2014年06月20日 (金)変わる"試着"


洋服を買う際に店で行う『試着』の新たな取り組みが始まっています。インターネット通販で洋服を買う人が増える中、ファッションブランドでは、自分たちの商品を選んでもらおうと、さまざまな『試着』のアイデアで客を引きつけようとしています。
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6月17日、東京・池袋で大手ファッションブランドのイベントが開かれました。お披露目されたのが、『バーチャル試着室』です。モニター画面の前に立って好きな服を選ぶだけで試着を楽しむことができます。
huku2.jpg 最新の3D技術が使われていて、動きに合わせた裾の揺れも表現します。試着を体験した女性は、「画像が被さるだけかと思っていましたが、ちゃんと裾が動いてびっくりしました。こういうのもあったほうが便利なんじゃないかと思います」と話していました。
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『バーチャル試着室』は、人通りの多いわずかなスペースにも設置でき、気に入った商品をその場ですぐにインターネット注文できる機能もついています。試着して選ぶ楽しさとネット通販の手軽さを兼ね備えた新たな形を提案し、今後はさらに設置台数を増やしていくことにしています。
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アーバンリサーチ販売促進課の齊藤悟シニアマネージャーは、「お店で試着しているような感覚で体験できるということがポイントです。新しいネット販売の中では、必要不可欠になっていくと思うし、洋服の自動販売機のような使い方もできると思う。」と話していました。
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こうした取り組みの背景になっているのが、ネット通販の急成長です。ファッションサイト『ゾゾタウン』の運営会社は、ことし3月、朝に注文した服が夜届く『即日配送』のサービスを始めました。
huku13.jpg試着できないネットの弱点を克服しようと、ユーザーが投稿したコーディネートを紹介し、気に入った服を購入できる『WEAR』というアプリも好評だといいます。商品取扱高はおよそ1000億円と5年前の5倍に増えています。
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ネット通販を利用するという女性たちは、「携帯電話やスマートフォンで、暇な時間とかにすぐ見られるのがいい」とか、「買い物したいと思ったときに、店に行かずにすぐに買えるのが便利です」などと話していました。運営会社「スタートトゥデイ」の柳澤孝旨取締役は、「一番ネットへの取り組みが遅れているのがファッション業界だ。実際の店舗でなかなか買うことができなかった客が、ネットで簡単に買える仕組みを提供することで、ブランドも我々も売り上げを伸ばしていくことができる。」と話しています。 
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勢いに乗るネット通販に対抗しようと、店舗側も思い切った手段に打って出ました。18日にオープンする東京・渋谷のチェーン店「ジーユー」が新たに考えたのは『試着したまま外出できる』サービスです。女子大学生に実際に体験してもらいました。
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試着はまず、レジで試着して外に出たいことを伝えます。名前と連絡先を店に伝えるだけで、シャツやスカートなど3点まで試着したまま、外に出かけることができます。商品のタグは、店員がはさみで切るため、他の人から見たら試着品とは気づかれません。女性たちは上下とも商品を身につけて、店外に出ることにしました。
huku14.jpg自分たちの私服を紙袋に入れて持ったまま、目指した先は他の店です。実際に街を歩いて着心地を確認できる上、他の店の商品を見ながら、コーディネートも選べます。この新しいサービスについて、女性は「買っていない服を着て外を歩くのは、少しドキドキしました。優柔不断なので、店を何度も往復して買い物することが多かったが、試着しながらその場で見比べられるのは便利だと思います。」と話していました。
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この試着サービス。店側にとってみれば、万引きや服が汚れてしまう恐れがある上、試着して購入されなかった服は販売には回すことができず、マネキンなどに着せて展示用にするということです。まずは今月いっぱい試験的に行い、他の店にも導入するか検討することにしています。ジーユーの柚木治社長は、「お客様にわざわざお店に来て頂いて、そこで思う存分、無料で試着して頂く。リアルに試着するということがすごく重要」と話していました。
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ネット通販が拡大を続ける中、客のニーズを取り込むための競争が加速しています。洋服を店で買うのか、それともネットで買うのか。消費者にとってみれば、今後、ますます選択肢は広がっていきそうです。
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投稿者:成田大輔 | 投稿時間:08時00分

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