

メキシコ中央高原に、紀元前2世紀頃に建設されたと言われるテオティワカンは、古代メキシコ文化圏の中心に君臨する大都市でした。都市は7世紀半ばに一度滅びましたが、14世紀にアステカ人がその廃墟を発見し、この地を聖地としたことで繁栄を取り戻します。
「シリーズ世界遺産100」では、中央アメリカで強く信仰されてきた神々の意味を探ります。アステカ人はこの地を太陽や月が生み出された聖地であると考え、「神々が集う場所」を意味するテオティワカンと名づけました。中央アメリカで最も重要とされる神は、「ケツァルコアトル」といい、「羽毛のある蛇」を意味します。ケツァルコアトルは、蛇行して流れる川の水のように、生命と豊穣をもたらす神として神格化されました。テオティワカンのケツァルコアトルが祀られている神殿には、ケツァルコアトルと並んで、水の神「トラロック」が祀られています。トラロックは一方で地下世界を支配する神でもあります。中央アメリカの古代文明では、他の文明とは異なり、地下は決して死の世界ではありませんでした。そこは生命が生み出されたり、再生される場所なのです。地下世界、地上界、天界は常につながりあって回転していました。

