2018年05月31日 (木)

北朝鮮のシナリオが崩れた?

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2018年5月27日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの児嶋一哉さん、国際部佐々一渡記者です。

 

1時間目は、6月12日まであと2週間、史上初の米朝首脳会談やるのやらないの?

国際部佐々記者が解説しました。

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アメリカが会談の中止を発表したのは24日の夜でした。

アメリカは、北朝鮮が繰り返し約束を破ったためだと説明しています。

米朝の高官がシンガポールで協議を行うことで合意していたにも関わらず、北朝鮮は姿を見せず、アメリカ側が連絡を試みたものの、返答のない状態が続きました。

さらに北朝鮮が談話で、核武力を誇示して挑発的な姿勢を示したあげく、ペンス副大統領を侮辱したことも理由にあげています。

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これに対してキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は、韓国のムン・ジェイン大統領に緊急の南北首脳会談を要請しました。

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1か月ぶりの会談では、韓国を通じて、非核化に向けた真剣な姿勢をアメリカに伝える狙いがあったようです。

そしてトランプ大統領によれば、26日、アメリカと北朝鮮が何らかの協議を水面下で行っていることを明らかにしました。

そのうえで「話し合いは非常にうまくいっている」と述べ、予定通り6月12日に会談が開かれることに期待を示しました。

 

会談に向けて、アメリカと北朝鮮は激しい駆け引きを続けていますが、今回の「中止の発表」とそれに続く一連の動きも駆け引きの一環と考えられ、トランプ大統領自身の本音としては、会談を実現させたいという思いは変わっていません。

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それはキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長に宛てた、中止を伝える書簡にもにじみ出ていました。

いつもは、大事なこともツイッターで発表するトランプ大統領ですが、今回はきちんと書簡で伝えました。

 

北朝鮮が主導権を握ろうとジャブを繰り出しけん制していたところ、アメリカはいきなりストレートパンチを繰り出してきたと言えます。

 

北朝鮮は、少しでも有利な状況で首脳会談に臨むため、自分たちのシナリオを描いてきました。

シナリオには、大きく分けて3つの戦略があると言えます。

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1つ目は、「対話路線の強調」。

2つ目は、「非核化に取り組む姿勢のアピール」。

3つ目は、「アメリカからいかに譲歩を引き出すか」。

 

アメリカが書簡を送るまで、北朝鮮ペースで進んでいるとの指摘もありましたが、ここに来て北朝鮮のシナリオに誤算が生じてしまいました。

 

まずは、「対話路線の強調」。

ことし2月のピョンチャンオリンピックでは、キム委員長が参加に前向きな姿勢を示し、急きょ選手たちの派遣が決まりました。

また、先月27日には10年半ぶりに韓国との南北首脳会談を行いました。

対話路線でアピールしたことは、ある程度成功したと言ってもいいでしょう。

 

続いて2つ目の「非核化に取り組む姿勢のアピール」。

北朝鮮は、おととしと去年で40発以上の弾道ミサイルを発射し、核実験も3回強行していました。

しかし先月、北朝鮮はICBM=大陸間弾道ミサイルの発射の中止や核実験場の閉鎖を突如発表。

そして3日前の24日、これまで6回すべての核実験を行ってきた実験場の閉鎖作業を行い、その様子を外国メディアに公開しました。

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しかし、すでに使えなくなっている核実験場との見方もあり、また、同行させると約束していた専門家を招くことはありませんでした。

 

北朝鮮は過去にも核関連の施設を壊し、その様子を外国メディアに公開したことがあります。

今から10年前、北朝鮮は実験用原子炉の冷却塔を爆破し、核の放棄に向けて前向きに取り組んでいるとアピールしました。

しかしその後、再整備し、北朝鮮は核開発を続けてきたという経緯があります。

このため、国際社会からは懐疑的な見方が根強いです。

実際、アメリカが首脳会談を中止にした理由の1つに、専門家を招く約束を守らなかったことあげています。

 

そして3つ目の「アメリカからいかに譲歩を引き出すか」。

こちらが大きなポイントとなります。

まず5月上旬、拘束していた3人のアメリカ人を解放し誠意を見せつけました。

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一方で、アメリカをけん制するような動きも見せていました。

首脳会談を前に、北朝鮮はここのところ冷え込んでいた中国との関係強化にも乗り出しました。

3月と5月、2度にわたって中国を訪問、習近平国家主席と会談を重ねました。

伝統的な友好国である中国を自分たちの後ろ盾にする狙いがあると見られました。

 

この動きに対しトランプ大統領は、

「キム委員長が習主席と2回目の会談をしてから態度が少し変わった。それが気に入らない」と不快感をあらわにしました。

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こうした中国との関係改善が進んだことが影響しているとみられるが、最近はアメリカに対する厳しい姿勢が目立つようになりました。

 

北朝鮮は今月16日、キムケグァン第1外務次官の談話を出し、

「一方的に核の放棄だけを強要しようとするならば、米朝首脳会談に応じるかどうか再考せざるをえない」と発表しました。

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また、チェ次官は、ペンス副大統領が北朝鮮に対する軍事的な選択肢を依然として排除していない姿勢を示したとして強く非難しました。

こうした発言や行動によってアメリカを刺激しすぎてしまい、半月前になって会談の中止を突きつけられるという想定外の状況になりました。

北朝鮮の様子を見ても、慌てている様子がうかがえます。

核・ミサイル開発の究極の目的は、「体制の保証」です。若いキム委員長にとってはこれから何十年と国を率いていけるよう、体制を維持する“アメリカのお墨付き”が必要不可欠だと考えています。

 

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北朝鮮が核を持ったのは、アメリカと互角に渡り合うためだったんだヨーソロー。

 

核開発は国を守るだけでなく、アメリカを交渉のテーブルに引き出すことにもつながると北朝鮮は考えています。

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北朝鮮は、核実験や弾道ミサイルの発射を繰り返しながら、

実際、アメリカとしても、危機感を募らせているのは間違いありません。

 

本音では双方ともに会談を開きたいと思っていることは間違いなく、再び実現に向けた動きが活発になってきています。

トランプ大統領は、接触はすでに行われていると明らかにし、ホワイトハウスなどのスタッフからなるチームをシンガポールに派遣することになりました。

 

今後も米朝の間では、自分たちに有利な形で会談を実現させようと、主導権を握るための駆け引きが続くことになりそうです。

 

国際社会の長年の懸案だった北朝鮮の核問題ですが、

解決に向けた一歩としてアメリカと北朝鮮のトップ同士による初めての会談が実現するのでしょうか。

 

 

 

 

※リハーサル時の写真も掲載しています。

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年6月3日のゲストは、藤本隆宏さんです。

 

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:17:32


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