2020年04月13日 (月)電車の中 靴先にカメラが


※2019年12月24日にNHK News Up に掲載されました。

朝の通勤中に電車で撮影され、注意喚起を目的にSNSに投稿された靴の画像。足の甲の部分には穴があき、中からはカメラのレンズのようなものがのぞいています。

「盗撮目的じゃないの」
「こんな時どうしたらいいのかわからん…」
取材しました。

ネットワーク報道部記者  高橋大地・ 井手上洋子

denn.191224.1.jpg

靴の膨らみが…
投稿した人に話を聞くことができました。20代の会社員です。

12月20日の朝、埼玉県内を走る電車の中でのことでした。

車内は混み合っていましたが、ドアの近くにいた高校生と見られる女性から離れない男性が気になりました。
右足が女性に向けて伸びていることを不審に思ってみていると、右側の足の甲の部分が膨らんでいることに気付き、よく見るとカメラのようなものが穴からのぞいて見えました。
さらに男性のスマートフォンの画面に目をやると、近くにいた女性の容姿や時間や場所をうちこんでいる文字が見えたのです。

「盗撮しているな」

会社員はそう思い、自分のスマホでその様子を撮影しました。

denn.191224.2.jpgただ、これだけでは盗撮だと断定できません。

「男性に声をかけようか」「ぶつかったりしようか」と思う一方で、「逆上されたらどうしよう」「現行犯でないと警察も受け付けてくれないよな」などいろいろ考えました。

その結果、せめてもの注意喚起として撮った写真をツイッターに投稿したのです。

画像をSNSに投稿した会社員
「以前、駅の階段でスマホを使って盗撮をしているような男性を見かけ、注意しようと声をかけたけれど逃げられてしまったことがあります。今回もまさか目の前でこんなことが起きるなんてショックでした」

“盗撮の可能性が高い”

この写真、専門家に見てもらいました。

盗撮を防ぐための法整備を働きかけている「全国盗撮犯罪防止ネットワーク」の平松直哉代表です。

denn.191224.3.jpg全国盗撮犯罪防止ネットワーク 平松直哉代表
「縦、横、厚さがいずれも2センチほどの小型のカメラを靴の先に取り付け、実際に電車の中で盗撮をしている可能性が高いのでは」

こうしたカメラは、インターネットで3000円ほどで購入できるそうです。

中心の丸いのがレンズで、周囲に並ぶ丸い物体は赤外線ライトと見られ、暗い場所でも撮影が可能だといいます。

平松直哉さん
「靴の先にカメラを仕込んで、スカートの中などを盗撮する手口はこれまでにありましたが、機材の高度化が進み、価格も安くなっていて、被害が広がっているとみられます」

盗撮用靴の販売も

小型カメラによる盗撮は連日のように報じられています。

直近ではことし10月下旬、栃木県日光市にある県立高校の男性教員が靴に仕込んだ小型カメラを使って女子生徒のスカートの中を盗撮していたことが判明。

12月23日には、つま先の空いたスリッパにスマホを入れ、カメラのレンズを先から出して盗撮していた大分県内の公立中学校の男性教諭が、懲戒処分を受けたというニュースが流れました。

denn.191224.4.jpg京都府警が購入者から回収した小型カメラ付き靴

少し前になりますが、2014年には京都府警察本部が事件に使われる小型のカメラが付いた靴について「盗撮以外に使いみちがない」として、インターネットで販売していた業者から押収した販売先のリストをもとに、購入者から回収する異例の対応をしました。

denn.191224.5.jpg小型カメラ付き靴

こうした中で平松代表は、技術の進歩とともに盗撮の手口も変わってきていると指摘します。

平松直哉さん
「SDカードが小さくなるとともに量産化されて価格が下がり、こうした手口が一気に広がるようになりました。最近では、データを自動転送するカードもあって、その場で取り押さえても撮影した画像が残らないようにしているケースもあります」

盗撮被害どう防ぐ

では、被害をどう防いだらよいのでしょうか。

駅や電車での盗撮の手口

1 電車の中で立っているとき下からねらう

2 電車の中で座っているとき向かいの席からねらう

3 エスカレーターや階段を歩いているとき背後からねらう

平松代表によると、この3つに大きく分けられ、対応も異なるといいます。

平松直哉さん
「たとえば、エスカレーターであれば、横向きになって乗るだけで、犯人は撮影するのをためらうようになります。電車に乗っているときは、足や荷物を下から差し込んでくるような場合は盗撮の可能性を疑い、可能であれば移動するなどの対応が考えられます」

“盗撮に特化した法律が必要”

また、平松代表は現在の法律では限界があるとも訴えます。

平松直哉さん
「盗撮で逮捕されても、迷惑防止条例や軽犯罪法などが適用されるくらいで、それほど重い処罰だとは言えません。撮影された画像や動画はインターネット上で売買され、いつまでも残り続けることもあって、被害者の方の中には何度も自殺未遂を繰り返す深刻な事態に至ることもあります。今後は、盗撮に特化した法律を整備し、厳罰化していくことが必要だと思います」

もし、見かけたら…

さらに、今回のように盗撮が疑われる現場を私たちが見かけたらどうすればいいのか。

denn.191224.6.jpgツイッター上では、「よろけたふりをして、足を思いっきり踏んでしまえばよかったのに」「警察に通報してほしい」など憤る声が多くあるほか、「巧妙すぎる手口」「こんな時どうしたらいいのかわからん…」など戸惑いの声もあがっています。

denn.191224.7.jpg性犯罪被害に詳しい 岸本学弁護士

痴漢など性犯罪被害に詳しい岸本学弁護士は「実際その場に居合わせてもどうしたらよいのか分からないという現状があると思います。しかし『それでも何とかしたい』という強い思いを多くの人が持っており、その強い思いが、ツイッターでの画像の公開につながっているのだと思います」としたうえで、次のようにアドバイスをしてくれました。

1 被害者に声をかけて避難させる 座らせる

2 周囲に対し声かけ、目線、指差しなど自分にできる方法で盗撮行為を気付かせる

3 犯人に『これカメラですよね』などと声をかける

こうした対応のうち、自分にできる範囲のことをしてもらえればよいということです。決して無理をせずみんなで監視すること、それが今、私たちにできることです。

投稿者:高橋大地 | 投稿時間:13時36分

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