

「世界遺産への招待状」、第24回はコソボ。
1990年代後半の凄惨な民族紛争が終結して10年が過ぎたコソボでは、今も、国際部隊が展開し治安維持にあたっています。そんな中、訪ねた世界遺産は、「コソボの中世建築群」のひとつ、「デチャニ修道院」。14世紀に建てられた教会の壁一面に描かれているフレスコ画は、650年前のものとは思えない鮮やかさ、味わい深い色彩で見る者を圧倒します。またこの教会には、教会を作った当時の国王であるステファン・デチャンスキーの遺体が安置され、今もセルビア人の民族の誇りとなっています。
このデチャニ修道院は、民族紛争が終結した後も、敵対するアルバニア人によって攻撃を受けました。そのため修道院の周辺には、国際治安維持部隊が警戒態勢をしいています。事実上紛争に敗れたセルビア人は、紛争後コソボを去った者が多く、デチャニ修道院のミサに集まる信者の数も激減しました。それでもコソボに残ったセルビア人たちは、周囲から孤立したセルビア人集落で暮らし、教会に心の救いを求めています。
次に訪ねた世界遺産は、同じ「コソボの中世建築群」のひとつである「ペチ修道院」。13世紀に建てられた修道院には、セルビア正教で最も位の高い総主教座が置かれていました。教会の中には、ペチ修道院を作った聖人である聖サバのフレスコ画が描かれています。そして、その聖サバの手にかかげられているのは十字架。キリストの平和を表しているといいます。
紛争終結から10年が過ぎても、心の中の対立感情がいやされることのない、コソボの2つの民族、セルビア人とアルバニア人。彼らが一つの国で生きて行くには、どうすればよいのでしょうか。世界遺産から垣間見える、民族紛争の一断面を描きます。

