2018年11月 8日

2018年11月08日 (木)

アメリカ中間選挙

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2018年10月28日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストの古坂大魔王さん、国際部髙木優デスクです。

 

世界にいろいろな波紋を投げかけてきたトランプ大統領に、初めて国民の審判が下されます。

それが、アメリカ中間選挙です。

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国際部アメリカ担当・髙木優デスクが解説しました。

 

4年間にわたる大統領の任期の折り返し地点で、これまでの成果が問われる選挙が「中間選挙」です。

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焦点は、トランプ大統領の共和党と、反トランプの野党・民主党のどちらが勝つかです。

世界の政治や経済にも影響がある選挙として、これまでになく注目されています。

 

現地を取材している籔内記者に最新情勢を聞きます。

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『連邦議会の上院ではトランプ大統領の与党・共和党が勝つ可能性が高いとみられています。

一方で注目は下院です。

当初は野党・民主党が優勢と見られていましたが、終盤に来て与党・共和党が危機感が持って追い上げています。

ただ民主党がまだリードしているという状況は変わらないようです。

今回の選挙で特徴的なのは、期日前投票した人が多いことです。

多くの州で、前回の4年前の中間選挙の時を大きく上回っていて、有権者の関心の高さがうかがえます。

こちらのメディアは「全米が1番盛り上がる大統領選挙の時のような熱気だ」と伝えています。』

 

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中継でも言っていましたが今回の中間選挙の特徴は、この“盛り上がり”なんです。

特定の支持政党がある人たちのうち、「必ず投票に行く」と答えた人は、77%と前回の4年前より12ポイントも高くなっています。

 

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[アメリカの中間選挙ってのは、盛り上がらないものだって相場が決まっていたんだヨーソロー]

 

今回、多くの有権者が投票所に行くと答えた理由が、「怒り」です。

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トランプ大統領の共和党も、反トランプの民主党も、そしてそれぞれ支持者たちも、相手の政党には絶対勝たせたくないと怒っているので、選挙への関心が高いんです。

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こちらの「怒りメーター」を使って説明していきます。

右側がトランプ大統領の共和党支持者の怒りの炎。

左が、野党・民主党支持者の怒りの炎です。

「怒り」の炎が1番上まで上がった方が中間選挙に勝利します。

 

実際に、「怒り」が強ければ強いほど投票所に行く人が多く、勝利に近づくと言われています。

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野党・民主党の支持者の中心は、女性や若者、そしてヒスパニック系や黒人などで、社会の多様性を重視する人たちです。

トランプ氏が大統領に選ばれたこと自体に反発して、すでに怒っていたところ、ロシア疑惑やスキャンダルが浮上し、民主党支持者の「怒り」がヒートアップしていきました。こうして「怒り」の炎に薪が入れられていったんです。

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民主党はこの「怒り」を追い風にして、夏ごろまでかなり優位に戦いを進めてきました。

ところが、選挙戦終盤の大事な局面で、トランプ大統領の支持者を逆に怒らせる大失敗をしてしまいます。

トランプ大統領の支持者と言えば、移民受け入れに反発する白人や、保守的な労働者、それにキリスト教の「福音派」と呼ばれる聖書の教えに厳格な人たちです。

トランプ大統領はこうした、自分の支持者の考えに近いカバノー氏を最高裁判所の裁判官に指名しました。

ところがカバノー氏に学生時代の性的暴行疑惑が浮上したんです。

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民主党側は、差を広げるチャンスだと、徹底してこの裁判官を追及しました。

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ところがその追及ぶりがあまりに激しかったため、共和党側は、「集団リンチ」のようだと非難。

自分たちの考えを否定する“嫌がらせ”と捉えて怒りました。それも「激怒」のレベルです。

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結果として民主党は、眠っていた共和党支持者を起こし、怒りをたきつけてしまったのです。

 

さらに共和党側に格好の題材が持ち上がってきました。

それがアメリカへの移住を目指し、北上している移民の集団です。

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トランプ大統領はこれをチャンスと捉えて、

「移民に甘い民主党が選挙に勝てば、国境を解放し、中米のギャング集団がアメリカに流入するぞ」と繰り返し訴えて「怒り」を煽ったのです。

 

これで、共和党の支持者の「怒りの炎」が、さらに増幅しました。

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一方の反トランプの民主党側も負けてはいません。

トランプ大統領が実行に移した企業向けの大減税を攻撃材料にしたんです。

大減税をすると税収が減るので、オバマ前大統領が実現させた医療保障制度「オバマケア」が撤廃されると非難しました。

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多くの人たちはこれを「弱者切り捨て」と感じ、民主党支持者の「怒り」が強まりました。

 

支持者が怒れば怒るほど、選挙戦も熱を帯びて盛り上がっていきます。

怒りが高まった結果、今までにない現象が起きています。

それがこちら。

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共和党側に、トランプ大統領とそっくりな主張をする「ミニトランプ」たちが増え、力を増しているんです。

みな、トランプ大統領と同じように「国境に壁を作る」などと訴えています。

その結果、共和党側の主張はこれまでよりも過激でトランプ色の強いものになってきました。

 

一方、民主党側も、“進歩派”と呼ばれる候補者の集団が存在感を増しています。

社会的な弱者救済を前面に打ち出し、そのためには大企業への大幅な増税もいとわない急進的な考えの持ち主たちです。

 

南部フロリダ州の知事選挙では、“ミニトランプ”と“進歩派”が激突し、注目を集めています。

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2つの党の分断が深まる中、誰に投票すれば良いのかわからないと言う有権者もいます。

 

再び現地の籔内記者に聞きました。

『分断は深刻で、立場が異なる人とは言葉も交わさない状況です。こちらのメディアでは「分断」とか「両極化」といった言葉を聞かない日がありません。立場が異なっても、議論して落としどころを探るというアメリカの民主主義のかたちが急速に崩れていると感じます。』

 

共和党と民主党、どちらの党の主張も極端すぎて、アメリカ社会ではこのようなことが起きています。

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「どちらにも投票したくない」という「取り残された人」が増えているのです。

この人たちがどちらの政党に入れるのか、それとも投票に行かないのか、その動向が最終的に勝敗を分けるカギを握っています。

 

中間選挙が終わった後も、アメリカ社会で燃え上がってしまった「怒り」の炎は簡単には消えないし、広がってしまった「分断」は残り続けます。

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トランプ大統領は2020年の再選を目指して、今後ますます支持者が喜ぶ、よりトランプ色の強い政策を実行していくでしょう。

その結果、双方の怒りの炎は、さらに強まることになると思います。

また、自国第一主義を強め、アメリカ国民だけでなく国際社会も巻き込んでいくことになりそうです。

 

 

 

【放送後、中間選挙を終えて(NHKニュースより抜粋)】

アメリカ議会の中間選挙は、上院ではトランプ大統領の与党・共和党が多数派を維持する一方で、下院では野党・民主党が多数派を奪還することになりました。上院と下院で多数派が異なる「ねじれ」の状態が続き、トランプ大統領の公約の実現が一層厳しくなるとみられ、難しい政権運営を迫られそうです。

 

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これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年11月11日のゲストは、児嶋一哉さんです。

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:17:19 | カテゴリ:せかいま美術館 | 固定リンク


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