息子と一緒に歩んでいく
パリの同時テロ事件の遺族、ステファンさんの活動をきょうご紹介しました。
みなさんは、どんなことを感じましたか?
今回ステファンさんの仙台への旅に同行しましたが、僕自身、学ぶことが非常に多い時間となりました。その内面を知るにつれ、テロがもたらす影響の大きさ、そして悲しみと怒りの感情を、改めて直接知りました。聞くと、去年のテロ直後、ステファンさんは2ヶ月以上、悲しみと恐怖の中で、外に出歩くことをできるだけ避けていたそうです。最近になってようやく、近くの公園やレストランに足を運ぶことができるようになってきましたが、未だに不審な物を街で見かけると、それが爆弾ではないかと身構えてしまうということです。先週日本に訪れたときでさえも、渋谷のレストランで誰かが起き忘れた荷物をずっと気にしてしまい、料理に全然集中できなかったといいます。あとから、慌てて女子高生が取りに戻ってきたことに気づくのですが…
そして、松島で起きた出来事は、今も本当に説明がつきません。3年前に一緒に数珠を作った、まさにその同じ場所で、突然息子の遺品の数珠の糸が切れたのですから。撮影クルーも、そこにいた誰もが「ユーゴさんがここに来ている」と思わずにはいられない瞬間でした。すぐに住職が結びなおしてくれたのですが、あの空間だけ、どこか時計の針がゆっくり進んでいくような、とても穏やかで、静かな時間が流れていたような気がします。父親のステファンさんが、誰よりも彼をそばに感じていたはずです。
日本での弔いの旅を終えて、「この瞬間が私にとっての始まりなんです」と語ったステファンさん。息子ユーゴさんとともに始める奨学金の成功を、心からお祈りしています。
投稿者:井上裕貴 | 投稿時間:18:42 | カテゴリ:井上裕貴の100%ゆうき | 固定リンク