2011年10月04日 (火)有料老人ホーム 契約トラブルを防ぐには


千葉県にある有料老人ホームです。入居するお年寄りたちが、思い思いに趣味を楽しんでいます。入居者の最高齢は103歳の女性です。
入居者は「もしここに来なければ、家に篭もりきりになっていたかもしれない」「平和に何も心配なく、老後を平静に送りたい」などと話していました。

20111004011.jpgきょうは、お年寄りが暮らして、介護や食事などのサービスを受けられる「有料老人ホーム」のトラブル防止についてお伝えします。

厚生労働省によりますと、有料老人ホームは、おととしには全国で3500か所。5年間で3倍以上に増えました。これに伴って、利用者と施設側との間のトラブルも増えています。国民生活センターによりますと、相談件数は平成13年度にはおよそ100件でしたが、毎年増え続け、昨年度は540件余り。今年度もそれを上回るペースです。
特に多いのが、入居の際にまとまった額を支払う「入居一時金」を巡るトラブル。家賃の前払いなどとして支払うものです。

20111004012.jpg首都圏に住む70代の女性は、去年4月、夫が有料老人ホームに入居しました。しかし、その2週間後、夫は体調を崩して急きょ入院。そのまま亡くなりました。その後、入居一時金350万円の返還を求めましたが、ホーム側は応じませんでした。
「本当に2週間だけですよね。当然戻るんだろうなと思って」と女性は話しています。

20111004013.jpg契約書には、入居一時金は、入居してから90日以内に申し出れば、経費を除いて全額を返還すると明記されていました。しかし、ホーム側は、入居者が死亡した時点で契約が終了しているため、終了した契約は解除できないうえに、契約時に説明も行ったと主張。現在もお金は返ってきていません。
女性は「老人の皆さんを扱っている仕事なら、もっと誠心誠意に応じていただきたい」と話しています。

トラブルの増加を受け、業界団体や各地の自治体が対策に乗り出しています。

東京都では、今年度、新たに有料老人ホームを選ぶ際のチェックシートを作成、注意を呼びかけています。ポイントは、まず、契約書など必要な書類を必ずそろえることです。

20111004014.jpg東京都消費生活総合センターでは「契約内容を理解するという意味で、書類を入手して契約内容を確認すること。分からなければ説明を求めることです」と話しています。
次に、お金に関する点を細かく確認。入居一時金の返還条件などに目を通すことが大切です。
センターでは「契約・解約に関する相談が多いということがみられたので、東京都の中で横断的に組織を作って注意喚起しています」と話しています。

一方、個人でチェックしきれない人たちのために、ホームの見学に同行するサービスも始まっています。

どんなことを確認するのか、実際にホームに行って教えてもらいました。行政書士の竹本美恵子さんです。遺言や相続などについて、高齢者の相談に乗る傍ら、このサービスを立ち上げました。
竹本さんは「基本的な料金が低額に抑えられていても、プラスでいろんなことを頼むことで料金が加算されてしまいます。実際にかかる費用を教えてもらい、払えることを納得してホームに入ることが大切です」と話しています。

20111004016.jpg竹本さんがアドバイスするのは、入居一時金や毎月の利用料金に含まれない追加サービスなど、見落としがちな費用の確認です。
「お買い物についていってほしいという場合、費用はどうなっていますか?」「介護度がどんどん上がった場合や認知症が出た場合はどう対応しますか」などとホーム側に聞いていきます。
入居当時は使わないサービスでも、介護が必要になったり、病気になったりする可能性も見越して確認するのが大切だといいます。さらに、設備についても細かくチェックしていきます。

竹本さんは「施設から一とおりの説明を受けますが、どうしても難しいこととか、長時間にわたると集中力も切れますし、質問したいんですが、こう言ったら悪いかなと、遠慮する年配の人が多いと思います。代わって質問することが、その方にとってしっかり調べてホームを選んでいるんだという安心感につながりま す」と指摘しています。

入居一時金のトラブルが多い理由はどこにあるのでしょうか。そもそも、何のためのお金なのかが、あいまいだからです。数千万円かかる施設もある一方 で、全く支払う必要がないところもあります。施設側は、「家賃の前払い」や「その施設に住むための権利金」と説明することが多いのですが、月々の利用料は別途に徴収しているのが実態で、取材をしますと、「理屈はなく、慣例だから」と答える施設もありました。

入居一時金は、ことし6月に法律が改正されて、家賃の前払いなど限られた名目のもの以外は認められないことになりました。また、入居してから90日程度の一定期間内に解約した場合、経費を除いた全額を利用者側に返すよう義務づけられることになりました。しかし、法律が施行されるのは来年4月で、まだ半年あります。一部については、導入まで3年猶予されます。まだ、トラブルが起きる可能性があります。

それでは、入居一時金については、契約前にどのようなことを確認しておけばいいのでしょうか。

20111004017.jpg契約を解除した場合、どれだけ返還されるのか、死亡した場合も戻ってくるのか、などといった点について、チェックしておく必要があります。チェックを行うためのリストは、都の消費生活総合センターや都庁に置いてあるほか、インターネットでも都のホームページからダウンロードできるようになっています。(http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/06/20l6f700.htm)

万一、トラブルに巻き込まれてしまったらどうすればいいのでしょうか。

最寄りの自治体にある消費生活センターや弁護士会などに相談窓口があります。ただ、そうならないように、時間をかけて調べ、施設への支払いやサービス内容について十分納得したうえで契約を結べば、トラブルの多くは防げると思います。

投稿者:三瓶佑樹 | 投稿時間:06時00分

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