2020年4月16日

2020年04月16日 (木)

新型コロナウイルス 医療崩壊危機の欧米は

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2020年4月12日の出演者のみなさんです。

左から、Mr.シップ、坂下千里子さん、永井伸一キャスターです。

 

新型コロナウイルスの感染防止のため、スタジオの人数を最小限にしてお伝えしました。

(岡田結実さんも出演の予定でしたが、番組からお願いして、千里子さんのみとなりました。)

 

日本国内の危機感も日々増す中ですが、世界のいまでは、感染拡大が続く世界を見ていきます。

アメリカの大学の集計によりますと、世界で亡くなった人は10万人を超えました。

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今回は、パリの藤井記者、北京の大山記者、ニューヨークの添記者の3つの国から、テーマごとに話を聞きました。

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Q.アメリカでの感染拡大は「ピーク」を迎えたのでしょうか。

 

アメリカではニューヨーク州などではピークを迎えつつありますが、ほかの州では、これからのところが多いと考えられます。

私がいるニューヨーク州は、感染者数が全米のおよそ3分の1を占めます。

ただ、新たな感染者の数は横ばいになっていて、ニューヨーク州知事は「ピークにさしかかっている」という見方を示しています。

しかし、アメリカ全体では新たな感染者数は増加傾向で、全米でピークを迎えるのはまだ先になりそうです。

 

Q.はじめに感染が広がった中国、「ピーク」は?

 

中国でのピークはすでに過ぎ、政府は「国内の感染を基本的に抑え込んだ」としています。

新たに発表される感染者数は、このところ100人未満となっていて、そのほとんどが海外から入国した人だといいます。

最も深刻だった武漢でも、先月下旬以降、ほとんどの日で新たな感染者が、ゼロとなっています。

ただ、こうした当局の統計には、無症状の感染者が含まれていません。

実際の感染者は、発表より多いのではないかという指摘も出ています。

 

Q.ヨーロッパの感染の「ピーク」は?

 

ヨーロッパ全体では、まだ感染が広がる厳しい状況です。

しかし多くの死者を出したイタリア、スペインは感染者の増加が落ち着いてきました。

こちらはイタリアの新たな感染者数のグラフです。

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減少傾向が見られることでイタリア政府は3日に「危機的な状況を脱した」と発表しました。

少しずつ、状況に変化も起き始めています。

 

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次に2つ目のテーマ「外出制限」を見ていきたいと思います。

ヨーロッパも中国もアメリカも「厳しい」外出制限行っていました。

 

Q.ヨーロッパでは「外出制限」の効果はあったのでしょうか。

 

外出制限を始めてから、3週間以上たったあたりで変化が表れています。

イタリアでは先月10日から、スペインでは先月14日から、外出制限が始まりました。

生活必需品の販売以外は、店や会社は休みとなりました。

外出を禁止して、従わなければ罰金も科されます。

しかし、売り上げや収入がなくなってしまう会社や個人への支援も行っています。

スペインやフランスをはじめ多くの国で、所得の7、8割の休業補償も行われています。

こうした厳しい外出制限が3週間から1か月続けられた結果、ようやく新たに感染する人の数が減り始めました。

ただ、この間にイタリアもスペインも1万人以上の死者を出しました。

両国の医療関係者からは「外出制限をもっと早く始めていれば犠牲は少なかったはずだ」と悔やむ声が聞かれます。

そしてここフランスでも政府の外出制限が遅れたと根強い批判があって、政府に厳しい目が向けられています。

 

感染拡大を防止するには、やっぱり外出しないことが大切みたいですね。

 

Q.「外出制限」を最初に行った中国は、どうなっていますか。

 

Mr.シップが中国・武漢の街を見てきました。

4月8日、水曜日の午前0時。

2か月半ぶりに武漢にいる人が他の地域に出られるようになったんだ。

これに合わせて街はライトアップされたんだ。

お店が並ぶ街なかを見ると、たくさんの人が出てきてるんだ。

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「外で体操したりラーメンを食べにいったりしたいよ」。

「70日くらい家にいたよ。これからは何事もなく暮らしたいね」。

駅や空港が再開されたぞ。

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「春節に帰省できなくて『いつ帰ってくるんだ』って毎日家族に言われてたのよ」。

 

いま中国は、徐々に規制を緩めていて観光に出かける人も増えてるみたいだ。

世界遺産にもなっている観光地は、混雑ですごい行列になっちゃったんだよなあ。

入場をただにしたら、お客さんが殺到して、途中で規制したらしいぞ。

 

Q.封鎖解除に心配の声も出ていますが、どうですか?

