2019年07月26日 (金)「顔採用」って何よ!?


※2019年3月6日にNHK News Up に掲載されました。

真っ赤な口紅に茶色に染めた髪。従来の就活生のイメージを覆す女性とともに記されたのは「顔採用、はじめます」。
就活シーズン真っ盛りに、化粧品メーカーが打ち出したメッセージ。「この時代に何を言っているの?って思ったらすごかった」。
ネット上で大きな反響を呼んでいます。ここには、これまでの就活スタイルから“脱却したい!”という思いが込められていました。
(ネットワーク報道部記者 玉木香代子・ 田辺幹夫)

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<本当のあなたに会いたい >
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「顔採用とはいっても、もちろん容姿で判断するわけではありません。就活生には『型にはまらない自由さ』を大切にしてほしいんです」

こう話すのは、東京・千代田区にある従業員約350人の老舗化粧品メーカー「伊勢半」の広報担当者。

お決まりのリクルートスタイルに縛られずに、それぞれの個性を表現してほしいという願いを「顔採用」のメッセージに込めました。

ことしの新卒者の採用から、面接は自由なメイクと服装で来てほしいと強調。もちろんノーメイクでもOKです。

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エントリーではインスタグラムで「私らしさ」をテーマにした写真や動画を投稿する仕組みも取り入れることにしました。会社のねらいは「本当のあなたに会いたい」です。

<従来は“自分を抑える”!?>
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大きな採用方式の転換。きっかけは、これまでの採用では学生たちが自分らしさを抑える傾向が目立ったことにあるといいます。

ことし1月に全国の大学生200人に行った調査で、就活でのメイクや服装について質問したところ半数以上が「不自由を感じる」と回答。

一方で、「ふだんどおりのメイクや服装で、自分らしさを表現して就活に臨みたい」と答える学生も半数にのぼりました。就活で“私らしさ”がかい離し、学生の個性や人柄が見い出しにくくなっているのではないか、会社には一つの危機感がありました。

<果たして、その反響は?>
こうした中で新たに打ち出した「顔採用」。会社には例年の数倍に上る勢いで応募の申し込みが来ているそうです。

エントリーでは自分らしさを伝えるものとして学生時代に打ち込んでいたサークル活動の写真を添える人もいるとのことです。新たな面接は4月以降始める予定です。

「伊勢半」のデジタルマーケティング・広報宣伝部 松本智子さんは「企業は顧客や時代のニーズをとらえた新しい着想や柔軟な発想が求められており、そのうえでも豊かな個性ある社員は欠かせず、自分らしさを大事にする人材を確保していきたい」と話しています。

<すでにリクルートスーツ面接をやめた企業も>

広島県の東広島市に本社がある精米機器メーカーの「サタケ」では、8年前からリクルートスーツ不要を打ち出し、思い思いの服装での面接を導入しています。

「リクルートスーツだと緊張してしまう学生もいて、答えがどうしても画一的になってしまう。せっかくいい個性があっても、見えづらい」 そう思った人事部長の発案がきっかけでした。
面接は「ふだん着」「私らしい服」「自分が輝いて見える服」などテーマを年ごとに決めて、就活生たちに「これは」と思うスタイルで面接に臨んでもらうことにしました。

kaosaiyo190306.5jpg.jpg実際の面接のようす

そうすると、日本舞踊が得意な学生は着物姿、アイドルファンの学生はアイドル応援姿、それに手作りのブラウス姿など、学生たちは個性をアピールする格好で面接に臨み、生き生きと自分について話し始めたということです。
「歩んできた人生はみんなそれぞれ違います。私たちが知りたいのは、これまで経験したことをどう表現して、相手に伝えようとしているかです。企業では、周りと一緒に仕事をしなければなりませんので、どうコミュニケーションをとるのか、その人の『人間性』が知りたいと思っています。それを知るためには『ヨロイカブト』を脱いで、自分らしい服装で話してもらうことが、いちばんいいと実感しています」(「サタケ」広報室長・宗貞毅さん)

<企業は何を知りたい?>
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こうしたユニークな面接の傾向をひもとく、1つのデータがあります。

就活サイトを運営する「リクルートキャリア」がことし『就職白書2019』で発表した調査で、学生に「面接でアピールする項目」を尋ねたところ、最も多かったのが、「アルバイト経験」で44%、次いで「人柄」や「所属クラブ・サークル」が32%でした。

それに対し、企業側に「採用基準で重視する項目」を尋ねたところ、最も多かったのが、「人柄」で全体の92%とダントツのトップだったのです。「アルバイト経験」は21%、「所属クラブ・サークル」は7%となり、学生の考えとは大きく隔たりがありました。

kaosaiyo190306.7.jpgリクルートキャリア「就職みらい研究所」増本全 所長

「企業が重視する『人柄』『熱意』『今後の可能性』のトップ3の傾向は、毎年、変わりません。学生は『何をしたか』をPRしがちですが、企業は『何をしたか』より、なぜそれを選んだのか、そして、それを通じて何を学んだのかを知りたがっています。『リクルートスーツからの脱却』という流れや化粧品メーカーの取り組みも、一律的ではなく、多面的にその人らしさを見たいということではないでしょうか」(リクルートキャリア「就職みらい研究所」増本全 所長)
とはいっても、「自由なメイク」や「思い思いの服装」などで人柄をアピールできるスタイルの面接はごく一部で、多くの学生がリクルートスーツを着て「従来型」の面接に臨むのが現状だと思います。

面接を前にした心構えを改めて増本さんに聞きました。
「これまでの貴重な体験、経験を振り返り、ことばにしていってください。その際は何を目標にどんな課題を設定して取り組んだのか、そして、その経験から何を学んだかを語れるように整理してみましょう」

投稿者:玉木香代子 | 投稿時間:13時56分

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