せかいま美術館

2019年05月16日 (木)

トランプ大統領 トラになる!?

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2019年5月12日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの高橋真麻さん、国際部禰津博人デスクです。

 

この日の時間割。

1時間目「トランプ大統領 トラになる!?」

2時間目「トンガと日本 深~い関係」

3時間目「南スーダン 元少年兵のいま」

 

1年半ぶりに弾道ミサイルを発射した北朝鮮。さらにイランでも気になる動きが…。

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国際部アメリカ&中東担当・禰津デスクが、トランプ大統領の「トラ」にかけて、北朝鮮とイランのいまを解説しました。

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こちらの「トランプ外交早わかり装置」を使って、トランプ大統領が北朝鮮とイランの2つ国をどう見ているのか説明していきます。

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実は、トランプ大統領は、北朝鮮に対して、最近はトラではなく猫でした。

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北朝鮮は今月4日に1回目の発射を行いましたが、トランプ大統領は、表面上怒りを見せていませんでした。

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トランプ大統領のツイッターでは「キム委員長は私との約束を破りたいとは思っていない」と、北朝鮮の出方を見守っていました。

なぜかというと、3回目の米朝首脳会談に意欲を示しているのです。

北朝鮮への直接的な非難は避けて、対話ムードを保っていこうとしたのだと思います。

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ところが北朝鮮はそのわずか5日後にまた、発射。

さすがのトランプ大統領も、メンツを潰された形となり「とても深刻に捉えている。誰も喜んでいない」と述べ、不快感を示しました。

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アメリカ国防総省も2回目は「弾道ミサイルだった」とする分析結果をすぐに明らかにしました。

弾道ミサイルはものすごいスピードで、核弾頭を遠くまで運ぶ力を持っています。

つまり、核ミサイルになってしまいます。

今回は短い距離だったとしても、いずれアメリカに直接届く弾道ミサイルの発射まで行ってしまう可能性もあります。

それはトランプ大統領にとって最悪のシナリオです。

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そうならないために、北朝鮮に「これ以上は控えるべきだ」と釘を刺したんです。

このままでは2人に芽生え始めた信頼関係も台無しになってしまうと警告する意味合いもあったかもしれません。

 

北朝鮮の狙いを、中国総局で北朝鮮を取材している長野記者に聞きました。

ひとことで言うと、アメリカに対する憤りを実際の行動で示す必要があると判断したからだと思います。

アメリカが一方的に非核化を要求しながら、制裁の解除など、見返りをくれないことは「規約違反だ」「強盗のようだ」とまで言っています。

北朝鮮は、これまで何度も挑発を繰り返してきています。

国際社会からの批判をものともせず、再びもとに戻ることもありえるというメッセージを示したかったのだと思います。

今の状態がつづけば、米朝首脳会談を行う雰囲気ではありませんが、アメリカから何としても「制裁解除」を勝ち取りたいと思っている北朝鮮は、挑発することが狙いだったのかもしれません。

北朝鮮はアメリカから何としても制裁解除を勝ち取りたいと思っています。

トランプ大統領を本気で怒らせない程度に危機感を演出して、その上で、譲歩を引き出そうとする北朝鮮の得意の交渉術がまた始まったのかもしれません。

 

その北朝鮮に1度は不快感を示したトランプ大統領ですが、次の日には態度を変えました。

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トランプ大統領の態度はちぐはぐしているようにも見えます。

ただこれは、裏を返せば、北朝鮮との非核化の交渉が行き詰まりを見せている現れなんです。

北朝鮮の挑発的な行動は不愉快だけれど、対話を決裂させるわけにはいかないと思っているんです。

 

北朝鮮には、トラ猫で接してきたトランプ大統領ですが、イランに対しては…

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猫どころか怒り狂った、トラになっています。

 

アメリカとイランは今月になって緊張が一気に高まっていて、トランプ大統領は、イランを追い詰めようとしているんです。

ちょうど1年前に関係を決裂させた大きな動きがありました。

イランの核開発をやめさせようと、世界の主な国が一緒になって結んだ「核合意」を、トランプ大統領が一方的に離脱すると言い出したのです。

 

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「核合意」についてオレが説明しヨーソロー

 

核合意は、オバマ大統領が主導して実現しました。

ところが、オバマ前大統領がとにかく嫌いなトランプ大統領は、「この合意は欠陥だらけだ」と主張して離脱しました。

 

さらにトランプ大統領の周りには、イランが大嫌いな側近が揃っていて、イランに対して強硬的な政策を次々と繰り出しています。

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その1つが、イランで最も重要な産業「原油」の輸出をできなくしたことです。

イラン経済は相当なダメージを受け、この1年で通過の価値は3分の1にまで減りました。

食料品や日用品が激しく値上がりしていて国民の間に不満が高まっています。

 

さらに、トランプ大統領は軍事面でも新たな圧力をかけ始めました。

イランの周辺に、原子力空母や爆撃機など次々と展開すると発表し、イランを威嚇しています。

 

追い詰められたイランは、これまで何とか耐えてきましたが、ついに先週大きなカケに出てきました。

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「イランの経済が改善しなければ、60日後に核開発を再開させる」と揺さぶりをかけてきたんです。

しかし仮にそうなると、アメリカだけでなくイランと敵対している中東の国々との間で一気に軍事的な緊張が高まります。

もしかしたら、戦争が起きてしまうかもしれません。

 

ここで鍵を握るのが、これまで仲介役を担ってきたヨーロッパの国々です。

この60日間にヨーロッパの国々が、制裁に苦しむイランに手を差し伸べることができるのか、そして核開発の再開をしないよう説得できるかどうか、時間が限られているため非常に厳しい交渉となりそうです

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「イランにかみつきそうなトランプ大統領。北朝鮮に猫かぶるのいつまで?」

イラン情勢は待ったなしです。

一方の北朝鮮についてはトランプ大統領は今は様子見ですが、それもいつまで続くかはわかりません。

世界の安全保障に大きく関わるこの問題についてしっかりと見ていかないといけない時期にきています。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年5月19日のゲストは、福田萌さんです。

 

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:19 | 固定リンク


2019年05月08日 (水)

ロ朝首脳会談 今後の北朝鮮と関係国は

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2019年4月28日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのパックン、国際部佐々一渡デスクです。

 

この日の時間割。

1時間目「スリランカ同時爆破テロ1週間 現地では」

2時間目「ロ朝首脳会談 今後 北朝鮮&関係国は」

3時間目「難民問題訴える “スーパー高校生”」

 

1時間目は、インド洋にあるスリランカの同時爆破テロ事件についてお伝えしました。

日本人も犠牲になったこのテロ事件から1週間が経ちました。

これまでに日本人1人を含む253人が死亡しました。

捜査当局によると実行犯は9人で、ほとんどが裕福な家庭で育ち、高学歴で留学経験がある者もいます。

キリスト教徒のお祭りの日に起きたので、少数派のキリスト教徒や外国人観光客を狙ったのではと見られています。

かぎを握るのは、リーダー格だったザヘラーン容疑者です。

ザヘラーン容疑者は当初は敬けんなイスラム教徒だったそうですが、イスラムの教えを忠実に守ろうと訴える集会をめぐり警察とトラブルになり人が変わったといわれています。

その後、インドなどを転々とし、過激なビデオをインターネット上で発信するようになりました。

そしてその間に接近したとみられるのが過激派組織IS=イスラミックステートなのです。

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一時期、中東で勢力を拡大したISですが、今は弱体化が進み、メンバーはアジアなど自分の国に戻ってきています。

そうした中で、居場所を失ったISの関与の疑いが強まったことで、アジアにとって新たに脅威になりかねない事態となっています。

 

 

2時間目は、

ロシアを訪れた北朝鮮のキム・ジョンウン委員長について、国際部佐々一渡デスクが解説しました。

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ロシアのプーチン大統領と初めての首脳会談を行ったキム委員長ですが、

本当に会いたかった相手は、別にいたようです。

 

それは、アメリカのトランプ大統領です。

今回のプーチン大統領との首脳会談も、トランプ大統領を意識したものだと言えそうです。

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こちら、世界の首脳たちが集うカフェです。

お客さんは、キム委員長とトランプ大統領。

去年の6月、史上初めての米朝首脳会談が行われました。

世界からも注目を浴び、キム委員長も会談は成功したと、とても満足気でした。

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ここにお客さんが入ってきました。プーチン大統領です。

じつはこの頃、キム委員長はプーチン大統領からも会談の誘いを受けていました。

誘いは何度かあって「9月の国際会議に合わせてはどう?」とか、具体的な誘いもありました。

 

