2020年02月06日 (木)家計簿が"映える"


※2019年11月12日にNHK News Up に掲載されました。

B5版のノートにびっしりと書きこまれた日々の支出ーー。
インスタグラムで公開された家計簿です。
「はるさめ90円」
「もやし37円」
日々の暮らしをありのままに記した家計簿が“映えて”いるんです。

ネットワーク報道部記者 有吉桃子・ 井手上洋子・ 福島雅博

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毎週家計を公開
冒頭の家計簿は、佐賀県に住むあっすーさん(仮名)がインスタグラムで公開しています。

kakeibo.191112.2.jpgこの家計簿、1か月前には枠だけでした。

それが1週間後になると、右下に購入した食品などの名前と値段が日付ごとに書き込まれます。

kakeibo.191112.3.jpg右上には、支出が費目別にまとめられています。

この週は食費だけで9349円でした。

さらに左上のカレンダーにはその日ごとの出費が記入され、1円も使わなかった日は、NMD=ノーマネーデーを祝福するシールが貼られています。

あっすーさんは家計簿を1週間ごとに公表し、1か月が終わると、そのすべてを公開しているのです。

ちなみに9月の家計簿はこちら。


kakeibo.191112.4.jpg「結果は、よろしくありません。はい、赤字です。『増税前の駆け込み!』という広告に踊らされたから。心の疲れを癒やすためにカフェに出かけたりする回数が増えたから」というコメントが添えられています。

公開はモチベーション
あっすーさんは、夫と2歳の子どもと3人で暮らしています。

家計簿を付け始めたきっかけは、自分の育休の延長でした。

「家計を支えるのが夫の収入のみになり、夫のお金を大切にしたい。また子どものために、きちんと貯金をしておきたいと思ったのです」

ことし2月からはインスタグラムで公開。

公開することで続けるモチベーションができ、きちんとした家計管理をしようという緊張感も生まれるというのがその理由です。

買い物癖や無駄使いが見えてきた

それにしてもパソコンの表計算ソフトを使わず、なぜ手書きなのか?

kakeibo.191112.5.jpg「手で書き出すことで頭の中を整理したり振り返りができたりします。見ている人が気持ちいいと思えるように、丁寧な字で書くことを心がけています」(あっすーさん)

匿名とはいえ、“財布の中身”をSNSで公表することに戸惑いはなかったのでしょうか?

「最初は、恥ずかしいという気持ちもありました。個人情報が見えないように心がけています」
家計簿を付け公表し始めてから何か変わったのでしょうか?

「以前は好きな物を好きな時に買い、貯金を意識したこともありませんでしたが、家計簿をつけるようになって、自分の買い物の癖や無駄な部分が目に見え、節約につながりました。またインスタグラムのフォロワーも増えました。時に厳しい意見も寄せられますが、『参考になった』といった書き込みが多数寄せられ、励みになっています」

kakeibo.191112.6.jpg有名インスタグラマーは?
インスタグラムを検索してみると次から次へと家計簿を公表しているアカウントが見つかります。

こうした傾向について2年前から家計簿を公開し、15万人ものフォロワーがいる「あかり」さんに聞きました。
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「だいたい2年前の夏くらいから家計簿を公表する人たちが目につきはじめ、去年の冬ごろからフォロワーが1万を超えるインスタグラマーが現れたように思います」

家計簿が“映える”ことに気付いた

なぜ、家計簿の公開が人気なのかを尋ねると「なぜなのか、自分が聞きたいくらい」と考え込んだあとで、こう答えてくれました。

「インスタっていわゆる“映え”が注目されますが、そのためにお金がかかったりするのに、実際の自分の生活が違ったりもする。家計簿は地味だけど、自分の通帳が“映える”ことに多くの人が気付いたのではないでしょうか? リアルな世界を充実させるほうがいいと思う人が増えてきたのだと思います」(あかりさん)


kakeibo.191112.8.jpg小銭貯金の通帳を公開しています!

節子さんの節約生活

お金がなくても幸せに暮らせることを発信したいと、家計簿を公表している人もいます。

“3人家族、手取り20万円でもHAPPYに暮らす”ことをモットーにしている節子さん(仮名)です。

「裕福な家庭で育ったわけではありませんが、父母からはたくさんの愛情を受けました。お休みにはお弁当を持って公園に行ったり、動物園に行ったり、家族みんなでクリスマスの飾りつけをしたり。お金を使わなくても楽しかった、幸せな思い出ばかりです」

kakeibo.191112.9.jpg節子さんのアカウントを見ると、家計簿を公開している人の多くがやっている袋分けの写真があります。

袋分けというのは生活費や医療費、交際費などを月のはじめに小分けすることです。

また、クリスマスやお正月、家族の誕生日などに使うお金はボーナスから「特別費」として予算立てしています。

こうした費用を別枠で確保しているのは、家族の幸せを守るためです。

「家計はかつかつですが、楽しむためのお金は確保しようと思っていますし、そのためには健康も必要です。不妊治療にも通っていますし、夫もアレルギーがあって、医療費は結構かかります。いつでも安心して病院に行ける環境は大事にしています」(節子さん)

ポイ活

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さらに節子さんが注目しているのが“ポイ活”です。

キャッシュレス決済のポイント還元制度や、サイトを経由して買い物することで、ポイントをためることができる「ポイントサイト」などをフル活用してポイントをためています。

この“ポイ活”について情報を集めるために家計簿を公開する人のアカウントをフォローする動きもあるそうです。

年代によって変わる“映え”

節子さんは、家計管理をし始めて“身の丈にあった暮らし”を心がけるようになったと言います。

kakeibo.191112.11.jpg「独身時代は自由にお金を使え、高い化粧品などを買うこともありましたが、今はそうしたものは必要ないと考えるようになりました。家計簿をつけることでシンプルに暮らせるようになりました」(節子さん)

身の丈にあった暮らしとは、自分たちが気持ちよく過ごせるよう築いた日々の生活のこと。

家計簿のSNSでの公開は、むだな物をそぎ落とし、本当に必要なものを見つけ出す手段の1つになっていると感じました。

投稿者:有吉桃子 | 投稿時間:15時02分

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