2013年03月07日 (木)望まない妊娠~女性たちの現実~


妊娠がわかったときに、女性自身が妊娠を喜べない、前向きに捉えることができない状況に陥る「望まない妊娠」。そこには経済力のなさ、パートナーの不在、未成年での妊娠など様々な理由があります。全国各地で産まれたばかりの赤ちゃんが捨てられる事件が相次ぐ中、その背景としても「望まない妊娠」が指摘されています。
こうした望まない妊娠をした女性たちの出産を手助けし、産まれた子どもを養子に出す活動をしているNPO法人を取材しました。
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茨城県土浦市のNPO法人「Babyぽけっと」には、全国各地の妊娠に悩む女性たちから、毎日のように昼夜問わず、相談が電話やメールが寄せられています。その数、年間700件にのぼります。
20130307ninsin_001.jpg経済力がなく妊娠中にも関わらず住む家がない、出産間近なのに一度も病院に診てもらっていないという相談は少なくありません。
そこでNPOでは、無料で部屋を提供し、病院にも通わせて出産までの面倒をみています。代表の岡田卓子さんは「一番、身近で救ってもらえるはずの家族には言えない、誰にも言えない、友達にも言えない。経済力がなく生活できないという女性が多い」と話していました。
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このNPOが用意した寮に、妊娠9か月でやってきた26歳のさおりさんという女性に話しを聞かせてもらいました。
さおりさんは、18歳で東北地方から上京し、ずっとキャバクラで働いてきました。妊娠に気づいた時にはすでに中絶できる時期を過ぎていて、相手の男性に告げると連絡は途絶えた言います。妊娠したことで働いていた店をやめ、借りていた部屋の家賃も払えなくなり、大きなお腹を抱えながら、マンガ喫茶で過ごす日もあったといいます。親を頼ることもできず、インターネットで見つけた岡田さんのNPOを訪ねました。
20130307ninsin_003.jpgさおりさんは「家で1人で産んでしまっても、その後どうしていいのか分からないし、本当に行くところが全くない状態で子どもを抱えることになってしまうので、それよりましだろうと、ここに来た」と話していました。
20130307ninsin_004.jpgNPOでは、こうした妊娠に悩む女性たちを受け入れる一方で、産まれた子どもを養子に迎えたいという夫婦のために、毎月、説明会を開いています。養子を希望する夫婦は増え続けていて、去年はおよそ80組の夫婦が希望しました。ほとんどが不妊治療を何度も繰り返したけれども子どもを授からなかったという夫婦です。
参加した夫婦に話しを聞くと、「産まれてすぐに遺棄されて亡くなったというニュースを見ると、すごくつらくて、うちの前に置いていってほしかった」とか、「自分たちはどうやっても命を生み出すことができなかった。どんな子どもでも育てたい」と話していました。
20130307ninsin_005.jpgNPOの寮にやってきたさおりさんは、1ヶ月後に出産の日を迎えました。
さおりさんは3日間にわたる陣痛の末、およそ3900グラムの元気な女の子を出産しました。
通常でしたら、出産後に母乳を与えたり、母子は同じ部屋で過ごしますが、NPOに来た女性たちは、子どもと触れ合うことはできません。養子に出す気持ちが揺れると、将来のことを考えると女性自身がつらくなるとNPOでは考えているのです。
20130307ninsin_006.jpgそして出産から9日目、さおりさんがNPOの寮を出る日。寮を出ることは、生まれた子どもを養子に出し、別れることを意味します。養子についての書類にサインをした後、岡田さんがさおりさんに「どんな親になってほしいか、どんな子どもになってほしい」か希望を聞くと、さおりさんは「近くにいてあげてほしい。それは私が1番できないことだから」と答えていました。
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NPOでは、別れる時に一度だけ我が子を抱いてもらいます。
病院でガラス越しにのぞいても赤ちゃんはいつも寝ていて、起きている顔を見ていないと話していたさおりさん。最後だけは、大きな瞳をぱっちりと開いて、赤ちゃんはさおりさんをじっと見つめていました。
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岡田さんが赤ちゃんを抱っこして、部屋から出て行った直後・・・。ドアが閉まり、子どもを姿が見えなくなると、それまで平静を保っていたさおりさんが泣き出しました。次々に涙がこぼれ落ちていました。
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赤ちゃんは、福岡県の夫婦が新しい親に決まりました。赤ちゃんが来るのを心待ちにしていた夫婦に、小さな命は引き継がれました。
20130307ninsin_010.jpgNPOの岡田さんは「新しい家族を作ったら次は、赤ちゃんを生んだ実親さんが立ち直って幸せをつかんでほしい。本当の意味でのゴールはまだ先だと思う。長い時間をかけてこれまでの生き方を反省しながら、最後は幸せになってもらいたい」と、話していました。
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NPOにやってきた女性たちに話しを聞くと、「男性に妊娠を告げたけれども、一緒に育てようという意思が全く伝わってこなかった」という女性や、「相手の男性とは連絡がとれなくなった」という女性が数多くいました。女性に子どもを産んで育てたいという思いがあっても、男性の態度によって、結果として「望まない妊娠」になってしまったということもあります。
妊娠したことによって仕事を失い、男性にも逃げられ、生活の基盤すべてを失う女性たちがいるという現実がある中で、このNPOの活動を通し、こうした行き場をなくした女性を救うことが、小さな命を救うことにつながるということを強く感じました。
                                        