ただ、このときはキム委員長はプーチン大統領の誘いには応じませんでした。

具体的な理由は明らかにされていませんが、まずは、トランプ大統領との2回目の会談を成功させたいと考えていたのかもしれません。

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そしてことし2月、キム委員長にとって待ちに待った2回目の米朝首脳会談。

キム委員長は「非核化は進める。その代わりに経済制裁を少しずつでも緩めてほしい」と求めました。

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しかしこの会談は、物別れに終わりました。

キム委員長の主張に対し、トランプ大統領は「非核化が完全に終わるまで、制裁は緩められない」と。

2人はどうしても折り合えず、双方の立場が違うことはわかっていましたが、ようやく会談をしたのに何も決まらずに終わってしまいました。

キム委員長にとっても想定外のことだったと思います。

 

ここで、キム委員長は以前に誘われていたプーチン大統領との首脳会談に応じることにしました。

これが今回のロ朝首脳会談です。

キム委員長は「3回目の米朝首脳会談を開きたい」という気持ちが大きく、そのためには新たな作戦が必要だと考えました。

ロシアは世界でも発言力のある大国です。

北朝鮮にとって、中国のほかに歴史的にも関係が深い国。

しかもこれまでも、非核化を進めれば、少しずつ制度を緩めてもいいんじゃないかと、北朝鮮の立場に理解を示していました。

会談でもプーチン大統領は「キム委員長から朝鮮半島の情勢をめぐる立場をアメリカに伝えてほしいと言われました」と話しました。

つまりキム委員長は、自分の立場をアメリカに伝えて、そしてそれを後押ししてねとプーチン大統領にお願いしたのです。

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プーチン大統領が自分たちの仲間であるとアピールをしたのでしょうか。

キム委員長がプーチン大統領にお願いしてまで3回目の会談を開きたいのは、やはり国際社会による制裁が効いているからなんです。

北朝鮮の国民生活にも影響が出ていて、制裁を緩めてもらいたいと思っているんです。

そのために必要なのが、アメリカのOKをもらうことです。

 

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[北朝鮮への制裁はここ数年どんどん厳しくなっているんだヨーソロー]

 

キム委員長は、経済に力を入れる姿勢を鮮明にしているだけに、何としても制裁を解除してもらいたい。だからここまで、アメリカとの交渉を再開させることに必死になっています。

そのために「3回目の米朝首脳会談を開きたい」と、プーチン大統領と会談するという作戦にまで出ました。

 

ただ、キム委員長の作戦はそれだけではありません。

 

ここで、メニューが届きました。

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トランプ大統領にもういちどテーブルについてもらうために、キム委員長が用意した特別メニュー、「戦術誘導兵器」と「トランプ大統領の側近批判」です。

これは、新型の兵器のようなんですが、写真なども公開されていないので、これがどういったものなのか詳しいことは一切わかっていません。

この兵器の発射実験が、先日、キム委員長も立ち会って行われました。

 

このメニューには、隠し味があるんです。

それがこちら。

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「自分たちのことをしっかりと見てほしい」ということです。

つまり「このまま交渉に応じないと、またかつてのように挑発をすることになるかもしれないよ」というメッセージなんです。

そしてもう1つの「トランプ大統領の側近批判」とは、最近の北朝鮮の高官が、米朝首脳会談にも同行したトランプ大統領の側近に、かなり厳しい発言をしています。

隠し味は「大切なのは大統領だけ」。

というのも、側近は批判しても、トランプ大統領本人については、一切批判しない。

今月もキム委員長「トランプ大統領との個人的な関係はすばらしい」と強調している。

つまり、トランプ大統領と直接話をしたいんだと呼びかけているのだと思います。

 

キム委員長はここまでいろいろしていますが、3回目の米朝首脳会談は本当に実現するのでしょうか。

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「北朝鮮もアメリカ・ファースト」

トランプ大統領の「アメリカ第1主義」とはもちろん違う意味ですが、制裁緩和にしても北朝鮮が何よりも重視しています。

自分たちの国を守るためにも、アメリカが最もカギになる国です。

つまり、北朝鮮のあらゆる行動は常にアメリカを見据えているということです。

そしてそのアメリカの大統領の中で、トランプ大統領は直接話ができた初めての相手です。

北朝鮮としては、今のトランプ大統領のうちに、できるだけ交渉を進めておきたいのが本音だと思います。今後もさまざまな形でアメリカの出方を探り、国際社会にも働きかけながら、自分たちにできるだけ有利な環境を整え、次の直接対話のチャンスをうかがっていくことになると思います。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年5月12日のゲストは、高橋真麻さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:18 | 固定リンク


2019年04月25日 (木)

コメディアンが大統領に?ウクライナ大統領選挙

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2019年4月21日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのハリー杉山さん、国際部権平恒志デスクです。

 

この日の時間割。

(スリランカ6か所で爆発が起こり、138人が死亡したニュースを冒頭でお伝えしました。)

1時間目「ノートルダム大聖堂火災 その後」

2時間目「ウクライナ新大統領誕生なるか」

3時間目「中国で進むAI医療の実用化」

 

今月15日の月曜日、フランス・パリのノートルダム大聖堂で大規模な火災が起きました。

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セーヌ川の川岸からは、せん塔が失われ、足場だけが残された痛々しい大聖堂の姿が見えます。

大聖堂は倒壊するおそれがあり、周辺は立ち入りが規制されています。

今は、イースターといってキリスト教徒にとって最も大切な祝日の真っ只中です。

市民も「火災のことがいまも信じられない」と話す人が多くいます。

 

国際部権平デスクが解説しました。

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ノートルダム大聖堂は、パリの中心部のシテ島の中にあります。

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このシテ島は紀元前から人が暮らし始めた「パリ発祥の地」です。

パリの町は、大聖堂があるシテ島から渦巻き状に広がっていきました。

ちなみに「シテ」というのは英語の「シティー」。

つまり町の語源とも言われているんです。

大聖堂の前には、「ポイント・ゼロ」と呼ばれる印があり、フランス全土の道路のスタート地点になっているんです。

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フランス国内のすべての場所は、ここを起点に距離を測っているんです。

 

ノートルダム大聖堂が、フランス人にとって大切なもう1つの理由があります。

「ノートルダム」というのは、フランス語で「わたしたちの貴婦人」。

つまり、聖母マリアを意味します。

フランス人の多くを占めるキリスト教のカトリックにとって「心のよりどころ」なんです。

ノートルダム大聖堂ができたのは14世紀ごろと言われています。

長い歴史の中で、パリ市民を見守り続けてきた存在です。

今回の火事ではせん塔が焼け落ちてしまいましたが、その先端に取り付けられていた風見鶏が焼け跡から見つかりました。

これが見つかった直後の写真です。

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パリ市民にとって市民を見守ってきたお守りのような存在なんです。

今後ノートルダム大聖堂はどうやって再建されるのでしょうか。

 

フランス政府は失われたせん塔のデザインを公募すると発表しました。

また、マクロン大統領は大聖堂を5年以内に再建したいと訴えました。

この5年という期間については専門家から実現を疑問視する声も上がっています。

損傷の大きさ、再建に必要な人材や資材の確保などを考えると10年以上かかるのではないかという見方も出ています。

フランスのメディアは、これまでに国内外で表明された寄付の総額は日本円で1000億円を超えたと伝えていますが、短期間に巨額の資金が集まったことにより、一部の市民からは、再建に比べて貧困層への支援が後回しにされていると、批判の声も上がっています。

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2時間目は、こちら。

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ドラマの中で大統領を演じたコメディアンが、本当に大統領になってしまうかも?

