2018年06月20日 (水) 3学年一緒? もう荒れない? どうなる成人式


※2018年6月13日にNHK News Up に掲載されました。

改正民法が成立し、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることになりました。養育費や消費者トラブルなど、さまざまな影響が出ることが予想されています。中でもネット上で特に盛り上がっているのが「成人式はいったいどうなるの?」という話題。自治体の動きは? そして、最近全国の小学校で行われることが多い「2分の1成人式」は?疑問を取材しました。

ネットワーク報道部記者 佐藤滋 高橋大地 藤目琴実

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<成人式どうなっちゃう?>
「20歳の成人式で久々に旧友に会えるのが楽しかったりするけど、18歳だったら久々感があんまりない」

「2023年の成人式は高校3年~大学2年までが出席するってこと?それ、もはや2年遅れの全校集会」

「お金のことからしても、卒業と成人式がいっぺんなのは困るな、親としては」

成人年齢が18歳に引き下げられることになったことを受けてのネット上の反応です。法律の施行は2022年4月。2023年1月頃に行われる成人式は、どのような「新成人」が対象になるのでしょうか。従来どおり20歳? それともいっぺんに18歳から20歳? いったいどうなるか話題となっています。


<最大規模の横浜市では>

3ga180613.2.jpg毎年、およそ3万5000人が対象となる、全国最大規模の成人式が行われる横浜市に話を聞いてみました。

「基本的には白紙ですが、18歳の人たち向けに、現状の成人の日の時期に成人式を行うのは難しいですね。受験生は受験直前だし、就職する人にとっても大切な時期ですから」

横浜市では、毎年、1万7000人ほどの収容者数がある「横浜アリーナ」を会場に、地域によって午前の部と午後の部に分けて成人式を行っています。

仮に、18歳から20歳まで一度に式を行うとなるとおよそ10万人が対象。回数を分けても同じ日に行うのは現実的ではないといいます。

そのうえで、「成人式を当面、20歳で続けていくという選択肢がないわけではない。今でも選挙権は18歳で、お酒は20歳でバラバラ。自治体によっては成人式を『二十歳のつどい』として行っているところもあるのだから、『成人式』という名前でなくてもよい」とも話しています。

とはいえ、現時点では白紙ということで、ほかの自治体の動向なども踏まえて決めていきたいとしています。


<荒れる成人式なくなる?>

3ga180613.3.jpg成人年齢は18歳となる一方、飲酒はこれまでと同じ20歳からです。

お酒に酔った成人たちが会場で暴れる“荒れる成人式”、私たちも毎年警戒していますが、過去の成人式でトラブルがあった自治体は成人年齢の引き下げをどう受け止めているのでしょうか?

「今後の対応がまだ具体的に決まっていないので…」という声が多く聞かれましたが、長崎県佐世保市の担当者は「これからきちんと議論していくことをまさにきょう確認しました」と話しました。

佐世保市では8年前の成人式で新成人8人が壇上に登って暴れて式の進行を妨げるトラブルがありました。

市の担当者は酒を飲んで式の会場などで暴れるといった行動について「20歳になって大手を振って酒を飲めるようになったということを象徴的に表しているのだと思います。成人式を行う年齢が18歳になればお酒が関係するトラブルの心配がなくなることはメリットとしてあります。そのことを重視しているわけではないですが…」


<“発祥の地”は蕨市>

3ga180613.4.jpgそもそも20歳の人たちが参加する成人式は、いったいいつから始まったのでしょうか。

実は、発祥の地とされているのは埼玉県蕨市。終戦直後の昭和21年に蕨町、今の蕨市で、若者たちに夢と希望を持ってもらおうと地元の青年団が開いた「成年式」が日本で初めての成人式だとされています。

蕨市では、今も成人式ではなく、当時の名称のまま「成年式」という名称を使い、新成人向けの式典を行っています。市内の公園には「成年式発祥の地記念像」も建っています。

蕨市は今回の改正を受けての成人式の在り方について「現在、問題点の洗い出しなどを行っていますが、まだ特に決まっていません。ただ、発祥の地として、今後も『成年式』は続けていく予定です」と話していました。


<2分の1成人式は?>

3ga180613.5.jpg近年、成人年齢の半分、10歳を迎える小学生を対象に行われることの多い「2分の1成人式」はどうなるのでしょうか。

宮崎県日南市にある飫肥小学校では、保護者たちが見守る中、児童が将来の夢などを発表する「2分の1成人式」をここ数年、毎年行っています。小学校に問い合わせると…。

「そういえばそうだと思い、学校内で話をしましたが、まだどうするか決まっていません。18歳の半分となると9歳。これまでの小学4年生から小学3年生に対象を変更して行わないといけないかもしれません」と話しています。

その場合、問題になるのが、2022年に10歳になる小学4年生の児童をどうするか。その学年だけやらない、というわけにもいきません。

「一度に行ってしまうかなど、時期が近くなったところで保護者とも話しあって決めないといけません。ただ、何かしらの形で『2分の1成人式』は続けていきたいです」(小学校の担当者)。


<「成人=20歳」いつから?>
そもそも、これまでどうして成人は20歳だったのでしょうか?

「自今満弐拾年ヲ以テ丁年ト相定候」(※丁年=一人前に成長した年齢)

これは今から142年前の明治9年に出された、当時の法令に当たる「太政官布告」です。法務省によると、この布告によって日本では成人年齢が20歳と定められ明治29年に制定された民法に引き継がれました。

なぜ成人年齢が20歳なのか。理由ははっきりとわかっていませんが、当時、欧米で成人年齢を20歳前後としていたことや日本人の平均寿命が男女とも40代前半だったこと、それに精神的な成熟度などを総合的に考慮して決められたと考えられています。

江戸時代には男女ともに15歳ごろに大人の仲間入りをしていたことを考えると、明治に入り“子どもでいる期間”が急に5歳近く延びた、ということになります。


<世界では何歳で成人?>

3ga180613.6.jpg世界を見渡してみると、成人年齢はネパールで16歳、アルゼンチンやインドネシアなどで21歳と幅がありますが、イギリスやフランス、オーストラリアなど多くの国で18歳となっています。

欧米では1960年代から70年代にかけて学生運動など若者の社会参加の高まりを背景に成人年齢を18歳に引き下げる国が相次ぎました。

アメリカでは州ごとに成人年齢は異なりますが、1970年代にベトナム戦争に従軍した若者たちが「徴兵される年齢が18歳なのに選挙権年齢が21歳なのは不公平だ」と訴え、多くの州で選挙権年齢と成人年齢が18歳に引き下げられたということです。

3ga180613.7.jpg日本ではおよそ140年ぶりに見直された成人年齢。

各地の自治体に話を聞くと、成人式については「これから探っていく」というのが現状です。国は法律が施行される2022年4月に向けて地方自治体と意見交換しながら成人式の対象年齢や時期を含めたその在り方を検討するということです。

「まだ4年後の話でしょ」という見方はあると思いますが、一生に一度の晴れ舞台だからこそ「18歳で参加したい!」「やっぱり20歳で!」とそれぞれの意見をもって議論に参加してみるのもいいのではないでしょうか。

投稿者:佐藤滋 | 投稿時間:15時18分

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