

カッパドキアは、標高1000メートルを超えるアナトリア高原中央部に、100km²近くにわたって岩石地帯が広がる台地です。キノコや煙突のような形の奇岩が林立し、巨岩がそびえる景観はまさに自然の驚異です。この不思議な風景は、柔らかい地層と硬い地層が重なり合い侵食されて生み出されました。
「シリーズ世界遺産100」では、この奇岩の大地に秘められた、キリスト教徒たちの営みを伝えます。3世紀半ば、ローマ帝国の弾圧を逃れたキリスト教の修道士たちが、カッパドキアに移り住みました。彼らは柔らかい岩をくり抜いて住居や教会を作ります。12世紀に作られた洞窟教会には、光がささないため当時のフレスコ画がそのまま残っています。キリスト教徒たちはこの地でペルシャやイスラム勢力に包囲され、絶えず脅威にさらされていました。そのため彼らは、敵から一時的に身を隠す場所を地下に求めました。1965年に発見された地下都市は、地下8階、深さ65メートルに及ぶ巨大なものです。地下1階のワイン製造所、地下2階の食堂、居間、寝室、収容人数に合わせて自由に掘り進められました。地下5階をつなぐ通路には、外敵が襲ってきた時通路をふさぐため、1トンもの大きな石を転がして通路を閉じる仕掛けもありました。そして、最下層の空間は十字架の形に掘られた教会になっています。カッパドキアのキリスト教徒たちは、地下都市の一番底に、神への祈りの場を設けたのです。