まさに、ドラマのような展開が、ウクライナの大統領選挙で起こっているんです。

放送日のこの日、ウクライナでは大統領を決める選挙が行われていました。

 

次の大統領の椅子を目指して2人が争っています。

ドラマの中で大統領役を演じた新人のゼレンスキーさんと現職のポロシェンコ大統領です。

ゼレンスキーさんが極めて優勢で、約60%の支持を集めてポロシェンコ大統領を圧倒しています。

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ゼレンスキーさんは41歳のコメディアンで、政治経験はありません。

当初はあまり注目されていませんでしたが、前評判をひっくり返して一気に選挙戦のトップに躍り出ました。

支持されている理由はというと、選挙の争点にあるんです。

それがこちら。

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プーチン大統領のロシアです。

ウクライナとロシアは歴史的にも経済的にも非常に関係が深いんです。

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今回の大統領選でも、そのロシアとどう向き合うか問われているんです。

 

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[ウクライナとロシアのふか~い関係をオレが説明しヨーソロー]

 

ウクライナでは、親ロシアの大統領と、ロシアから自立して欧米の仲間入りをしたい親欧米の大統領が、交互に大統領の座についてきました。

しかし、5年前、親欧米の野党勢力が、親ロシアの大統領を追放してしまいました。

それに怒ったロシアが、ウクライナのクリミアを併合してしまいました。

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さらにウクライナ東部もロシアの支援を受けた武装集団が実効支配。

ウクライナ国民の間では、ロシアに対する反発がこれまでになく強まっているんです。

それにより、今回の大統領選挙では、ロシアとどう向き合うのかが大事になっているんです。

そこを見ていくと、ゼレンスキーさんに支持が集まる理由がわかってきます。

 

まず、現職のポロシェンコ大統領は、反ロシアの姿勢が最も強い「強硬派」です。

クリミアの問題にしろ東部の紛争にしろ「侵略者のロシアと対話による解決はない。力で奪い返す」という姿勢を貫いてきたんです。

しかしそれがうまくいかず、東部では今も戦闘が続きクリミアも結局取り戻せていません。

さらに国内の問題も深刻になっています。

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混乱が長引く中で経済は低迷してしまい、政治家や実業家による汚職も深刻化してしまったんです。

だから、国民の間にはこんな声が出ているんです。

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「現状を変えてほしい」「平和や安定をもたらしてほしい」

そんな声が高まっているんです。

 

一方のゼレンスキーさんはロシアに対して「穏健派」と言えます。

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まずはロシアと話し合いをしましょうと言っています。

クリミアを取り戻し、東部の紛争を集結させるためには話し合いが出発点ではないかと主張しているんです。

そんなゼレンスキーさんに対する国民の期待が高まっているんです。

 

ゼレンスキー氏を支持しているイーゴリ・ラビッチさんは、4年前までウクライナ東部の町で雑貨店を経営しながら暮らしていました。

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しかし2014年、ウクライナ政府軍と親ロシア派の武装勢力の間で紛争が始まり、ラゴビッチさんの町も戦闘の最前線になりました。

身の危険を感じたラゴビッチさんは家族を連れて首都のキエフに移ってきたのです。

自宅が気になりある日故郷に戻ると、駐留する政府軍の兵士たちが、ラビッチさんの自宅を拠点として勝手に使って荒らしていました。

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「再び故郷で平和に暮らしたい。それを実現できるのはいまの大統領ではなくロシアと話し合う姿勢も見せるゼレンスキー氏だ」とラゴビッチさんは考えています。

 

こうした変化を求める人たちが、ゼレンスキーさんの支持に傾いているのです。

ロシアからすれば、対話を拒否するポロシェンコさんよりも対話の姿勢を示しているゼレンスキーさんに勝ってほしいはずです。

ロシアの国営テレビの番組では、ポロシェンコさんをアニメの豚のキャラクターになぞらえて「卑しい」人物だと批判しているんです。

実はロシアのプーチン大統領にとっては、そこまでする理由があるんです。

というのもプーチン大統領には、気になっていることがあるんです。

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NATO(北大西洋条約機構)というのは、アメリカを中心とした軍事同盟です。

青で塗られた地域がNATOの加盟国です。

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ロシアに目を光らせています。

ウクライナはちょうどその真ん中にあります。

ロシアにとってはウクライナというのは、NATOに対するいわば防波堤となってきたんです。

 

仮に、ウクライナがNATOに加盟してしまうと、ロシアはNATOと直接長い国境を接することになります。

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現職のポロシェンコさんは「是が非でも加盟したい」と主張していますが、ゼレンスキーさんは「国民投票で決めようじゃないか」ということで、必ずしも加盟ありきではありません。

 

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「コメディアン大統領に笑うロシア」

プーチン大統領は内心では笑みを浮かべているかもしれません。

選挙戦を見ていても、ゼレンスキーさんの主張は具体性に欠けていて、心もとない印象はぬぐえないんです。

政治経験もなく百戦錬磨のプーチン大統領に取り込まれるのではないか、そんな懸念が欧米の間で出始めています。

結果しだいでは、ヨーロッパの勢力図が変わるかも知れない今回の選挙、どうなるのでしょうか。

 

 

▼放送の翌日

新人のゼレンスキー氏が当選しました。

ウクライナ大統領に新人のゼレンスキー氏 対ロシアが焦点 | NHKニュース   

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190422/k10011892461000.html

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年4月28日のゲストは、パックンです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:19:12 | 固定リンク


2019年04月18日 (木)

1.イギリスEU離脱 2.インドネシア大統領選挙

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2019年4月14日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの濱田龍臣さん、国際部飯沼智デスクです。

 

この日の時間割です。

1時間目「イギリス EU離脱 最新情報」

2時間目「インドネシア大統領選挙」

3時間目「エジプト新首都建設」

 

1時間目のイギリスのEU離脱、今週はどうなったのでしょうか。

メイ首相の「離脱協定案」が3回否決され、離脱の期限は4月12日となっていました。

メイ首相は離脱の期限を6月30日に延ばしてほしいとEUに泣きついていましたが、

EU各国の首脳が集まって臨時で会議を行った結果、離脱の期限は10月31日まで延期されました。

EUの中では、「何の取り決めもないままイギリスが離脱すると、大混乱になるのでそれだけは避けよう」という点では考えが一致したんです。

ただ「どれだけ延期すればいいのか」ということについては、意見が分かれていました。

EUの大統領は、最大で1年の延期を提案し、ドイツのメルケル首相など多くの首相が支持しました。

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しかしフランスのマクロン大統領は、これに反対。

「できるだけ早く出て行ってほしい」と主張しました。

 

そして5時間にも及ぶ議論の末に出た結論が、10月31日という期限でした。

イギリスの市民に話を聞くと「合意なき離脱が避けられたことは良かった」という声はもちろんありますが「結局は何も変わっていない」とか「今の混乱が続くだけだ」などという人も多くいて、離脱した人も、残るべきだという人も、納得していないようです。

 

期限が延長したからといってきちんと結論を出すのは簡単なことではありません。

むしろ時間的な余裕ができたせいで、状況がより複雑になる可能性まで出てきたと思います。

「時間がない」という理由で説得もできなくなりましたし「メイ首相を辞めさせ新しい首相を選ぼう」「もう一度国民投票を」という色々な意見が出てくるかもしれません。

 

さらにメイ首相にはもう1つの不安材料があります。

イギリスがこのままEUに残っている場合には、ヨーロッパの議会選挙というものに参加しなければいけなくなったんです。

イギリスの中では「3年前の国民投票で示された民意を無視した外交的な失敗だ」といった声も多くなっています。

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こんな中、イギリス議会は10日あまりの休暇に入りました。

イースターというキリスト教の大事な行事にあわせての長期休暇です。

「休みを取っていて大丈夫だろうか」「この間も時計の針は進んでいる」と、皮肉交じりに伝えるイギリスメディアもあります。

今後もイギリスのEU離脱について、注目していきます。

 

2時間目は、インドネシア大統領選挙。(放送3日後の)17日の水曜日に行われます。

だれが大統領になるのかで、日本にも影響が出てきそうなんです。

国際部アジア担当・飯沼智デスクが解説しました。

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インドネシアは大小合わせて1万3000を超える島々からなります。

宗教もイスラム教、キリスト教、ヒンドゥー教、仏教など様々で多様な宗教が共存しているんです。

 

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[日本とインドネシアには深い関係があるんだヨーソロー]

 

現在のジョコ大統領が就任して最初に訪問したのが、日本です。

進出している企業は1900社、在住日本人は2万人、売られている自動車の9割が日本車という、日本にとって、とっても大事な国なんです。

 

そんなインドネシアの大統領選挙に立候補しているのが、この2人。

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インドネシア料理のコックにしてみました。

2人が「お客さん」を取り合って、それぞれの主張を料理に見立ててみていきます。

どちらが多くのお客さんをとって選挙に勝つのでしょうか。

 

まずはジョコ大統領。自慢の料理は「サテ」。インドネシアの串焼きです。

炭火で香ばしく焼き上げてあります。

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この料理は「経済発展」を表しています。

ジョコ大統領は鉄道や道路、港など経済発展に必要なインフラをどんどん整備しているんです。

実は日本からも企業が入っていて、インドネシアで初めての地下鉄は、日本が1200億円余りを貸し日本企業が全面的に支援して完成しました。

経済発展は国民にとっても嬉しく、世論調査などによるとジョコ大統領がリードしているんです。

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もう1人の候補は、元軍人のプラボウォさんです。

得意料理はこちら。インドネシア風のチャーハン「ナシゴレン」です。

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このナシゴレンは「イスラム教重視」を表してます。

先ほどインドネシアには様々な宗教があると言いましたが、国民の9割近くがイスラム教徒なんです。

ということは、イスラム教徒のお客さんはナシゴレン=「イスラム教重視」に飛びつき、ここにきて、プラボウォさんが追い上げているんです。

 

