せかいま美術館

2020年04月01日 (水)

原油で対立 ロシアvsサウジアラビア

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2020年3月29日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのハリー杉山さん、岩田明子解説委員です。

 

 

【この日の時間割】

1.新型コロナウイルス アメリカは今&日本の対応は

2.原油で対立 ロシアvsサウジアラビア

 

 

1時間目は、新型コロナウイルスの感染が急激に加速しているアメリカについてアメリカ総局の添(そえ)徹太郎記者が、ヨーロッパについてロンドンの向井麻里支局長が解説しました。

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そして、日本国内の動きについて岩田明子解説委員が解説しました。

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2時間目は、こちら。

 

Mr.シップ「ずっと家の中にいると、体がなまるな~伸さん!」。

伸さん「そうだね、シップ。体動かしたいね!」。

シップ&伸さん「筋肉体操だ!」。

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Mr.シップ「お!スクワットだな」。

伸さん「やってみるか~?これは下半身にきくね!」。

Mr.シップ「そうだなあ、大丈夫か~?伸さん!どこまでできるか、意地の張り合いだ~!」

 

世界でいま意地を張り合っているのが、ロシアとサウジアラビアです。

主役はこの2人。

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原油生産量2位のロシア・プーチン大統領と、3位のサウジアラビア・ムハンマド皇太子です。

この2か国が、いま意地の張り合いをしています。

 

ロシア・モスクワ支局の北村記者、そして、サウジアラビアの隣の国・UAEのドバイから吉永支局長が解説しました。

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まず、どんな意地の張り合いなのか、吉永支局長に聞きました。

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問題となっている原油ですが、いま価格が大きく下がっています。

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これに伴って、日本ではレギュラーガソリンが9週連続で下がっています。

日本人にとっては、ガソリンが下がるのは良いことです。

ただ、今回、原油価格が急落したことも、日本や世界の株式の今の記録的な値下がりに拍車をかけたともいわれているんです。

 

原油価格の下落がなぜ起きたのか。

それは、サウジアラビアやロシアなど世界の産油国が「たくさん原油を生産するようになる」ということで価格が下がっているんです。

たくさん生産する理由、それがロシアとサウジアラビアのケンカ別れなのです。

 

[原油価格が下落する前は、みんなで協力して、高い価格で原油を売っていたんだヨーソロー]

 

サウジアラビアにとって原油は、とっても大事な資源です。

おかげで所得税はないし、医療費は基本タダ、社会福祉だって手厚いんです。

だから、原油の価格が下がることは国家を揺るがす一大事。

必要とされる量より多く生産すると、原油の価値が下がって高く売れなくなり、収入が減ってしまいます。

つまり「たくさん」生産しすぎるのは、よくないんです。

そこで、サウジアラビアは、産油国のみんなで協力してほどほどに生産し、高い値段のまま原油を売ろうと呼びかけました。

そして、最近はみんなで協力して「ほどほど」に作ってきたんですが…。

3月に入って、サウジアラビアとロシアが、決裂。

そのせいで「ほどほど」に生産していた原油を、お互い「たくさん」生産することになってしまったんだヨーソロー。

 

 

サウジアラビアは中東諸国を中心に、産油国の利益を守ろうという集まり「OPEC=石油輸出国機構」のリーダーです。

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そして、OPECだけじゃなくてロシアなども一緒に「これまでよりも、もっと大規模に原油の減産をしましょう」と提案していました。

こんな提案した理由は、新型コロナウイルスの影響です。

原油を一番輸入してるのは中国ですが、感染の拡大で工場が止まったり、経済活動が大きく落ち込みました。

このため、必要な原油の量が一気に少なくなりました。

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さらに影響は世界に広がっています。

このままだと、さらに原油が余って、値段が下がってしまうので「一緒に生産量を減らしましょう。それで価格を維持しましょう」と提案したんです。

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でも、この提案をロシアが拒否しました。

 

なぜ、ロシアが拒否をしたのか、モスクワの北村記者に聞いてみました。

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減産すると、原油収入が大きく減ってしまいます。

それに自分たちが減らしている間に顧客を奪われる可能性もあります。

そうした事態を嫌がった、というのが大きな理由です。

だから「やりたいなら他の皆さんでどうぞ」と提案に乗りませんでした。

そうすれば「価格は維持されて、自分たちの収入は維持できる」と考えました。

 

 

それに対してサウジアラビアは「ロシアが協力しないのはずるいし、それでは減産の効果が弱い」と考えました。

原油生産量が世界2位のロシアと3位のサウジアラビアが組んで減産するから効果が大きいし、原油の価格も維持できる、はずだったんです。

怒ったサウジアラビアは、減らさないどころか最大限まで生産を増やすことにしました。

さらに、輸出先の国々にさらなる値引きも持ちかけています。

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ロシアが協力しないなら、こうしてやる!とばかりに「価格戦争」を仕掛けたんです。

サウジの強みは、世界一安いとされる「生産コスト」と自在に生産量を変えられる「調整力」です。

これを武器に安い原油をどんどん市場に供給すれば、ロシアは苦しくなって「すいません、やっぱり一緒に減産します」と言うしかないだろう、と考えていると思います。

しかし、ロシアは今のところ譲る気配がないんです。

 

とは言っても、ロシアは国家財政のおよそ4割を石油に頼っており、苦しくなっています。

しかし、サウジアラビアは6割ともっと依存しています。

なので「先に音を上げるのはサウジアラビアだ」とロシアは考えています。

しかも今回、サウジアラビアは正面切ってロシアにケンカを売った形です。

これに対して簡単に折れてしまっては「強いリーダー」が売りであるプーチン大統領としては格好がつきません。

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さらに、このロシアの強硬姿勢はサウジアラビア以外に、アメリカを強く意識したものなんです。

アメリカはいま、原油生産、世界一です。

仮に今、ロシアが減産に協力すると、価格が上がり、アメリカは減産もせず恩恵だけを受けることになります。

ロシアが減らした分の顧客をアメリカに奪われたら最悪だ、という危機感もあります。

さらにロシアは、6年前からアメリカによる経済制裁を受けています。

国内経済へのダメージは深刻で、アメリカへの恨みつらみが積み重なっていますから、アメリカが利益を得るようにはしたくありません。

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この戦いは、プーチン大統領にとって、アメリカを世界一の産油国の座から引きずり下ろす戦いでもあるんです。

 

この意地の張り合いはどうなるのでしょうか。

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「勝者なき戦争」。「崖っぷち」。

 

モスクワの北村記者は「崖っぷち」と書きました。

ロシア経済は、新型コロナウイルスの影響で大きなダメージを受けていて、今後、悪化が予想されていました。

そこにこの原油の暴落で追い打ちをかけられ、持ちこたえられるのか、という不安が国民の間で広がっています。

プーチン大統領は「崖っぷち」に追い込まれていると思います。

ロシアが先に音を上げるわけにはいかない、というジレンマに陥っています。

この先しばらくは資源大国の威信をかけた「崖っぷち」での攻防が続くと思います。

 

続いて吉永支局長は「勝者なき戦争」と書きました。

この意地の張り合いはがまん比べです。

原油価格の下落は、産油国や石油産業の全てにとって、大きな打撃です。

このままいけば、サウジアラビアやロシアよりも前に他の産油国が「がまん比べ」に耐えられなくなって経済・社会が崩壊、混乱する国も出てくる可能性があると思います。

そして、中東などで混乱が広がれば、今度は逆に安定的に原油が来なくなるリスクもあります。

さらに、世界経済全体への悪影響も出始めています。

日本にとって、いまガソリンが安くなると喜んでいるだけでは、のちのち大変なことになってしまう恐れがあります。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年4月12日のゲストは、岡田結実さんです。

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投稿者:永井伸一 | 投稿時間:17:32 | 固定リンク


2020年03月29日 (日)

週刊Mr.シップ 第二百二回 「オリンピック延期」

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「あっ」という間に患者が増えないように、

ひとりひとりが気をつけて過ごしていかないとな。

 

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投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:13:30 | 固定リンク


2020年03月26日 (木)

プーチン大統領 任期後にまた任期?

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2020年3月22日の出演者のみなさんです。

左から、ゲストの小林綾子さん、Mr.シップ、永井伸一キャスター、坂下千里子さんです。

 

 

【この日の時間割】

1.欧州で感染拡大 新型コロナウイルス2元中継

2.プーチン大統領 任期後にまた任期?

