

スペイン南部、アンダルシア地方の都市コルドバは、ローマ帝国時代からの歴史が幾重にも積み重なった街です。ローマ帝国の衰退後、6世紀にはキリスト教国の支配下におかれ、8世紀になるとイスラム教徒ム−ア人が築いた王朝の都となりました。このイスラム時代にコルドバは大いに発展し、コンスタンティノ−プル、ダマスカスとその壮麗さを競い、「西方の宝石」と呼ばれる美しい都となりました。旧市街には迷路のように入り組んだ路地や白い壁に囲まれたパティオと呼ばれる中庭など、イスラムの街のたたずまいが今も残っています。
「シリーズ世界遺産100」では、コルドバの歴史を象徴するメスキータを紹介します。イスラムの大モスクとして作られたメスキ−タには、「円柱の森」と呼ばれる大広間があります。ローマ帝国時代の古い建物の柱が再利用され、それが支える二重のアーチにもローマの技術が活用されていると言われています。13世紀、コルドバは再びキリスト教徒によって支配され、メスキータはカトリックの聖堂に転用されます。さらに16世紀にはゴシック様式の祭壇をもつ大聖堂へと改築されました。その過程で「円柱の森」は壊されそうになりますが、コルドバの人々の反対で残されます。その結果、キリスト教の大聖堂の中にイスラムの雰囲気を色濃く残した空間があるという、世界でも稀な建造物となったのです。

