対北朝鮮 アメリカ軍の戦略は
2017年9月10日の出演者のみなさんです。
左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの藤本隆宏さん、津屋尚解説委員です。
挑発を続ける北朝鮮に対して、アメリカはどんな行動に出るのでしょうか。
津屋尚解説委員が解説しました。
北朝鮮は、アメリカが軍事攻撃に出ないと、たかをくくっているかもしれません。
しかし、忘れてはならないのは「トランプ政権は、北朝鮮の核保有を絶対に認めない」ということです。
来年にもアメリカへ届く弾道ミサイルICBMが完成するとみられているため、アメリカは「急いで北朝鮮を止めないといけない」と考えています。
北朝鮮を止める手段ですが、
「対話」による解決は極めて困難です。対話の前提条件がまったく噛み合っていないためです。
経済制裁などの「圧力」も、効果が出るまで一定の時間がかかってしまいます。
「謀略」については、韓国が北朝鮮指導部への攻撃を行う専門部隊を12月に創設すると発表しました。しかし、表には見えないので実際のところはわかりません。
「軍事攻撃」は、北朝鮮による反撃のリスクを考えれば難しい選択だが、「現実味」を増してきたとの受け止めが広がっています。
「北朝鮮が核兵器を保有しているという現実を受け入れる」か、「それを力で奪い去るのか」という“悪夢のような選択肢”しか残されていない状況に近づいています。
「レッドライン」は“決して超えてはならない一線”です。
この一線を越えたら軍事攻撃も辞さないということになります。
アメリカにとってのレッドラインはどこかというと、これは「軍事攻撃」が始まるまで判断できません。というのも軍事攻撃には準備が必要で、すぐに始まるものではないからです。
アメリカ軍は世界最強の軍隊です。国防費は世界1位。
数年前までは、世界の国防費の半分を占めていました。
こちらの地図は、アメリカ軍が作戦を行うことを想定した区分けです。
このようにアメリカは、世界中での軍の活動を想定し、実際に軍を展開させています。
[世界に軍を配置しているのは、アメリカの立地に関係があるんだヨーソロー。]
そんなアメリカ軍にとって大きな転換点となったのが、9月11日で16年を迎えるアメリカ同時多発テロ事件です。
何が変わったかというと、国際テロやアジアでの新たな脅威を強く意識し「軍を再編」、ヨーロッパの兵力を6万5千人にまで削減して本国に戻したりしました。
そして、9.11のもう一つの重要な点は「アメリカが、本土攻撃の怖さを知ったこと」です。
当時アメリカ国内は異様な興奮状態で世論は「テロとの戦い」を後押しし、そのままアフガニスタンやイラクでの戦争に突き進んでいきました。
戦争は必ずしも目論見どおりには進みません。
我々日本人だけでなく誰しも戦争はいけないと思います。
しかし、歴史の教訓は、「アメリカは後から考えれば正しいとは言えなかった判断に基づいて戦争を始めることがある」ということです。
軍事攻撃をするかしないか選択するのは日本人ではなく、アメリカ国民であり、トランプ大統領です。
アメリカのテレビ局などが行った世論調査では過半数が支持すると答えた調査結果もあります。
9.11を除けば本土に対して大規模な攻撃を受けた経験がないため、本土攻撃に対しては私たちが想像する以上に極めて敏感です。
それに国内が戦場になる経験も南北戦争以来150年間ないので、戦争に対する抵抗感は日本と比べると低いと言われています。
アメリカはいま、北朝鮮に対して言葉による極めて強い警告を送っています。
今後の注目は、実際の軍の動きです。
もし攻撃が行われるとすれば、限定的な攻撃だと思われます。
軍事攻撃が回避され、平和的解決が最も望ましいですが、「起きてほしくないから起きない」とは限りません。
北朝鮮が今の姿勢を改めなければ、結果として独裁体制の崩壊につながるということを自覚して行動を改めてくれることを切に願います。
飛行機の模型で遊びたいシップですが、
そう簡単には捕まりません…
※リハーサル時の写真も掲載しています。
これでわかった!世界のいま
NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送
出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ
2017年9月17日のゲストは、武井壮さんです。
投稿者:スタッフ | 投稿時間:20:48