2011年11月29日 (火)関心集める 海外のロングステイ


歴史的な円高を受けて、海外での長期滞在=「ロングステイ」に関心が高まっていると言われています。

「ロングステイ」は、一般の旅行と違って、海外に長期間滞在して現地での生活を楽しむものです。海外に長期滞在する60歳以上の人がどの程度いるのか、推計値を示したグラフです。この8年間で1.6倍に増えました。老後の暮らしを、なぜ海外に求めるのでしょうか。

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今月、都内で開かれたロングステイの説明会です。アジアや欧米の政府観光局や旅行会社が参加。この日は9000人余りが来場しました。
来場者は「お金がたくさんは要らなくて日本よりも楽しめる。日本よりもマレーシアのほうがいいですね」「日本もだんだん住みづらいので、海外にちょっと興味を持ちました」と話していました。

lng9.jpg中でも、東南アジアの国々は物価が安く、長期滞在のビザが比較的取りやすいという利点があります。特に人気が高いマレーシアの物価は、日本の3分の1 と言われています。最近では、安い人件費を活用した、海外での介護やリハビリのサービスも始まっています。
リハビリ教育を専門とする大学教授と協力して、現地のフィリピン人スタッフを養成する業者もあります。
帝京平成大学大学院の阪井康友教授は「リハビリを受けて生活をしながらリゾートを楽しんでもらう。介護保険に依存することなく、みずから楽しめるものを探してもらいたいと思います」と話していました。

lng121.jpg実際に、介護サービス付きのロングステイを始めた人もいます。 神奈川県南足柄市に住む84歳の男性です。2年前に妻を亡くし、独り暮らしをしています。両手にしびれがあり、料理や洗濯など、ほとんどの家事ができませ ん。日常生活で一部手助けが必要となる、「要介護1」の認定を受けています。男性は「独りになってしまったから、つまらない。話し相手がいないとだめですね」と話しています。

lng8.jpg男性の息子さん(上の画像の左側)は、不自由な体で独りで生活する父親(右側)が気がかりでした。
老人ホームへの入居も検討しましたが、相当の金額が必要になるうえ、集団での暮らしは父親には合わないと考えました。そこで提案したのが、フィリピンでのロングステイです。手のしびれがひどくなる冬を中心に、アパートを借りて現地で過ごすことにしたのです。

決め手となったのは、日本語が話せるフィリピン人スタッフによる介護サービスです。現地で専門の研修を受けた3人が交代で24時間付き添い、日本食も作ってくれます。スタッフ1人当たりの人件費は月2万円ほど。食費や家賃も含めた滞在費は月に15万円程度です。
息子さんは「母が亡くなったあと、日本の施設で面倒をみてもらうには相当な金額を払わないといけません。それで、フィリピンに1か月試しに行ってみたらと言ったら、暮らしやすいところだった」と話しています。

lng7.jpg今では、1回3か月ほどの滞在を年に2回程度楽しんでいます。
男性は「日本のヘルパーさんとあまり変わらず、別に困ることは何もありません。向こうに行くと新しい発見があるし、けっこう楽しいです」と話しています。

lng6.jpg介護のために、親と一緒に海外に生活拠点を移すことを検討している人もいます。
看護師の女性を取材させていただきました。女性は、この日、栃木県の実家にいる母親を訪ねました。母親は71歳で元気ですが、介護の担い手が不足している日本で、将来、母親が十分なケアを受 けられるのか不安を感じています。

lng3.jpg女性は「医療の現場にいますので、医療から介護につなげていくプロセスの中で、母のことを考えるとちょっと不安が強いんです」と話しています。
女性は、一緒に暮らす家や、母親がケアを受ける施設の見学のために、何度もフィリピンを訪れました。ことしの5月には、母親も連れて再びフィリピンへ行きました。そこで、認知症の親の介護を行っている日本人家族のもとを訪ねました。
女性は、現地を見に行ったことで、海外での生活も選択肢の一つとして考えられるように なったといいます。
母親は「5日間、病院回りしたり、いろいろ歩いたりして、ああいいところもたくさんあるなっていう、いいかもしれないなって感じました」と話しています。

lng4.jpg女性は、まずは自分1人でロングステイを始め、働きながら母親を受け入れることができる環境を整えたいと考えています。
女性は「ふるさとがいちばんいいし、誰でも自分の国がいちばんなので、介護も、当然、身内やお友達の中で受けたいです。でも、この国が1000兆円もの借金を抱えているなかで、高齢者が増えていって、今と同じような社会保障の体制を継続できるかとい うことが強く疑問でもあるし、不安でもあります。その辺の安心があれば、こういうことは考えないと思います」と話していました。

こうした例のように、長期滞在に魅力を感じている方がある一方、外国での生活、また契約などには、トラブルも心配されます。
ロングステイについての情報提供をしている 都内のNPO法人によりますと、介護サービス付きの住宅地を買うために多額の契約金を支払ったのに、物件が手に入らなかったといったトラブルや、事前の説明では、24時間対応するとしていた日本語の話せるスタッフが、実際には、いなかったという問題があったということです。

lng1.jpgこうしたトラブルを未然に防ぐには どうしたらいいか、ロングステイについての相談などを受け付けているNPO法人で聞きました。海外は日本と法律が異なるため、特に、多額の支払いを伴う不動産の購入などについては、慎重に検討すべきだとアドバイスしています。
NPO法人「リタイアメント情報センター」の島村晴雄理事は「ある程度、先に入会金だとか大きなお金を要求されるところについては、相当な注意を払わないといけないと思います。ご自分で現地に行かれて調べて、その繰り返しをやったあとで、本当に住みたいだとか、ニーズ が出たときにビザを取るとか、住居を購入してみようと思ったほうがいいと思います」と話しています。

lng2.jpgこのほかにも、注意点としては、国によっても異なりますが、ビザの取得のために現地の銀行に数百万円預ける必要があるなどの条件もあります。また、医療態勢が十分整っていない地域もあります。

お伝えした方々のように、自分の目で現地を確認することが大事だと思います。実際にロングステイを楽しんでいる方は、どのような生活を送りたいのかとい う明確なイメージを持って、渡航前に十分な準備をしています。疑問に思った点については、納得のいくまで業者とやり取りするなど、ロングステイに踏み切る前に、しっかりとした情報収集を行うことが大切だと思います。

投稿者:中島沙織 | 投稿時間:06時00分

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