3.アイヌの高校生が見た ニュージーランド・マオリの町

 

 

1時間目は、新型コロナウイルスの世界的大流行、パンデミックの中心地となっているヨーロッパについて、パリ・ヨーロッパ総局の藤井記者と、ベルリン支局の山口支局長が解説しました。

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2時間目はこちら。

 

Mr.シップ「外に出ないで、家でゲームばっかり。オセロに将棋。もう飽きちゃったよ~、伸さん」。

伸さん「そう?シップ。でも大丈夫。面白いゲーム見つけたんだ。これ!ロシアのすごろく!」。

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Mr.シップ「いや~、楽しかったよ伸さん、きょうはもう、ここまでにしようか」。

伸さん「え~、まだまだだよシップ、もっとやろうよ~!」。

Mr.シップ「まだやるのか~?」。

 

「まだやるの~?」といえば、ロシアのプーチン大統領。

もう「大統領をやらない」と言われていたのに、あと10年以上も続ける可能性が出てきたんです。

モスクワの松尾支局長が解説しました。

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プーチン大統領、さらに2期、続けられる可能性がでてきました。

このまま続けたら、プーチン大統領は、83歳です。

任期が終わってからは、大統領を上回る力を持って裏から政治を操る「院政」をすると思われていました。

しかし、ここにきて覆ったんです。

これには、松尾支局長も驚きました。

 

[そもそもプーチン大統領は「大統領をやめる」って思わせぶりなことしてたんだヨーソロー]

 

ことし1月、ロシアのプーチン大統領は突然、憲法を変え、大統領の任期を変えたいと言いだしました。

いまの憲法では、大統領をやれるのは2期までです。

しかし、いったん別の人がやった後なら、再び大統領になることができます。

プーチン大統領もこの手を使って、あわせて4期も大統領をやっているんです。

ところがプーチン大統領は憲法を変えて、2期やった人は二度と大統領になれないようにしたいと言い出したんです。

4期もやってるプーチン大統領は、これで最後?って、そのときはみ~んな思ったんだクマ-ソロー! 

 

 

任期以降は続けないと思われていたプーチン大統領。

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しかし、憲法改正の案が、先週、議会で修正されたんです。

“大統領は2期まで”というのは変わらないんですが「これまでに大統領を務めていた分は、カウントしないことにしましょうよ」という提案が採用されたんです。

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この提案をしたのが、テレシコワ議員です。

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女性として世界初の宇宙飛行士で、ロシアでは英雄的な存在です。

ロシアの人たちも「この人が言うなら」と耳を傾けたと思います。

テレシコワ議員は、

「いまの世界は不安定だからプーチン大統領の存在が必要だ」

「次の大統領選挙も出られるようにすべきだ」と訴えました。

この提案自体、実はプーチン大統領側が用意していたのではないかとも見られています。

 

では、プーチン大統領は、あと2回大統領を続けるつもりなのかというと「次も大統領をやる」とまでは言っていません。

しかし、仮にいまの任期の後に「院政」を行った場合に、次の大統領が自分を上回る力をつけることにならないか、プーチン大統領にとっては気がかりだったと思います。

そして今回「大統領もできるし、一歩引いて『院政』をすることもできる」状態にしたことで、その心配は小さくなりました。

また、大統領の影響力は、任期の終わりが近づくことで低下していきます。

だから「また大統領をやるかも知れないぞ」というメッセージを任期が終わる2024年、ギリギリまで出せることは、力を維持する上でもとても重要なんです。

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これについて、国民の賛否は半々だと見られています。

 

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「生まれてから、ずっとプーチン政権なんです。おかしいでしょ」。

「なんとも言えないけど、代わりがいないので仕方ないわ」。

「何もなかった90年代に比べていまやなんでもある。この安定を歓迎します」。

 

モスクワなどでは新型コロナウイルスの感染拡大で、大規模な集会を開催することが禁止されていて、反対だとしても、抗議集会などで声を上げることができません。

言ってみればプーチン大統領にとって都合の良い状況ともなっている。

 

プーチン大統領がこのまま大統領を続けて、足下を固めることができれば、外交問題にいっそう力を入れていくことが考えられます。

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プーチン大統領は、ことし、ロシアが中心となってアメリカ、中国、イギリス、フランスの5か国で首脳会議を行おうとしています。

実現すればロシアの存在感や影響力をアピールすることができます。

プーチン大統領の目標は、アメリカ1国だけが物事を決めるのではなく、ロシアも意思決定に参加できる世界秩序を作ることです。

それに向けて今後、動きが強まっていくこともありえます。

 

ロシアとアメリカが対立を深めていることが、世界をより不安定にしています。

憲法改正によってプーチン大統領が足下を固めることができれば、アメリカに対して歩み寄っていく余裕も生まれると思います。

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さらに日本との北方領土交渉を進めるにも強い指導力が必要ですから、同じように、プラスの効果があるのではないか、という声もあります。

今回のロシアの憲法改正は、日本を含めて世界に大きな影響を与えるものとして各国が注視しています。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年3月29日のゲストは、ハリー杉山さんです。

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投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:16:30 | 固定リンク


2020年03月19日 (木)

イギリス離脱で 揺れるEU

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2020年3月15日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、Mr.シップ、ゲストの鈴木ちなみさん、坂下千里子さんです。

 

 

新型コロナウイルスの影響で、家の中で過ごす時間が長くなりましたね。

 

伸さん「シップ。ゲームでもする?」。

Mr.シップ「よーし、将棋しようぜ!」。

伸さん「いやいや、ゲームと言えば、オセロでしょ」。

Mr.シップ「いや、将棋だろ」。

伸さん「オセロでしょ」。

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Mr.シップ&伸さん「ぜんぜんまとまらないよー!」。

 

まとまらないといえば、EU。

イギリスの離脱をめぐるゴタゴタが落ち着いたと思ったら、なんだか、まだもめているみたいなんです。

いったいどういうことなのか、国際部ヨーロッパ担当・長尾香里デスクが解説しました。

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EUといえば、1月末にイギリスが離脱しました。

これをきっかけにバラバラになってしまう心配が出てきているんです。

 

こちらを使って説明をしていきます。

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EUということで「いい湯~」のお風呂「EU浴場」です。

大きなお風呂に、EU加盟国が入っています。

EUは大勢の仲間が協力しあう必要があります。

ここにはイギリスも含めて、28か国がお風呂に入っていました。

このお風呂のお湯のタンクには「予算」と書かれています。

お金は、EUの加盟国が出し合っているんです。

その内訳を見てみると…。

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国の経済力によって違っているのですが、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの4か国で全体のおよそ6割を負担していました。

しかし、全体の1割余りを負担していたイギリスがEUから離脱したんです。

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すると、お湯の量にも変化が出てきます。

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なんだか寒そうにしている人たちがいます。

ポーランドやハンガリーなどといった比較的経済規模が小さな国々です。

こうした国々は、道路の建設などが遅れていることもあって、EUから支援を受けていますが

「支援が減れば、EUに入ったメリットが小さくなってしまう」と感じています。

そこで…。

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予算を減らさずに、お金を持っている国が、減った分の穴埋めをしてほしいと主張しています。

これについて、EUは先月、首脳たちが集まって予算について話し合いましたが、結論を出すことができませんでした。

このままもめ続けると、イギリス以外にも「EUにいても意味ある?」と言い出す国が出てくるかもしれません。

このままではバラバラになってしまうかもしれないと、EUにとって大きな悩みの種となっているんです。

 

そしてEUは、ほかにも悩みを抱えているんです。

それは、こちらの国々に関することです。

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ヨーロッパの南東にあるバルカン半島とよばれる地域です。

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この地域にある6か国(モンテネグロ/セルビア/北マケドニア/アルバニア/ボスニア・ヘルツェゴビナ/コソボ)は、イギリスとは逆にEUに入りたがっているんです。

 

[EU に入りたがってる国々についてオレが説明するマケ~!]

 

6か国は、EUに入って、豊かになりたいと思っています。

中でもマケドニアは、EUに入るために、国の名前を「北マケドニア」に変えました。

北マケドニアになって、念願のEUに入れると思ったら、EUから“今は無理”と断られてしまいました。

 

 

Mr.シップの話に出てきた「北マケドニア」はこちら。

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この北マケドニアのEU入りに反対したのは、フランスなどです。

バルカン半島の国々も経済規模が小さく、もっと支援しなければいけなくなるため、これ以上お金を出したくないと言っているんです。

そして、北マケドニアだけではなく、ほかの5か国もEUに加盟できるかどうか、見通しがたっていません。

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EU(いい湯~)に入れてもらえない状態なんです。

この6か国は、EUから冷たくされているわけですが、この隙に、こうした国々に近づいている国があるんです。

 

それが、中国です。

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中国はアジアとヨーロッパを結ぶ「中国主導の経済圏」を作ろうと考えています。

その上で、バルカン半島の6か国を巻き込みたいと考えているんです。

 

もうひとつ接近してきている国があるんです。

それが、ロシアです。

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東ヨーロッパの国々は、もともとはロシア側の勢力圏でした。

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ですが今ではEUに加盟しています。

この6か国までEUに入ってしまうと、ロシアはますます影響力を失ってしまうということで、ロシアはそうならないように、いろいろ介入しようとしているんです。

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中国とロシアが実際に何をしているのか。

6か国のうちの1つ、モンテネグロの様子を取材しました。

 

2025年のEU加盟を目指すモンテネグロ。

人口わずか60万あまりの小さなこの国で、いま「世紀のプロジェクト」と呼ばれる大規模な高速道路の建設が行われています。

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工事現場で目にするのは中国語です。

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『橋をつくり社会に貢献する』。

建設費用は3000億円近くに上るとみられますが、その多くが中国からの借金です。

町の人は…

「高速道路を作るお金なんて、この小さな国にはないんだから、中国からの資金はなくてはなりません」。

 

中国の狙いの1つが、高速道路の出発点にあるモンテネグロ最大の港だとみられています。

軍港としての機能もあり、軍事的にも重要な拠点です。

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中国は、この港を起点にヨーロッパ内陸部まで至る巨大な物流網を築き上げようとしているのです。

