2011年12月12日 (月)"押し買い" その実態と対策は


ヨーロッパの信用不安などの影響で価格が高騰している貴金属。金の買い取り価格は、10年前のおよそ4倍に値上がりしています。

こうした状況を背景にトラブルが急増しているのが、高齢者などの自宅を訪れて、貴金属を安く、強引に買い取る「押し買い」です。現在は規制する法律がないため、対策を検討してきた消費者庁の研究会は、9日、契約後、一定期間内なら解約できる「クーリング・オフ制度」を「押し買い」にも適用できるようにすべきだとする対策案をまとめました。

「押し買い」の被害に遭った神奈川県内の50代の女性です。9月下旬、突然、2人の男が自宅を訪れました。

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女性は
「眠ってる貴金属はありませんか、って言われたから.見せるだけでいいですって言われたんですよ。玄関開けた途端にすぐ入って来られて、ちょっと待ってくださいっていう間もなく、玄関に座りこまれて」と話しています。

男たちは、まず指輪などを「偽物だ」と言って、女性を動揺させました。そして、「要らないだろうから自分たちが買い取る」と強く迫りました。
「これは偽物、これはおもちゃって言われたから、え、おもちゃ・・・。頭が真っ白になっちゃいました。向こうのペースにはまってしまいました。あと、威圧感というか、こっちは早く帰ってもらいたいっていう気持ちでいっぱいだったから、じゃあ売っちゃえば帰るのかなと思って・・・。この引き出しに(指輪などが)いっぱい並んでたんですけど、もうこれしかないです」と話しています。

jw7.jpg結局、女性は金のネックレスや指輪など合わせて50万円以上した貴金属20個を、わずか1万円で買い取られてしまいました。女性は、その後、取り戻したいと思いましたが、男たちは受け取りの書類も名刺も残さなかったため、どうすることもできませんでした。
女性は
「悔しい気持ち、大事なものを持っていかれた気持ち・・・何で口車に乗っちゃったんだろう、自分に対する歯がゆさもあります」と話していました。

国民生活センターには、こうした「押し買い」についての相談が急増しています。昨年度は600件余りでしたが、今年度はすでに2700件を超え、4倍以上に上っています。「契約書や控えがないため、業者と連絡が取れない」「解約を申し出たが、すでに転売されていた」などです。特に狙われているのは独り暮らしの高齢者です。中でも、認知症の人が目立つといいます。
国民生活センター相談情報部の伊藤汐里さんは
「帰ってくださいといっても、家から帰らなかったり、何度も何度も訪問してくるなど、かなり恐怖心を感じるような勧誘がみられています。心理的にも、かなり圧迫されているようです」と話しています。

jw6.jpg押し買いの被害を食い止めようと、消費者庁の研究会は、9日、対策案をまとめました。
柱は、契約から8日以内なら解約できる「クーリング・オフ制度」を、押し売りなどと同様に押し買いにも適用することです。そして、契約書を交わすことを業者に義務づけ、業務停止などの処分も行えるようにする方針です。

jw5.jpgしかし、現実には、貴金属を買い取ったその日のうちに転売してしまう業者が多いため、対策案には限界があるのではないかという指摘も出ています。

こうしたなか、業界団体も対策に乗り出しました。
買い取り担当者を独自に審査して、認定する制度を設けることにしたのです。審査の基準は、貴金属の価値を正確に鑑定できるかどうか、適正な買い取り価格を算定できるかどうか、などです。合格者は「認定証」を取得し、消費者に提示することができるようになります。業界団体は、この制度を早ければ来年の春から始めたいとしています。
「日本リ・ジュエリー協議会」の高村秀三専務理事は「法律では、どうしても限界があると思います。われわれとしては、消費者が業者をきちんと見極めるための目安というものが必要だろうと思いました。業界のほうからきちんと提供していく、そういうことをしていかなければならないと思っています」と話していました。

jw4.jpgまた、いち早く独自の取り組みを進めている宝飾店もあります。
金の買い取り価格、1日に3回変わることもあるほど、変動が激しいものです。この店では、売り主に必ずその日の価格を正確に提示したうえで、その場では契約せず、本当に売っていいか考える時間を設けるようにしています。

jw1.jpg貴金属の価格高騰の裏で被害が相次ぐ「押し買い」。
消費者を確実に守る対策が求められていますが、個人でできる対策として、国民生活センターは、
▽見知らぬ業者は家に入れないこと
▽怪しい業者が来た場合は、家族や知り合いなどを呼んで、複数で対応すること
などを呼びかけています。

投稿者:吉川香映 | 投稿時間:06時00分

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押し買い。

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受信日時 : 2011年12月20日 00時49分 | 漂流楼閣

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