2018年11月22日 (木)

台湾・統一地方選挙

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2018年11月18日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの芋洗坂係長さん、国際部藤田正洋デスクです。

 

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おしゃれ女子に大人気の台湾では、タピオカミルクティー、マンゴーかき氷など、インスタ映えするものがたくさん!

 

その台湾はいま、選挙戦の真っ最中で、街じゅう、まるでお祭りのようなんです。

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国際部・藤田デスクが解説しました。

 

台湾で行われる重要な選挙が「統一地方選挙」です。

投票日は、今月24日(土)です。

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統一地方選挙は、知事・市長、議員などを一斉に決める、4年に1度の大がかりな選挙なんです。

台湾の2大政党である与党・民進党と、野党・国民党が各地で候補者を立て、激しく争っています。

台湾の人は、とにかく選挙への関心が高いんです。

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こちら、候補者の集会の様子です。

平日の夜にもかかわらず、数万人が集まることもあります。

投票率は毎回、60%を超えるほどです。

選挙戦も日本とはひと味違います。

例えば、再選を目指す現職の台北市長は、自作のミュージックビデオでラップを披露しています。

おじさんがラップ、というギャップも受けて若者の熱烈な支持を集めています。

 

選挙戦について、台北支局の高田支局長に聞いてみましょう。

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台湾南部の都市、高雄市の選挙集会に来ています。

集会が始まるまでまだ1時間半ほどありますが、こんなに人が集まっています。

台湾では、およそ40年にわたって独裁政権が続き、人々の声が政治に反映されてきませんでした。

それだけに、台湾の人々は、今、自分たちの代表を自分たちで選ぶこの機会をとても大切にしています。

選挙になると、都市部に住んでいる人だけでなく海外に住んでいる人も、ふるさとに戻ってきて投票するケースがとても多いんです。

候補者との距離が近いのも台湾の選挙の特徴です。

候補者の周りにはものすごい人だかりができます。

最近は、一緒に写真を撮る撮影タイムを設ける候補者も出てきました。

「家族や友だちと支持する候補者が違ったので激しい議論になった」という話もよく聞きますし、選挙への関心が本当に高いと感じます。

 

台湾の選挙が盛り上がるのには、もう1つ理由があります。

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実は今回の選挙、1年余りあとに迫った台湾の総統選挙、台湾のトップを決める選挙の“前哨戦”と言われています。

つまり、ここで負けたら総統選挙でも負けるかもしれない、それくらい影響の大きい選挙なんです。

現在の台湾のトップはこの人。

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与党・民進党を率いる蔡英文総統です。

2年前、前回の総統選挙で、国民党から政権を奪い返して、女性として初めて台湾のトップに立った人物です。

そして、こちらをご覧ください。

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これ、蔡英文総統のツイートなんですが、日本語ですね。

この夏、日本が台風で大きな被害を受けた際には、こんなふうに日本語でお見舞いのメッセージをツイートしていて、日本とのつながりも強い人なんです。

そんな蔡英文総統なんですが、今回の選挙には、みずからの進退がかかっているとも言っていいんです。

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現在、民進党が知事・市長のポストを占めている自治体は22のうち13です。

この数が大きく減ったりすれば、蔡英文総統の責任問題に発展します。

そうなると、再選が危うくなるどころか、党首辞任に追い込まれる、つまり、次の総統選挙に出られなくなるおそれもあるんです。

そういう意味で、とても重要な“前哨戦”ということなんですね。

 

その蔡英文総統、実は今、ピンチ。

非常に追い詰められている状況なんです。その背景にあるのが、あの国です。

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こちらの台湾名物マンゴーかき氷の屋台に例えて説明しましょう。

このマンゴーかき氷をいかに美味しくできるか、つまり、いかに台湾をもり立てて行けるのか、与党・民進党と野党・国民党が台湾の人たちにアピールして、今まさに、選挙戦で争っている訳なんですけど…。

実は、今の民進党政権は、中国との関係がとても悪くなっていて、厳しい締めつけを受けているんです。

その原因となっているのが、この問題です。

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「1つの中国」。

簡単にいうと、「台湾は中国の領土の一部だ」という考え方です。

中国は台湾に対して、この「1つの中国」という原則を絶対的なものとして掲げ、ゆくゆくは台湾を統一したいと考えているんです。

野党の国民党は、「中国大陸と台湾はともに“1つの中国”に属する」という点では一致しているんです。

 

一方、蔡英文総統の民進党は「台湾の主権は台湾にある」という主張です。

中国からは、「1つの中国」を受け入れていない政党だとみられていて、お互いの考え方が違うんですね。

 

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[台湾でどちらの党が政権を握るかは、「1つの中国」にこだわる中国にとって、とっても気になることなんだヨーソロー]

 

