2012年01月04日 (水)幸福度を高められる一年に


「家族みんなが幸せでいられますように」。元日、初詣に出かけた神社で、こんな願い事が書かれた絵馬を目にしました。東日本大震災で、当たり前の日常が一瞬のうちに消え去る姿を目の当たりにして、改めて「幸せ」について考える人が増えているのかもしれません。

昨年暮れに内閣府の研究所が、国民の豊かさを測る新しい「幸福度指標」の試案を公表しました。国民総生産(GDP)などの経済指標だけでは測れない個人の「幸福度」を、経済社会状況、心身の健康、人や社会との関係性の3つの柱で測ろうというのです。

実は、この新たな幸福度の基準作り。フランスやドイツ、イギリスなど、ほかの先進国の間でも検討されています。雇用不安や世代間格差が表面化して、経済的な成長だけを追い求めていても、国民が必ずしも幸せになれないことに気付き始めたからです。確かに日本は世界3位の経済大国ですが、生活の豊かさを実感できないという人が少なくありません。

これに対して、GDPに代えて国民総幸福量(GNH)という考え方を提唱しているヒマラヤの秘境の国、ブータンでは、国民の97%が幸せと感じてい るといいます。昨秋、国王夫妻が来日して注目されましたね。
なぜ、ブータンで国民の幸福度が高いのか、専門家に尋ねますと、「足るを知る」という仏教思想が人々の暮らしに浸透していて、支え合い、助け合うことを大事にしている。そして、幸福を示す尺度として多くの指標を設け、国民の意識調査で数値が低い分野に積極的に国の予算を投入して、幸福度を高める努力を続けているからではないかということです。幸福度指標は、指標を作ることが目的ではなく、政策の優先順位を付けて、私たちの暮らしを豊かにするために生かされてこそ、意味があるということだと思います。

東日本大震災をきっかけに、日本でも絆や連帯感といった価値観が見直され始めています。経済的な数値では測れない、新しい価値観への転換が起こり始めていると実感します。去年の暮れ、介護施設で働き始めた若い人たちが自宅に遊びに来てくれました。月に6、7回夜勤があって、その時は1つのフロアー に職員は自分だけ。おむつを替えたり、夜中にベッドを離れてしまうお年寄りに付き添ったり、眠る時間もなく大変だと話していました。給与も十分でなく大変ねと声をかけると、でも、今の仕事にやりがいを感じている、お年寄りのために頑張りたいと目を輝かせていたのです。こうした若い人たちの熱い思いを頼もしく感じましたし、この熱い思いが萎えることがないよう、社会でしっかり支えていかなければという思いを強くしました。

2012年。震災を経験した日本がどう再生するのか。ことしは、私たちの暮らしに大きく関わる社会保障と税の一体改革も正念場を迎えます。復興を進めるうえで、何が被災者の幸福感につながるのか、若い人たちが輝き続けるために何が必要なのか、日本で始まった新たな幸福度の指標作りを、幸せを感じられない人たちの生きづらさを解消し、一人一人の能力を最大限発揮できる社会を実現するために役立ててほしいと思います。
2012年が社会全体の幸福度を高められる一年になりますように。そして、私たち生活情報部も、暮らしが少しでも豊かになるよう、心温まるニュースや暮らしに役立つ情報を精一杯発信していきたいと思います。ことしもどうぞよろしくお願いします。

投稿者:飯野奈津子 | 投稿時間:06時00分

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コメント

飯野部長はじめ最近ではNHKの女子アナ各位が企画で活躍されている事を喜び陰ながら応援しているひとりです。

それで「幸福度」については是非深くほりさげて報道してほしいと
思います。例えば戦争中の子供たちに「幸福か?」と聞いても
その現状しか知らされていない場合は「はい」と答えるでしょう。

要は「情報リテラシーのレベル」と「幸福度」は強い関連があります。
この辺を深く突っ込んでほしいと思います。

投稿日時:2012年01月04日 11時40分 | 安(田中) 咸子

私は、2008年のリーマンショックで解雇され、失業した多くの人たちの姿を見て、早晩、経済至上主義(拝金主義)的な価値観を見直さないと、この国のモラルは崩壊してしまうのではないかとの危惧を抱きました。

かつて、「一億総中流」と呼ばれ、国民の多くがそれを実感できていた時代には、誰もが明日への夢や希望を持てていたように思いますが、今や中間層は大いに破壊され、一部の上流階級と、大多数の下流階級に振り分けられてしまっているように思います。

日本の豊かさとは何かを問われた野田総理は「中間層の厚みを増すこと」と発言されていました。

それが実現できて、かつてのような社会、経済情勢に戻り、誰もが夢や希望を持てる世の中になるのであれば、経済至上主義(拝金主義)的な価値観でいても良いのかもしれませんが、現実として中流から下流に落ちてしまった(あるいは落とされてしまった)多くの人たちは、元居た場所に戻ることすら叶わずにいるのだと思います。

意識は中流、お金を稼ぐことが「善」であるという価値観を持ってはいても、現実的には食べることで精一杯…、そうしたギャップを持ち続ける限り、きっとその人にとっての幸福度、幸せ感が高まることはないと思うのです。

昨秋来日されたブータン国王夫妻のお姿は非常に微笑ましく、大いに好感を持ちました。
彼の国で提唱されているGNH(国民総幸福量)という考え方も、その際に初めて知りました。

物や情報にあふれた現在の日本を、ブータンと同列に論じることはできないと思いますが、モノや情報と同様に、せめて多様な価値観を提唱することくらいは政府にも、民間にもできると思いますし、中でもメディアの伝える力は大きいと思うのです。

人によって幸福度や幸せ感といったものは違うと思いますので、努力すれば必ず手に入れることのできる何か…。
昨年3月の震災直後には「家族の絆」が見つめ直されたように、お金ではない、そうした何かに重きを置けるような価値観を多くの人が見い出せるよう、ぜひ提唱し、伝えていって頂きたいと思います。

投稿日時:2012年01月04日 14時17分 | 杉田佳隆

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