この中国の計画を「危険なワナ」だと懸念する声があがっています。

モンテネグロ最大の新聞の編集長は、このままでは中国への借金が膨らんで返済できなくなり、経済だけでなく、政治や軍事の面でも中国の言いなりになってしまうと懸念しています。

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「借金を返せなければ、中国に港を支配される可能性もあります。EUが内部に抱える問題を中国は見透かし、その隙を突いてこの地域で影響力を持とうとしているのです」。

 

中国だけでなく、ロシアの影も忍び寄っています。

モンテネグロは歴史的にロシアと深いつながりを持つセルビア系住民が3割を占めています。

ロシアはこうした人たちを通じて、モンテネグロに影響を及ぼしているとみられています。

4年前には、クーデター未遂事件が起きました。

首相を殺害しロシア寄りの政権を作ろうとしたとされています。

検察はロシアの情報機関が関与していたとしています。

与党の幹部は、EUへの加盟が遅れれば、ロシアがいっそう、この地域への関与を深めると警戒を強めています。

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「ロシアは長いあいだ、この地域に干渉し続けています。もしモンテネグロがEUに加盟できなければ、ロシアのような国につけ込まれることになるのです」。

 

 

ロシアは、EUがもめているのはチャンスだと、いろいろ暗躍しているとされています。

ロシアや中国は、それぞれ、「自分たちのあたたかいお風呂に入らないか」と、この6か国を誘っているんです。

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改めて、6か国の場所を見てみると、EUの加盟国に囲まれているような形になっています。

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ここが、中国やロシア寄りになったり、さらに軍事拠点ができたりすれば、EUにとって脅威です。

中国やロシアのしたたかな戦略がじわじわと進む中で、EUはうかうか内輪もめしている場合ではありません。

 

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「湯(EU)冷めにご用心」

EUがまとまらずに、お金や方針をめぐって対立ばかりしていると、EUの魅力は薄れて、加盟国や加盟国になりたい国にとっては「湯冷め」の状態に。

EUが豊かさや安定のシンボルでもあり続けるにはいま、団結できるかが問われています。

 

 

 

【この日の時間割】

1.新型コロナウイルス 感染拡大アメリカも

2.イギリス離脱で 揺れるEU

3.宇宙でなに食べる?

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年3月22日のゲストは、小林綾子さんです。

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投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:15:30 | 固定リンク


2020年03月12日 (木)

新型コロナウイルス 3元中継 感染拡大に世界各地は

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2020年3月8日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、Mr.シップ、ゲストの鈴木ちなみさん、坂下千里子さんです。

 

 

Mr.シップ「伸さん、新型コロナウイルス、心配だな」。

伸さん「予防として、手洗いの方法について、教わろう!」。

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Mr.シップ・伸さん「ところで、世界の新型コロナウイルスって、どうなってるんだっけ?」。

 

中国から始まった、新型コロナウイルスの感染拡大。

そこで今回のせかいま、世界で広がる新型コロナウイルスについて、日本以外の国をみてみましょう。

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感染は98の国と地域に広がっています。(3月8日放送時点)

感染者は10万4427人、死者は3576人、世界に広がっています。

こちら、日本以外の国で感染者が多い順です。

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中国 8万695人。

韓国 7134人。

イタリア 5883人。

イラン 5823人。

フランス 949人。

 

新型コロナウイルスは、ヨーロッパでも広がってきています。

今回はこのなかで、特に、中国、イタリア、イランの状況について見ていきます。

せかいまのスタジオと世界3か所を中継でつなぎました。

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パリの小島記者にフランスとイタリアの状況を、ドバイの吉永支局長にイランの状況を、北京の奥谷記者に中国の状況を聞いていきます。

 

まず、パリの小島記者に、いまの状況を聞きました。

 

フランスでは新型コロナウイルスの感染者が急激に増えています。

屋内での5000人以上のイベントが中止になるなど警戒が強まっています。

ただ、いま、ヨーロッパで1番感染が深刻なのは、イタリアなんです。

1月7日の1日で、いっきに1200人以上増え、感染者は5883人にのぼっています。

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特に感染者が集中しているのが、北部で、イタリア政府は感染が広がっている1600万人あまりが暮らす地域について、来月3日まで原則移動を制限すると発表しました。

感染の広がりを受けてイタリア政府は、今月5日から15日まで小学校や高校、大学などすべての学校を休校にすることを決めました。

イタリアでは観光地にも影響が出ています。

ローマのコロッセオでは、ふだんはもっとたくさん人がいるのですが、人がまばらな状態になっています。

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また、イタリアはサッカー観戦が人気なんですけれども、試合は延期されたり、観客なしで行われたりするなどの措置が取られています。

スタジアムのまわりにも人はいません。

 

次に中東地域のなかでも新型コロナウイルスの感染が深刻なイランのいまについて、ドバイの吉永支局長に聞きました。

 

イランでの死者は140人を超えています。

そしてイスラム教で重要な金曜の礼拝も、各地で禁止されています。

というのも、感染が広まった原因のひとつが、「金曜礼拝」だとも言われているんです。

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こちらがイランでの一般的な金曜礼拝の様子です。

多くの人が密集することになりますので、感染が広がりやすいと指摘されています。

このため、いま各地のモスクでは、入念に消毒が行われています。

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さらに、イラン政府は、刑務所内での新型コロナウイルスの感染が心配されるとして、5万人以上の受刑者を刑務所から一時的に釈放する異例の措置も始めています。

ただ、そこまで対策をしていても厳しい状況が続いています。

というのも、イランは、アメリカから経済制裁を受けていて、そもそも医薬品が高騰しているんです。

そして、政治的にも周辺のアラブ諸国と対立していましたが、今回の感染で、さらに孤立した状態になっています。

このためマスクや消毒液が、街なかでは手に入りにくい状態が続いています。

そういう状態をみこしてか、WHOはこちらドバイから医療用のマスクなど、大量の支援物資をイランに飛行機で送りました。

 

イランだけでなくドバイのあるUAE=アラブ首長国連邦でも感染者が増えていて、周辺国でも感染が広がっています。

このため、ドバイにある大きな空港は、イランとの航空便を2月25日から停止しています。

またアジアを中心に各地から人が集まるドバイでは、マスクしている人も多いです。

先週の木曜日から行われていた、ポップカルチャーのイベントでも、例年に比べて人が少ないだけではなく、あちらこちらにマスクをしている人の姿がありました。

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そのため、ドバイでもマスクが手に入りにくい状態になっています。

ドバイの吉永支局長がパリの小島記者に聞きました。

「中東ではこのような状況ですが、イタリアはどうですか?」

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イタリアでは、マスクの着用は症状があると疑われる場合や、病気の人と接するときに限るよう呼びかけています。

というのも、もともとマスクをする習慣がなく、在庫も限られているからだと見られています。

実際、ローマでは、いまでもマスクをしている人をほとんどみかけません。

 

マスクしないイタリアでは、どのように新型コロナウイルスの感染対策をしているのでしょうか?

 

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イタリア人はあいさつの際に握手やハグをすることが多いのですが、政府は、このような接触を控えることや、人と人との距離を1メートル以上あけることなど、感染を防ぐための対策を市民1人1人にとるように求めています。

 

このほかイギリスでは「コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにマスクを使おう」という広告が禁止されました。

保健当局は「予防法としてはマスクはほとんど効果が無い」と説明しています。

 

ドイツはマスクを確保するために輸出を禁止し、フランスもマスクを国が管理することになるなど、各国で対応は違っています。

 

[新型コロナウイルスによって、世界中のいろんなところでマスクへの影響が出ているんだヨーソロー]

 

韓国では、長~い行列。

マスクが足りないから、販売する量を政府が管理したり、輸出を禁止したりしているんだぞ。

 

南米のペルーでは、感染者が出る前から、マスクが品薄だったんだ。

そこで頑張っているのが、仕立て職人。

布でマスクを、手作りしているんだぜ。

もう5000枚以上も作ったんだってさ。

 

同じ南米のエクアドルでは、コロナウイルスの歌を歌うおじさんが登場。

マスクに並ぶ行列の前で歌って、SNSで大人気になっているんだ。

 

そして、台湾では、マスクを買う時には、自分の名前を言わないとだめなんだ。

1人が1度に買える枚数が決まっているから、買いだめできないぜ。

それから、店ごとのマスクの在庫がひと目でわかるサイトやアプリがあるんだ。

これなら近くの店で確実に買えるヨーソロー。

 

 

では、新型コロナウイルスの感染が1番先に始まった中国の状況はどうなっているのでしょうか。

せかいまのスタジオから奥谷記者を呼びました。

 

いま中国国内では、新たな感染者の数は劇的に減っています。

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感染者数の合計のグラフを見てみると、ここ1週間はほとんど増えていません。

多いときは連日3000人以上増えていましたが、7日発表の数字ではついに100人を切るようになりました。

北京では感染者がゼロの日もあります。

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北京市内のタクシーです。

運転手と客席との間にビニールシートが張られています。

支払いは、スマートフォンのアプリなどで決済できるので、問題ありません。

スーパーマーケットでは、レジで並ぶ人たちが1メートル間隔に並んでいます。

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地面には線が引いてあり、立ち位置が決められているんです。

