2018年08月30日 (木)

宇宙をめぐる"覇権争い"

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2018年8月26日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの今野浩喜さん、国際部平沢公敏デスクです。

 

ついこのあいだ、地球に大接近した火星。

今、世界各国が先を争うように火星を目指しています。

トランプ大統領は「われわれの最終目標は火星だ」、習近平国家主席は「“宇宙強国”建設に全力をあげる」と発言しました。

 

なぜ火星を目指すのか?

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国際部環境科学担当・平沢デスクが解説しました。

 

火星には多くの国が無人探査機を飛ばしていますが、リードしているのはアメリカで現在5つの探査機を打ち上げています。

トランプ大統領は「宇宙空間を支配しなければならない」とまで言っています。

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一方の中国は、

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再来年には初の探査機を打ち上げ、2030年までにアメリカに追いついて“宇宙強国”の仲間入りを果たすことを目標としています。

地球上で貿易をめぐり対立するアメリカと中国ですが、宇宙でも激しく競い合っています。

 

他にもヨーロッパの探査機が2つ、さらにインドの探査機が1つ、火星探査に参入しています。

人類史上、1つの天体にこれほどの探査機が同時に探査を行った例はないと言われています。

それだけ各国が火星に熱い視線を送っているんです。

 

火星の探査には広い意味で日本も参加する予定なんです。

再来年以降の2020年代に火星の周りを回っている衛星に探査機を送ることを目指しています。

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なぜ各国がこぞって火星を目指すのか?

 

まず1つは、宇宙の謎に迫る「ロマン」です。

地球などの星はどうやってできたのか?生命体はどこから来たのか?

そうした謎を解き明かそうという「探究心」が原動力になっています。

特に火星は“地球に最も環境が近い星”と言われています。

どんな特徴があるかというと…

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・うすい大気に覆われている

・4つの季節がある

・水があったかも

火星に水があったとなれば、生物がいたかもしれませんよね。

これからの火星探査でこうした“世紀の大発見”があるかもしれないんです。

 

さらに、ロマンのある話はこれだけではなくて、火星には貴重な「資源」が眠っているかもしれません。

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競って火星を目指すのは、「資源の開発にとにかく乗り遅れないようにしたい」という各国の思惑もあると思われます。

 

しかし、火星に向かうには大きな問題があります。

1つ目は、なんといっても「遠いこと」。

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行くだけで半年から9か月ほどかかるとみられています。

ちなみに、旅客機で行くと単純計算で7年以上かかると言われています。

持っていける食料や燃料も限られているので簡単には行けません。

 

そして仮に到着したとしても、2つ目の問題が待ち受けています。

それが「過酷な環境」です。

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大地は乾燥していて、当然食料はありません。

場所によっては気温は氷点下150度まで下がります。

この「不毛な大地」に人は滞在できるのか、見通しはまだ立っていません。

 

そこで重要度を増しているのが、「月」なんです。

 

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月は今、火星への重要な足がかりと言われているんだヨーソロー

 

月は今、壮大な実験場になろうとしているんです。

この月を舞台にしのぎを削っているのが、やはりアメリカと中国です。

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アメリカは、日本円で年間2兆円を超える予算を宇宙につぎ込み、人類を再び月に送る計画です。

そのために月の上に新たな拠点施設を作ろうとしています。

いわば“宇宙に浮かぶ月面基地”でサイズは大型バスくらい、3~4人が滞在できる施設にする想定です。

この施設を、火星や遠い宇宙に行くための拠点にしようというのです。

そこでの研究や実験、離着陸のテストを行った上で、2030年代には火星の有人探査を実現させたいとしています。

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一方の中国は、月の裏側への探査機の着陸を目指しています。

地球からは見ることのできない月の裏側には、まだどの国も探査機を着陸させたことがなく、実現すれば「世界初」の快挙となります。

さらに中国は独自の宇宙ステーションを2022年頃までに完成させようとしています。

そして2050年には、火星への有人探査を行うことを目標にしています。

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火星を見据えて月での拠点作りに本格的に動き出しているアメリカと中国ですが、数日前、火星へ人が向かうにあたっての問題点=「遠いこと」を解決できるかもしれない、注目のニュースがありました。

「月の表面に水があることを初めて観測した」とNASAなどの研究グループが発表したんです。

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水というと飲み水としての利用が思い浮かびますが、水から水素を取り出せば「燃料」にもなるんです。

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なぜこれが、「遠いこと」を解決できるかもしれないかというと、実は先月イタリアの研究グループが「詳しく調べた結果、火星には水があるとしか考えられない」と発表していたんです。

現地で燃料を作りだす方法が確立されれば、燃料を補給して地球に戻ってくるといったことが可能になるかもしれません。

 

ここまで火星や月をめぐる開発競争を見てきましたが、もっと地球に近い宇宙空間でもアメリカと中国の間で対立が起きているんです。

 

それがこちら。

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トランプ大統領は、2020年までに「宇宙軍」を立ち上げようと構想を打ち出しました。

ねらいは、宇宙に飛んでいる人工衛星を守るためです。

地球の周りには1000機以上の人工衛星が飛んでいて、その3分の1以上がアメリカの衛星です。

人工衛星は、GPS機能や軍の通信、ミサイル防衛システムの要となっていて、安全保障上とても重要な役割を担っています。

 

そこでトランプ大統領が警戒しているのが中国です。

中国は人工衛星をミサイルで破壊する実験をすでに行っています。

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アメリカの人工衛星を破壊しようとしているかは不明ですが、アメリカがこうした中国の動きを脅威に見ているのは間違いありません。

宇宙空間で互いの衛星を攻撃し合うような事態にエスカレートしないか心配なところです。

 

宇宙はその成り立ちを探るといった面だけでなく、国の安全保障にも密接に関わるテーマなんです。

この先、宇宙に関するニュースを見るときには、各国の思惑や背景にあるねらいなどを考えながら見ると、より興味深く見られるのではないでしょうか。

 

 

 

 

※リハーサル時の写真も掲載しています。

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年9月2日のゲストは、前田航基さんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:16:43


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