2011年12月07日 (水)高齢者の "誤えん性肺炎" どう防ぐ


お年寄りに多い肺炎の対策についてお伝えします。

歳をとると、食べ物を飲み込む機能が衰えていきます。食べ物が誤って肺に入り、肺炎になることを「誤えん性肺炎」といいます。
お年寄りにとっては命に関わる病気で、介護現場では、その対策が課題となっています。

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東京・板橋区にある、特別養護老人ホームです。介護が必要な78人のお年寄りが生活しています。5年前、この施設では、誤えん性肺炎で入院するお年寄りが、年間26人に上っていました。

1207f.jpgなぜ、誤えん性肺炎になるのでしょうか。
通常、食べ物を飲み込むと、気管に入らないようふたが閉じ、食べ物は食道から胃に落ちます。しかし、老化などで、ふたの動きや飲み込む力が衰えると、食べ物は誤って気管を通り、肺に落ちます。これが「誤えん」です。食べ物に細菌が繁殖すると、肺炎になるのです。

1207h.jpg安全に食事をしてもらう方法はないのでしょうか。
施設は、4年前から大学病院の歯科医師に、月に一度、訪問診療に来てもらっています。内視鏡を使って、お年寄りの飲み込む機能を検査します。この日は、4人の検査が行われました。ふだんと同じものを食べてもらいながら、内視鏡で、のどの様子を確認します。飲み込みやすい食べ物の大きさや固さは、人によって異なります。

1207e.jpgある男性の場合、飲み込んだあとも、気管に入るのを防ぐふたの周りなどに緑色の食べ物が残っていました。食べ物が肺に入りやすくなっていることが分かりました。食べ物の形態や、とろみの濃度を変えたりしながら、どうしたらのどに残りにくいか、試します。
「ちょっとね、おかゆだけ、柔らかくしてもらったほうがいいような気がしますね」誤えんを防ぐにはどうしたらいいか、歯科医師は、職員に細かくアドバイスします。

歯科医師は「どのようにしたら安全な食事なのか、どの程度のとろみをつけたら、この方にいいのかというのは、個人によって全く違うので、それに合わせて食事もやわらかいものにしてあげるとか、一手間かけてあげることが大事だと思います」と話していました。

この施設では、検査の結果に基づいて、一人一人に合った食事を提供しています。おかずは柔らかく煮込んだあと細かく刻んだり、とろみをつけてミキサーにかけたりします。この日のメインは、ハンバーグです。通常の大きさのもの、肉を柔らかく加工したもの、ゼリー状、そして、ペースト状のものまで、5種類用意します。ごはんやデザートも4種類ずつ作ります。

1207c.jpg施設の管理栄養士は「作っている職員はすごく手間のかかることだと思うのですが、ご本人の食事量をアップするとか、栄養状態をよくするには、食べていただかなければいけないと思います。食べてもらえる食事を作りたいという思いで作っています」と話しています。

以前、誤えん性肺炎になって、入院したことがある84歳の男性は、1年前、内視鏡検査で、かまずに食べ物を飲み込み、誤えんしていたことが判明しました。ごはんは粒がないミキサー食に、おかずは柔らかくして細かく刻んだものに変更しました。その結果、肺炎にならなくなったといいます。
認知症で口一杯にかき込んでしまう人もいます。そういう人に対しては、お盆から離れない食器を使います。スプーンのサイズも小さいものに変えています。

1207a.jpgこうした、きめ細かな工夫を重ねることで、この施設では、誤えん性肺炎で入院する人が5年前の3分の1に減りました。
施設の人は「安全に食べることができる環境を作ることができたり、食形態の工夫によって、こんなにも食べることができるようになるんだということが分かりました。誤えん性肺炎をゼロにすることはできないと思うんですね。それでも、少しでも安全に食べられること、最期まで口から食べられるように支援していきたいと思っています」と話していました。

この施設のように、お年寄りが安全に食べられるよう取り組んでいる介護施設は、まだ一部にとどまっています。
指導できる専門家が少ないうえ、手間がかかることが広がらない理由ですが、70歳以上のお年寄りの肺炎のうち、8割が誤えん性肺炎という報告もあり、今、対策が求められています。

投稿者:松岡康子 | 投稿時間:06時00分

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コメント

ブログを読ませていただきました。私は言語聴覚士(ST)をしています。
誤嚥性肺炎に関する話題が最近多く取り上げられるようになり、認知度が上がってきていると感じます。患者様やご家族様からも「誤嚥」や「肺炎」など専門的な知識を求められる場面が多く、これは各メディアの方々が真剣にこの問題を取り上げていった結果だと思います。
しかし、今回の内容には納得がいかない点があります。現在どこの介護老人施設などでも看護師、介護士、リハビリスタッフ、栄養士などが連携してこの問題に取り組んでいます。そして結果も出て来ていると思います。しかし、このような話題が出るのは『誤嚥』が100%防ぐことが出来ない場合があるからだと思います。その中で、いかに安全に食べてもらう、いつまで食べてもらうかが今後の課題だと思います。
是非今後も、色々な視点からこの問題を追いかけていって下さい。

投稿日時:2011年12月07日 11時53分 | @secondwind

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