてしまうほどです。

 

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マクロン大統領についてはオレが説明しヨーソロー

 

マクロン大統領には2つの夢があります。

まず1つめは、「経済の立て直し」です。

 

それについては、こちらのパン屋さんで説明していきます。

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このお店は、フランス経済の状況をあらわしています。

張り紙を見ると、15歳から24歳の若者の失業率は20%を超えてます。

若者の5人に1人が職がありません。

すっかり行き詰まったこのお店を立て直そうと、新たに店長になったのがマクロン大統領です。

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「経済の立て直し」という窯で、新メニュー(新しい政策)のパンを焼くマクロン大統領。

お客さんのフランス国民は、新メニューを楽しみにしています。

 

マクロン大統領が、最初に焼いたのは「給料上が~るパン」。

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このパンが長いのは、「給料が上がるまでには結構時間がかかる」ということをあらわしています。

企業から取る税金を「法人税」と言いますが、任期中の5年間をかけてこの「法人税」を減らしていくと約束しました。

「それで企業が儲かれば、やがて皆さんの給料も増えますよ」という筋書きです。

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お客さんの反応はというと…

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お客さんは、「給料はすぐに増えないのか」と困惑しているようです。

 

マクロン大統領が次に焼き上げた新メニューは、「産業元気のパン」。

このパンがあれば、産業が生み出されて活性化され、経済全体が元気になるというわけです。

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大きくて甘いメロンパンが焼きあがりました。

しかしこちら、一般市民向けではなく、“お金持ち向けのパン”なんです。

フランスには“超”お金持ちに課される「富裕税」という税金があります。

マクロン大統領は「富裕税」の一部をなくしました。

「“超”お金持ちがその分を投資に回せば、新しい産業も生まれ、経済が元気になる」と考えているんです。

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国民は、「金持ちばかり優遇している!」とか「結局、金持ちの大統領には、国民の痛みがわからない。」と怒っています。

 

そして最後の新メニューは、「みんなに優しいパン」。

「皆さんの暮らす環境を良くしますよ」というパンです。

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なのに、真っ黒焦げ!全然優しくありません!

おいしいメロンパンはお金持ちにあげて、一般市民には黒焦げのパン。

国民の怒り爆発です。

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こちらの黒焦げのパンは、「燃料税の引き上げ」という政策をあらわしています。

燃料税は、ガソリンなどにかかる税金です。

ガゾリンなどが高くなって人々がマイカー利用を控えるようになれば地球温暖化対策になります。

でも今の車社会では、ガソリン代やディーゼル燃料の価格は、市民生活に直結します。

ただでさえ「不公平な負担を強いられてる」と感じている市民の家計を直撃するわけです。

「燃料税の引き上げ」が、これまで溜まっていた国民の不満に火をつけ、今回の大規模な抗議デモへとつながりました。

とりわけ、車が欠かせない地方の人たちの怒りが大きく、デモは地方都市でも起きていて、パリのデモも参加者の多くは地方から来ているんです。

デモの発端は燃料税の引き上げですが、その根底には、地方が抱える深刻な課題があります。

人口4,000人の町、ブリオンヌでは、年金生活者が多く暮らしていますが、駅が無人化し、電車の本数もが減っています。

さらに、税務署が閉鎖され、来月には病院の産科も閉鎖が決まっています。

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マクロン大統領は、医師や看護師に地方の病院で働いてもらおうと取り組んでいますが、うまくいっていません。

批判が高まる中、マクロン大統領は地方の意見を聞こうと今月から各地をまわり始めましたが、集会では怒りの声が相次ぎました。

 

金持ちに対する庶民の怒りは、日産自動車、カルロス・ゴーン前会長にも向かっています。

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マクロン政権は当初、ゴーン前会長をルノーの経営トップにとどめることを支持してきました。

しかし、勾留が長引く中で方針を一変させゴーン前会長の交代を検討するよう迫りました。

そして、ゴーン前会長はルノーの経営トップを降りたのです。

格差への不満が噴き出し、デモという火種を抱えているマクロン大統領からしてみれば、かばっているとみられるのを避けたかったのかもしれません。

 

ここまで見てきた「経済の立て直し」という夢が、国民の怒りを買ってしまったことが、マクロン大統領の2つめの夢「EUの結束」にも影を落としているんです。

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「正念場」という表現は、マクロン大統領自身が表現した言葉です。

2016年の秋、大統領選挙を前に自分の本でこんな指摘をしています。

「これからの2年間は、ヨーロッパにとって運命を左右する正念場となる。」

2年後の今、イギリスはEUから離脱しようとしているし、イタリアではEUに批判的な政権が誕生しました。

マクロン大統領は、ヨーロッパを1つにまとめる旗振り役。

そのマクロン大統領が、国内の貧富の格差、都市と地方の格差を解消して、国民の怒りを鎮められなければ“EUの結束”という夢の実現は遠のきます。

フランスのマクロン大統領の今後を見れば、ヨーロッパの行方も見えてくるのではないでしょうか。

 

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年2月3日のゲストは、初登場!モト冬樹さんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:14:22


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