実はいま、インドネシアでは、イスラム教の教えを大切にしようという人たちが増えています。

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インドネシアではイスラム教徒の女性が身につける「ヒジャブ」を被る人が増えています。

スマホにイスラム教の聖典「コーラン」のアプリを入れる人も増えています。

20年前、イスラム教の団体の活動に制限をかけていた大統領が失脚しました。

そのころからイスラム教の教えを広める活動が盛んになり信仰を大事にする人が増えていったのです。

その土台となっているのが、教育現場です。

コーランやアラビア語などの教育に力を入れる学校が増えています。

一方で、イスラム教徒と他の宗教の信者にあつれきが生まれる事態も起きています。

3年前には、キリスト教徒の州知事がコーランを冒涜する発言をしたとしてイスラム教徒が大規模な集会を開き、一部が暴徒化しました。

その後も、イスラム教の存在感を見せつけるような集会は繰り返されています。

こうした集会に参加しているのは、強硬派の人ばかりではありません。

イスラム教を深く理解したいと集会に参加している人も増えているんです。

 

その理由には、宗教をちゃんと守ることで秩序が保たれたり、家族を重視する考えが共有されるという背景があるようです。

また、経済発展が進んで社会がすごいスピードで変わっていく中で「一体自分が何者なのか」、そのよりどころを宗教に求める人が増えているようです。

 

プラボウォさんにお客さんを奪われたジョコ大統領はどう取り戻すのでしょうか。

隠していたとっておきの料理を繰り出してきました。

それがこちら。

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ジョコ大統領も「イスラム教徒重視」を打ち出すことにしたんです。

一緒に選挙にのぞむ副大統領候補にイスラム教の大物指導者を据えたんです。

 

そうなるとお客さんは、揺れ動きます。

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「イスラム重視」の競争が過熱ぎみになっていることが心配を生んでいます。

イスラム重視が強まってしまうと、他の宗教を信じる人や外国人などが、過ごしにくい国になってしまうのではないかとおそれられているんです。

 

インドネシアにいる日本人は、大統領選挙を高い関心を持って見守っています。

進出している多くの日本企業が、ジョコ大統領が進めているインフラ整備などの事業に関わっているため、ジョコ大統領が再選されればそのままビジネスを続けられると日本企業の関係者は考えています。

一方のプラボウォさんは、経済政策についてこれまで具体的な説明をしていません。

ジョコ大統領が進めてきたインフラ整備の見直しを示唆する発言もしています。

3日後の選挙結果を受けて、インドネシアの経済政策がどうなるのか、日本企業の関係者は注目しています。

 

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今回の選挙で問われているのは、インドネシアの多様性を守ることができるかです。

この国では多種多様な民族が共存してきました。

特にインドネシアのイスラム教徒は、ほかの宗教への寛容な姿勢が国際的にも評価されてきました。

こうした多様性は国の原動力となり、魅力も形づくってきたと思います。

インドネシアはこの多様性を守れるのか、それとも失ってしまうのか。

岐路にさしかかっています。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年4月21日のゲストは、ハリー杉山さんです。

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:14:26 | 固定リンク


2019年04月12日 (金)

1.イギリスEU離脱 2.イスラエル総選挙

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2019年4月7日の出演者のみなさんです。

左から、国際部佐伯敏デスク、ゲストのサヘル・ローズさん、坂下千里子さん、Mr.シップ、永井伸一キャスターです。

 

この日の時間割です。

1時間目「イギリス EU離脱 最新情報」

2時間目「どうなる?イスラエル総選挙」

3時間目「自撮りに悩むウォンバットの島」

 

1時間目のイギリスのEU離脱ですが、まずはおさらいです。

国民投票でEU離脱を決めたイギリスですが、スムーズな離脱を目指すためにもどういう手順で離脱をするのかなど、あらかじめ決めておく必要があります。

そこでメイ首相は、そういった案をまとめた「離脱協定案」をイギリス議会に示し、承認してほしいと求めました。

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ところが協定案は3回立て続けに否決されました。

今のままいくと、離脱の日は今月12日。

メイ首相はまさに崖っぷちなんです。

そこでメイ首相は「議会の承認を得られる案を一緒に考えましょう」と呼びかけました。

その呼びかけた相手というのが最大野党・労働党のリーダーです。

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この野党は、メイ首相の協定案にずっと反対を続けてきました。

他の政策でも立場が異なり、議会では普段からお互いを激しく批判し合う関係です。

メイ首相と野党のリーダーは、話し合いを続けていますが、今のところ話はまとまっていません。

 

野党のリーダーが求めているものは「離脱後も貿易はこれまで通りEUのルールに合わせるべき」。

メイ首相は「EUのルールには縛られない。イギリスの考えで自由に貿易がしたい」。

これだけ隔たりが大きいので話し合いをまとめるのは簡単ではありません。

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話し合いがまとまらなかった場合の次の手もメイ首相は示しています。

議会に対して様々な選択肢を示して「多くの賛成が集まった案を採用します」というものです。

 

しかし、メイ首相が野党に近づいたことで、身内の与党の中からは激しい反発が起きています。

野党が求めているようなEUとの関係をそれなりに残す案に舵を切れば、離脱強硬派と言われる議員たちはメイ首相のもとから離れていきます。

その動きが強まればメイ首相を支えてきた官僚や議長も去ってしまうかもしれません。

残された時間がほとんどない中で、メイ首相はEUのトップに離脱の日を6月30日にしてほしいと手紙を送りました。

EUは今月10日の水曜日に首脳会議を開いて対応を話し合うことにしています。

今週も非常に厳しい1週間となりそうです。

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2時間目はこちら。

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トランプ大統領と家族ぐるみの付き合いをしているイスラエルのネタニヤフ首相。

 

国際部中東担当・佐伯敏デスクが解説しました。

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イスラエルではあさって、国会議員の選挙、総選挙が行われます。

ネタニヤフ首相がこの後も続けられるのか注目されているんです。

ネタニヤフ首相は13年も首相をやってきていて「強いリーダー」として知られています。

国を守るためには妥協しない、怖いもの知らずの振る舞いや、圧倒的な存在感から国民からは「キング」なんて呼ばれてもいるんです。

イスラエルでは強さ=「マッチョ」であることはリーダーには欠かせない条件なんです。

その理由を地図で見てみましょう。イスラエルの位置はここです。

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およそ70年前に国ができてから、周りを敵に囲まれ、戦い続けてきたから強さが求められているんです。

その原因こそが、ニュースにもよく出てくる「パレスチナ問題」です。

 

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[中東のニュースでよく聞く「パレスチナ問題」が何なのかオレが説明しヨーソロー。]

 

イスラエルは基本的にこの白い線で囲まれた部分です。

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そして私たちがパレスチナと言っているのは濃い黄色の部分。

ここにはアラブ人が住んでいて、将来パレスチナという国を作ることを目指してきましたが、今も国はできていなくて、実質的にイスラエルに支配されているんです。

 

シップの解説の中でもあったように、仲よくしていこうということで話がついたはずだったのに、未だに争いが絶えず、むしろ憎しみあっています。

両方に理由がありますが、より力が強いイスラエル側の理由はというと、ネタニヤフ首相の姿勢です。

“パレスチナとは仲よくしたくない”という姿勢をずーっと貫いているんです。

しかし、ネタニヤフ首相は今回の選挙で厳しい戦いとなっています。

なぜかというと、強力なライバルが登場したんです。

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今回の選挙でネタニヤフ首相と争っている、ガンツさんです。

実は元イスラエル軍のトップで、知識も経験も十分。

周りを敵に囲まれているイスラエルでは軍は絶対的な存在なんです。

だからトップは広く尊敬を集めています。

 

ただこの2人、同じマッチョでも大きな違いがあります。

ガンツさんは「パレスチナ側と争いを解決するために話をしよう」と訴えているんです。

軍のトップだったからこそ戦争を避けることの大切さも理解しているのではないでしょうか。

パレスチナと争いで解決してほしいという人たちは、ガンツさんに期待しているんです。

 