こうした線は街なかでもあちこちで見られます。

また、北京の一部の地下鉄では、人が集まらないよう、駅の利用を予約する仕組みのテストが始まっています。

中国ではこうした徹底対策の効果で、新型コロナウイルスの新たな感染者が大きく減っています。

さらに中国では人が集まるイベントなど、1か月以上前に一斉に中止しました。

企業活動も、先月の旧正月のあと政府が再開させないようにしてきました。

経済的な打撃は大きいんですが、中国では、個人の権利よりも政府の力が強いので、一斉に禁止するなど徹底的な対策ができるんです。

これが、感染拡大を急激に抑え込めている大きな理由だと思います。

一方で、ここまでやっている中国から見ると、日本の対策はおっとりしている、と見えます。

中国では「日本の対策は大丈夫なのか」という疑問の声も上がっているんです。

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それぞれの地域で今後、どんなことが心配されているのか、それぞれのキーワードを出してもらいました。

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小島記者は「観光」。吉永支局長は「宗教行事」。奥谷記者「きしみ」。

 

まずは「観光」と書いた小島記者。

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イタリアにとって観光は主要な産業です。

しかし、アメリカやそして日本も、ベネチアがある州などに対して渡航中止を呼びかけるなど、外国人の訪問が大きく落ち込んでいて、深刻な影響が出ています。

ホテルのキャンセルなどで、今月だけでも損失額はイタリア全体で240億円にものぼるとみられています。

現在、感染者はヨーロッパの他の国でも増えてきていて、こうした状況がヨーロッパ全体に広がるのではないかと心配されています。

 

続いて「宗教行事」と書いた吉永支局長。

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いまはイランに感染が集中していますが、今後、中東地域全体に広がるのではないかと心配されています。

というのも、来月後半にはイスラム教にとって重要な断食月「ラマダン」があるからです。

日本に置き換えれば年末年始で、日没後の食事は、皆で一緒に食べるのが習わしです。

人の行き来も活発になり、モスクに礼拝に行く人も増えます。

なんとかそこまでに鎮静化させたいと、各国が対策を急いでいます。

 

最後に「きしみ」と書いた奥谷記者。

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いま中国は厳しい対策というブレーキと経済活動の再開というアクセルを同時に踏んで、エンジンがきしみ、凄い音を立てているような状態です。

果たしてこれでうまくいくのか、習近平指導部にとってギリギリの舵取りが続いています。

そして気になるのは今後への影響です。

今回の感染拡大は、経済に大打撃となっていますし、長期的にどこまで大きな打撃になるかも、まだ見えていません。

影響は政治にも広がっていて、習主席の訪日をはじめ、重要な日程も次々と延期になっています。

政治や経済への影響の大きさ次第では、習近平指導部の「きしみ」が今後、表面化してくることも考えられます。

 

 

【この日の時間割】

1. 新型コロナウイルス 3元中継 感染拡大に世界各地は

2.アメリカ・タリバン和平合意 どうなるアフガニスタン

[アメリカとタリバンの戦いについて、オレが説明しヨーソロー]

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年3月15日のゲストは、藤本隆宏さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:20 | 固定リンク


2020年03月05日 (木)

アメリカ 3月3日は特別な火曜日

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2020年3月1日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの井頭愛海さん、国際部の花澤雄一郎デスクです。

 

 

伸さん「ことしのひな祭り3月3日って何曜日だっけ?」。

Mr.シップ「3月3日は火曜日だよ!」。

伸さん「火曜日、チューズデーだよ」。

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Mr.シップ・伸さん「えっ、スーパーチューズデー!?」。

 

ことしの3月3日、火曜日は「スーパーチューズデー」。

アメリカでは、大統領選挙に向けた、候補者選びの大一番です。

アメリカ大統領選挙のスーパーチューズデーについて、アメリカ担当の花澤デスクが解説しました。

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トランプ大統領の相手が誰になるのか、その相手が見えてくるかも知れない、特別な火曜日、それが「スーパーチューズデー」です。

今回のスーパーチューズデーは、全米50州のうち14の州で一斉に行われます。

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過去はこの日に決着が付くことが多いので、注目されているんです。 

民主党の主な候補者は5人。

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「ミスター格差」こと、サンダース氏、「大企業嫌い」のウォーレン氏、「個性派」ブティジェッジ氏、「ふつーのおじさん」バイデン氏。

そして6億円の資産を持つ「6兆円市長」ブルームバーグ氏です。

いま、誰がリードしているのか、こちらで見ていきましょう。

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各候補の熱気球です。

その争いを気球の高さで表しました。

抜け出したのは「ミスター格差」のサンダース氏です。

この「炎」がサンダース氏を浮上させています。

2位はバイデン氏、次いでブティジェッジ氏、ウォーレン氏。

ブルームバーグ氏は、スーパーチューズデーから参戦します。

(3月1日の放送日時点)

 

サンダース氏は、これまでに行われた4つの州で2勝しています。

今回のスーパーチューズデーでも、世論調査ではサンダース氏が優勢で、さらにリードを広げそうです。

 

サンダース氏がなぜこんなに人気なのか、その理由を知るためにサンダース氏の78年間の人生を見ていきましょう。

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サンダース氏は子どものころ、生活が苦しかったそうです。

大人になっても苦しい生活でした。

30代で政治の世界に飛び込みんだころから、すでに「格差をなくすべきだ」と訴えていました。

そして60代、議会でお金持ちに特に有利になる減税に反対して、1人で8時間以上という長~い演説をしたんです。

このときアメリカ中が、この人は筋金入りの「ミスター格差」だと思いました。

そして今では「革命を起こす!!」と主張してます。

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アメリカでは選挙の度に、大金持ちが政治家に巨額の献金するんです。

だからサンダース氏は「これでは大金持ちに不利な政策はできない。この仕組みを変えるんだ、これは『革命』だ」と主張しています。

サンダース氏は、40年以上もこの「格差をなくす」と訴え続けているんです。

格差と闘うシンボルみたいな存在です。

 

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[アメリカの格差がどれだけ酷いのか、オレに説明させてくれヨーソロー]

 

むかしのアメリカでは、お金持ちと貧しい人との格差は今よりも小さかったんだ。

なぜなら、お金持ちから税金をた~くさん取っていたからさ!

だけど、1980年代にレーガンっていう大統領が、お金持ちから取る税金をそれまでの半分以下に減らしたんだ。

これが格差が広がったきっかけのひとつだと言われているんだ。

そして今では…。

人口1%の超大金持ちが、アメリカにある財産の40%を持っているんだ。

それに、金額もすっご~く多いんだよ。

僕らの上位5人の財産を合わせると、およそ47兆円。

これってなんと、韓国の国家予算と同じぐらいなんだぞ~!

「おい!何であいつらだけ超リッチなんだ!?」

「こんなの不公平だわ!」って、

アメリカでは、格差への怒りが広がっているんだヨーソロー!

 

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アメリカでは「大金持ちが富を独占している」という人々の怒りが、最高潮に達してるんです。

人々が日々感じている「痛み」、そこからくる格差への「怒り」が、いまのサンダース氏の勢いのもとです。

サンダース氏が「格差なくす」と一貫して訴え続けてきたことで「この人なら本当にやってくれる」という信頼が寄せられています。

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「怒り」の炎でサンダース号が上がっています。

 

いま、将来に希望を持てない人たちが増えています。

その象徴的な現場を、ロサンゼルス及川順支局長が取材しました。

 

世界有数の企業が集まる西海岸のカリフォルニア州。

美しい建物が建ち並ぶ地域に、ホームレスの人たちのテントがたくさんあります。

この州で最大の政治課題と言われているのが、約57万人もいるホームレスの対策です。

カリフォルニア州のホームレスは、前の年より16%と急増し15万人を越えています。

 

そのうちの1人、2人の娘を持つシングルマザーは、子育てをしながら家賃を払うほどの収入を得るのは難しいといいます。

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「車で寝泊まりしたり、知り合いの家やホテルを転々としたりしています。ホームレスをなくすためにもっと手厚い補助をしてほしいです」。

ホームレスが増えている最大の理由は、急激な家賃の上昇です。

好景気の中で、この地域では、1LDKの家賃が5年で30%も上がりました。

このため、仕事があっても家賃が払えず、ホームレスになる人が増えているのです。

 

厳しい状況の中で、高学歴の若者もホームレスになっています。

ジェシカ・プラドさん(27)は、カリフォルニア州の名門大学の大学院でジャーナリズムを専攻し、おととし卒業しました。

学生時代に家賃が払えなくなって以来、車での生活を余儀なくされています。

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「一晩中働き昼は学校で疲れ果てました。しまいには住むところも失ったのです」。

1か月の収入は記事を書くなどして得られる13万円ほどで生活はぎりぎりです。

大学院の学費のために借りた学生ローンも返済できていません。

「車で生活しているのは、同年代で私だけではありません。私たちの声は政治家たちに届いていません。権力があるなら、困っている人を助けるべきです」。

 

アメリカの私立大学の授業料は、平均で年間およそ400万円と高額です。

このため多くの人が借金して大学に行きます。

私がアメリカで取材した際には、卒業の時点で1000万円を超える借金を背負った人たちにたくさん会いました。

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そして40代、50代になっても払いきれない人が急増しています。

このローンの残高が、アメリカ全体で180兆円と、凄い金額になっていて大きな問題になっているんです。

こうした怒りに対して、サンダース氏は「学生ローンを全額免除する」。

さらに、少なくとも「公立大学の学費をゼロにする」と掲げています。

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これで、多くの若者たちがサンダース氏を熱狂的に支持していて、29歳以下の3分の2の人たちが支持しているんです。

 

若者だけではありません。

医療への「怒り」もあります。

アメリカの医療費はとても高いんです。

日本では、ほとんどの人が公的な医療保険に入っているので、一部の負担ですみますが、アメリカでは民間の医療保険が中心で、保険料も高いので、保険に入れない人たちがいます。

医療費は、盲腸だと数百万円、ガンの治療は数千万円かかると言われています。

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このため、病気にかかると、治療を受けられなかったり、莫大な借金を負ったりしてしまいます。

国民の4割が医療費の借金を抱えていて、ココにも国民の「怒り」があります。

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サンダース氏は、すべての人が同じ医療を受けられるように「公的な医療保険の制度を作るぞ」と主張しています。

 

「怒り」を受け皿に、さらにサンダース号が浮上しています!

