2018年11月01日 (木)

サウジアラビアとアメリカ

20181101_art_001.JPG

2018年10月28日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのパックン、国際部禰津博人デスクです。

 

20181101_art_002.png

トルコのサウジアラビア総領事館で起きたジャーナリスト殺害事件とその影響について、国際部中東・アメリカ担当の禰津デスクが解説しました。

 

この事件はサウジアラビアのムハンマド皇太子が関わっているのかが最大の焦点ですが、政府の言い分は二転三転しています。

 

サウジアラビア総領事館で殺害されたジャマル・カショギさん。

20181101_art_003.png

サウジアラビア政府は、最初は「知らない」と関与を否定していましたが、事件発生から18日後、一転して「偶発的な事件」だとして関与を認めました。

その後、「事件は計画的だった」と認め、次第に追い込まれています。

ただ、ムハンマド皇太子の指示があったのではないかという疑惑については全面的に否定。

何としても皇太子を守りきって、幕引きを図りたいのが本音のようです。

20181101_art_004.png

サウジアラビアの「次の国王」となるムハンマド皇太子はまだ33歳ですが、政治・経済・外交までほとんどの分野を主導しています。

人呼んで“ミスター・エブリシング”。つまり権力の全てを握る人物なんですね。

 

20181101_art_005.png

サウジアラビアは厳格なイスラム国家で、世界で唯一、女性の運転が禁止されていましたが、ことし、ムハンマド皇太子がそれを解禁しました。

誰もできなかった社会改革にも手をつけているんです。

 

そうしたサウジアラビアを率いてきた実力者に疑惑の目が向けられているため、大騒ぎになっているわけです。

ムハンマド皇太子の関与は現状ではわかりません。

ただ、サウジアラビアが“暴走”した背景のひとつには、ムハンマド皇太子とアメリカのトランプ大統領の「蜜月関係」があると言われているんです。

20181101_art_006.png

もともとアメリカとサウジアラビアは70年も続く同盟関係にありますが、トランプ政権になってその結びつきの強さに拍車がかかりました。

 

この2人の関係を見る上で重要なキーワードが2つあります。

1つ目がこちら「マネー」、お金です。

20181101_art_007.png

サウジアラビアは石油がたくさんある世界最大級の産油国です。

 

20181101_art_008.png

[ビジネスマンだったトランプ大統領にとってサウジアラビアは「カネのなる木」なんだヨーソロー]

 

お金以外にも、さらに2人の結びつきを決定づけたものがこちら。

20181101_art_009.png

イランの存在です。

アメリカとイランは、長年の敵対関係にあります。

特にトランプ大統領は、とにかくイランが嫌いなんです。

「イランは核兵器を持とうとしている。世界各国のテロも支援している」と、厳しく批判してきました。

 

一方のサウジアラビアにとっても、イランはライバル関係にあります。

20181101_art_010.png

ともに広大な国土を持つ中東の大国同士。

サウジアラビアからすればイランは、中東の覇権を争う敵対国で、激しく対立してきました。

ムハンマド皇太子はイランを“狂信者の国”と言っています。

さらに、「イランが核を持つならサウジも核を持つ」とも。

20181101_art_011.png

トランプ大統領とムハンマド皇太子にとっての「共通の敵」イランによって、アメリカとサウジアラビアは結びつきが強まったんです。

 

それがどうして事件の背景にあるといえるのか。

トランプ大統領はムハンマド皇太子をいさめてこなかったのです。

ムハンマド皇太子はアメリカという大きな後ろ盾を得て、国内での締め付けを強めてきました。

20181101_art_012.png

例えば、汚職撲滅を名目に、王位継承のライバルとなる王族や現職の官僚らをホテルに監禁して一斉に逮捕したり。

サウジアラビアでは、カショギさんのように反体制的なジャーナリストが数多く拘束されているとも言われ、人権侵害と言われかねないことが繰り返されたりしているんです。

 

カショギさんはもともとは王室に非常に近いジャーナリストでした。

王室関係の情報をたくさん持っていたとも言われていて、まさに“目の上のたんこぶ”のような存在だったんです。

 

今回の事件を生んだ土壌には、強権的な姿勢を強めるムハンマド皇太子と、人権問題に手ぬるいトランプ大統領との関係も一因としてあったのではないか、ということなんです。

 

そのアメリカとサウジアラビアにとっての「共通の敵」イラン。

トランプ大統領はこれまで国際社会の反対を押し切って、厳しい経済制裁をイランに科してきました。

20181101_art_013.png

イランの様子を見てみると…。

20181101_art_014.png

この1年で野菜が4割ほど値上がり、家賃は2倍になりました。

医療現場では薬が値上がり、人工透析の回数を減らさざるをえなくなっています。

観光地は閑散。欧米系の宿泊予約サイトからイラン国内のホテルがすべて削除され観光業にも大きな打撃となっています。

20181101_art_015.png

通貨価値も(禰津デスクが)赴任していた7年前と比べて10分の1ほどまで落ち込んでいます。

 

深刻な状況ですが、トランプ大統領は、さらにイランの息の根を止めようと、次の一手を考えています。

それが、こちら。

20181101_art_016.png

世界4位の産油国で、石油が生命線のイラン。

アメリカはその石油を対象に11月5日から新たな制裁を科そうとしているんです。

 

具体的にはイランとの石油取り引きに関わる企業はアメリカと取り引きできないようにします。

そうなると、アメリカとの関係を重視してイランの石油を買うのはやめようということになります。

イランの石油の輸出をゼロにしてしまおうという狙いなんです。

 

この制裁が始まれば市場に出回る石油が減り、世界中に出回る石油も減って、価格が上がる可能性があります。

 

強気なトランプ大統領ですが、実はアメリカ国内では、サウジアラビアへの制裁を求める声が国民や議会からあがっています。

 

すでに、事件への関係が疑われる20人以上のサウジアラビア人のアメリカ入国を禁止しました。

今後資産凍結などさらに厳しい対応をとったり、サウジアラビアとの関係を見直したりすることになれば、

世界最大級の産油国サウジアラビアが不安定になって、石油市場に影響が出るおそれがあります。

そうなると日本にとっても対岸の火事ではありません。

殺害事件の今後の捜査の進展、トランプ大統領の動きによっては影響を大きくうける可能性も出てきます。 

20181101_art_017.png

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年11月4日のゲストは、古坂大魔王です。    

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:22:15


カテゴリー

新着記事

ブログ内検索

カレンダー

2019年10月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

バックナンバー


RSS

page top