そもそも、イスラエル国内の人口の25%はパレスチナに住む人と同じアラブ人。

イスラエルではユダヤ人とアラブ人が“共存”しようという取り組みも行われているんです。

エルサレムにある小学校では、ヘブライ語とアラビア語の2人の先生が一緒に授業を行い、使う教科書も2冊です。

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イスラエルではとても珍しい学校です。

この学校ができたのは20年あまり前。

「小さい頃からお互いを理解し合い、友情を育んでほしい」という思いから保護者の団体が作りました。

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しかし4年前、小学校の壁には人種差別的な言葉が落書きされ、さらに校舎が放火されました。

アラブ人との共存は認められないというユダヤ人から激しい反発を受けたのです。

それでも「対立では現状は変えられない。共存すべきだ。」と考える保護者は増えています。

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こういう動きもあって窮地に立たされたネタニヤフ首相ですが、そこに“大事な親友”のこの人がサポートに現れました。

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アメリカのトランプ大統領です。

手に持っているのは「ゴラン高原」と書かれたお肉。

ゴラン高原とは、50年以上前にイスラエルがシリアと戦争して一方的に占領した領土です。

国際社会は「ルール違反だ」と認めてきませんでしたが、トランプ大統領はそれをイスラエルの領土だということにしてしまったんです。

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イスラエルの人たちは大歓迎、思わぬ追い風にネタニヤフ首相もこの表情。

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ゴラン高原は占領地といっても緑の豊かな場所で誰でもいくことができ、イスラエル人にとっては人気の「お出かけスポット」なんです。

そのゴラン高原をイスラエル側から見ると、こちら。

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一段高くなっているため、敵に見下ろされてしまいます。

イスラエルが軍事的にも手放したくなかったのがよくわかると思います。

 

このトランプ大統領の決定に、国際社会はみんな反対しています。

でもネタニヤフ首相にとっては、選挙で有利に働く材料となりました。

 

最後に2時間目のキーワードがこちら。

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「引き返すなら今が最後」。

パレスチナをこれからも力で押さえつけるのか、それとももう1度話し合いに賭けるのか。

もしネタニヤフ首相が今回の選挙で勝てば、この先、引き返すことは難しくなります。

選挙の結果は、イスラエルの人たちだけではなく、占領されているパレスチナの人たちの運命も左右してしまいます。

イスラエルとパレスチナはどこに向かうのか、総選挙は中東の未来を占うものになります。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年4月14日のゲストは、濱田龍臣さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:13:00 | 固定リンク


2019年04月04日 (木)

1.イギリスEU離脱 2.外国人材

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2019年3月31日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの岡田結実さん、国際部及川順デスクです。

 

1時間目は、イギリスのEU離脱の最新情報についてお伝えしました。

2時間目は、外国人材について、国際部及川順デスクが解説しました。

 

イギリスのEU離脱ですが、離脱に向けて進んでいるのでしょうか。

もともとEU離脱の期限は3月29日でした。

メイ首相は様々な条件をまとめた「離脱協定案」の承認をイギリス議会で得なければなりません。

しかし、議会はこれまでに2度否決しました。

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一方、そんなイギリス側の態度に我慢ならないEU側は、首脳会議で期限延長に2つの選択肢を突きつけました。

それが、イギリス議会が協定案を承認した場合の「5月22日」と、否決した場合の来年「4月12日」の2つ。

イギリス側が先延ばしできないように、期限を区切って決断を迫っているんです。

最大の焦点は、議会で協定案が承認されるかどうか。ここまでが先週お伝えしたところです。

 

残念ながら、イギリスは今週も足踏み状態です。

メイ首相は、「私の案を承認さえしてくれれば、私はやめて、あなたたちが好きなリーダーを選べるようにします」と「最後の切り札」まで切りましたが、3回目も承認されませんでした。

 

実はメイ首相は、今回予想外の行動に出ました。

議会にかける案を「分割」したのです。

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1つ目が「離婚の条件」です。

これは、どう離脱するかという条件をまとめたものです。

もう1つが「将来の関係」です。

これはEUと別れた後にイギリスとEUがどう付き合うかについてのものです。

メイ首相に反対してきた議員の中には「将来の関係」は反対だけど、「離婚の条件」については、そんなに反対でもないという人もいました。

そのため、文書を2つに分割すれば、何人かは賛成してくれるのではないかと期待したのです。

しかし、「どうしても内容が嫌だ」「文書をいきなり半分に割るなんて乱暴だ」と言って、与野党とも支持してくれる人があまりいませんでした。

 

イギリス議会では、あす「政策の人気投票」をやろうという動きがあるんです。

例えば「国民投票をもう一度やる」のか、「EUと密接な関係を持つ」などの案です。

どんな案が支持を集めることになるのか、注目です。

 

 

2時間目は、4月1日から法律が変わる「外国人材」について解説しました。

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春ということで桜を用意しました。

下には日本で働く外国人もいます。

ただ、この桜の咲き具合は今ひとつ。

外国の人にとっては、働きにくい環境みたいです。

 

どうすれば、桜満開の働きやすい環境になるのでしょうか。

国際部及川順デスクが解説しました。

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日本でどんな外国人が働いているのでしょう。

まず「働く資格」を持つ人たちです。

会社の転勤で来た人、英会話の先生などです。

また、介護の分野ではアジアの一部の国の人が特別に働くことができます。

そしてブラジルやペルーから来た日系人などもいます。

最近よく見かけるコンビニの店員は、留学生として日本に来てアルバイトで働いているケースが多く、本業は学生です。

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日本はいま、少子高齢化が進んで人手不足です。

そのため、外国から積極的に労働者を受け入れようというわけです。

日本政府は、4月1日から新しいルールをスタートさせて、今後5年間で34万人の受け入れを想定しています。

これは、大津市や旭川市の人口と同じくらいの人数です。

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その人たちは、明日から、新しく「特定技能」という形でやってきます。

どんな仕事に就くかというと、介護、ビル清掃、建設、農業、漁業などの14分野です。

こうした仕事は、体力が必要だったり、地方に行かなければならなかったりして、なかなか人が集まらない職種です。

海外に目を向けると、こうした職種でうまく受け入れている国がいくつもあります。

その1つ、南半球のオーストラリアを見てみましょう。

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オーストラリアに来る外国の若者たちは、働きながら言葉や文化を学べる「ワーキングホリデー」という制度を使って、長い期間滞在しています。

ワーキングホリデーで認められる滞在期間は通常1年間ですが、地方の農場で88日間働けば、滞在期間を2年に延ばせる制度があるんです。

農園には住み込みで働ける宿舎もあり、環境も整えることで、海外の若者を確保しようとしています。

 

日本でも地方の人手不足は深刻です。

例えばこの「橋」のように、地方に人が行くような仕組みが必要です。

こうした仕組みがあれば、外国の人も地方で働きやすくなって、桜もどんどん咲きますね。

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その前に考えなくてはいけないのが、外国人の働く環境です。

 

日本では、ここまで見てきた人以外に、「技能実習生」という外国人がいます。

その働く環境が社会問題になるケースもあるんです。

 

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[外国から日本に来ている「技能実習生」の働き方について、オレに説明させてヨーソロー]

 

日本の技術を学んでもらうつもりが、日本人側が、“安く使える労働者”という考えを持っていたら、

新しいルールで外国人を受け入れても、同じ問題が起きる可能性があります。

 

立場の弱い外国人をめぐる問題は日本の話だけではありません。

例えば、香港では家事を担うメイドとして働く外国人が厳しい状況に追い込まれています。

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香港の共働きの家庭ではメイドを雇うのが一般的で、外国人メイドは37万人もいます。

こちらのメイドの勤務時間は朝6時から夜10時まで。

月収はおよそ6万円ですが、母国より2倍稼げ、その半分以上を息子がいるフィリピンに送っています。

ただ香港ではこうした外国人メイドが金銭トラブルに巻き込まれる被害が相次いでいます。

母国への送金が自分の稼ぎだけでは足りず、借金を重ねる人が後を絶たないのです。

こうした状況を受けて、NGOが外国人メイドの支援に乗り出しています。

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今後日本でも、NGOのような相談窓口、いわば「駆け込み寺」が必要です。

 

日本にやってくる外国人たちはどんな思いでやってくるのでしょうか。

芳川キャスターがベトナム・ハノイで取材しました。

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ハノイにある日本で働くことを目指す人たちの学校では、1200人以上の学生が学んでいます。

学生のひとり、授業は1日8時間、全員寮で生活しています。

 

22歳のフォンさんは、この夏から岡山県の介護老人保護施設で働くことが決まっています。

フォンさんは就職が決まったあと、毎週欠かさずテレビ電話で、岡山の施設を利用している89歳の女性と話をしています。

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施設で働く初めての外国人となるフォンさんの不安を解消しようというものです。

