2019年2月 7日

2019年02月07日 (木)

トランプ大統領の転換点

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2019年2月3日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのモト冬樹さん、国際部髙木優デスクです。

 

アメリカのトランプ大統領といえば、移民政策として掲げている「国境の壁」の建設。

最近はニュースであまり聞かなくなりましたが、実はこれからが本番で、

トランプ大統領はいくつかの切り札を用意しているそうなんです。

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国際部アメリカ担当・髙木デスクが解説しました。

 

今回はこちらの模型を使ってそれを見ていきます。

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トランプ大統領は、アメリカとメキシコの国境近くで壁を建設しようとしています。

壁の問題というのは、トランプ大統領が、「不法移民対策のためにメキシコ国境に壁を作る予算をつけろ」と強硬に主張したところから始まりました。

これに野党・民主党が強く反発。

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予算案が通らず、政府機関が閉鎖する異常事態になりました。

閉鎖は史上最も長くなり、国民の不満が高まったことから、トランプ大統領もいったん壁の建設を取り下げました。

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トランプ大統領にとって、初めての「敗北」だという人もいます。

大幅な譲歩を強いられたのは事実で、かなりの痛手であることは間違いありません。

トランプ大統領、いまかつてなく厳しい立場に追い込まれています。

 

トランプ大統領の足元には、大きな穴が空いています。

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この問題が長引いたことで、支持率も一時、この2年間で最低水準の37%にまで落ち込みました。

さらに、足元だけではありません。

トランプ大統領の頭上はどんより雲、そして空から隕石が!

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そこには、「ロシア疑惑」と書かれています。

ロシア疑惑とは、前の大統領選挙で、トランプ陣営が勝利のために、ロシア側と組んで不正をしたのではないかという疑惑です。

捜査が大詰めを迎えていて、その最終報告が今月中に出そうなんです。

 

追い詰められていますが、転んでもただでは起きないのがトランプ大統領です。

壁の建設は最大の公約で、諦めていません。

それどころか今はちょうど4年間の任期の折り返し点で、来年秋には大統領選挙が控えているため、「この壁の問題が、大統領選挙の勝敗を決める。」と、それぐらいの意気込みで臨んでいるのです。

 

そのために用意している3つの切り札。

まず1つ目の切り札が、「一般教書演説」です。

今週の火曜日、日本時間の水曜日に予定されているすごく大事な演説です。

 

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アメリカ大統領が行う一般教書演説がどういうものか、オレが説明するヨーソロー

 

一般教書演説は、年に1度の一大イベント。

トランプ大統領が、一般教書演説で壁建設の必要性を訴えることは確実です。

演説で国民を納得させて、壁建設を推し進めようという考えなんです。

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演説は、真正面から国民に自分の思いを伝えます。

これは、切り札のうちの「正攻法」です。

 

しかしこれだけで壁が建設できるわけじゃありません。

そこで2つ目の切り札が、いま急浮上している「スマート・ウォール」という案です。

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これは、監視センサーやドローンなどのハイテク機器を大幅に増やして、国境を監視する方法です。

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壁は作らずに、「壁のようなもの」を設置しようという案です。

 

実はこれ、もともとは民主党が提案したものですが、ここへ来てトランプ大統領が関心を示しはじめています。

トランプ大統領にとって、これは切り札のうちのいわば「妥協策」です。

関心を持ち始めているとはいえ、完全に納得しているわけではなく、「ハイテク機器を組み込むのはいいが、柵でも良いから構造物を設置しなければダメだ」と主張しています。

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これに合わせて最近は「壁」よりも、「柵」という言葉をよく使うようになり、民主党に歩み寄る姿勢も見せています。

 

結局のところ、「壁」が「スマート・ウォール」になるのか、「柵」になるのかは、トランプ大統領と民主党との今後の話し合い次第です。

トランプ大統領が、自分の支持者である保守的な人たちに向けて「スマート・ウォールは壁と同じ意味なんだ」と主張できると判断すれば、受け入れる可能性があります。

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一方で野党・民主党からすれば、スマート・ウォールで落ち着けば、「トランプ大統領に壁を作らせなかった」と主張しやすい可能性があり、双方にとって、支持者を納得させられるギリギリの案を検討しているとみられます。

 

それでも、うまくいかない時の3つ目の切り札がこちら。

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トランプ大統領がちらつかせている「非常事態宣言」です。

これを出すと、「民主党との話し合いがまとまらなくても大統領の権限で、壁を建設できる」と、トランプ大統領は主張しています。

「非常事態宣言」という強力なエンジンを付けて壁建設を推し進めようというものです。

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これは「強硬策」という切り札です。

 

しかし、民主党は強く反発することは間違いなく、また政府機関が閉鎖されて泥沼状態になる可能性が高いです。

そのため、できれば3つ目の切り札は避けたいのが本音だと思います。

 

厳しい状況に置かれているトランプ大統領ですが、「外交」によってポイントを取り戻そうと考えています。

今後の政治日程を見るとトランプ大統領の思惑が見えてきます。

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まず、壁建設をめぐる民主党との次の交渉期限が、2月15日。

これで決裂すると、次は「外交」です。

2月下旬に開かれる予定の、2回目の米朝首脳会談です。

実は、1回目の会談後にトランプ大統領の支持率は跳ね上がりました。

国内政治で窮地に追い込まれてたとしても、ここで挽回できると計算があるのだと思います。

会談を政治ショーとして利用しようとしているようにも見えますね。

 

さらに3月1日には、中国との貿易交渉の期限も迎えます。

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実は中国に対しては、強い姿勢をとるべきだという点では、トランプ大統領も民主党も同じです。

中国に強く臨むことで、支持率の上昇につなげたい考えです。

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ここまで説明してきたのは、トランプ大統領が理想として描いているシナリオです。

外交の2つのチャンスで、中身が伴わなければかえって評価を下げるかもしれません。

トランプ大統領にとって大事なのは、来年秋の大統領選挙での再選です。

そこで、きょうのキーワードはこちら。

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「勝つも負けるも壁次第」

来年の大統領選挙が終わって振り返った時にこの壁をめぐる攻防が、大統領選挙の勝敗を分けたとなるかもしれません。

そういう意味でも、ここ数週間の動きが大事になってくると思います。

 

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2019年2月10日のゲストは、パックンさんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:14:35 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


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