2012年01月24日 (火)どうなる 新しい在宅介護サービス
ことし4月から、介護保険制度の下で、新しい在宅介護のサービスが始まります。
サービス名は「定期巡回・随時対応サービス」。難しい名称ですが、これまでのサービスとの違いは、訪問回数と時間です。以下の図をご覧ください。
左の現在の訪問介護サービスの例でみると、訪問する回数は1日1,2回と少なく、1回当たり30分や1時間単位でサービスが提供されています。これに対して、右の新しいサービスでは、1日に何度もヘルパーや看護師が自宅を訪れ、短い時間でケアを行います。
この新たなサービスによって、どんな点がよくなるのでしょうか。サービス開始に向けて岐阜県大垣市で行われているモデル事業を取材しました。
岐阜県大垣市に住む83歳の男性は、今、「定期巡回・随時対応サービス」を利用しています。
自宅に毎日5回、ヘルパーや看護師が訪れます。 男性は、おととし、かぜをこじらせて入院したのをきっかけに寝たきりの状態になりました。76歳の妻は、自分も腰痛があるため、施設に入れるしかないと考えていたとき、モデル事業で始まった新しいサービスの利用を勧められました。
1日の最初の訪問は朝7時。ヘルパーがおむつを交換し、着替えを手伝い、食事のために体を起こします。
午前10時には、週に2回、看護師が訪れます。体調をチェックし、体をほぐすリハビリをします。その後も、正午、午後3時、午後6時半にヘルパーが訪問。おむつを交換し、体を起こします。
滞在時間はおよそ10 分。食事の世話は妻ができるため、おむつ交換など必要なケアが終われば、ヘルパーはすぐに引き上げます。1日に何度も体を起こしてもらうことで、男性は長い時間座れるようになり、車いすでの外出も可能になりました。
夜間などに何かあったときには、事業所に連絡すると対応してくれるため、妻は安心して自宅で介護が続けられると言います。
大垣市では、今、独り暮らしのお年寄りなど14人にこの新しいサービスが提供されています。短い時間で行う内容は、薬を飲んだかどうかの確認や、おむつの交換、水分補給などさまざまです。
現在の訪問介護では、ヘルパーが最低20分以上滞在しなければならず、利用者は、決まった時間にまとめてサービスを受けるしかありません。一方、新しい サービスは、短い時間で必要なケアを1日に何回も受けられます。自宅でも施設と同じような、きめ細かい介護を受けることができるのです。
介護をしている人たちは、新しいサービスによって、お年寄りが自宅で生活を続けられる可能性が広がったと実感しています。
サービスを行っている新生メディカル大垣営業所の大鹿みどり所長は
「1日に1回ではなく、何回も必要なところにケアが提供されるということで、生活のリズム、利用者の生活のリズムに合わせたサービスを提供できると思っています」と話しています。
在宅生活を支える切り札と期待される新たなサービスですが、受けられる地域は限られるものとみられています。
高齢化率が30%を超える岐阜県郡上市では、町の中心部から車で1時間以上かかる地域もあります。
郡上市でも試験的に新しいサービスが始まりましたが、必要な人すべてにサービスを提供することはできません。
理由の一つは、事業所側の採算が取れないことです。
新しいサービスは、訪問回数に関わらず、報酬が1か月単位で決まる予定です。このため、移動距離が長いと効率が悪く、ガソリン代の負担も重くなります。また、対応できるヘルパーも足りません。
新しいサービスを試験的に始めた事業所の担当者は
「家が密集した地域で効率よく回るにはいいかもしれませんが、郡上の場合は、家が離れていたり、事業所からの距離があったりして、難しい部分もあります。しかし、知恵を絞って、提供できる利用者さんに対してはどんどん取り入れて、家にいたいというお年寄りを支える一つの手立てになればと思います」と話しています。
4月から始まる「定期巡回・随時対応サービス」。
実際、どのぐらいの数の事業所が参入するかは、厚生労働省が示す報酬の額や運営の基準によって決まることになりそうです。
全国どこでも新しいサービスが受けられるよう、地域の実情に合わせた柔軟な対応が求められます。
投稿者:松岡康子 | 投稿時間:06時00分
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