

グアナファトは、16世紀半ばにスペイン人によって築かれた町です。その町並みは、同じメキシコにある他の植民都市とは異なり、区画整理がなされていません。もともとグアナファトは荒涼とした土地でした。ところが1548年に銀が発見されて以来、一獲千金を夢見て大勢の人々が押し寄せ、都市計画もないままに町は膨張していきました。栄光の頂点は18世紀後半で、その頃の銀の生産量はグアナファトだけで世界の15%を占めていたといいます。
「シリーズ世界遺産100」では、かつて銀の産出量で世界一の規模を誇ったメキシコ中央部の鉱山都市、グアナファトの現在の様子を伝えます。銀によって繁栄した当時を最も象徴しているのが、超豪華な教会群です。バロック様式やメキシコ独特のチュリゲーラ様式と呼ばれる派手な装飾を施された教会が、グアナファトだけで20以上もあり、そのほとんどが銀の鉱山主によって建設されたものです。グアナファトの繁栄は、19世紀後半の銀の大暴落によって終えんを迎えますが、その町並みは、荒廃することなく当時のままに残されています。町の景観維持に大きな役割を果たしているのが、自動車用の地下トンネルです。都市の下に、総延長8キロにも及ぶ幹線道路を張り巡らすことで、車社会に対応しながら古い町並みを残すことを可能としたのです。地下トンネル造りには、長年の鉱山開発で培われた技術が生かされたといいます。銀によって誕生したグアナファトの町。その景観を守ったのもまた銀だったということでしょうか。

