2019年09月12日 (木)地球にやさしいタピり方
※2019年6月14日にNHK News Up に掲載されました。
東京 渋谷区にある自販機脇のゴミ箱。よく見ると怒りの貼り紙が…。
「タピオカカップ捨てるな!罰金¥10000」
「NO TAPIOKA CUPS」
オシャレなドリンクも飲み終われば、ただのプラゴミ。地球にやさしいタピり方、考えてみませんか?
ネットワーク報道部記者 玉木香代子・牧本真由美・伊賀亮人
いい加減にしてくれ!そのゴミ箱があるのは表参道から脇に入った路地。周囲に10店以上のタピオカ店があるという場所です。
1年ほど前からタピオカドリンクを飲んだあとのカップが勝手に捨てられ、時にはあふれるようになったため「いい加減にしてくれ」と貼り紙をしたそうです。
ボランティアは嘆くNPO「グリーンバード」副代表 福田圭祐さん
17年間、渋谷や原宿でボランティアの清掃活動をしているNPO「グリーンバード」の副代表、福田圭祐さんにこの地域を案内してもらいました。
福田さんによると、ここ1年くらいでタピオカドリンクを販売する店の出店が相次ぐとともにカップやストローなどのゴミが目立つようになったということです。そしてカップが捨てられる状況にはいくつかのパターンがあるそうです。
その1 ゴミ箱塞ぐタピ1つはゴミ箱を塞ぐケース。
「タピオカのカップは缶やペットボトルより太いので入り口を塞いでしまい、ほかのゴミが入れられなくなっているんです」(福田さん)
その2 ゴミ箱あふれさせるタピ続いてゴミ箱をすぐにいっぱいにするケース。大きいもので20センチほどにもなるタピオカのカップは、かさが張るためです。回収が間に合わずにゴミがあふれることもあるそうです。
その3 インスタ後の置き去りタピ3つめは洋服店の横に置き去りにされたカップ。中身も残っています。
「これはインスタ用に写真を撮ったあとに置いていかれたものかもしれませんね」(福田さん)
福田さんは、誰かがインスタ映えするピンク色の壁の前で撮影したあと、置き去りにしたのではないかと推測します。
その4 類は友を呼ぶタピ最後は誰かがカップを捨てた場所に、さらに別の人が捨てていったと見られるケース。“類は友を呼ぶ”のです。
「1人が捨てていくと『みんながやっているからいいや』というふうに次々に捨てられていくんです。まさに“負の連鎖”です。こういう風潮が広がってしまうのが怖いですね」(福田さん)
渋谷でもタピが…
実は隣の渋谷でも似たような状況になっていました。清掃ボランティアに参加した男性が、その時の様子をツイッターに投稿していました。
「最近よく問題視されるタピオカ問題。よくこのようなゴミ溜まりを見つけると、捨ててあるドリンク容器のほとんどはタピオカ。中身も入っており、われわれを苦戦させる。仲間達との『せっかくおしゃれに作られたタピオカがかわいそう』という会話を今でも思い出す」店側の配慮も必要
周囲に迷惑をかけないように楽しむために何が必要なのか。福田さんは何よりも、飲んだあとポイ捨てする人に問題があるとしたうえで、お店側ももう少し責任を持って対応すべきだと指摘します。
「店で買った人が街を移動することを考えれば、各店舗が連携して、他の店の容器でも回収するなどの対応が必要です。街歩きを楽しめる環境を維持するためにも工夫してほしいです」(福田さん)
マイストローにタンブラー
一方、ネット上ではこんな声もありました。
「ちくわストローにしたらタピオカも飲めるんじゃない?しかも飲み終わった後食べられるし、凄いエコじゃない?」
「マイボトル マイストローを流行らせればいいのに。持参したら100円引き、みたいな」
ちくわよりは現実的な太めのマイストロー。渋谷の大型雑貨店を訪ねると確かにありました。アルミ製で750円、専用の掃除グッズも一緒に売られていました。
さらにタピオカ専用のタンブラーも台湾で製作中だそうです。特徴は、飲み物が入ったカップにタピオカホルダーを重ねる構造です。タピオカが沈まず、ストローなしで飲めるのです。日本での販売も検討中
タピオカがレジ袋に?
ところでこのタピオカ。実はそれ自体はとても環境に優しいものとして、国際的にも注目を集めています。タピオカの原料 キャッサバ
タピオカは主に熱帯や亜熱帯に生育する「キャッサバ」というイモの一種から取り出したデンプンでつくられます。このデンプンから地球にやさしいレジ袋ができるというのです。キャッサバのデンプンから作られたレジ袋
作っているのはインドネシアのメーカーで、日本にこの袋を輸入し販売を計画している「横浜国際開発合同会社」によると、デンプンが主な成分のためお湯に入れるとすぐ溶けるほか、自然界で分解されるため、動物が間違って食べても影響がないということです。湯に入れるとすぐに溶ける
ポリエチレン製の袋と比べると価格が高いため国内での販売実績はまだないそうですが、多くの問い合わせが寄せられていて、関心の高まりを感じているといいます。
タピ活中の人たちは
タピオカブームの中、人々が少しずつ気になりだしているカップやストローのゴミ。“タピ活中”の人たちにも聞いてみました。 原宿で会った2人組の女子高校生は「タピオカドリンクはおいしくて、かわいくて、腹持ちがよいので、週に3回ほど飲んでいる」そうです。ごみは駅のゴミ箱に捨てるか、家まで持って帰ると話していました。
また少し前までタピオカが好きすぎてほぼ毎日飲んでいたという女子大学生とその友人は、飲み終わったあとのごみが道路に捨てられているのをよく見るそうで、「タピオカ好きとしてはとても残念」と話していました。
タピオカカルチャーの行方
最後にこの人にも聞いてみました。タピオカドリンクを創作漢字で表現し今、ネット上で話題の人、「もにゃゐずみ」さんです。20代の書道家というご本人はタピオカが“街歩き”や“インスタ映え”という行為とともに広まっていることに興味を覚え、創作漢字で表現することを思いついたそうです。
そして今のブームとゴミの問題について聞くと、「すごく残念に思います。タピオカドリンクはとても楽しいカルチャーだと思うので、ぜひ、マナーを守って続いていってほしい」と話していました。
単なる飲み物を超え、多くの人に愛されているタピオカ。だからこそ、地球にやさしいタピり方してみませんか?
投稿者:玉木香代子 | 投稿時間:15時00分