つまり、中国にとっては、せっかく国民党と仲良くしていたのに、また民進党に邪魔された形だと。

だから、中国が望んでいるのは、ずばり、民進党にかわってもう一度、中国に近い国民党が政権をとることなんです。

政権交代を実現するために中国は今、「アメ」と「ムチ」を使った戦略を進めているんです。

まず「アメ」。それがこちらです。

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中国で暮らしている台湾の人への優遇策です。

経済大国の中国には台湾からも企業や人がたくさん進出しています。

中国はここに目を付けたんです。

中国で暮らす台湾の人に、『居住証』というカードを発行しているんです。

中国で半年以上を暮らしていれば発行されるもので、「居住証」があれば、中国の医療保険などにも入れます。

このように甘い誘いかけで、台湾の人たちにアピールしているんです。こうした政策はつまり。

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中国に近い国民党を、いわば応援する形になっているんです。

「中国と仲よくしている方がいいことがあるよ」

「中国とうまくやれない蔡政権は支持しない方がいいんじゃない?」ということなんですね。

さらに、よりよい教育を受けさせますよということで、台湾の学生の受け入れにも積極的です。

とにかく、あの手この手でアピールしているわけです。

台湾にはすでに、中国への依存度を高めている地域があるんです。

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中国大陸からわずか6キロの距離にある台湾の離島、金門島です。

週末ごとに中国から大勢の観光客がやってきます。

かつて1950年代には、この島と大陸の間で激しい砲撃戦が繰り広げられました。

 

状況が変わったのは2001年。

中国と台湾の間で、人や貨物の直接の往来がおよそ半世紀ぶりに再開しました。

往来を試験的に始める地域に選ばれたのが、中国大陸に近い金門島だったのです。

その金門島で今、中国から来た観光客の間で人気なのがこれ。

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中国建国の父と言われる、毛沢東の似顔絵をあしらったミルクティーです。

台湾の通貨だけでなく、中国の人民元でも買えて大人気です。

ことし1月から8月までに金門島を訪れた中国からの観光客は25万人にものぼります。

統一地方選挙では金門島のトップを決める知事選挙が行われます。

再選を目指す現職は「中国との連携」を主張。

中国から水と電気を引き、橋もかけると訴えます。

「水と電力のあと、橋を通す。続投させていただければ、引き続き中国と親しくやっていく」。

大陸側との連携を深め、島を豊かにすると主張しています。

かつては中国との対立の象徴だった金門島の生活は今、大陸側に大きく依存しています。

 

ただ、甘い誘いかけだけではないんです。

中国は「ムチ」も振るって、民進党に対する締めつけも強めています。

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それは台湾を国際社会から孤立させることです。

蔡英文総統になってから、中国は、台湾と外交関係を結んでいる国に対して「経済援助をするから台湾と手を切れ」と迫っているんです。

台湾と外交関係を結んでいる国はもともと22か国あったんですが、この2年あまりで5か国も減ってしまって、これまでで最も少なくなってしまいました。

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「中国の言うことを聞かない蔡英文さんのもとでは国際社会に居場所はないぞ」ということなんですね。

まさに「アメ」と「ムチ」で台湾に迫っている中国ですが、じゃあ台湾の人が今、中国をどう見ているのか、気になるところですよね。

 

台湾の人たちは中国のことをどう見ているのでしょうか。

もう一度、高田支局長に聞いてみましょう。

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中国からの締めつけが強くなればなるほど、

「中国とはけんかをしないほうがいい」という声が広がっているように感じます。

また、「今のままでは先行きが不透明だ」という声もよく聞きます。

こういう人たちは、中国との関係が悪化しないような政策を求めています。

中国に近い国民党は、今がチャンスと捉えて巻き返しを図っています。

「蔡政権のやり方は中国からの圧力を強めるだけで、台湾に悪い影響を招く」と民進党を激しく非難しています。

これに対して、民進党は「経済の活性化に取り組んでいる」とアピールしていますが、苦戦しています。

例えば、ここ高雄市はおよそ20年間、民進党が市長のポストを守ってきた民進党の地盤です。

しかし、今回は、国民党が激しく追い上げ、情勢は五分五分と見られています。

 

世論調査によっては、蔡英文総統の支持率が30%を割り込んだという結果も

出ています。

今回の選挙で、民進党が大敗すると、1年あまりあとに行われる

台湾のトップを選ぶ総統選挙に影響を与えることは間違いないと思います。

 

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民進党が大敗したら、日本にも影響はあるのでしょうか。

民進党政権は、アメリカにも近くて、そういう意味では、日本とも連携しやすい政権といえます。

一方で、これまで見てきた通り、中国寄りの国民党は、日本に対する姿勢は民進党よりも厳しいとされています。

たとえば、台湾は、福島第一原発の事故があってからずっと、福島県などから食品を輸入することを禁止しているんですが、国民党は特に強く、その主張を続けています。

今回の選挙で台湾の人たちがどんな選択するのでしょうか。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年11月25日のゲストは、濱田龍臣さんです。

 

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:16:56


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