2019年9月26日

2019年09月26日 (木)

1人の少女から 広がる温暖化防止デモ

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2019年9月22日の出演者のみなさんです。

左から、永井伸一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの渡辺徹さん、国際部の花澤雄一郎デスクです。

 

東京・渋谷では、9月20日に地球温暖化に対するデモ活動が行われました。

「地球を守ろう」を合い言葉に、若者たちが大行進したんです。

この動きは、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、アジアと世界中で広がっています。

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この大きく動いている地球温暖化について、国際部の花澤雄一郎デスクが解説しました。 03

デモは、全世界で合わせて400万人が参加する史上最大規模となりました。

世界中で、温暖化に対して危機感が高まっていて、特に若者が立ち上がっています。

 

あす(23日の月曜日)、国連で「温暖化対策サミット」が開かれるんです。(9月22日の放送日時点)

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8月25日のせかいまでも温暖化について解説しましたが、地球温暖化の原因は、増えすぎた温室効果ガス。

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温暖化の原因とされる温室効果ガスの「オンダンカデガス」が登場しました。

この温室効果ガスの影響で、世界の平均気温は、18世紀に始まった産業革命のころから、およそ1度上がっています。

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気温が上がっているために、水の循環が極端に、激しくなってきています。

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どういうことかというと、雨が降らないところはさらに乾いて干ばつが進み、雨が降るところは大雨になっているんです。

そこで、温暖化を食い止めようと決めたのが「パリ協定」でした。

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平均気温の上昇を、産業革命から1.5度に抑えようと各国が目標を作っています。

この1.5度は「これ以上、上がったら危険」というラインだと言われています。

しかし、パリ協定の対策では不十分で、このままでは温暖化が止められなくなると危機感を強めているのが国連です。

「温暖化対策サミット」では、パリ協定をさらに超える高いレベルの計画を発表してほしいと各国に求めています。

ここに招待されたのが、スウェーデンの16歳の少女です。

ヨーロッパでは、この少女の活動が若者たちに広がっているんです。

 

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「人類最大の危機に直面しているのに大人たちはきちんと対応していない」。

グレタ・トゥーンベリさんは、8歳のときから地球温暖化に関心を持ち、なぜ誰も深刻に考えないのか、疑問に思ってきたと言います。

「温暖化を止めるために学校を休む」。

グレタさんは去年8月、たった1人で議会の前に座り込み、温暖化対策を訴え始めました。

毎週金曜日に学校を休み訴えを続けていると、徐々に賛同する人が増えていきました。

活動は「未来のための金曜日」と呼ばれるようになり、今や世界中の若者たちに共感が広がっています。

 

先月、スイスで開かれたイベントには、およそ450人が集まりました。

イベントにはグレタさんも参加し、

「より大きな影響を受ける若い世代の人たちが立ち上がるべきだ」。

「未来は私たちのもの地球規模の問題に世界中の人が協力することが大切」と、訴えました。

 

グレタさんの訴えに強く共感したのが、デンマークから参加した、ラウラ・ビンストロップさんです。

グレタさんと同じ16歳。

温暖化対策は大人がやるべきことだと思っていたラウラさん。

しかし、同い年のグレタさんの活動を知り感動したと言います。

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「グレタさんは素晴らしいです。彼女が行動しなければ誰もここにいなかった」。

自分たちの世代が行動すべきだと感じたラウラさんは、デンマークでグレタさんのように訴えてきました。

「グレタさんの声に耳を傾けたことで、彼女の発言や行動が意義深いものだと理解できたんです。温暖化の影響を受ける全ての人そして未来の世代のために私は闘いたいです」。

 

 

グレタさんがたった1人で始めた行動が、ヨーロッパ、そして世界に広がって、温暖化への危機感が高まってきたんです。

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20日の金曜日、ニューヨークで行われたデモで、グレタさんが演説しました。

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「私たちはただ傍観するつもりはない。科学のもとに団結し、この危機がさらに悪化することを防ぐため出来る事は何でもする覚悟だ。私たちにも安全な未来を」。

 

グレタさんの活動は、若い人たちに影響を与えているだけではないんです。

ヨーロッパでは、政治も動かしているんです。

5月にEUの加盟国で作るヨーロッパ議会の選挙があったんですが、環境問題を訴える「緑の党」という政党が大躍進しました。

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グレタさんなどの活動が広がったことが温暖化対策を重視する政党が力を持つことにまでつながり、ヨーロッパでは、このエネルギーが大きな「うねり」となっているんです。

 

南太平洋の国々でも、先月、このうねりが影響する出来事があったんです。

この地域にあるツバルやマーシャル諸島などの島々は海面の上昇によって、すでに水没し始めています。

この島々は、南太平洋の国々の会議で温暖化について、世界に向けて積極的な行動を呼びかけるメッセージを出そうとしました。

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しかし、これに「待った」をかけたのが、オーストラリアです。

