2019年08月21日 (水)令和スタート にぎやかさと静粛と


※2019年5月1日にNHK News Up に掲載されました。

令和、スタート。それに合わせてカウントダウンが行われるなど、新年を迎えたようなにぎやかさが各地で見られます。一方、街を歩いてみると、元号が変わっても変わらない、日常が淡々と続いていて、ネット上にも「わたしはふだん通り」「平常運転」といったことばがあがりました。にぎやかさと静粛、それが並んだ1日でした。

ネットワーク報道部記者  松井晋太郎・ 藤目琴実・ 吉永なつみ


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<にぎやかさの中で>

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東京 渋谷のカウントダウン
「10、9、8、7…3、2、1!」

元号が変わるその時に合わせて、東京でも札幌でも松山でもカウントダウンが行われました。その瞬間は身動きができないほどの混雑ぶりです。飛行機で南アルプスの上空から令和の初日の出を眺めるイベントもあり、さながら新年を迎えた時と同じようなムードが漂っていました。昭和から平成に変わる時にはなかった新しい形の元号のスタートは、一見するとお祝いムードの中で始まったようです。

<地球も銀河も平常運転>
ところがネット上では、お祝いムードのツイートがあふれる一方、少し違った声も聞かれました。
「世間は10連休だ、令和だってのにふだん通り仕事」

「冷静に考えたら元号も正月もクリスマスも人間が決めただけで1日はひとしく1日。地球も銀河も平常運転」

「令和になったからといってすぐに変わる訳はありません!新しい時代を作っていくのはわれわれですから、ふだん通りに楽しんでいきましょ」
元号が変わり、新たな気持ちにはなるけれど、自分は日常を淡々と生きていく、生活は変わらないといった内容のツイートです。

<ふつうの5月1日>

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実際、どうなんだろう。都内の商店街に行って聞くことにしました。

中野区にある「東中野名店会」、およそ1キロの間にたくさんの店が並んでいます。10連休というのもあるのか多くの店がシャッターを下ろしていて、街は静かです。

reiwa190501.4.jpgその中にふだんどおりに開いている店がありました。店のひさしには少しかすれた色で「花のよしはし」と書かれていました。ピンクやオレンジなど色鮮やかな花を店先に並べている花屋の店主は吉橋正巳さんです。

reiwa190501.5.jpg「時代が変わった変わったって、いろいろとお祝いの様子が伝えられているけど、ぼくにとってはふつうの5月1日だよ」

「花の市場は、ゴールデンウィークも開いているんだし」
(吉橋さん)

<特別な1日より 日常を長く>
吉橋さんは昭和31年、埼玉県の花農家の次男として生まれました。

「農家は長男が継いだし自分は高校を卒業してから5年ほどサラリーマンをしたよ」「でもやっぱり花が好きでね。20代中頃に花屋になるための修行に出たんだ」

そして平成8年、39歳の時にこの商店街に店を構えました。当時、商店街には3軒の花屋がありましたが、いまも店を開いているのは「花のよしはし」だけです。

「近くのスーパーでも花を売るようになってね。個人で店を続けるのはなかなか厳しいんだ」

店を出したころ、休日には商店街を歩行者天国にするほど大勢の人でにぎわいましたが、いまはかつてほど人が集まらなくなり、店も減っていると言います。街の人に支えられながらなんとかやってきたという吉橋さんですが、店は自分の代で終わりと考えています。

reiwa190501.6.jpg令和がスタートしたきょうについて、こう話していました。

「きのうもきょうも変わらない。時代の先は読めないからあしたもどうなるか分からない。ただ平和な時代が続くといいよね」

いつもと同じように店を開く吉橋さん。特別な1日よりも今の日常が長く続くことを願っていました。

“年末年始以外は、2日に1回は市場に行って地域の人に花を売る”

厳しい現実の中にあるそんな日常です。

<そしてきょうも>

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そして、改元にともなう今回の大型連休の初日、路上生活者などへの支援活動を行うNPO法人の炊き出しにはおよそ130人が東京 池袋の公園に食事を求めて並びました。

生活相談では、派遣社員だったという40代の男性から「失業して、どんな仕事でもやろうと思い探しているが見つからない」といった相談が、初めて炊き出しに来たという男性から「仕事を失って寮も出された。住むところがない」といった相談があったそうです。

炊き出しに来る人は以前は大半が高齢者でしたが、いまは40代や50代の姿が多いのが当たり前になっています。NPOでは令和がスタートしたきょうも池袋駅の周辺でいつもと変わらずに支援活動をし、おにぎりなどの食事を配ることにしています。

reiwa190501.8.jpg清野賢司さん
「“きょう身を寄せる場所がない”という相談は毎日のように来ています。元号が変わってもこれまでと変わらず、困難から抜け出せるように日々支え続けるしかありません」
(NPO法人TENOHASI代表理事 清野賢司さん)

<訪れるのではなく>
元号が変わり、新たな気持ちにはなるけれど、平成の宿題が一気に片付いたわけではありません。静かに淡々ときょうを迎えた人たちも多く、それぞれの生活に向き合って、変わらない1日を精いっぱい過ごしているようでした。

今よりもいい時代は、何かの変わり目で自然と訪れるのではなく、これから自分たちで作っていかなければなりません。

「新しい時代を作っていくのはわれわれ」

令和初日のけさ早く、ネットにあがったことばをきょうはかみしめたいです。

投稿者:松井晋太郎 | 投稿時間:15時12分

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