 

フォンさんのように日本に働きにやってくる人たちには、それぞれの夢や目標があるそうです。

芳川キャスターはそんな彼ら、彼女らを日本の側があたたかく迎え入れてあげなくてはいけないなと感じました。

そうすれば、日本にやってくる外国の人にとって働きやすい、こんな満開の桜の下で、みんなで働くことができますよね。

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「受け入れは未来への投資」

働く外国人を受け入れることは、日本の未来への投資をすることです。

財源を十分に投入して、受け入れ態勢をしっかりと作れば、日本にくる人が増え、人手不足は改善するかもしれません。大事なのはこれからです。

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年4月7日のゲストは、サヘル・ローズさんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:13:30 | 固定リンク


2019年03月27日 (水)

1.イギリスEU離脱 2.タイ総選挙

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2019年3月24日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの堀田茜さん、国際部清水一臣デスクです。

 

1時間目は、イギリスのEU離脱の最新情報についてお伝えしました。

2時間目は、タイの総選挙について、国際部清水一臣デスクが解説しました。

 

EU離脱の日を3月29日から6月30日に延期してほしいとEUに頼んできたイギリスですが、

延期の条件になるメイ首相の「離脱協定案」が、まだ議会で承認されていません。

そこへ、先週末に行われたEU首脳会議で、EU側から2つの選択肢を突きつけられました。

 

・イギリス議会が「離脱協定案」を承認した場合、5月22日まで離脱を延期。

・イギリス議会が「離脱協定案」を否決した場合、4月12日まで離脱を延期。

 

2つの日付には、EUの議会選挙が関連しているんです。

この議会選挙の日が、5月23日から始まります。

つまり「離脱協定案」が承認されたら、選挙前の5月22日に離脱するようにということです。

そして、4月12日はこの議会選挙の参加手続きの期限です。

「離脱協定案」が承認できないなら、EU議会選挙に加わるかどうかも含め、ここまでに結論を出せという意味です。

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もし否決となったら、イギリスは4月12日までに別の方針を決めなければならないが、メイ首相は、EU残留は明確に否定し、あくまで離脱を成し遂げることが政治の責任だと強調しています。

EU離脱の延期を認めたとはいえ「離脱協定案」が承認されなければ「合意なき離脱」の可能性があるという状況は何も変わっていません。

 

 

2時間目は、料理や遺跡でおなじみのタイのいまを解説しました。

タイの政治は軍が主導していて、軍が大きな権力を持っています。

そのタイで、この日(3月24日)、8年ぶりの総選挙が行われているんです。

タイにとって重要な選挙になりそうなんです。

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投票を終えた人に聞くと「ようやく自分たちでタイの将来を選択できるのでうれしい」などと話していました。

 

今回の選挙がどのくらい大事なのか、国際部アジア担当・清水一臣デスクが解説しました。

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今回の選挙は、タイの議会の議員を選ぶ総選挙です。

 

タイおなじみのゾウと屋台で、今回の総選挙を表してみました。

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黄色いシャツを着たゾウが「黄シャツ派」という勢力です。

支持する人たちの多くは、バンコクなどの都市部に住む、エリートや大企業の社長といったお金持ち層で、タイの社会を長年にわたって抑えてきた支配者層です。

 

そして、赤いシャツを着たゾウが「赤シャツ派」という勢力です。

支持する人の多くは地方の農村部に住む貧しい人々です。

実は軍が今のように実権を握る直前まで、この赤シャツ派が政権を担っていました。

 

今回の選挙は、この2つの勢力以外に「軍」も加わり、激しい三つどもえの戦いとなっているんです。

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今のタイの政権を事実上握っている「軍」。

今回の選挙では、自ら政党をつくって参加しているんです。

 

なぜ、軍がタイを牛耳るようになったかというと…

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[民主的だったタイで、どうして軍が政治の主導権を握るようになったのかオレが説明しヨーソロー]

 

クーデター以降、軍は人々の自由と権利を奪ってきました。

中でも目の敵にしているのが「赤シャツ派」です。

なぜなら、この人が関係しているんです。

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2001年から5年にわたり首相を務めた、タクシン元首相です。

「赤シャツ派」の人たちにとって、カリスマ的存在なんです。

タクシン元首相は貧しい農村の人々の収入が増えるように国のお金を使ったり、医療費を安くしてあげたりしました。

その後、対立する「黄シャツ派」に批判されてタイを追われましたが、「赤シャツ派」の人たちにとって、今もタクシン元首相はカリスマなんです。

軍にとって「赤シャツ派」はタクシン氏を後ろ盾に政権を取り返そうとしている厄介な存在で、だからこそ、圧力を強めているんです。

 

一方、お金持ち層の黄シャツ派の方は、豊富な資金をもとに都市部を中心に支持を呼びかけています。

 

結局のところ、今回の選挙はどこが勝つのでしょうか。

現地の小阪田記者の報告によると、「赤シャツ派」の政党が、500議席のうち最も多い180議席を取るとしています。

お金持ちの支持者が多い「黄シャツ派」の政党は、100議席ほど取るとみられています。

一方軍の政党は、100議席ほどに留まりそうです。

つまりどの党も単独では過半数に届かない状況です。

 

しかし、軍にしてみれば、せっかく手にした権力をそうたやすく手放すわけがありません。

今回の選挙が終わったあとの次の首相選びに巧妙なカラクリを仕込ませているんです。

それがこちら。

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タイの議会は500人の「下院」(水色の枠)と250人の「上院」(オレンジ色の枠)にわかれていて、ここまで説明してきた今回の総選挙は水色の枠の下院議員500人を決めるものです。

選挙の後行われる新しい首相選びは、下院議員だけで決めるのではなく、上院議員250人も加えた選挙で決めるんです。

その、上院議員の内訳は…

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250人の上院議員全員が、事実上、軍の息のかかった人たちなんです。

つまり今回の下院の選挙では、軍はたったの4分の1とれば、全体の過半数を超えることになり、自分たちが望む首相を選ぶことができてしまうんです。

 

タイでは民主的な政治とは相反する軍主導の政権が、これからも続いていくのか。

それとも民主主義を取り戻す風穴を開けることができるのでしょうか。

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年3月31日のゲストは、岡田結実さんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:22:38 | 固定リンク


2019年03月21日 (木)

1.混乱するベネズエラ 2.イギリスEU離脱延期?

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2019年3月17日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのベッキーさん、国際部松木昭博です。

 

1時間目は、国民生活が大混乱している南米・ベネズエラについてお伝えしました。

2時間目は、EUからの離脱が延期となったイギリスについて、国際部松木昭博デスクが解説しました。

 

ベネズエラではいま、停電や深刻な物不足が起きていて、街では略奪も起きています。

NHKの取材班がベネズエラに入りました。

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ベネズエラにはいま、2人の大統領がいます。

マドゥーロ氏とグアイド氏です。

マドゥーロ氏は去年の選挙で当選したとしていますが、選挙は突然行われたもので「公正な選挙ではない」と反発が広がっています。

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そうした中、国会議長のグアイド氏が自ら「大統領に就任する」と宣言したんです。

 

政治が混乱していまるベネズエラでは、経済も大変なことになっています。

首都カラカスのパン屋さんでは輸入品の小麦粉が手に入りにくいため、1人1日2個限定での販売です。

特に危機的なのが医薬品です。

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薬局の棚はからっぽ、かぜ薬の値段が去年10月に比べて1600倍になったといいます。

腎臓の病気を患い定期的に薬を服用する必要がある53歳の男性は、ここ20日間、薬が手に入っていません。

今月14日までの1週間で、200人を超える患者が死亡したという話もあります。

 

さらに小宮記者によると、現地では、携帯電話もほとんど通じません。

お店も閉まっていて、モノが買えません。

やっと水が買える場所があったとしても、1リットルのペットボトルの水が1000円以上もするんです。

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ベネズエラではお金の価値が下がりすぎていて、現地の通貨では食料品は買えない状況なんです。

みんなドルのほか、一部の店では仮想通貨を使っていて、国より外国、政府より民間の方が信用されている状態です。

国から出て行く人も続出していて、全人口の1割以上はすでに国外へ出ています。

 

そもそもどうしてこんなことになっているのか、シップが説明しました。

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[ベネズエラがどうして混乱してるのかオレが説明しヨーソロー!]