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しかし、政策を実現するためにはお金がかかります。

これをサンダース氏は「大金持ちや大企業などの税金を高くすることでまかなうんだ」と言ってるんです。

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実は、アメリカ国民の怒りの受け皿になったのはこちらの人も同じです。

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トランプ大統領は「中国など外国が富を奪っている」と外国に「怒り」を向けているんですが、サンダース氏は国内の大金持ちや大企業に「怒り」を向けているんです。

 

サンダース氏、人々の「怒り」で、スーパーチューズデーも余裕に見えます。

しかし、そうとも言えないんです。

サンダース氏は気球を引き下ろすかも知れない「重り」も抱えています。

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サンダース氏の政策は極端で、国の財政が破綻し、逆に経済を悪化させて失業者が増えてしまうとも、批判されているんです。

さらに「サンダース氏では幅広い支持を得られず、トランプ大統領には勝てない」という指摘もされています。

各候補はサンダース氏を引き下ろそうと盛んに批判しているんです。

 

このように弱点も抱えていますが、それでも国民の痛み、そして「怒り」に直接応える政策に支持が集まっているということで、格差への「怒り」がいかに高まっているかを表しています。

 

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まとめは「世界を左右するアメリカの選択」。

人々の痛みからくる格差への「怒り」は、いま、アメリカだけでなく、世界で、そして日本でも高まっています。

しかし、これに本気で取り組もうという動きは広がってません。

格差を広げ続ける今のやり方を続けていくのか、格差をなくそうと強引にでも取り組んでいくのか。

今回の大統領選挙は、世界の進む方向をも左右する、重大なものとなっています。

みなさん、私たちの将来をも占うものとなる「スーパーチューズデー」にぜひ注目して下さい。

 

 

 

【この日の時間割】

1.新型ウイルス 韓国の対策は

2.アメリカ あさっては特別な火曜日

3.誕生!ラオス初のアイドル

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年3月8日のゲストは、鈴木ちなみさんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:17:31 | 固定リンク


2020年02月27日 (木)

モディ首相の足元が... 揺らぐインドいま何が

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2020年2月23日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのトラウデン直美さん、国際部の花澤雄一郎デスクです。

 

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Mr.シップ「ヨガに挑戦中だヨーソロー」。

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「おいおい、伸さん足元がグラついてるぞ~?」。

 

ヨガの本場といえば、インド。

そのインドではいま、デモが起きたり、バスが燃えたり…モディ首相の足元がグラついて、と~ってもツラそうなんだって!

モディ首相の状況を、こちらのカレー屋さんのセットを使って説明していきます。

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こちらはモディ首相が店長を務めるカレー屋さん。

「国民」というお客さんのため、おいしいカレーを作ろうとしています。

カレー鍋には「辛さ(からさ)メーター」をつけました。

メーターを見ればモディさんの「つらさ」もわかります。

 

どんなカレーが出来上がるのか、ニューデリーの小林潤支局長が解説しました。

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インドカレー屋さんの特徴ですが、お客さんである人口が13億もいることです。

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人口は10年以内に中国を抜き、世界でトップになると言われています。 

経済の規模も2030年までに日本を抜いて世界3位になると見られています。

その大国を率いるモディ首相、今、とっても「辛い(つらい)」状況にあります。

 

なぜかというと、国民に受けると思ってやった政策に思わぬ反発がわき起こったからです。

スタジオのカレー鍋を使って説明します。

こちらのモディ首相特製スパイスには「宗教」と書かれています。

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この特製スパイスを鍋の中に入れてみると…

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辛さメーターが上がり「中辛」になりました。

 

どういうことかと言うと、モディ首相は、宗教をめぐるある政策から国内で大きな反発を招いているんです。

インドは、異なる宗教が入り交じっています。

その特徴は、この国旗にも表現されています。

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上のサフラン色がヒンドゥー教、下の緑色がイスラム教、そして中央の白色が、キリスト教や仏教など、そのほかの宗教を示しているんです。

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こういう背景もあって、インドの憲法は「すべての宗教は平等だ」と掲げています。

そして「政治はいかなる宗教にも中立でなければならない」と定められています。

しかし、モディ首相は、そうした考え方を覆しかねない政策を打ち出したんです。

 

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[モディ首相が打ち出した「国籍法の改正」とは何なのかオレが説明しヨーソロー]

 

インドは、国民の8割がヒンドゥー教徒。

インドの周りは、イスラム教徒がたくさんいる国です。

アフガニスタン、パキスタン、バングラデシュでは、ヒンドゥー教徒やキリスト教徒など多くの人たちが迫害を受けたとして、インドに逃げて来たとされています。

中には、不法移民になってしまった人も…。

そこでモディ首相は、国籍法という法律を改正して、インド国籍を与えることにしました。

 

条件は、2014年までにインドに来た人で、すでに5年以上住んでいるヒンドゥー教徒、キリスト教徒、仏教徒など6つの宗教だけ。

イスラム教徒は対象外にしました。

モディ政権は「あくまで宗教的に弱い人たちに国籍を与えるのが目的だ!イスラム教徒の排除を意図したものではない」と言っているんです。

 

 

カレー鍋を「中辛」にしたモディ首相の特製スパイスは「国籍法の改正」でした。

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モディ首相の堅い支持基盤がヒンドゥー教の教えに基づいた国づくりを目指す“ヒンドゥー至上主義”の人たちだからです。

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国籍法改正も、この人たちには支持されてるんです。

 

しかし、国民からの反発が強く、抗議デモは各地で2か月以上たった今も続いています。

ニューデリー支局の太田雄造記者が取材しました。

 

イスラム教徒の学生などをたたく、インドの治安部隊。

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逃げ惑う学生に、しつこく暴行を加えます。

衝突が起きた大学の図書館は、入り口の扉が壊され、そして中もめちゃくちゃになっています。

激しい衝突の跡は、2か月以上たった今も、残されたままです。

 

去年12月、イスラム教徒のインド人が多く通う大学で、抗議デモが行われました。

 

国籍法の改正によってイスラム教徒への差別が広がり、社会から排除されていくのではないかと学生達が不安を募らせたのです。

「宗教によって少数の人を差別している!」。

バスに火をつけるなど一部が暴徒化したため、治安部隊が大学に突入し、大規模な衝突となりました。

デモに参加した大学生で、イスラム教徒のナイラ・カーンさんは、治安部隊と学生の衝突に、大きなショックを受けました。

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「30~40発の催涙弾が発射されたはずです。多くの学生が意識を失い、ぜんそくの発作を起こしていました」。

カーンさんは同じインド国民でありながら、イスラム教徒は差別や攻撃の対象になっていると感じています。

SNS上ではイスラム教徒への非難や中傷が増え、テロリストよばわりする書き込みもあります。

「インド人のイスラム教徒は差別され、よそ者扱いされていると感じます」。

デモは今も続いています。

「すべての宗教は平等だ」という理念が揺らいでいることに、危機感を抱いているからです。

 

抗議の声を上げているのは、イスラム教徒だけではありません。

カーンさんの親友のリヤ・ドゥベイさんは、ヒンドゥー教徒です。

親友の苦悩を目の当たりにして、デモに参加するようになりました。

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「毎日抗議する彼女たちと同じように、国籍法改正には反対だと訴えたいです」。

カーンさんとドゥベイさんは、幼い頃からいつも一緒でした。

このままでは、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒が共存できる社会が失われるのではないかと、おそれています。

「政府は社会を分断しようとしています」。

「私は親友を支え、政府が行う間違った法改正に反対します」。

 

 

カレー鍋の火が強くなり、カレーの温度が上がりました。

すると辛さも“大辛”に。

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「国籍法の改正」は、イスラム教徒だけではなくて、本来モディ首相を支持するはずの一部のヒンドゥー教徒の反発まで招いたわけです。

 

カレーはすでに「大辛」ですが、さらにカレーを辛くしてしまったスパイスがあります。

それがこちらの「経済」。

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経済のスパイスをふると、出てきたのは「モディノミクス」。

「モディノミクス」とは、モディ政権の経済政策のことです。

具体的には、とにかく外国企業をたくさん呼び込んで経済を成長させようとしました。

そのためにまず、外国企業が入ってくるときの規制を緩めました。

さらに税金の制度が複雑で外国企業には分かりにくかったので、これを単純にするために「消費税」を導入しました。

しかし、危機感を持ったインド企業の反対で規制緩和は進んでいません。

さらに消費税の影響で物価が上がり、消費が落ち込んでしまいました。

インド経済には急ブレーキがかかったんです。

 

“モディノミクス・スパイスは結果的には辛かった”ということです。

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メーターも“激辛”に上がりました!

