2018年5月24日

2018年05月24日 (木)

米朝会談を前に水面下で駆け引き?

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2018年5月20日の出演者のみなさんです。

左から、芳川隆一キャスター、坂下千里子さん、Mr.シップ、ゲストのサヘル・ローズさん、国際部高木優デスクです。

 

さわやか笑顔の千里子さん、実は一生懸命背伸びしています。

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「足もと写ってないよね?!」と言いながら、必死。なぜ??(;^_^A

 

1時間目は、米朝首脳会談まで3週間、北朝鮮に対しアメリカはどう出るのか、国際部高木デスクが解説しました。

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北朝鮮は先週、談話の中でこのように述べていました。

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これまでは会談の場所が決まり、いわば人質となっていた3人のアメリカ人を取り返したことで、会談に向け、楽観的なムードが広がっていました。

それだけに今回の発言に冷水を浴びせられた形です。

 

ただ、今回のメッセージにはからくりがあります。というもの、今回の批判は、北朝鮮外務省の一幹部のコメントであって、キム・ジョンウン委員長本人や政府の公式見解ではありません。

さらにトランプ大統領をこき下ろしたりしていないことからも、今後の交渉を有利に進めるための、“けん制”に過ぎないと見ています。

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そして、この発言は、本題である非核化に関する真剣なやり取りが始まったことの“証”だと捉えるべきです。これまでは、会談を確実に開催することが目的だったが、ようやく「北朝鮮の非核化」という最大の議題についての水面下の協議が始まったということです。

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キム委員長からすれば、ポンペイオ国務長官のような強硬派ぞろいのトランプ政権を前に、出鼻をくじいておかねば、交渉で押し込まれえらいことになると考えたのだと思います。

協議が始まったばかりであるということは、裏を返せば首脳会談が成功するかどうかはまだ全然わかりません。

 

かなり難しい会談になることの予兆と言える重要な判断が、「会談場所がシンガポールに決まったこと」です。

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シンガポールは過去にも米朝の接触に使われてきました。

国際都市でホテルの数も多く世界から集まるメディアも収容でき、警察国家で警備が厳重、「アジアでもっとも安全な国」と言われています。

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また、キム委員長の専用機の航続距離が1万キロだということも関係していて、燃料を補給しなくても大丈夫な距離です。

 

そして特に重要なポイントは、「中立的な場所」だということです。

アメリカと北朝鮮双方の大使館があり、双方ともに国交があります。

どちらかがが呼びつけた、出向いたという形にならず、対等な立場でガチンコ勝負するには格好の場所です。

ここまで聞くと、とても良い場所に決まったように思えますが、どうしてシンガポールに決まったことが、“難しい会談の予兆”なのか。

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ポイントは、シンガポールに決まったのは、南北の軍事境界線にあるパンムンジョムでの開催が見送られた結果だということです。

トランプ大統領は、ノーベル平和賞を受賞するためにも一番インパクトがあって絵になるなんて思ったかもしれません。

しかし、パンムンジョムでの開催には欠点がありました。

アメリカ大統領がわざわざ朝鮮半島まで出向いた、という印象を与えてしまいかねない点、十分な成果が得られなかった時に大統領が恥をかくだけだと懸念の声がありました。

 

つまり、パンムンジョムでの開催が見送られたことの裏には、アメリカ側が会談ですごい成果を上げられるという十分な確証が得られていないことを意味しています。

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もうひとつ、アメリカにとって気になるのが、北朝鮮と中国の接近です。

3月末と今月、立て続けに中朝首脳会談が成立しました。

北朝鮮が、アメリカという手強い交渉相手を前に、後ろ盾を得ておきたかったからに他なりません。

 

こうした動きをアメリカは内心、苦々しく思っているはずです。

現にトランプ大統領は17日、「習近平国家主席がキム委員長に影響を与えているかもしれない」と不信感を滲ませました。

 

トランプ大統領とキム委員長、どんな攻防を繰り広げるのか、会談の焦点を見ていきましょう。

 