 

投稿者:村石多佳子 | 投稿時間:06時00分
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コメント

ただただ…
身を切られるように
悲しくて
切なくて…

私は夫と4人の息子と暮らしていますが
それが
どんなにラッキーなことなのか
思い知らされます。

どうか
命をこの世に送り出した女性たちが
前を向いて生きていてくださること
切に願います。

投稿日時:2013年03月08日 12時22分 | さいきみなみ

避妊をせずに、望まぬ妊娠が増える昨今。

育てる気がないなら、避妊具なしの性行為は絶対にやめてほしい。

生まれて来た子供も、本当の親の顔が見れなくて将来悲しくなるだけかもしれない。

一人の子供を育てるのにどれだけの費用がかかるのかしっかり理解してから、覚悟を決めた上で生んでほしい。

投稿日時:2013年03月09日 09時06分 | 

番組は、リアルタイムで拝見していました。
そして、「望まない」というタイトルに疑問を持ちました。
取り上げられた人の中には、自分の「勝手」から子供を身ごもり、更に、手放す時には涙を流す「勝手」な人もいました。

「望まない」という表現は、自分の無知や、身ごもる可能性を考慮せず行為に及んだ人は含まれない気がします。
あくまでも、暴行によってなど、本人の意思が全く関与していない妊娠に使うべき言葉ではないでしょうか?

投稿日時:2013年03月09日 17時10分 | さえこ

家庭の必要な児童にとっていい活動だと思いますが
お産後赤ちゃんを見て抱っこし、授乳して
それでも育てられない、と決意できたならば
お母さんのその決意は本物だと思います。
抱っこしたりしないままで
後に後悔しないのでしょうか。

実親さんの住む寮はこの女性の持ち物で
家賃や光熱費・食費は全部
この代表の女性ではなく育ての親になる人が払う、
また寄付が必須ということは
育ての親の説明会で聞きました。

投稿日時:2013年03月09日 19時45分 | しゃちほこ

苦しむのはいつも女性…
ここに登場する女性たちは軽はずみな行為で妊娠に至ってしまったもかもしれませんが、その行為の結果は女性だけが負うのが現実。

「新しい家族を作ったら次は、赤ちゃんを生んだ実親さんが立ち直って幸せをつかんでほしい。本当の意味でのゴールはまだ先だと思う。長い時間をかけてこれまでの生き方を反省しながら、最後は幸せになってもらいたい」

という岡田さんの言葉に、同じ女性として同感します。

投稿日時:2013年03月09日 23時17分 | サチ

ブログ村(養子縁組)からきました。
こちらの活動でたくさんの幸せな養子縁組家族がうまれていることは、ずっと嬉しく拝見していました。

育てられない子どもを身ごもることは、避けて欲しいとは思いますが、逃げてしまう勝手な男性も後を絶たないことでしょう。そんな男性にすがっていくよりも、真剣に子どもを望む家庭に託していただきたいと、心から願っています。

養子縁組した娘も成人しましたが、「中絶されずに産んでもらって幸せだ」「養子で不幸だと思ったことは一度もない」と言ってくれます。

知識が無くて追い詰められる若いお母さんがなくなりますように、命を消される赤ちゃんがなくなりますように、と日々願っています。

投稿日時:2013年03月10日 17時13分 | うさぎママ

「妊娠を告げたら男性から連絡がとれなくなった」
という女性たちにし、本当に悲しくなりました。

赤ちゃんの誕生は、ある意味、奇跡ともいうべきことなのに、
それを歓迎できない状況にしている男性たち。
避妊をしないとどういう可能性があるかを知らない
ということはないと思います。
あまりに無責任すぎます。

同じ女性として、「実親さんたちが立ち直って幸せをつかんで
ほしい。本当の意味でのゴールはまだ先だと思う。長い時間を
かけてこれまでの生き方を反省しながら、最後は幸せになって
もらいたい」という言葉に深くうなずきました。

投稿日時:2013年03月12日 12時50分 | としちゃん

赤ちゃんはお母さんの初乳を飲ませないと免疫力がつかないと昔テレビでやっていたけれども、この赤ちゃんはどうなんでしょう?

投稿日時:2013年03月17日 06時19分 | 吉敷

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