インド国民にとって、このカレーはあまりにも辛すぎる状態になっています。

 

これ、実は日本にとっても、いい状況ではありません。

インドの大きな市場を狙って、自動車関連や小売り業などおよそ1500の日系企業が進出しています。

インド経済の行方は日系企業にも大きく影響します。

 

モディ首相の料理の腕が問われています。

このカレーをなんとか美味しく出来ないのでしょうか。

そこでモディ首相、カレーの辛さを薄めようと、ある「隠し味」を用意しています。

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「初訪問」と書かれたヨーグルト!

インドは、あすから、アメリカのトランプ大統領を国賓として初めて迎えるんです。

現地では、トランプ大統領を歓迎するポスターなど、さまざまな準備が進められています。

街中には、トランプ大統領とモディ首相の絵も描かれました。

 

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こちらもそのひとつ、道路脇に建設された「壁」。

スラム街を隠すために作られました。

トランプ大統領に国の貧困といったマイナスの部分を見せたくないのだと思います。

 

モディ首相としては、トランプ大統領といい関係を築いていることを国内外にアピールしたい考えです。

得意の外交で、国内の政治の混乱に向けられる人々の目をそらしたいという思惑もありそうですが、本当に辛さを和らげる「ヨーグルト」になるのか、注目です。

 

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きょうのキーワードは「真の超大国になれるか?」。

インドは潜在力は高く、国内からは「超大国を目指す」という声もよく聞かれます。

大国としての自信を深める中で、インド国旗が示す理念のように、すべての人たちが受け入れられる社会を作っていけるかつまり「真の意味での超大国になれるか」今後のモディ首相の手腕が試されています。

 

 

 

【この日の時間割】

1.候補者選び第3戦 最新情報(アメリカ)

2.モディ首相の足元が… 揺らぐインドいま何が

3.中東の紛争リアルに再現 スパイドラマ人気の秘密(イスラエル)

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年3月1日のゲストは、井頭愛海さんです。

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:17:18 | 固定リンク


2020年02月20日 (木)

アメリカドルvs中国人民元 強いのはどっち?

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2020年2月16日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの平泉成さん、国際部の田中健太郎デスクです。

 

 

Mr.シップ「この地球儀、浮いているぞ~、伸さん!」。

伸さん「これ買ったら、世界が自分のモノになった気がするね」。

地球儀専門店にやってきた2人。

 

Mr.シップ&伸さん「すいません!お願いします」。

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いま「世界のお金」をめぐって、これまでにない争いが始まろうとしています。

世界最強、アメリカの「ドル」に挑むのは、中国の「人民元」。

いったい、どんな争いなのでしょうか。

国際部経済担当・田中健太郎デスクが解説しました。

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この「お金」をめぐって、壮大なバトルが始まりそうになっているんです。

その主役が、こちら。

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アメリカの通貨「ドル」と、中国の通貨「人民元」。

いま、この2つの“通貨戦争”とも言えるような事態が、起こるとみられているんです。

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“通貨戦争”を理解するために、アメリカの通貨「ドル」から説明していきましょう。

ドルはいま世界を支配している「最強の通貨」なんです。

アメリカは世界一の経済大国ですから、ドルの信頼性も非常に高いというのがその理由です。

そして、最強の通貨、ドルによってアメリカは、世界を牛耳る立場を手にしているんです。

 

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[ドルが最強だと、なぜアメリカが世界を牛耳れるのかオレが説明しヨーソロー]

 

世界一の経済大国、そして世界の警察、それがアメリカ。

アメリカの強さのもとが「ドル」です。

世界中で毎日、ばく大な取り引きが行われていますが、アメリカの銀行を通っています。

それにより、アメリカはドルの動きをすべて見張ることができるのです。

だから…

言うことを聞かないどこかの国のドルの取り引きを、禁止することもできるのです。

その国は他の国との取り引きができなくなって、お金に困ってしまいます。

アメリカは、最強のドルで世界を支配しているのです。

 

いまの世界の状況をイメージしてみますと、こういう感じです。

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ビジネスや貿易で行われる取り引きの多くは、ドルで行われています。

特に、世界の貿易でいちばん重要な、原油などエネルギーの莫大な取り引きも、大部分がドルです。

つまり、世界中の企業にとって、ドルは絶対必要なものなんです。

世界経済を握り、さらに気に入らない国には圧力をかけられる。

アメリカが世界を牛耳っていると言ったのは、こういうことなんです。

 

しかし、ドルを中心にした国際的な取り引きには、実は「弱点」があるんです。

こちらで説明していきます。

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どこかの国にある2つの企業「ヒライズミ・カンパニー」と「チリコ・カンパニー」です。

実際には、複雑で、さまざまな取り引きがありますが、理解しやすくするために特徴を簡単にまとめて説明します。

例えば、「ヒライズミ・カンパニー」が外国の「チリコ・カンパニー」から物を買って、ドルで支払いをしたいとしましょう。

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「送金ボタン」を押すと…

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ドルが「ヒライズミ・カンパニー」から送られました。

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「自分の国の銀行」と「アメリカの銀行」と「相手の国の銀行」で引っかかり、お金が「チリコ・カンパニー」に届くまで、ずいぶん時間がかかりました。

これが「弱点」なんです。

要するに、時間がかかるんです。

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ドルを送金するときには「自分の国の銀行」「アメリカの銀行」、そして「相手の国の銀行」を経由しなければならないんです。

そして、それぞれの銀行で手数料も必要になります。

 

この「弱点」目をつけたのが中国です。

 

人民元を…

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「デジタル人民元」に変えて、世界を牛耳ってしまおうと考えているようなんです。

 

デジタル人民元とは、ネット上でやりとりするお金のことで「デジタル通貨」と呼ばれるもののひとつです。

中国の中央銀行が発行を検討していることが、去年の秋、明らかになりました。

国の中央銀行が発行する通貨なので、みなさんご存知の電子マネーなどとは違います。

 

ネットということで、2つの会社のパソコンをイメージしてみましょう。

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デジタル人民元を送金すると…。

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あっという間に送れました!

これはあくまでイメージですが、みなさんがメールを送るのと同じです。

とても早く、しかもドルのような、手数料もかかりません。

 

いろいろな手続きがドルより楽になるなら、世界中の会社にとって、デジタル人民元を使ったほうが、お得になります。

もしかしたら、世界を飛び交うお金は、将来ドルからデジタル人民元になっていくかもしれません。

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中国はこうして、ドルが持つ「最強の通貨」の座を奪い取るかもしれません。

デジタル人民元の発行はかなり現実的になってきているとみて、いいと思います。

 

アメリカはドルによる支配が揺らぐわけないと、デジタル通貨の発行については「必要ない」という立場をとってきました。

デジタル人民元が実現すれば、ドルで世界を牛耳ってきたアメリカの立場も危うくなりかねず、危機感が急激に高まっているんです。

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去年11月、アメリカのハーバード大学で、ある会議が開かれました。

参加したのは、オバマ政権で国防長官を務めた、カーター氏。

クリントン政権とオバマ政権で財務長官などを歴任した、サマーズ氏。

さらに、ブッシュ政権の安全保障担当の高官など歴代政権を支えてきた大物達。

 

会議で行われたのはデジタル人民元が世界で使われ出すと何が起きるのか。

ホワイトハウスでの緊急会議をイメージした議論です。

そこに、緊急事態を知らせる架空のニュースが流されました。

「北朝鮮の核開発計画は、政府の予測以上に進んでいることがわかりました」。

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北朝鮮が大規模なミサイル発射実験に成功したという設定です。

アメリカはドルを武器に経済制裁を科して、核ミサイルの開発をやめさせようとします。

しかし、北朝鮮はドルではなく、デジタル人民元を使っているため、制裁には効果がないことが分かりました。

 

ドルの代わりに人民元を使う国が増えれば、アメリカの影響力そのものが大きく損なわれるという懸念が広がっています。

参加した元閣僚などからは、経済・軍事の両面でアメリカの危機だと指摘する意見が相次ぎました。

「デジタル人民元は中国の経済力を強め、アメリカを弱くします」。

「アメリカは経済を支配できなければ影響力を失っていきます。すでに時代から取り残されようとしているんです」。

さらにアメリカもドルのデジタル化を進め、中国に対抗するべきだと訴える声も上がりました。

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「ドルが強いままでいることは、安全保障の面でも重要です。いま、危機感を持って新しい技術に取り組んでいくべきなんです」。

デジタル人民元への警戒感が高まる中、先週、アメリカの中央銀行にあたるFRBのトップは、デジタル通貨の研究を進めていく方針を明らかにしました。

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「私たちはデジタル通貨の長所と短所について理解を深めなければなりません」。

 

 

世界を牛耳る立場を狙う中国と、それを阻もうと躍起になるアメリカ。

これが「通貨戦争」の全貌です。

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キーワードは「結局、世の中、お金がすべて?」。

私たちの生活も、お金がデジタル化して、キャッシュレス決済も身近になって、大きく変わっています。

ますます便利になるかもしれません。

でも水面下では、このお金の世界こそが、2つの大国の壮大な戦いの舞台となっています。

第2次世界大戦後、経済・軍事の両面でアメリカの力の源だったドルによる支配に、いよいよ中国が挑もうとしています。

国家の力の象徴といえる、通貨をめぐる攻防こそが、米中の“最終決戦”の場になるかもしれません。

 

 

 

【この日の時間割】

1.アメリカドルvs中国人民元 強いのはどっち?

