

オーストラリア東南端に位置するタスマニア島。氷河が削り出した荒々しい地形とそれを覆う原生林には太古の面影が残されています。タスマニアは1億8000万年前、最初に地球上に存在したとされる巨大大陸が分裂してオーストラリア大陸の原型が生まれた後、比較的早い段階で孤立してできた島といわれています。長い間海に隔てられていたため、原始的な動物が淘汰(とうた)されずに、独自の進化を遂げてきました。お腹の袋で子供を育てる有袋類と呼ばれる動物が多いのもタスマニアの特徴です。
「シリーズ世界遺産100」では、こうした貴重な野生動物を紹介しながら、タスマニアの驚異の野生を探ります。カモノハシとハリモグラは、子供を卵で生み、母乳で育てるという珍しい哺乳類です。ヒメウォンバットは、夜行性の有袋類。子どもが六カ月になるまでお腹の袋の中で育てます。大きな顎(あご)と恐ろしい鳴き声を持つタスマニアデビルは、この島だけに住む固有種で、現存する世界最大の肉食性の有袋類です。デビルという恐ろしげな名前がついたのは、死んだ動物の肉を食べるからです。しかし、実際は動きが鈍く、生きた動物は捕らえられないのです。タスマニアの驚異の野生は、水の中にもあります。特に珍しいのが「赤い海」です。真っ赤に染まった浅い海に、とても珍しい深海生物が生息しているのです。タスマニアの原生地帯には、私たちがまだ知らない、驚くべき野生の世界が広がっているのです。

