2013年04月10日 (水)若い人に人気 "プチギフト"


最近、コンビニや駅なかのショップ、デパートなどで、数百円程度のリーズナブルな小分けのお菓子が増えています。このようなお菓子を、20代までの若者の半数以上が、“ありがとう”という気持ちとともに贈っていることが、広告代理店の調査で分かりました。なぜ、若い人の間でこうした「プチギフト」現象が広がっているのか、背景を調べてみました。
20130410gift1.jpg

【「プチギフト」があると感謝の気持ちが“より”伝わる?】
先月、訪れた東京・表参道に面したキャンディーショップには、「thank you」とメッセージが描かれたアメなど、さまざまな色や形のアメが並び、店内は10代から20代の男女でにぎわっていました。友人と店を訪れた女性は、「仕事でお世話になっている人にあげます」と購入したばかりの商品を見せてくれました。また、一人で数種類のアメを購入した女性は「ちょっとしたものがあった方が、“ありがとう”の気持ちが伝わるのではないかと思って・・・」と話してくれました。
20130410gift3.jpg“ありがとう”という気持ちを「形」でも示すプチギフト。ちょっとしたお礼、感謝の気持ちとともに贈る若い人が増えています。大手広告代理店 電通の調べによりますと、20代までの若者の半数以上が、このプチギフトを贈ったことがあるというのです。

【SNSが後押し 「いいね!」の影響も?】
こうしたプチギフトが広がる背景の一つは、インターネット上の交流サイト=SNSの普及です。
20130410gift5.jpg大学3年生の糠谷貴広さんと能見明日香さん。2人も、よくプチギフトを贈るそうです。この日、糠谷さんは、能見さんに、社会学のノートを貸してもらったお礼としてお菓子を贈りました。糠谷さんは、“ありがとう”という感謝の言葉と一緒にお菓子をいくつかセットにして渡すことが多いということです。
20130410gift6.jpg能見さんのフェイスブックには、以前、糠谷さんからもらったお礼のお菓子の写真がアップされています。写真の下には、共感を示す「いいね!」のマーク。16件は押した人の数を示しています。
20130410gift7.jpgフェイスブック上の2人の友達の数は合わせておよそ700人。共通の友人も多く、アップされた情報は一瞬にして共有されます。「いいね!」を押したのは2人の共通の友達だということで、糠谷さんは、「いいね!」の数を見ながら、「共通の友人やいろいろな人が見ているところで写真をアップしてくれるのは嬉しいですね」と話してくれました。
20130410gift9.jpg『別のお菓子をあげたら、また、アップしてくれるかな?「いいね!」の数が増えるかな?と考えてしまいませんか?』と記者が質問すると、糠谷さんは、「確かに、別のお菓子をあげたら、またアップしてくれるかな?と、ちょっとは期待しちゃいますね」と本音も話してくれました。電通がプチギフトを贈ったことのある若者を対象した調査では、フェイスブックをよく利用する人の場合、通常の若者より多い72%がプチギフトを「習慣」にしていることも分かっていて、プチギフトは、若い人の自己アピールの一つとなっていたり、SNSの「いいね!」が、プチギフトを贈る動機にもつながっていたりするということが垣間見えました。
20130410gift10.jpg【オフィスのプチギフトは処世術に】
オフィスシーンでは、プチギフトが処世術の一つとして使われているようです。
20130410gift11.jpg東京・渋谷にある大手IT企業のオフィスです。女性のデスクの脇には、小分けのクッキーやアメなどを入れた箱。入社間もなく、同僚に質問したりお願いをしたりすることが多いということで、その際に、お菓子を持って行くと打ち解けやすいということでした。
20130410gift12.jpgこちらの女性は、引き出しの中にありました!プチギフトのストックです。
20130410gift13.jpgお菓子は、「コミュニケーションを円滑にはかるためにも欠かせないアイテム」ということでした。
20130410gift14.jpg
入社2年目の中澤理香さんのデスクにも、いろいろなお菓子を入れた箱が用意されていて、お菓子は切らすことなく購入しています。この日は、急ぎの仕事をお願いした同僚に、「忙しいところ助かりました」というメッセージとともにお菓子を贈りました。
20130410gift16.jpgもらった男性は、「お菓子を一緒にもらうと嬉しいし、また何かあったら協力しようという気になります」と話してくれました。仕事を円滑に進めたり、お願いしたり、プチギフトは業務を円滑に進める上で、一役買っているようでした。
20130410gift17.jpg中澤さんは、「大学生時代と違って社会人になると、つきあう相手の年齢も性別もバックグラウンドも異なるので、会話やコミュニケーションのちょっとしたきっかけとなるお菓子は処世術の一つなのかもしれない」と話していました。
20130410gift18.jpg【若い世代ならではのアンテナ プチギフトを後押し】
このプチギフト、SNSで友人からの反応を気にしたり、自己アピールに使ったり、オフィスではコミュニケーションのきっかけにしたり、いろいろ気を遣って大変なように思えますが・・・。本人たちは、肩肘張らずに楽しみながら贈り合っているようでした。こうした現象が広がる背景には、周りとの協調性を重視する若い世代の特徴が影響していると専門家は指摘しています。電通 若者研究部の吉田将英さんは、「20代の若い世代は、小さいころから、競争よりも協調を重視する教育を受けてきたこともあり、自己主張をするよりも、相手はどう考えているのだろう?こうしてあげたら相手は喜んでくれるのでは?というようなアンテナを他の世代よりも強く持っていると思います。このため、相手に何かを贈って喜んでもらうことが自分にとっての喜びであり、ひいてはそれが自分らしさのアピールにもなっていくということで、互いにギフトを贈り合うという現象が盛んに行われているのだと思う」と分析してくれました。
20130410gift19.jpg【プチギフト市場も広がる】
こうしたプチギフトの市場を狙って、コンビニや駅なかのショップでは、お手ごろでもオシャレに見える輸入菓子の取り扱いを増やしたり、デパートでも、個別包装のお菓子の販売を強化したりしています。例えば、コンビニ大手 ローソンのプライベートブランドのお菓子のパッケージには企業のロゴや価格の表示がありません。これは、自分へのご褒美としてだけでなくギフトにも利用してもらおうという狙いで、売れ行きは好調だとしています。
20130410gift20.jpgこうした商品は、今後も増えていきそうです。日本には、お中元、お歳暮など古くから贈り物の習慣がありますが、若い人を中心に、利用が減少傾向にあります。一方で拡大するプチギフト。若者らしい背伸びをしない新しい感謝の形は、新しい習慣として定着するかもしれません。
 

 

投稿者:清有美子 | 投稿時間:06時10分

トラックバック

■この記事へのトラックバック一覧

※トラックバックはありません

コメント

※コメントはありません

コメントの投稿

ページの一番上へ▲