オーストラリアは、石炭を主な産業にしています。

だから、温暖化対策を強く主張されると困ると見られています。

さらに、オーストラリアは、この島々に対して、毎年巨額の支援をしているんです。

ですから、島々の意見を抑えられると思ったのかもしれません。

しかし、温暖化への危機感は、オーストラリアの予想を超えて高まっていて、各国が激怒して会議の場でオーストラリアを非難する事態になったんです。

この一件で、温暖化対策をしっかりやらない国は何かの機会に非難を浴びかねない、と、世界各国が受け止めました。

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ここで「オンダンカデガス」が、アメリカのトランプ大統領の写真を取り出しました。

アメリカは、ここまで説明した流れとは逆行しているんです。

 

トランプ大統領は、パリ協定からの離脱を表明しています。

トランプ大統領に限らず、大統領を支える与党・共和党というのは、そもそも温暖化対策には乗り気ではないんです。

 

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[トランプ大統領を支える共和党は、そもそも温暖化対策に乗り気じゃないんだヨーソロー]

 

共和党にとって、温暖化の規制は、経済や雇用を邪魔する存在なんです。

それに、共和党はそもそも「規制」自体が嫌いな人が多いんです。

その根底には「政府が国民を縛るのは良くない」という考え方があります。

さらに、共和党の支持者は「科学自体をあまり信じない」という傾向もあるんです。

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例えば、半数の人は進化論を信じず「人間は神がつくった」と考えています。

トランプ大統領が温暖化対策に熱心ではないのは、こうした支持者たちの声を代弁しているとも言えるんです。

 

しかし、大統領の支持者の間でも温暖化対策への関心が高まってきています。

 

 

今月アメリカを襲った大型のハリケーン。

サウスカロライナ州にも被害が出て、一時、避難命令が出されました。

ここ数年、アメリカでも異常気象が相次いでいます。

サウスカロライナ州は、共和党の支持者が多い地域ですが「温暖化はでっちあげだ」というトランプ大統領の主張などに反対する人が増えています。

「人間が原因であろうと、なかろうと、災害はますます悪化していっている」。

「大統領は支持者が科学を否定するように仕向けている。信じられないよ。科学こそ唯一の頼みじゃないか」。

 

トランプ大統領の熱狂的な支持者デビー・ドゥーリーさんは、以前はトランプ大統領と同じように温暖化は起きていないと考えていました。

しかし、ここ数年身近な場所で自然災害が相次ぎ、意識が変わったと言います。

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「洪水はひどくなり、ハリケーンも頻繁に起きるようになった。海水温が上がっているからよ。温暖化は現実なのよ」。

ドゥーリーさんはホワイトハウスを訪問しました。

温暖化が心配だと伝えたいと考えたのです。

大統領は不在でしたがホワイトハウスの高官に共和党員の中でも、危機感が高まっていることを伝えました。

「共和党の支持者も温暖化を受け入れ始めている。私は決して諦めず、これからも訴え続けていくわ」。

 

 

この動きは、世論調査の数字にも表れてきています。

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こちらは「温暖化を信じる」人の割合です。

アメリカには、トランプ大統領の共和党と、野党の民主党があります。

民主党で、温暖化を信じる人は、90%ほどですが、トランプ大統領の共和党をみてください。

これまでは半数以下だったんですが、2015年から18年のわずか3年で、64%と急激に増えました。

共和党の現職の議員たちもトランプ政権に温暖化対策を働きかけるなど変わり始めているんです。

トランプ大統領は、立場を変えざるをえなくなるかもしれません。

というのも、来年11月に大統領選挙があります。

大統領と対立する野党・民主党は、温暖化問題は格好の攻撃材料だと見て、トランプ大統領への批判を強めていこうとしています。

アメリカ全体、そして共和党支持者の間でも、温暖化への危機感が高まってきてますから、方向転換の可能性はあると思います。

 

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「歴史の転換点」。

温暖化対策を求める世界の大きなうねりは、かつてないものです。

その中で行われる国連の「温暖化対策サミット」で各国がどんな姿勢を見せるのか、大きな焦点となります。

そして、「もう大人には任せておけない」という若者たちの声は私たちにも向けられています。

日本は、この問題への関心が高いとは言えないのが現状です。

こうした声にどう応えるのか。

私たちひとりひとりの覚悟も問われます。

 

 

【この日の時間割】

1人の少女から始まった 広がる温暖化防止デモ

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:永井伸一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年9月29日のゲストは、虻川美穂子さんです。

投稿者:永井伸一 | 投稿時間:14:32 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


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