2014年03月20日 (木)激化する電子マネー競争


買い物の前にチャージしておけば現金いらずで買い物ができる電子マネー。買い物するたびに金額に応じてポイントがつくものもあり、電子マネーの市場は急速に拡大しています。日本銀行の調べによりますと、電子マネーによる決済の額は主要な8つの電子マネーだけでもおよそ2兆4000億円と5年で6倍以上に増え、その後も新規参入が相次いでいます。激化する電子マネー競争の現状を取材しました。
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【相次ぐ独自の電子マネー】
今月、大手ディスカウントチェーン「ドン・キホーテ」が独自の電子マネーを導入しました。背景には、来月の消費税増税で売り上げが落ち込むことへの危機感があります。電子マネーは物を買う前に客が現金をチャージしますが、いったんチャージすれば他の店で使うことができないため、客を囲い込んで売り上げが確保できると考えたのです。ポイントサービスに加え、電子マネーの利用者には10円未満を切り捨てる新たなサービスも用意しました。
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「ドンキホーテホールディングス」オペレーション統括本部の森屋秀樹部長は「他社の電子マネーにはない新たな付加サービスも多数用意しているので、間違いなく競争に勝てるとにらんでいます」と話していました。
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一方、飲食店検索サイト「ぐるなび」でも、去年から飲食店で使えるスマートフォン用の電子マネーを導入しています。今、力を入れているのが、チャージ代と飲食代の最大45パーセント相当のポイントが還元される、期間限定のキャンペーンです。増税後の消費の落ち込みの影響を大きく受けると見られている外食産業。「ぐるなび」の栗田朋一広報グループ長は、「電子マネーを使ってもらい、増税による外食控えをなくしていきたい」と話しています。
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【客の財布を囲い込め】
電子マネーの市場は急速に拡大しています。業界大手の「イオン」は7年前に独自の電子マネー「WAON」を導入しました。グループ内外を問わず、コンビニや外食チェーンなどと次々と提携を進め、現在、全国17万か所以上で利用できるほか、地方進出を進めようと全国の自治体や観光地などと連係して「ご当地電子マネー」も作り、全国規模で客の囲い込みを進めています。
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「イオンリテール」電子マネー推進本部の上山政道本部長は「すでに3900万枚の電子マネーを発行していて、今後、数年で全国の全世帯、5400万世帯に普及させたい」と話しています。
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【地方スーパーも危機感】
大手企業がシェアを広げる中、地方では危機感が強まっています。
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このうち、熊本県で21店舗を展開するスーパー・「ロッキー」では、ことしの夏に独自の電子マネーを導入しようと準備をすすめています。大手が電子マネーで客を次々と囲い込む中、安売りなど従来のままの戦略では太刀打ちできないと考えたからです。
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竹下光信社長は、「相当に危機感があります。商品を並べて売るだけでなく電子マネーを使ってどういう差別化ができるかがこれから生き残りをする戦略というか、前提ではないか」と話していました。
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こうした危機感は全国に広がっています。東京・港区にある電子マネーのシステム開発業者「レピカ」には、地方のスーパーなどからの問い合わせが殺到しています。
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「レピカ」の井上浩毅事業部長は「去年の今頃に比べて2倍から3倍の問い合わせの数になっている。特にスーパーや量販店からの問い合わせが増えている」と話していました。
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【ターゲットは高齢者】
地方に広がる電子マネー。成否の鍵を握るのはお年寄りです。愛媛県に本社があるスーパー「フジ」は、大手への危機感から1年前に電子マネーを導入しました。当初はお年寄りに敬遠されるのではないかと心配していましたが、いざスタートしてみるとお年寄りが次々と利用し始めました。
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財布の中で小銭を探すのが大変。年金暮らしの中、ポイントを使って少しでも節約をしたい。こうした高齢者の需要を捉え、1年で利用者は130万人、支払い全体の3割を電子マネーが占めるまでになりました。
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実際、お年寄りの買い物客からは「お財布を持ち歩かなくていいというか、小銭を使わなくていい」とか、「ポイントをたくさん貯めておいて使います」といった声が聞かれ、中には月に8万円も使っているという人もいました。
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「フジ」の清水弥生広報係長は、「ここまで大きな利用状況になるとは想定していなかった。 電子マネーの市場は今後も伸びていくのではないか」と話していました。
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【注意が必要な点も】
一方で、電子マネーには注意が必要な点もあります。電子マネーは、いったんチャージしたら原則として払い戻しができなかったり、ポイントの価値も法律で規制されていないため企業の都合で変動してしまう可能性があるのです。また、企業側は個人情報や買い物の履歴をマーケティングに利用していますが、こうした個人情報をきちんと管理しているかも大切な点です。

電子マネーに詳しい成城大学経済学部の中田真佐男教授は、「ポイントの価値が変わる可能性があることや個人情報を企業に提供していることを自覚した上で、納得できた電子マネーしか使わないという姿勢が大切だ」と指摘しています。

【拡大続ける電子マネー市場】
野村総合研究所の調べでは、電子マネーの市場規模は4年後には5兆円を超えると見られています。地方のスーパーをも巻き込んだ電子マネー競争は、今後も激しさを増していきそうです。
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投稿者:成田大輔 | 投稿時間:08時00分

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