アメリカが北朝鮮に求めているのは、「速やか」で「一括的な非核化」。

そして、完全かつ検証可能で後戻りできない形での非核化(CVID)、これを完了させるまでは見返りを与えないというのがアメリカの原則的立場です。

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一方の北朝鮮は、「段階的な非核化」を主張しています。

これは非核化を徐々に進め、並行して経済制裁緩和などの見返りを差し出すべきだという考えです。

さらには、北朝鮮による核開発はすでにかなり進んでいます。

 

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北朝鮮の核開発って、すんごく進んでるんだヨーソロー。

 

北朝鮮はこれまで、何度も国際社会との約束を破ってきました。

アメリカの過去の政権は北朝鮮の求めるやり方である、「段階的な非核化」を受け入れ、並行して見返りも与えた結果、途中で反故にされました。

そのため、トランプ大統領は、その失敗を繰り返さないと述べています。

 

一方の北朝鮮も、時に国民を飢餓の状況に陥れながらも開発を進めてきた核兵器を何の見返りもなく手放すつもりは毛頭ありません。

つまりこのまま双方がみずからの立場だけを主張したら、必ず会談は決裂します。だから、必ず落としどころを探ることになります。

 

アメリカ側から見れば、北朝鮮に完全に核兵器を放棄させるために、どこかの段階で見返りを与える可能性があります。

先日トランプ大統領は、「キム委員長ができる最適なことは、取り引きに応じること。そうすれば力強い保護を得られるだろう」と発言しました。

これはつまり、非核化に応じれば北朝鮮の独裁体制を保証すると宣言したに等しいです。

 

また、トランプ大統領は、「リビア方式は検討していない」とも述べました。

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リビア方式とは、リビアのカダフィ政権に無条件で核を放棄させたやり方で、その後政権は崩壊し、カダフィ大佐は殺害されました。

 

今回の交渉には双方ともこうしたカードを持っているということで、具体的にどんなカードを持っているか見ていきましょう。

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トランプ大統領はたくさんの交渉カードを持っているのがわかりますね。

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一方、北朝鮮の最大のカードは「核の放棄」です。

具体的にどうやって放棄していくのかというと、「核施設の申告」「査察の受け入れ」「核兵器および核関連施設、データの廃棄」、しかしこの3枚はすべて非核化に伴うものです。

アメリカから言わせれば3つ合わせて、「非核化」という1枚のカードです。

 

ただ、北朝鮮はしたたかで巧みな交渉力を持っています。

アメリカ側の立場を利用して、新たにカードを作り出す可能性もあります。

そのきっかけとなり得るのが、アメリカ議会の中間選挙と大統領選挙です。

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北朝鮮にとっては、付け入るすきがあるということ。

つまりこの中間選挙や大統領選挙というトランプ大統領が抱える事情が、北朝鮮のカードにもなり得る、それが、「非核化の工程の明確化」というカードです。

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さらに北朝鮮は色んな手を使ってカードを増やしています。

すでに発表したのが、「核実験場廃棄メディア公開」です。

そして、この「査察受け入れ」のカードを施設ごとに小分けにして、それぞれを1枚のカードにします。

「核施設放棄」のカードでも同じように…。

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さらには、自ら呼びかけた会談なのに、「延期や中止」というカードを作り確実に開催する代わりに何か譲歩を求める可能性もあります。

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会談が開催できなかったり、開催しても決裂してしまえば、軍事衝突というリスクが高まることも予想されます。

日本を含む国際社会としては、見せかけだけの成果にとどまらせず、朝鮮半島の平和を実現させるためにこのまたとない機会を最大限生かせるよう支えていくことが大事だと言えます。

 

 

 

※リハーサル時の写真も掲載しています。

 

 

これでわかった!世界のいま

NHK総合 日曜午後6:05~ 生放送

出演:芳川隆一 坂下千里子 Mr.シップ

2018年5月27日のゲストは、児嶋一哉さんです。

 

投稿者:芳川隆一 | 投稿時間:19:02 | カテゴリ: | 固定リンク


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