 

石油がの価格が高い時は、お金をばらまいても何とかなっていたんです。

けれどチャベス前大統領の後継者にマドゥーロ氏がなったあと、石油の価格が急激に下がり国に入るお金が少なくなったんです。

価格が下がったなら石油をもっと掘ってたくさん売ればいいのでは?と思うかもしれませんが、ベネズエラには石油を精製する施設がほとんどありません。

実は精製は、アメリカに頼っていたんです。

でもそのアメリカからは、経済制裁を受けていて、石油を売りたくても売れない状態でした。

 

さらに、石油の代わりになるような産業も育ててきませんでした。

「将来」を見据えた政策を取ってこなかったんです。

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そこで、このままじゃダメだと名乗りでたのが、グアイド氏です。

しかしいま、大統領が2人になっているために政治が混乱。

さらに経済の混乱が広がり大変なことになっています。

なぜなら、名乗り出たグアイド氏をみんなが応援しているというわけでもないんです。

グアイドを支持する人たちの集会も行われていますが、マドゥーロ氏を支持する集会も同じように行われていて、マドゥーロ氏支持も根強いんです。

およそ3割の人は、マドゥーロ氏の政権を支持していると言われています。

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カラカス市内でマドゥーロ氏を支持する家族を訪ねました。

支持する理由のひとつが「手厚い福祉政策」だといいます。

チャベス氏がはじめた年金制度をマドゥーロ大統領が引き継ぎました。

一方、グアイド氏については国内の政治対立を深めたと不信感を抱いているといいます。

 

グアイド氏はアメリカが支援している人なので、反米の意識が強いベネズエラでは、受け入れられにくいとされています。

さらに、アメリカから食糧支援を引き出してくれるだろうという理由だけで支持している人も多く、政策が何なのかわかっていないんです。

 

どちらが大統領になるか決着がつく前に、さらに多くの人が犠牲になるのではと言う懸念が深まっています。このままだと状況は悪くなるばかりです。

 

 

2時間目は、イギリスのEU離脱。

まずは、先週お伝えしたイギリス“運命の週”が一体どうなったのか、見ていきましょう。

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3月12日、メイ首相は、EUから混乱なく離脱するためにまとめた「離脱協定案」について、「これに合意して!」と議会にかけました。

でも結果は、否決。

1月にもこの協定案を否決されているので、2度目の「ダメ出し」でした。

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13日、私の案に合意しないなら経済や市民生活の混乱が予想される「合意なき離脱」になってしまうけどそれでもいいの?と、これも議会にかけました。

みんなも「合意なき離脱」は避けたいので「それは困る」ということになりました。

 

そして14日、もう時間がないということで「離脱の延期」について議会にかけました。

そして当初は3月29日だった離脱の日を、6月30日まで延期することに議会は賛成しました。

ただ、この延期にメイさんは条件を付けています。

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それは「議会が私の協定案で行くと認めれば」離脱を延期すると言う条件です。

でも「私の協定案」で、まだ議会に認めてもらっていませんよね。

そこでメイさんは、もう一回「私の案でいこうね」と議会にかけようとしているんです。

この採決は20日までに行われるとみられていて、まだまだEU離脱延期の結論は出ていないのです。

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離脱の延期について、現地の新聞の見出しには大きく“出来損ない!”と書かれています。

また記事には「国民投票で離脱が決まってから議会は3年近くをムダな論争に費やした」と書いてあります。

ロンドンの市民もいら立っています。

「EUに残りたい人も出たい人も、みんなイライラしている。」

「とにかく混乱している。イギリスは同じ場所をぐるぐるしているだけだ。」

「世界の目にどう映るかを考えると本当に恥ずかしい。」

 

1回目も2回目も否決されたメイ首相の案ですが、

もし3回目も否決されると「6月30日まで離脱延期」も成り立たなくなります。

そうなるとどうなるのか、こちらを使ってみていきましょう。

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こちらはイギリスの庭です。

長く伸びた芝を芝刈り機で買ってなんとかして素敵な「うま~く離脱ガーデン」へ行こうしているメイ首相です。

3回目の採決でも否決されたら、この3つの道のどれかを作って「うま~く離脱ガーデン」を目指すことになります。

 

まず1つ目の道。

「別の協定案をまとめるため理由と再交渉する」。

ただ、今のメイ首相の案でもEUとの話し合いにおよそ2年かかりました。

この道を進んだら、またまた時間がかかりそうです。

 

そして2つ目の道。

「国民投票を実施して国民にもう一度問う」。

実施まで短くてもおよそ半年かかる見通しで、この道も長い時間がかかります。

それに国民投票で、仮に「離脱はやめた!」と言う結果になれば、ずっと離脱を支持してきた人たちはものすごく怒るでしょう。

 

最後に3つ目の道。

「総選挙で有権者に聞く」。

でも、メイ首相が交代すれば次のイギリスの首相がEUと新たな協定案を話し合わなければいけません。

これも時間がかかりそうです。

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結局、どの道を選んでも時間がかかります。

でも実はそれが、メイ首相の狙いなんです。

離脱の延期が長引けば、イギリスはEUから離脱できません。

そこで「だったら、今ある私の案で離脱する方がスムーズでしょ?」ということなんです。

メイ首相の案を認めれば「うま~く離脱ガーデン」に確実に3か月でたどり着きます。

そう言って、議会に認めてもらおうとしているんです。

「本当は早く離脱して、EUから自由になりたい」。

そう思っている議員に「3か月で離脱できるよ」と言って、説得しようとしているんです。

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しかし、12日の2回目の採決では反対が賛成を149人も上回りました。

単純計算で75人を反対から賛成に変えさせなければなりません。

さらに、メイ首相の求心力も下がっています。14日の離脱延期の採決の時には、7人の閣僚が反対票を入れたという話もあります。

足元も揺らいでいるメイ首相が、今度の採決に向けて本当に賛成票を取りまとめることができるのか、今の時点では見通しが立っていません。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年3月24日のゲストは、堀田茜さんです。

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:17:09 | 固定リンク


2019年03月14日 (木)

1.EU離脱 2.アラスカ犬ぞりレース

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2019年3月10日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの前田航基さん、国際部・向井麻里デスクです。

 

1時間目は、今週がヤマ場となったイギリスのEU離脱ついて、国際部・向井麻里デスクが解説しました。

2時間目は、伝統継承しながら動物愛護も…アラスカの犬ぞりレースについてお伝えしました。

 

3月29日に期限が迫った、イギリスのEU離脱。

今週が、イギリスにとって明暗を分けるヤマ場となりそうなんです。

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国際部・向井麻里デスクが解説しました。

 

結局、EU離脱をするのか、しないのか、こればかりは向井デスクも見当がつきません。

イギリスは、いま暗雲垂れ込める状態です。

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暗雲の原因となっているのが、離脱するための条件がいろいろと定められている「離脱協定案」です。

これが決まらないと、イギリスはスムーズにEUから離脱できません。

でも内容の一部に議会が反発していて、いま、EUと話し合って修正しようとしています。

話し合いは難航していて、メイ首相自身がEU本部のあるブリュッセルに行って協議するという見方も出ています。

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採決は今週12日に行われますが、いまの段階では難しそうで、否決されるかもしれません。

イギリスが納得できる修正は難しいと見ている人が多いんです。

メイ首相はギリギリまで話し合いを続けるということなので、決着できる可能性はありますが、否決されてしまったら次は、「合意なき離脱」をするのかどうかを判断するための採決が行われます。

採決は、13日に行われますが、イギリス議会には「合意なき離脱」は嫌だ、という議員が多くいて、否決されるという見方が多くなっています。

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「離脱協定案」もダメ、「合意なき離脱」も嫌だとなれば…

ここで、奥の手です。

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「離脱自体を延期するかどうか」を採決しようというものです。

これは、14日に採決が行われます。

メイ首相も、「離脱の延期も検討せざるを得ない」という考えを先日初めてあきらかにしました。

この採決が行われれば、可決される見込みです。

しかし、イギリス議会で可決されるだけでは離脱は延期できません。

来週の21日、22日に開かれるEU首脳会議でイギリスを除く27の加盟国すべてから離脱延期の承認を得る必要があります。

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EU離脱の問題、日本への影響も大きいんです。

イギリスに垂れ込める「暗雲」の影響を受けているのが、イギリスに生産拠点を置く自動車メーカーなど日本企業です。

イギリスに工場があるメーカーの多くは、EUをはじめとする国外から部品を調達しています。

そして、完成した品物の多くをEUに輸出しています。

もし「合意なき離脱」になって、これまでのようにモノのやり取りが自由にできなくなると大きなダメージを受けます。

イギリスの人たちは「離脱がもたらすマイナスの面は深刻かもしれない」と考える人が増えてきたと思います。

最近ロンドンの議会前で掲げられているプラカードには、「EUから離脱すれば、日産、ホンダ、トヨタなどの日本企業はイギリスからいなくなってしまう」と書かれています。

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先月にはホンダがイギリスからの撤退を表明したばかりで、イギリスでは、次はどのメーカーから衝撃の発表があるのかという恐怖が広がっています。

 

ここ数か月、イギリスのEU離脱をめぐる動きは日々変わっていて、正直なところ先行きはわかりません。来週には考えていたのとはまったく違った展開になっているかもしれません。

29日の離脱の日まで3週間を切っているのに大丈夫だろうかと心配になりますが、今週が離脱の行方を左右する運命の1週間になることは確実だと思います。

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2時間目は、アラスカの犬ぞりレースについて現地から、依田武揚カメラマンが伝えました。

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今、アラスカでは1600キロのコースを10日ほどかけて横断する伝統のレースが開かれています。

 

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[アラスカの歴史についてオレが説明するヨーソローワン!]