 

武漢の封鎖解除は中国政府にとっては一種の「勝利宣言」です。

一方で中国メディアは、武漢には無症状の感染者が1万人から2万人いるという専門家の見方も伝えています。

人々が動き出せば、感染拡大の第2波、第3波が来ることも懸念されます。

そのため、当局は、いまも通勤など以外の不要不急の外出をしないよう求めているのですが、現実には人々の意識は緩んできていると感じます。

そして、中国政府がとりわけ感染の再拡大に神経をとがらせているのが、首都・北京です。

 

北京市内のショッピングセンターは、店はほぼ営業していますがお客さんは少ないです。

街角で目につくのは、消毒液を散布する作業員。

住宅地には、出入りを制限するゲートも設置されています。

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「配達員の人は、いま自由に団地の中に入ることができません。商品を置く棚がこのように住宅地の周りに置かれているんです」。

 

さらに建物の入り口にはQRコードが張り出されていて、携帯電話の番号から情報が取られます。

このように、直近の14日間は北京にずっといたことが証明されています。

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北京では市の外から来た人に14日間の隔離が義務づけられていて、市内にいたことが証明できないとお店などに入ることができません。

 

 

3つ目のテーマは「足りない」。

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伸さん「シップ、ただいま~!買いものから帰ってきたよ!!」。

Mr.シップ「おかえり伸さん、何を買ってきたんだ?」。

伸さん「カップラーメンに、ジュースに、お菓子。おうちで過ごす時間が多くなるからね」。

Mr.シップ「でもな伸さん、食べるものも使うものも足らなくならないように、みんなで大切にしたいよな!」。

伸さん「そうだね!シップ。大事なものが足りなくて、本当に困っている人たちがいるからね」。

 

まさに、足りなくて困っているのがアメリカの医療現場です。

 

Q.ニューヨークの添記者、何が「足りない」のでしょうか。

 

何もかもが足りていません。

まず、ベッドですが、ニューヨーク州では、病院船や野戦病院を設置して5万3000から9万まで増やしました。

しかし、それでも一部の病院では足りていません。

そして人工呼吸器については、1台を2人で共有するという、通常では考えられない措置も行われています。

さらに、医療用マスクも足りず、その結果、多くの医療従事者が感染しています。

そのため、医師の数がさらに足りなくなって、医学生まで現場に派遣する事態となっています。

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Q.足りないものだらけで、アメリカの医療現場は混乱していますか?

 

はい、いわゆる「医療崩壊」といえる現象が各地で起きています。

現場で働く医師に話を聞きました。

 

ニューヨークで救急救命医として働くサン医師は、マスクなどの医療用品も、診療にあたる人手も「まったく足りない」と訴えています。

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「1枚のマスクを8日から9日間、使い続けています。1枚を、ですよ。ウイルスは休憩室にもまん延しています。マスクをとって食事をする、そこで感染が広がります。多くの同僚が発症して入院し、人手が足りません。それで私は27日間も働いています」。

病院の対応能力を超える患者が殺到し、すでに「医療崩壊」が始まっているとサン医師は話します。

「入院まで80時間も待たされる患者もいます。2人の診療を頼まれて行ってみたら、数時間前に亡くなっていたこともありました。これが医療崩壊でなかったら何でしょうか」。

 

Q.足りないことで、命が救えなくなるのは切ないですね。

 

現場の医師が、人工呼吸器をどの患者につけるのか、つまり誰を生かすのかという選択を日々迫られている壮絶な状況です。

 

さらに異常なことも起きています。

それは、奪い合いです。

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足りない医療機器やマスクをめぐって、連邦政府と州、さらに医療機関などが争奪戦を繰り広げています。

ある州は、「他の州にマスクを横取りされた」と非難しています。

また、各州がトランプ政権に人工呼吸器を要請したところ、政権幹部が「これは我々のものだ」と発言しました。

もはや誰のために備蓄をしているのかわからない状態です。

 

