2013年09月30日 (月)増税に備える商店主たち


価格競争では大手のスーパーなどにはかなわない小規模な小売店では、消費税率が引き上げられると、客足が遠のいてしまうのではないかという危機感が広がっています。どうやって乗り切るか。知恵を絞っている現場を取材しました。

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 「かければたちまちイタリアン」店頭に掲げる商品の広告、POPです。東京・銀座で開かれたセミナーには、消費税が引き上げられても消費者の購買意欲を引きつけようと、商店主たちおよそ30人がPOPを学びに集まりました。

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 講師を務めたデザイン事務所の山口茂さんは「消費者は、消費税は5%から8%に3%分上がるのではなく、8%になるという意識になる、だから高いと感じる」と指摘しました。

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 税率が引き上げられた場合、固くなる消費者の財布のひもをどう緩めるか。セミナーでは、トマトソースをお題に思わず手に取りたくなるような絵やキャッチコピーを考えていきます。POPに「イタリアンマンマの味」と書いた女性には「イタリアンマンマの味となったら、自分は意味が分かるんだけれども、お客様にとってみると逆に分かりづらくなってしまう」と指導していました。たとえ値段が上がっても、商品そのものの魅力をPRして客を逃がすまいと必死です。 

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 参加者の女性は「やっぱり安いもの安いものという方にいってしまうのではないかという気持ちはありますよね」と不安を口にしていました。山口さんは「お客様は完全に全てのものは高いという風に感じていく。今、大事なことは何かというとこの商品はこんないい商品ですよということを熱心に伝えていく事だと思います」と話しています。

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 税率が引き上げられても乗り切る秘けつを商店街から学ぼうという動きも広がっています。年間およそ1900万人が訪れる鎌倉の小町通り商店会を、コンサルタントの案内で商店の経営者など8人が視察に訪れていました。

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 千葉県野田市で酒屋を営む町田好昭さんも参加者の1人。税率が引き上げられた分を自分で負担する余裕はありません。町田さんは「価格競争で、同じ商品でも値段が安い方にどうしても流れますので、その辺は大きな資本にはかなわない。価格とかに頼らない商売をどうにかこの商店街で見つけたい」と話していました。

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 たとえ観光地でも待っているだけでは客は入ってきません。注目したのは、人気店がいかに客を引きつけているかという点です。明治元年創業のあめ屋は、店頭で実演販売しながら客と積極的にコミュニケーションすることを意識していました。

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 アクセサリー店は店頭も利用して商品を全て並べることで客に見てもらいやすくする工夫をしています。店員の女性は、「店の中に入ってくる方は3割くらい。なるべく外で見やすいようにしていますね」と話していました。

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佃煮店ではリピーターをつかむため、試食にあわせて夏は冷たい、冬は暖かいお茶を無料で振る舞っていました。町田さんが「消費税が上がると価格を上げますか」と尋ねると、店員の女性は「まあそうなると思います。一時的に売り上げが落ちるかもしれないけれど、気持ちいい売り場を心がけている」と話していました。

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 視察を主催したコンサルタントの谷田貝孝一さんは、「細かい心配りの積み重ねが客との結びつきを強めていきます。お客様の声をどれだけ聞いているかという事が大事で、お客様の声をちゃんと聞いている店は消費税がアップされてもそれにおこたえできる」と話していました。

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町田さんは今までは商品をただ並べるだけで、客の目線をあまり意識してきませんでした。視察の後、店に戻ると、さっそく売り場の改善に取り組みました。何を売っているか分からなかったエコバッグコーナーには、酒やしょう油などを一緒に並べました。客に分かりやすいよう好きな商品をバッグに詰めて贈ることができると書き加えました。店の前を通る人にも知ってもらえるように段ボールで手作りの看板も作りました。お酒の試飲サービスも行いたいと考えています。

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 町田さんは「やっぱり売れているお店っていうのはすごく自信を持って消費税に立ち向かっているので一日一日いろいろ工夫してきょう学んだことをいろいろと反映させていきたい」と話していました。税率が引き上げられた場合、売り上げが落ち込まないようにどうやって乗り切っていくのか。商店主たちの試行錯誤が始まっています。

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鎌倉市では、消費税率が引き上げられることを見越した商品券も登場しました。鎌倉市民なら、市内の450店以上で使える商品券が、1万円で1万1000円分購入でき、消費税率を上回る10%分お得に買い物することが出来ます。法律で定められた税率の引き上げのタイミングの、来年4月と再来年10月にも発行するということです。

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投稿者:成田大輔 | 投稿時間:06時00分

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