2.アイルランド “島を1つの国に”?

3.猛暑&緊迫!地雷除去の最前線

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年2月23日のゲストは、トラウデン直美さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:16:42 | 固定リンク


2020年02月13日 (木)

トランプ大統領イチオシ 和平案の内容は

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2020年2月9日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのサヘル・ローズさん、国際部の佐伯デスクです。

 

 

人気のチョコレート屋さんにやってきた、伸さんとMr.シップ。

お店で人気のチョコカレーを前に…。

伸さん「さっそく、いただくよ!」。

Mr.シップ「ちょっと待った!オレが先だよ、伸さん。いつも伸さんばっかり先じゃないか」。

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と、店内でケンカを始める2人はさておき…。

 

 

世界のいまを見てみると、

中東で起きている対立を仲直りさせようとしたのが、アメリカのトランプ大統領です。

長年対立してきたイスラエルとパレスチナのために「和平案」を考えました。

 

いったいどんな案なのか、国際部の中東担当・佐伯敏デスクが解説しました。

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トランプ大統領の和平案の3つのポイントがこちら。

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(1)領土 イスラエルの望みどおり

(2)エルサレムはイスラエルの首都

(3)パレスチナを国と認める

 

この3つのポイントを理解するために、まずイスラエルとパレスチナがどんなところか見ていきます。

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地図の青色の部分がイスラエル。

ユダヤ教を信じる「ユダヤ人」が住んでいます。

70年あまり前につくった国です。

 

緑色になっている2つの地区がパレスチナ。

イスラエルに占領されていて自由がない状態です。

パレスチナには「アラブ人」が住んでいます。

イスラム教やキリスト教を信じる人たちです。

 

地図に引かれている線は、イスラエルとパレスチナを分ける仮の境界線ですが、どこに国境を引くのかは決まらず、もめ続けてきたんです。

 

ここから、和平案のポイント「(1)領土 イスラエルの望みどおり」を説明していきます。

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こちらのセットはあくまでイメージですが、左側がイスラエルの土地で青色です。

一方、右側がパレスチナの人々が住んでいるところで、緑色です。

この真ん中の境界線を基本にして、領土を決めることになっていました。

しかし、イスラエルが境界線を越えたところに「入植地」をつくったんです。

 

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[入植地について、オレが説明するヨーソロー]

 

ユダヤ人とアラブ人はこれまで戦争や衝突を繰り返してました。

多くの人が犠牲になりました。

「どこをイスラエルとパレスチナの国境にするかは話し合いで決めよう」と、アメリカが間に立ち、話し合いで解決することになりました。

お互いが、土地をどう分けようか話し合っているさなか、イスラエルがパレスチナの人々が住む土地に、勝手に新しい家を建てました。

これが「入植地」です。

世界は「入植地はやめなさい」と、注意しています。

 

 

イスラエルは境界線を越えてどんどん入植地をつくり、パレスチナの土地は虫食いだらけになってしまいました。

そこにトランプ大統領が提案した国境がこちらです。

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トランプ大統領は入植地をそのままイスラエルの領土にしてしまうことを提案したのです。

 

パレスチナの人たちはどう思っているのか、エルサレムの澤畑剛支局長が街で聞いてみました。

 

パレスチナ人が暮らす街ベツレヘムは、商店が軒を連ね活気にあふれています。

パレスチナでは独自の通貨が発行されていないので、イスラエルの通貨が使われているのです。

一見、平和そうに見える町が、実はイスラエルとの紛争の最前線にあるという現実を感じさせるものがこちらです。

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壁に描かれている絵は、覆面アーティスト、バンクシーが描いた絵なんです。

平和の象徴である鳩に銃口が向けられています。

和平を脅かすイスラエルの武力を描いたものだと人々は感じています。

世界的なアーティストのバンクシーは、こうした作品を街のあちこちに残しています。

 

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こちらの巨大な壁は、イスラエルが治安維持の名目で一方的に建設しました。

パレスチナ人のまちを取り囲むように、450キロ以上続いています。

そのすぐそばには、イスラエル兵の姿が見えます。

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イスラエル軍の監視塔はパレスチナの各地にあります。

 

ベツレヘムから車を数分走らせると、赤い屋根の建物が見えてきました。

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イスラエルが国際法に違反して建設したユダヤ人入植地です。

入植地の中には、きれいな住宅がたくさん並んでいます。

ショッピングモールもあり、入植地の中は通常の街と変わらない様子となっています。

入植地は拡大を続けていて、どんどんパレスチナ側のほうに迫っています。

 

地元の市長は、入植地への批判に対し、イスラエルとパレスチナは問題なく共存できていると

反論しています。

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「ユダヤ人とアラブ人が隣り合ってどのように生活しているか、共存することでお互いにどんないいことがあるかを見るため、たくさんの人がここに来ます」。

 

しかし、入植地ができたせいで先祖代々の土地を奪われたというパレスチナ人の男性は、憤りを募らせています。

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「自分がこれまで大事にしてきた土地が目の前から無くなりつつあります。まるで私たちパレスチナ人の体が少しずつ切り刻まれているような気がするんです」。

 

 

続いてポイント「 (2)エルサレムはイスラエルの首都」を見ていきます。

エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとっての「聖地」がある町で、宗教上、とても大切な場所です。

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エルサレムは、ちょうど、イスラエル側とパレスチナ側の境界にあるのですが、それぞれ「自分たちのものだ」と主張してきました。

でも、トランプ大統領の和平案では、このエルサレムがイスラエルの首都になります。

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和平案は、領土や首都など、パレスチナにとって大事なことをほとんどあきらめるように迫っているんです。

 

トランプ大統領が「その代わりに」と提示したのがポイント「(3)パレスチナを国と認める」です。

この案を受け入れたら、アメリカはイスラエルと話し合った上で「国」として認めるといいます。

今は、イスラエルもアメリカも、パレスチナを国として認めていません。

それに加えて、パレスチナを発展させるために、色々な国からお金を集めて、およそ5兆円の支援をするとしています。

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和平案のポイント3つは、総じて、イスラエル寄りの案です。

それは、トランプ大統領の重要な支持層が、イスラエルのためになることをすると喜ぶグループだからなんです。トランプ大統領は、秋のアメリカ大統領選挙を前に、しっかりと支持を固めたいと考えて提案したのかもしれません。

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トランプ大統領の和平案に対して、イスラエルは「世紀のチャンスだ」と大歓迎です。

一方、パレスチナは「和平案は必ず失敗する」と拒否して、パレスチナの人たちに抗議デモを呼びかけました。

 

しかし、パレスチナの人々はどうも消極的な様子です。

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「デモには誰かが行くよ」。

「私たちは平和を望んでいるけど やる時はやる。でも、今はどうなるか見守るしかない」。

長年、デモを率いてきた団体のリーダーは、デモの参加者が減っていることに頭を抱えているということです。

だから慎重にならざるを得ない、ということのようです。

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「我々はアメリカがイスラエル寄りの案を公表する度にデモを行って多くの犠牲者を出すよりも、現状を冷静に見極めて行動せざるを得ないのです」。

反発が抑え気味、という印象を受けますが、その背景のひとつにパレスチナを取り巻く国際情勢の変化があると話しています。

「アラブ諸国や国際社会は双方が共存しようという案を少しずつ離れ、イスラエル寄りになっていると感じています」。

 

 

これは中東全体の力関係が大きく変わってしまった、ということなんです。

イスラエルとパレスチナの交渉では、これまでパレスチナ側に立ってイスラエルにプレッシャーをかける応援団がいました。

それが、パレスチナと同じアラブ人の国々です。

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例えば、サウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦などです。

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こうした国々がいることで、力の強いアメリカやイスラエルと対等に交渉ができていました。

ところが今回、こうした国々がアメリカの和平案に、強く反対しなかったんです。

それどころか「アメリカは頑張っている」や「パレスチナは和平案を検討してね」などの声明を出したんです。

 

アラブの国々の態度が変わったのには理由があります。

パレスチナの問題以外にも、対応しなければいけないことが次々に起きてしまったからです。

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ここ10年でアラブの国々では、反政府デモなどの国の混乱が続き、泥沼の内戦になってしまいました。

そういった中で、過激派組織ISのようなグループが出てきて、対処しなければいけなくなりました。

 

そしてもう一つがイランの存在です。

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イランは、中東の中で力をぐんぐん伸ばし、アラブの国々の脅威になっています。

そのため、アラブの国々はアメリカのお金と軍事力に頼らざるを得なくなり、イスラエルとも協力した方が得だと考えるようになったんです。

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見えてくるのは…「新しい中東の現実」。

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実はこの問題、アメリカの大統領がトランプ大統領でなかったとしても、アラブの国々がアメリカやイスラエルに近づいていく動きは止まりません。

これが新たな中東の現実なのです。

ただ、だからといって、一方的にパレスチナに押しつける和平案は、本当の平和にはつながらないと思います。

 

 

 

【この日の時間割】

1.感染拡大 中国で広がる不満 情報統制に批判の声も

2.トランプ大統領イチオシ 和平案の内容は (イスラエル・パレスチナ)

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年2月16日のゲストは、平泉成さんです。

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:17:13 | 固定リンク


2020年02月06日 (木)

アメリカ大統領選 トランプ大統領と戦うのは?

