2018年06月14日 (木)

どうなる米朝首脳会談

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2018年6月10日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、国際部禰津博人デスク、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのパックン、国際部佐々一渡デスクです。

 

この日は、歴史的な米朝首脳会談を2日後に控え、

アメリカ担当の国際部禰津博人デスクと、朝鮮半島担当の国際部佐々一渡デスクが、交渉の行方をせかいま流に予測しました。

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<禰津>

首脳会談は現地時間の朝9時から行われると発表されています。

この時間、首都ワシントンを含むアメリカ東部だと、ちょうど夜9時、多くの視聴者が最もテレビを見る、「プライムタイム」にあたります。

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アメリカ3大ネットワークやCNNテレビなども、トランプ大統領とキム委員長との歴史的な会談の冒頭シーンを全米で中継発信するものとみられます。

すなわち、トランプ大統領にとって、この首脳会談は「世紀のテレビショー」であり、アメリカ国民にアピールする絶好の機会だと捉えているのだと思います。

トランプ大統領は、G7サミットが終わるのを待たずにシンガポールに向かい、その飛行機の中でも、「キム委員長に会うのが楽しみだ」とツイートして、会談に強い意気込みを見せています。

 

今回の会談に向けて、トランプ大統領とキム委員長が何を求めようとしているのか、原則的な立場を整理しておきましょう。

 

<禰津>

アメリカの最大の目的は、北朝鮮の核・弾道ミサイルをめぐる「非核化」です。

非核化を一括で、速やかに実現したい考えです。

そしてこれを実現するまでは、北朝鮮が求めている制裁緩和などの見返りは与えない、というのが基本的な原則的です。

アメリカの非核化への姿勢を表すこちらの言葉「CVID」=完全に検証可能で後戻りできない形での非核化、と呼ばれるものです。

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<佐々>

一方北朝鮮は、キム委員長がこの先もずっと国を率いていけるようにしたい、つまり、「体制の保証」を引き出したいという点です。

北朝鮮にとって、最大の脅威であるアメリカから攻撃を受けることがないような環境を整えたいということです。

経済に力を入れている北朝鮮としては、非核化には段階的に応じ、その都度経済的な見返りを得たい考えだと思います。

それを表すのが、「CVIG」=完全に検証可能で後戻りできない形での体制保証、です。

違いは、最後のアルファベット、「D」と「G」ですが、両国が求めているものが違うことわかる言葉です。

この違いがある中で、話し合いはまとまっていくのでしょうか?

 

<禰津>

トランプ大統領、キム委員長、双方にとっても、ようやく実現する首脳会談ですし、決裂は避けたいところです。

なんらかの合意内容を盛り込んだ共同文書への署名や、共同声明の発表を目指しているようです。

そのため、パンムンジョムでの実務者協議を行ってきました。

 

<佐々>

北朝鮮にとっては、この首脳会談はチャンスです。

自分たちに有利な落とし所を見つけるのではないかと思います。

 

■非核化について

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<禰津>

アメリカとしては、ロードマップを作りたいところですが、期限や手順については、大きな隔たりがあり、トランプ大統領とキム委員長のトップ同士で話し合われることになりそうです。

過去に何度も約束をほごにされていることもあり、北朝鮮の非核化は簡単ではありません。

 

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[北朝鮮の「非核化」っていうけど、1度開発しちゃったものは、そんな簡単にはなくせないんだヨーソロー。]

 

<禰津>

シップが言っているように非核化には多くの複雑な過程があります。

アメリカの専門家は、北朝鮮から核能力を完全に取り除くには10年から20年ぐらいはかかるとも分析しています。

こうした状況を受けてか、最近のトランプ大統領は、かなりトークダウンし、「会談は複数回になる」「何かに署名することはないだろう」など、期待値を下げるような発言が目立っています。

さらに、「最大限の圧力」という言葉はもう使いたくないと述べるなど、融和的とも受け取れる発言を繰り返しています。

非核化について大きな成果を得ることは事実上断念したという見方もあり、長期的な交渉も視野に入れているようです。

 

<佐々>

一方、北朝鮮も、非核化を進めるということでは合意しようということにはなると思いますが、非核化の前に「朝鮮半島全体の非核化」を求めています。

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北朝鮮としては、在韓米軍の縮小、撤退や韓国に対する「核の傘」を排除することを目指しているものとみられます。核関連施設を使えなくしたり、核開発計画を申告したりするなど、少しずつ非核化に向けた取り組みを進め、その都度見返りを得ていきたいという考えです。

北朝鮮は、すでに核実験場の爆破や、核実験とICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験の中止を表明しました。

こうした動きは非核化に向けた本気度をアメリカにアピールする狙いもあると見られます。

 

<禰津>

ICBMの発射を止めさせ、将来的には撤去することがトランプ政権の最優先課題の1つです。

ただ、日本人の私たちには気がかりな部分もあります。

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アメリカに届くICBMの撤去には力を入れていますが、日本などを射程圏内に持つ、短距離や中距離ミサイルについては置き去りにならないのかといった懸念です。

 

このように「非核化」については、どこまで具体的な成果が得られるのか、疑問符が付いていますが、双方歩み寄りやすい目に見える合意になりそうなのが、「朝鮮戦争の終結」です。

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<佐々>

朝鮮戦争の終結は、北朝鮮が最も重視している「体制の保証」につながる面もあります。

アメリカと平和協定を結んで、国交を正常化し双方が大使館を設置するとなれば、北朝鮮にとって「体制の保証」に向けた前向きな進展であることは間違いありません。

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<禰津>

トランプ大統領にとっても「非核化」は非常にハードルが高い交渉だが、「朝鮮戦争の終結」はそれに比べて簡単で政治的パフォーマンスとして有効だと考えているのだと思います。

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もう一つ重要なテーマは「人権問題」です。

<禰津>

トランプ大統領は、ことし1月に行われた演説では、「これほど市民を抑圧してきた残虐な独裁体制は他にない」と言って北朝鮮を強く非難してきました。

しかし、先日記者団からの質問に「おそらく話をするだろう」と述べるにとどめただけでした。

また、拉致問題については、「必ず話す」と2回繰り返し強調し、日本側の懸念に応えました。

<佐々>

北朝鮮は、アメリカが人権問題を取り上げるたびに反発してきました。

拉致問題についても解決済みだと従来の主張を改めて強調し、日本は圧力ばかりを叫んでいると日本への批判を強めています。

 

禰津デスクと、佐々デスクの「会談の注目点」は?

 

<禰津>

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トランプ大統領は、大統領就任前、オバマ前大統領からの引き継ぎの際、最も深刻な課題として告げられたのが、北朝鮮問題でした。

北朝鮮の核兵器の脅威は差し迫ったものだと強く認識しているはずですが、パフォーマンスで終わらず、中身でも「歴史的なもの」となるのか、本気度を見定めたいです。

 

<佐々>

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過去の米朝の合意では、同じ合意をしたはずなのに、双方の発表に違いがあることがありました。

今回の首脳会談の結果に関する発表でも、自分たちに有利な文言があえて加えられていたり、不利な部分に踏み込んでいなかったり、そういったことがないか見ていきたい。

もしも双方の発表に違いがあれば、そうしたところから、米朝の本質的な隔たりや交渉の課題が見えてくることもあると思います。

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※リハーサル時の写真も掲載しています。

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年6月17日のゲストは、初登場!敦士さんです。

 

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:21:53


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