2013年01月22日 (火)グリー 未成年者への課金上限超え5500人に


ソーシャルゲーム運営会社大手の「グリー」が、未成年者に対して自ら設けている1か月の利用金額の上限を超えて課金し、4か月に渡って公表していなかった問題で、多く課金した未成年者の数が当初の発表の8倍近い5500人に上ることが新たに分かりました。なぜ、これほど上限超えが広がったのでしょうか。

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【ソーシャルゲームの仕組みとトラブル】
ソーシャルゲームとは、携帯電話やスマートフォンを使って、インターネット上で他のユーザーと交流しながら遊ぶゲームのことを言います。多くの場合、最初は無料で始められますが、ゲームを先へ進めていこうとすると必要なアイテムなどを有料で購入しなければなりません。

アイテムは、「ガチャ」と呼ばれる1回300円程度の電子くじで引き当てる方式が多く、欲しいアイテムがなかなか当たらず、くじを引き続けてゲーム会社から多額の利用料を請求され、トラブルとなるケースが相次いでいます。

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全国の消費生活センターに寄せられる相談件数は、平成24年度がこれまでに3600件余りに上り、すでに前の年度を上回っています。このうち未成年者が関係する相談がおよそ2割を占め、そのほかの消費者トラブルと比べて未成年者の占める割合が高いのが特徴です。

【上限を超えて請求】
トラブルが相次いだことを受け、ソーシャルゲーム運営会社各社は対策を進めていて、このうち大手の「グリー」は去年4月から1か月に利用できる金額を、▼15歳以下は5000円まで、▼16歳以上19歳以下は1万円までに制限しています。

20130119gree-31.jpgこの対策について、グリーは今月7日、プログラムに設定ミスがあり、クレジットカードで決済した場合、制限されない状態が去年9月7日まで続いていたと発表しました。グリーは去年9月にこの問題を把握した後も公表せず、問い合わせがあった1件についてだけ返還していました。

20130122gree-3.jpgこの時点では、上限を超えて請求したケースは733件、総額は2800万円余りとしていました。しかし、今月18日になって、上限を超えたケースは当初の発表の8倍近い5500件、総額は4900万円に上ることを明らかにしました。

【上限超えが大幅に増えた理由】
ソーシャルゲームの利用料の支払いは、毎月の携帯電話料金に上乗せする方法や、クレジットカード、プリペイド、ウェブマネーなどさまざまな方法から選ぶことができます。

当初のグリーの説明では、不具合が生じたのはクレジットカード決済のみでそれ以外は問題ないとしていました。しかし、最近になって、未成年者として登録されているすべてのユーザーを改めて調査したところ、カード決済以外でも上限を超えて課金しているケースが多数見つかったということです。

20130122gree-2.jpg新たに分かった上限超えのケースは3つ。
①各ゲームの「月額コース」に、制限が始まった去年4月1日以前に複数申し込んでいて、1か月の総額が制限を超えた状態が続いていたケース。
②電子マネーの1つ「楽天Edy」の決済について、プログラムの設定ミスで制限がかかっておらず、上限を超えて課金したケース。
③他社の電子マネーで決済を行い、その情報がグリーのサーバーに入るまでのタイムラグに、他の方法で決済を行って上限を超えたケース。

グリーは当初、上限超えはクレジットカード決済を利用している未成年者のみで、関係するのは課金している未成年者の1%程度に過ぎないとしていました。しかし、新たに分かった①や③のケースは、携帯電話料金に上乗せする方法で決済しているユーザーも関わってきます。課金している未成年者の98%は携帯電話料金に上乗せしているため、課金しているほとんどの未成年者が上限超えする可能性があったことになり、実際に上限超えが大幅に増えることになったのです。

20130122gree-4.jpgグリーは今回の問題についてホームページに「おわび」を掲載するとともに、新たにフリーダイヤルを設けて返金などの相談に応じています。(フリーダイヤル:0120-266-016 平日午前10時~午後9時 土日祝午前10時~午後6時)

【健全化をどう進める?】
ソーシャルゲーム業界の市場規模は平成23年で2800億円で、5年前の700倍に急成長した勢いのある業界です。各社は海外展開も進めていて、国も期待を寄せる日本の数少ない成長産業と言われています。

20130119gree-21.jpgその一方で、全国の消費生活センターには「高額な利用料を請求された」などといったトラブルの相談が相次ぎ、消費者庁は去年、一部のゲームの仕組みを景品表示法に違反するとして規制しました。また、各社も去年11月に業界団体「ソーシャルゲーム協会」を設立し、自主規制に向けた取り組みを始めたところでした。ソーシャルゲーム業界にとって、今後、成長を続けていく上で、トラブルを減らし、透明化を進め、健全化できるかどうかが鍵を握っているのです。

そうした中で起きた一連の問題。ソーシャルゲーム協会は今月20日、グリーに対し、再発防止策をまとめて報告するとともに、早急に対応するよう求めるというプレスリリースを出しました。

20130119gree-102.jpgまた、森まさこ消費者担当大臣は記者会見で、問題を社内で把握した当初に公表しなかったことについて「消費者の信頼確保のため速やかに公表すべきだった」と述べ、事業者には適切な情報提供が求められるという考えを示しました。

【今後も対策が必要】
グリーはクレジットカード決済については問題が分かった去年9月の時点でプログラムを改善しています。また、新たに分かった不具合もすでに対策をしています。しかし、未成年者の消費者トラブルがなくなったわけではありません。

実は各社の未成年者の利用制限は、すべて対応できているわけではないのです。例えば親名義の携帯電話を子どもに貸し与えているケース。年齢を偽ってサイトに登録しているケースなど、未成年者でも制限を超えて利用できる抜け道がまだあります。こうしたケースをどう防いでいくのか、各社には対策が求められます。

本来、有料のゲームだと認識して遊んだ場合、料金は支払うのが原則です。また、親などのクレジットカードを子どもが使った場合は、親の管理責任を問うべきだという議論もあります。しかし、射幸性が高く、子どもたちが意図せず高額の利用料を請求されるケースが相次いでいる現状を各社が真摯に受け止め、対策をしていくことが、社会に認められ、産業として定着して成長していくためには必要不可欠なのではないかと思います。

投稿者:吉川香映 | 投稿時間:06時00分

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