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2020年2月2日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、国際部の虫明デスク、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの虻川美穂子さん、国際部の久米井デスクです。

 

 

「2月3日は節分だなー、伸さん」。

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「鬼は外~、福は内~」。

「そうだねシップ~。豆をまいて、邪気を払って、いい年のスタートにつなげたいよね!」。

 

スタートといえば、あの国でも、ながーい戦い「アメリカ大統領選挙」が始まります。

もう4年、大統領をやりたいトランプ大統領。

でも、それを阻もうとする人たちがたくさんいます。

トランプ大統領は、だれと戦うことになるのでしょうか。(2月2日の放送日時点)

 

国際部アメリカ担当・久米井彩子デスクが「アイオワ」と書かれた「かかし」とともに登場し、解説しました。

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アイオワというのはアメリカの州のひとつで、農業で有名なところです。

アイオワ州では、アメリカの大統領を選ぶ戦いが始まるんです。

 

「アイオワ」にやってきた気分でみていきましょう。

アメリカには民主党と共和党という2つの大きな政党があり、それぞれが出した候補者が、大統領の座を争います。

実は、これは大統領選挙の「後半戦」なんです。

「前半戦」はなにかというと、民主党と共和党それぞれが、全米各州などで順番に集会を開いたりや選挙を行ったりして最終的な党の候補者を決めるんです。

2月3日のアイオワ州でこの「前半戦」が始まります。

つまり、党の候補者を決める戦いが始まるということなんです。

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共和党は、トランプ大統領が「後半戦」まで進むのが確実です。

一方、民主党はたくさんの候補者がいて、誰が「後半戦」にたどりつけるのか見えていません。

それだけに、アイオワ州での初戦に注目が集まっているんです。

 

注目のアイオワ州がどんなところか見ていきましょう。

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アイオワ州が位置するのはこのたりです。

アメリカのほぼ真ん中です。

農業が盛んで、トウモロコシは全米1位、大豆は全米2位の生産を誇ります。

しかし人口は、およそ310万で、全米のおよそ1%ほどなので、注目されることが少ない、どちらかというと地味な州なんです。

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(地味と言われてがっかりするアイオワくん)

 

ただ、大統領選挙の年は、アイオワから選挙がスタートすることが決まっているため、世界中が注目するんです。

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(注目が集まってうれしいアイオワくん)

 

全米で最も早く意思が示せるということで、誇りに感じるアイオワの人たちもいます。

さらに候補者たちはアイオワでの選挙活動にたくさんお金をかけて、力を入れるんです。

なぜなら、アイオワの結果が、その後の行方を大きく左右するかもしれないからなんです。

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[アイオワの結果がとーっても大事ってのを、過去の選挙が証明しているんだヨーソロー!]

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民主党では、1972年以降、正式な大統領候補者に選ばれた9人のうち、アイオワでトップになった人は、7人もいます。

なかでも、オバマ前大統領は、本命だったクリントン氏を抑えてアイオワで勝利。

大統領にまで上りつめました。

初戦は注目されるだけあって、アイオワで勝てばメディアもたくさん取り上げて、支持者も増加、選挙につかうお金もたくさん集まり、勢いが増します。

 

アイオワで勝った民主党の人が、トランプ大統領の相手になるかもしれません。

 

誰が勝つのか気になるところですが、有力候補は4人。

農業の盛んな州での戦いということでトラクターに乗って、候補者選びのレースに臨んでいます。

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◆「ミスター格差」こと、サンダース氏。

貧しい人とお金持ちの間に広がる格差を縮めよう!と訴えています。

 

◆「大企業嫌い」のウォーレン氏。

格差の解消を求めて怒りの矛先を大企業などに向けています。

 

◆「個性派」ブティジェッジ氏。

候補者の中で最年少、同性愛者で、8か国語を話すなど特徴を挙げたらキリがありません。

 

◆「ふつーのおじさん」バイデン氏。

オバマ政権で副大統領を務め安定感が売りです。

 

さらに見ていくとこの4人は考え方は、「左派」と「中道」の大きく2つに分けられます。

「左派」と「中道」とは、政策の路線の違いで分けられるグループです。

民主党が大切にしているのは弱者に優しい社会、つまり、弱い人の見方になるということです。

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しかし「左派」と「中道」には、福祉や教育をめぐって大きな方針の違いがあります。

 

まず「左派」。

政府が手厚い支援をしたいと考えています。

この「左派」が、サンダース氏とウォーレン氏です。

2人は民主党の弱い人の見方という理念がより強く出ています。

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一方の「中道」。

財政的なバランスを考えて、現実的な支援にとどめるべきだと考えています。

この「中道」は、バイデン氏とブティジェッジ氏です。

2人は「左派」の政策は現実的ではない面もあると主張してます。

 

政府がどこまで支援するべきかというのは、選挙でも重要なポイントになります。


それでは、アイオワのトラクターレースの状況はどうなのか。

2月3日は節分ということで豆を用意しました。

掛け声は「鬼は外~」ではなくて「アイオワー誰~?」。

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まず飛び出したのは「大企業嫌い」ウォーレン氏と「個性派」ブティジェッジ氏。

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しかし最終的には…「ミスター格差」サンダース氏に「ふつーのおじさん」バイデン氏が続く結果に。

 

アイオワ州の最新の世論調査では「左派」のサンダース氏と「中道」のバイデン氏がトップを争っています。

「左派」と「中道」の対立がいま、民主党の支持者の中で激しくなっているんです。

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アイオワ州の支持者たちを取材しました。

 

長年、格差解消を訴え続けてきたサンダース氏は、公的な医療保険で国民全員をカバーして、弱者に優しい社会を実現すると掲げています。

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サンダース氏の集会に参加したマケナ・ドリスコルさんは、サンダース氏の姿勢を支持しています。

夫と8歳の息子の3人で暮らしていますが、給料が上がらない中で物価が上昇し、常にぎりぎりの生活を強いられています。

ドリスコルさんは、以前、激しい頭痛に襲われた際、加入している保険では医療費がまかなえないと病院から治療を拒否された経験があります。

「雷が落ちたようなひどい頭痛で病院に運ばれたのに、薬だけ渡されて、そのまま家に帰されたのよ。アメリカの医療保険制度は壊れているわ」。

お金で命まで左右される現状に憤りを感じ、サンダース氏に大きな期待を寄せています。

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「サンダース氏が『すべての人は平等であるべきだ』として、医療制度などを大きく変えると主張しているのは私にとって、とても重要なんです」。

 

一方、これに真っ向から対立しているのが、中道のバイデン氏です。

サンダース氏の政策は弱者に過剰に手厚く、財政的な負担が大きすぎると指摘して、現在の制度を拡充するのが現実的だと訴えています。

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その現実路線を支持するマイク・ハーマンさんは、副大統領を務めたバイデン氏の安定感にも期待しています。

「バイデン氏は長年、政界にいる経験から政策の進め方を知っています。それに海外の首脳とすでに面識があり、これは、ほかの候補者とは違う点です」。

そして、サンダース氏の主張は極端で、無理に実行すれば国の財政が破綻するのではないかと疑問を感じています。

さらにハーマンさんが心配しているのは民主党支持者の間の深い亀裂です。

考え方があまりに隔たってしまい、党の正式な候補が決まった後、敗れた方の支持者がちゃんと支持するだろうかと不安を感じているのです。

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「前回の大統領選挙の時はまとまらなかったので、トランプ大統領に負けたのです。分断を繰り返さないか心配です」。

 

 

候補者の対立が、支持者の分断にもつながっているんです。

対立に終止符を打って、民主党がひとつにまとまれるのか、今後の大きなポイントになってくると思います。

そしてこの混乱ぶりを、高いところから見ている人が、対戦相手となるトランプ大統領です。

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いまはこんな気持ちなのかもしれません。

民主党の対立が長引けば、トランプ大統領が得するだけとの指摘もあります。

 

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きょうのまとめは「上昇気流か?泥沼か?」。

この4人は、初戦のアイオワ州を制して、早く上昇気流に乗ることを狙っています。

この中から、トランプ大統領と全面対決する相手が見えてくるのか、それとも、さらに混迷を深め、泥沼化してくのか。

アイオワで見えてくるかもしれません。

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【この日の時間割】

1.感染加速する新型肺炎 最新情報&拡大防止は

2.アメリカ大統領選 トランプ大統領と戦うのは?

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2020年2月9日のゲストは、サヘル・ローズさんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:33 | 固定リンク


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