 

かつては先住民の移動や運搬の手段だった犬ぞりですが、今はスポーツとしての犬ぞりレースが人気です。

しかし動物愛護団体が「過酷なレースは犬の虐待だ」と訴え、伝統ある犬ぞりレースの中止を求めています。

このレースでゴールまでたどり着ける犬は全体の3分の2程度で、脱水症状やケガで走れなくなってしまう犬も多いのです。

 

こうした批判を踏まえ、今回取材した大会では、今年からコースの途中で診察にあたる獣医師の数を増やし、犬の体調管理の態勢を強化しました。

さらにレース中に犬が死んだ場合は失格になるという、新しいルールも作られました。

 

犬ぞりは単なる移動や輸送手段ではありません。

先住民にとって犬は生活の中で密接な関係にあった大切なパートナーだったんです。

先住民たちは今後も、犬を大切にしながらレースを後世にしっかりと残していくと思います。

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年3月17日のゲストは、初登場!ベッキーさんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:13:21 | 固定リンク


2019年03月07日 (木)

中国の経済 波乱が起きる?

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2019年3月3日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、国際部松田智樹デスク、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの児嶋一哉さん、国際部久米井彩子デスクです。

 

1時間目は、ベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談について国際部アメリカ担当・久米井彩子デスクが解説しました。

2時間目は、減速する中国経済を国際部中国担当・松田智樹デスクが解説しました。

 

中国にはこんな言葉があります。

「逢九必乱」(ほうきゅうひつらん)。

末尾に9が付く年は波乱が起きるという意味です。

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実際に1979年には、中国とベトナムの間で戦争が起きたり、1989年には、「天安門事件」が起きたりしました。

今年は2019年。中国ではすでに波乱の予兆が見えているんです。

 

この日は東京マラソン。

せかいまでも、こちらのマラソン会場のセットを使ってお伝えしていきます。

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ランナーは中国の習近平国家主席。

沿道にいる国民の声援を受けて快調に走っています。

 

先ほど、波乱の予兆が見えているとお伝えしましたが、

その波乱の原因の1つが、雨雲になって登場したアメリカです。

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マラソンに雨は大敵。

中国は、去年3月以降、アメリカからかけられた高い関税に悩まされてきました。

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これに対し中国は、アメリカに同じ水準の関税をかけるという手段で身を守ってきました。

しかし、中国への関税の引き上げは続き、いまや輸出する製品のほぼ半分に高い関税がかけられています。その結果、ランナー(習主席)のペースはぐっと落ちてしまいました。

中国では、「空飛ぶクルマ」や人工知能=AIなどのハイテク産業が育ってはいるものの、経済は明らかに減速傾向です。

これが中国の「波乱の予兆」です。

中国って「爆買い」とか景気が良いイメージだったけど、今は違うんです。

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中国で経済成長のスピードがどうして遅くなったのか、オレが説明するヨーソロー

 

「経済成長率」とは、どのくらいのスピードで経済が成長しているかを表す数字です。

マラソンでいえば、ランナーの「ペース」になります。

 

中国の経済規模は世界2位。世界の経済の大きな影響力があります。

そんな中国経済が今後どうなるかを示す数字なので、「目標」でも毎年世界中が注目しているんです。

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(こちらは3年前に松田デスクが中国で撮影した写真です)

 

人々が床に這いつくばって、何かを見ています。

実はこの人たち、世界中から集まった記者なんです。

見ているのは、こちらの政府の報告書です。

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例年30ページ以上もあり、このように漢字がびっしり書かれています。

この中のどこかに、「ことしの経済成長率の目標」が書かれているんです。

記者たちはできるだけ早く世界に発信しようと、報告書を受け取ったらその場で開いて「目標」がどこに書かれているのか必死で探すんです。 

 

ことしの目標はあさってから始まる、年に1度の重要な会議、全人代=全国人民代表大会の初日に発表されます。

去年の成長率は6.6%と28年ぶりの低水準でした。

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今年は去年をさらに下回る「6%~6.5%」になると予想されています。

中国は経済規模が大きいので、経済成長率が少しでも低くなれば、社会のさまざまな分野に影響が出てくると考えられます。

そのため、去年より低い「6%~6.5%」というのは厳しい予想と言えます。

その背景には中国の景気の悪化があります。影響はすでに雇用や企業の活動にも出ています。

中国内陸部の地方都市では多くの人々が仕事を求めています。

地方政府などの財政状況が悪くなり、インフラ投資が減ったことで、建設関係の仕事が減っているためです。

企業は人件費削減のためリストラを行ったり、海外に工場を移すことを考えています。

 

アメリカとの貿易摩擦がもっと深刻になり、中国でさらに仕事がなくなると…

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沿道で習主席を応援していた国民が怒りだしました。

雇用は国民生活に直結するので、不満が高まれば習主席の面目は丸つぶれになります。

中国としては、経済を立て直すために、アメリカとの貿易摩擦を早く終わらせたいというのが本音です。

このため、中国はアメリカに「日本円で130兆円余りもの大豆や天然ガスを輸入しますよ」などと提案しています。

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つまり、「アメリカからたくさんモノを買うことで、トランプ大統領が不満を示しているアメリカの貿易赤字を削減します」という方針です。

そうしてアメリカとの交渉をまとめたいわけですが、中国はもう1つのある問題について、アメリカから攻められています。

それは、走るために大事なアキレス腱とも言える「ハイテク産業」です。

中国は、ハイテク産業を発展させることで経済成長を成し遂げようとしています。

これは習主席の肝いりの国家戦略です。

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しかしトランプ大統領は、そうしたハイテク産業の技術を中国がアメリカから盗んでいると批判しています。

さらに中国は、国内に進出している外国企業の技術を強制的に提供させているとも言われています。

中国はこれを否定していますが、アメリカは「国際ルールに違反している」としてやめるよう求めています。

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アメリカがこのまま強気の姿勢で交渉してきた場合、中国は得意の「持久戦」に持ち込む可能性があります。

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マラソンはスタミナ勝負ですが、中国には長く走り続けることができる、ある“秘策”があるんです。

それは、中国は共産党の1党支配で政権交代がないことです。

 

一方のアメリカはというと…

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ここでトランプ大統領が登場しました。

 

もし、トランプ大統領が来年の大統領選挙で、仮に落選したりすると…。

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トランプ選手、転んでしまいました!

そうすると、アメリカは政権が変わることになります。

そして中国に対して少し優しい政権に変わるかもしれないと期待しているんです。

これは政権交代がない中国だからこそできることと言えます。

 

ただ、持久戦に持ち込んでも経済の厳しい状況が変わるわけではありません。

そのため、仕事を増やすために公共事業をバンバンやったり、消費を呼び起こすために減税したりして景気を良くしようとしているんです。

 

世界が注目する中国経済の行方ですが、今後の注目点は、今月中にも開かれそうな習主席とトランプ大統領の首脳会談です。

そこで、今週のまとめです。

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「逢九必乱 米中波乱!? 今年も注目 チャイナのRUN」

 

ロシア疑惑に追い込まれているトランプ大統領が外交で成果をあげようと、中国に強気の姿勢で臨んでくるかもしれません。

交渉が決裂すれば中国の経済がさらに悪化し、習主席にとっては絶対的だったはずの権力基盤が揺らぐきっかけとなる可能性もあります。

 

習主席にとって、いかに波乱を起こさず順調に走り続けることができるのか、正念場の1年になりそうです。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年3月10日のゲストは、前田航基さんです。

投稿者:Mr.シップ | 投稿時間:13:00 | 固定リンク


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