

インドの首都ニューデリーの郊外に、インドで最も高い72.5mの塔がそびえ立っています。クトゥブ・ミナールと呼ばれ、12世紀末にインドに進出したトルコ系軍人アイバクが建造したものです。その塔の下には、インドで最初のイスラム教モスクの跡が残っています。
「シリーズ世界遺産100」では、外国からの侵略者がデリ−を征服した際の歴史的な事情を、遺跡に残された装飾から探ります。デリーに侵攻したアイバクは、インドで初のイスラム王朝を築きました。塔には、コーランの章句が見事なアラビア文字で刻まれています。本来は礼拝の呼びかけをするための塔を戦勝記念塔として建て、イスラムの力を誇示したのです。しかし、モスクの回廊に残る列柱はデザインがバラバラで、イスラム建築とは程遠いものです。しかも、イスラム教で禁じられている偶像の彫刻まであります。これは、アイバクが、デリーにあったヒンドゥー教寺院の数々を壊して、その建材をそのまま使用したからです。アイバクは、新しい支配者である事をインドの人々に示すために、急いでモスクを建造したと思われます。その結果、イスラムらしくないモスクになり、征服者の証しには征服された者の証しまでが残ったのです。

