2018年04月19日 (木)

米中貿易摩擦はどうなる?

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2018年4月15日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの前田航基さん、国際部渡貫俊明デスクです。

 

1時間目は、アメリカが行ったシリアへの軍事攻撃について、ワシントンにいる油井記者に聞きました。

 

2時間目は、アメリカと中国の貿易摩擦について、国際部渡貫デスクが解説しました。

そもそも、関税を引き上げると何が問題なのか。

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「さかした国」と「よしかわ国」を例に見てみましょう。

 

(左)さかした産のシャツの関税が10%なら輸入する際に、1000円の10%、つまり100円の関税がかかって1100円になります。よしかわ産のシャツが1500円ならよしかわ国では、1100円のさかした産の商品が売れますよね。

(右)そこで、よしかわ国は、国産のシャツを売るために、さかした産のシャツの関税を100%、つまり1000円の関税をかけ2000円にします。

すると、よしかわ産の1500円の商品が売れますよね。

 

こうして、自国の市場から輸入品を閉め出し、関税という壁を使って相手国を苦しめることができます。

 

現実の話に戻ると…

アメリカは経済規模1位、中国は2位。仕掛けたのはアメリカのトランプ大統領です。

鉄鋼とアルミニウムに高い関税をかける輸入制限措置を発表。

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中国だけでなく、日本を含む多くの国が対象です。

こちらはすでに先月23日から発動されています。

アメリカは、中国が過剰に生産しているため、国内の鉄鋼産業が衰退したと指摘しています。

さらに、戦闘機や軍艦などの製造に必要な製品が外国依存することに、「安全保障上の脅威」だとしています。

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さらに中国をターゲットとしたおよそ1300品目、5兆円分の輸入品に25%の関税を課すとしています。さらに、その規模を3倍に拡大するか検討しています。

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これに対して中国は、まっこうから受けて立つ姿勢を示しています。

128品目、およそ3200億円分の輸入品に高い関税を課す措置をすでに発動しています。

さらに、106品目、5兆円分に25%の関税を課すアメリカへの報復措置も発表しました。

 

なぜアメリカがこんなことを始めたのかというと、巨額の「貿易赤字」を抱えているからなんです。

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その額はなんと7900億ドル、日本円で80兆円以上です。

貿易赤字が多いということは、その国の商品がアメリカに押し寄せ、アメリカ国内の関連産業を衰退させているというのがトランプ大統領の主張です。

そこで中国との赤字を解消すれば、国内に関連産業が戻って雇用も取り戻せるとトランプ大統領は考えています。

しかし、アメリカの失業率は4%と歴史的にも低い水準、労働者の賃金も上昇していて、景気が良いです。 

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ではなぜ、貿易赤字を減らさなければならないかというと、秋に中間選挙があり、支持層である白人労働者に受ける政策を打ち出す必要があるからなんです。

今回トランプ大統領は「通商法301条」という強力な切り札を持ち出しました。

この制裁措置、実は1980年代に、ある国に行使されたことがあります。

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その国はなんと日本です。日本は高度成長期を経て、アメリカの輸出をどんどん増やしていきました。

アメリカの貿易赤字は拡大し、半導体をめぐる貿易摩擦が激しくなり、日本のパソコンやテレビなどに対する関税を100%に引き上げました。

つまり販売価格が2倍になり、結局日本は、輸出の自主規制を行ったり、アメリカの工場を増やしたりといった対応を迫られました。

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このように「通商法301条」は相手国の輸出に待ったをかける一番効果的な切り札です。

 

さらに、トランプ大統領には選挙対策以外の別の目的もあります。

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市場経済のルールを無視し、「知的財産の侵害」を行う中国に歯止めをかけさせようという狙いがあります。

例えば、半導体技術を無断で真似して格安のスマホを開発、それをアメリカに輸出していると指摘されています。

アメリカは中国との間で対話による解決を目指してきましたが、中国側が改善に乗り出さないことから、いよいよ実力行使に出た形と言えます。

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また、ハイテク分野に高い関税をかけようとしていることから、中国に経済的な覇権を握られるのを恐れるトランプ大統領の胸中も伺うことができます。

一方中国は、大豆などの農産品、自動車や航空機などの輸送機器、アメリカの主力輸出品に関税をかけようとしています。

中国としては、こうした品目に高い関税をかければ、トランプ大統領が重視する雇用に影響を与え、政権にダメージを与えられると判断した可能性があります。

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どちらも関連産業に影響が出ますが、長い目で見れば中国の方がダメージが大きいでしょう。

中国からアメリカへの輸出額は、中国のGDPの4%を占めますが、アメリカからの中国への輸出額はアメリカのGDPの0.7%にすぎません。

 

こうした貿易摩擦は過去にもたびたび起きていますが、それがきっかけとなって、世界的な悲劇が起きたことも。

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みんながみんな、自国の利益のことだけを考えた結果、過去にはとんでもないことが起きたんだヨーソロー。

 

今のところ世界経済は好調だが、中国経済に依存する東南アジアなど、ほかの地域にも影響が広がりかねません。今の世界経済は、お互いが得意とする製品を輸出し、もののやり取りを活発にすることで成長を続けてきました。

 

今回の中国への制裁措置、追加の発動まで猶予があり、どうなるかというところで先週、中国は一歩も引かぬと言いながらも、アメリカに対して話し合いで解決しようと訴え、トランプ大統領はすぐに反応し、歓迎する姿勢を示すなど雪解けムードも垣間見えます。

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米中両国はギリギリの交渉で落としどころを探るとみられ、この問題がどうなっていくのか、注意してみていく必要があります。

 

 

 

※リハーサル時の写真も掲載しています。

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年4月22日のゲストは、パックンです。

 

投稿者:スタッフ | 投稿時間:18:44


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