Q.アメリカ国内で奪い合っているんですか。

 

アメリカ国内だけではありません。

アメリカやドイツ、フランスなどはマスクの輸出を止めています。

また、フランスやドイツは、中国から来るはずだったマスクが途中でアメリカ企業に横取りされたと訴えています。

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一方、フランスも、イタリアやスペインに向かっていた数100万枚のマスクを途中で没収しています。

各国が入り乱れた争奪戦となっているんです。

 

Q.マスクが足りないヨーロッパの状況は、どうなっていますか。

 

こちらも「足りない」状態になったことで、イタリアやスペインなどで実際に医療崩壊が起きました。

特にスペインでは、症状の重い患者が急増し、ベッドが足りなくなりました。

マドリード郊外のある総合病院では、受け入れ可能な数の4倍を超える患者が殺到しました。

その結果、床にまで患者が横たわる事態になり、丸一日たってもみてもらえない患者さえいたといいます。

なぜこうしたことが起きたのか、その鍵は重症患者だったんです。

スペインやフランスも日本と似た形で症状の軽い人は病院に行かず、症状の重い患者だけを受け入れるというやり方をとりました。

しかし、さらに深刻な重症患者の増え方が尋常じゃありませんでした。

ICU=集中治療室を増やしましたが、追いつかなかったんです。

現場の医師が「誰を助け、誰をあきらめるか」という判断をせざるを得ない状況が多くの現場で起きました。

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こうした各国の経験を踏まえると、日本について心配な点が見えてきます。

 

[欧米と日本の医療がいまどうなっているか、オレが調べてきたヨーソロー]

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日本は集中治療室も、人工呼吸器も足りないみたいだぞ。

医学界からも「医療体制」が早く崩壊するおそれがあるって声が上がっているんだヨーソロー。

 

 

Q.ニューヨークの添記者、日本の「足りない」について、どうですか。

 

欧米に比べれば日本にはこれまでに、十分、時間がありました。

感染が急激に拡大する前に、最悪の事態に備える体制作りをどこまでできたか、日本も問われることになります。

 

Q.大山さん、中国でも「足りない」状況になりましたよね。

 

そうなんですが、いまや中国は、その医療物資を使って積極的な外交を展開しています。

イタリアなど10か国余りに医療チームを派遣したほか、マスクや防護服、呼吸器などの医療物資をおよそ130か国に提供したとしています。

ニューヨーク州にも人工呼吸器を1000台寄付しています。

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初動の遅れへの国内外の批判を封じ込めたいという、したたかな思惑がうかがえます。

 

 

きょうのまとめです。

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中国総局の大山記者は「感染拡大防止と経済復興」と書きました。

中国当局は感染対策から冷え込んだ経済をどう立て直していくかという方向にシフトしています。

しかし、世界が混乱する中で先行きは不透明です。

そのうえ、復興を急げば、再び感染が拡大するおそれもあります。

再び感染を広げたくないと神経を使う中国の現状から、コロナとの闘いは長く難しいものになることを思い知らされています。

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続いて、ヨーロッパ総局の藤井記者は「危機感の共有」と書きました。

ヨーロッパ各国は外出を厳しく制限する一方で、収入を失う会社や個人に対する手厚い支援策も打ち出してきました。

全ては感染拡大を食い止めるためです。

それでも重症患者が押し寄せて医療崩壊が起きました。

いまの東京は患者が急増していた1か月前のスペインの首都マドリードをみているように思います。

ヨーロッパの経緯からは、危機感を国民全員が共有し、行動することの重要性が浮かび上がっています。

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最後に、アメリカ総局の添記者は「ニューヨークで起きることは、東京でも起きる」と書きました。

日本を知る医師や専門家からは「いまの東京は2、3週間前のニューヨークと一緒だ」と懸念して、厳しい外出制限を行うべきだという声を頻繁に耳にします。

ニューヨークでは厳しい外出制限をつづけていますがまだ出口は見えません。

日本はニューヨークの現実を我がこととしてとらえて、備えて欲しいと感じています。

 

 

 

【この日の時間割】

1. 新型コロナウイルス 医療崩壊危機の欧米は

2. 東欧にIT人材の宝庫が!?

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:15:44 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


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