2018年05月17日 (木)

アメリカ、核合意離脱したってよ

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2018年5月13日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、岩田明子解説委員、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのハリー杉山さん、国際部禰津博人デスクです。

 

史上初の米朝首脳会談が6月12日、シンガポールに決まりました。

 

1時間目は、近づいてきた米朝首脳会談を前に、日本の役割を岩田解説委員が解説しました。

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2時間目は、国際社会が懸念するもう一つの問題、アメリカの「イラン核合意」離脱について、国際部禰津デスクが解説しました。

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トランプ大統領が「イラン核合意」からの離脱を発表したのは、6月8日。

さらに、「過去最大級の経済制裁を行う」とも発表しました。

現在イランと取引している企業は、90日または180日以内に、イランとの取引を打ち切らなければ制裁が科されるリスクが高まります。

すなわち、イランを選ぶのか、アメリカを選ぶのか、日本を含め各国企業に踏み絵を迫るものなのです。

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アメリカは核合意に基づき、制裁解除の手続きを定期的に行ってきました。

ところが、今年1月、トランプ大統領は「もう我慢ならない。欠陥が修復されなければ、制裁解除は今回が最後だ。」と警告していたんです。

その期限が、先週に迫っていたわけで、トランプ大統領は離脱を決断しました。

 

反対を押し切ってまで核合意を離脱する理由は、大きく3つあると思います。

1つめは、「オバマ前大統領への対抗心」です。

国際協調主義を掲げたオバマ前大統領にとっての最大の成果が、「イラン核合意」でした。

 

イランの核開発は、16年前の2002年に発覚し、中東最大の火種と言われました。

イランは原子力発電など平和利用を主張しましたが、国際社会は核兵器の開発を疑いました。

2006年、国連が核開発停止などの制裁決議を採択し、当時最も厳しい経済制裁がしかれました。

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2009年にはオバマ前大統領が誕生し、イランとの外交交渉に積極的でしたが、当時イランの政権は保守強硬派で交渉は極めて難航、新たな戦争の危険性まで出たのです。

 

その後、2013年にイランに穏健派ロウハニ政権が誕生、オバマ前大統領とマラソンのような長い交渉の結果、2015年7月に核合意にこぎつけました。

合意の内容は、「イランが核開発を大幅に制限する代わりに、アメリカやEUが科していた経済制裁を解除しよう」というものです。

 

その合意内容に欠陥があるとして、一方的に離脱を宣言したのがトランプ大統領。

例えば、こちら。

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トランプ大統領は、15年後には核開発を再開できてしまうじゃないかと、怒っているわけです。

 

トランプ大統領のイランへの向き合い方は、オバマ前大統領と真逆だとわかります。

これまでも、オバマ前大統領の成果を次々とひっくり返して支持層にアピールして来ました。

今回の「核合意の離脱」も、まさにトランプ大統領の公約の実現というわけです。

そして、11月に行われる「中間選挙」に向けて、支持者に実行力をアピールしたいわけです。

 

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「イラン核合意」は、国際社会では高く評価されましたが、アメリカ国内では評価が分かれました。

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核合意を離脱する理由の2つ目は、「イランへの不信感」です。

トランプ大統領の発言を聞いていると、世界の諸悪の根源はすべてイランにあると言わんばかりです。

なぜ、それが支持者へのアピールになるのかというと、

アメリカ人の中に、そもそも、イランへの不信感が根強いんです。

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[アメリカ人は、ある事件がきっかけでイランに対して不信感を持つようになったんだヨーソロー。]

 

他にも、1983年には、レバノンのベイルートでアメリカ海兵隊司令部が爆破され、200人以上が死亡する事件が起き、イランが支援する組織が関わったとされています。

 

そして最後、3つ目の理由が「両にらみ作戦」です。

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イランと北朝鮮の核問題を両にらみで考えているようです。

イランに対して「過去最大級の制裁」で圧力をかけ続ければ、やがてイランが根を上げて再交渉に応じ、トランプ大統領自らの手で、新しい核合意を作り出せると考えているようです。

 

ディール好きなトランプ大統領らしいある種の賭けに近い行為ですが、トランプ大統領はまさに北朝鮮に対して、これが成功したと考えています。

そのことで、トランプ大統領も自信を深めているようです。

一方で、核合意離脱を北朝鮮のシグナルにしようとしています。

実際、安全保障担当のボルトン補佐官は、「これは北に対するメッセージだ」と説明しました。

 

イラン側はこのトランプ大統領の一方的な合意離脱について、どう思っているのでしょうか。

ロウハニ大統領は、今のところ大人の対応を取っており、ヨーロッパの国々とともにアメリカ抜きで合意を維持していく構えです。

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しかし、イラン国内ではすでに「アメリカに裏切られた」という空気が高まっています。

 

そこで、気になる動向が、反米を掲げる保守強硬派の存在です。

保守強硬派はトランプ大統領に強く反発し、今後核開発を加速させるなどの強硬手段を示唆しています。

この保守強硬派の代表格が、最高指導者の親衛隊である「革命防衛隊」です。

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イランの安全保障から経済まで強い影響力を持ち、核開発にも関わっています。

そして、革命防衛隊はイランの周辺国へも影響力を及ぼしています。

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イランは「イスラム教シーア派」の大国です。

そうしたイランの影響下にある国々は、「シーア派の三角地帯」と呼ばれています。

 

それに対して、アメリカよりの国がイスラエルとサウジアラビアです。

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すでに、核合意離脱の発表の後、イランとイスラエルとの間で軍事衝突が起きているのです。

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かつてない規模で、イランとイスラエルが衝突しており、緊張拡大が懸念されています。

中東はただでさえ「世界の火薬庫」と言われる不安定な地域です。

そこにトランプ大統領の決断が引き金となり、イスラエルやサウジアラビアなど中東全体を巻き込む悪夢のシナリオとも言われる「中東大戦争」への懸念も生まれそうです。

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仮に中東で紛争が起きた場合、日本への天然資源が輸送されるシーレーンに大きな混乱が起き、影響が深刻化しそうです。日本にも無縁な出来事ではないはずです。

 

 

 

※リハーサル時の写真も掲載しています。

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年5月20日のゲストは、サヘル・ローズさんです。

 

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:21:46


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