2011年09月12日 (月)"心臓が止まった" そのときに備えて


先月、サッカーの元日本代表、松田直樹選手が心筋梗塞で亡くなりました。
心臓が原因で突然死する人は、毎年およそ6万人います。救急車が到着するまでに心肺蘇生が行われていれば、助かる確率は2倍になるとされていますが、実際に行われているのは40%ほどにとどまっています。

では、具体的に私たちはどうすればいいのでしょうか。先月15日のブログでもこのテーマを取り上げましたが、きょうは、より詳しくお伝えします。

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前重慶範さん(94)は、2年前、突然意識を失いましたが、心肺蘇生によって一命を取りとめました。前重さんが意識を失ったのは、車に乗った直後です。
長女の純子さんは
「急に意識がなくなって、目が寄ってきて、次の瞬間にカクッて・・・」と当時を振り返ります。純子さんは、急いで車の座席を倒し、心臓マッサージを始めました。(下の画像は当時のもようの再現です)

201109012012.jpg純子さんは
「4か月くらい前に講習を受けていたので、それを思い出して・・・もう一度、父の声が聞きたい・・・『おとうちゃーん』って言いながら押してましたね」と話しています。
5分後、近くにいた人が、駅にあったAEDを持って到着しました。AEDは、電気ショックを与えて心臓の動きを回復する機械です。講習を受けていた次男の壽郎さんが、迷わずAEDを使いました。
壽郎さんの話です。
「スイッチを押したら、体がボンと浮き上がって、まだ体はダランとしている状態だけど、首の血管がプクップクッと動くのが見えたので、『あ、心臓動き出したんだ』と分かりました」

201109012013.jpg慶範さんは「子どもが世話してくれなかったら、私は死んでいました。ありがたいだけです」と話していました。

20110912014.jpgいつ誰に起こるか分からない「心停止」。
実際には、どれぐらいの人が心肺蘇生をできるのでしょうか。
街で聞くと
「訓練も受けたことないから、たぶん現場に居合わせたら、ちょっと自分はちゅうちょするだろうな」とか、
「実際に目の前に事故が起こったこともあったけど、結局、救急車を呼んだりってことぐらいしかできなくて」という答えが返ってきました。

市民を対象に開かれている、心肺蘇生の講習会です。医師や救命士らで作るNPOが毎月開いています。
「ひじをまっすぐ伸ばしてもらって、そのままの姿勢で真下に下ろして」と声をかけて指導していきます。

20110912015.jpg心肺蘇生で行うのは、まず、心臓を押す「心臓マッサージ」です。呼びかけに反応がなく、ふだんと違う呼吸の場合は、直ちに始めます。1分間に100回のペースで、強く、絶え間なく押します。講習会で使うキットでは、しっかり押せていると、ピッピッという音が鳴ります。

20110912016.jpgもう1つは、AEDを使うことです右肩の下と左の脇腹に2つのパッドを貼ります。心臓マッサージを続けながら行います。AEDから「体に触らないでください。心電図を解析しています」という音声が聞こえます。AEDの音声に従ってボタンを押します。
参加者は
「一回やると、次にはできるかもしれないと思いました」と話していました。

さらに、NPOでは、新たなトレーニングキットの開発も進めています。
こちらが、先月出来上がったばかりのキットです。上半身が描かれた、レジャーシートとハート型の心臓模型です。学校や家庭に広げるため、値段は1つ1500円。小さな巾着のサイズに納めました。

20110912017.jpgNPOの石見拓医師は
「少しの知識とか、あるいは知識をサポートするような教材を渡してあげることで、『私でも教えられるんだ』と思ってもらって、みんなに教えていってほしい。広げていきたいと考えています」と話していました。

20110912018.jpg心肺蘇生は、私も体験してみましたが、1分間に100回のペースで強く押し続けるというのは、想像以上にハードでした。体重をかけて真上から瞬発力で押すなど、コツも必要なんです。
いざというときのために、体験しておくことが大事だと感じました。

ところで、心肺蘇生と言えば、これまでは「人工呼吸」も行うイメージがありましたが、去年、心肺蘇生のガイドラインが新しくなりました。
以前は、人工呼吸のあとに心臓マッサージをやるように求められていましたが、新しいガイドラインでは、真っ先に心臓マッサージを行うよう変更されたのです。人工呼吸は難しいですし、戸惑う方もいますので、一般の人は、人工呼吸を行わず心臓マッサージだけでもいいとしています。

20110912019.jpg一方、AEDは、いろいろなところで見かけるようになりました。全国に30万台以上あると言われています。ただ、どこにあるのか知らないと、いざというときに使えません。AEDを借りられるところもあるので、それを利用して、万が一のときに備えているスポーツチームもあります。

AEDを借りて、必ずグラウンドのベンチに置いて練習している、少年野球のチームがあります。万が一のとき、近くにAEDがないことも考えて、常に持ち歩くことにしたのです。

201109120191.jpg野球チームのコーチは
「施設自体は借りられても、校舎の中にあるようなAEDは、実際に借りることはできないのが現状なので、危険性を考えたとき、万が一というので導入を決めた」と話しています。
監督やコーチだけでなく、親も年に2回、心肺蘇生の講習を受けています
母親は
「AEDがあれば、助かる命というのが救えるし、救急車に引き継ぐまでにAEDは絶対に必要だと思います」と話していました。

AEDは借りるという方法もありますが、学校や役場といった公共施設や駅などにも置いてありますから、例えば、自宅のそばだとどこにあるか、一度、確認しておくといいと思います。また、講習会については、先ほどご紹介したNPO(この記事のいちばん下に電話番号をご紹介しています)が毎月開いているほか、各市町村の消防署や日本赤十字社などでも行っています

突然、心臓が止まることは誰にでも起こりうることですので、大切な命を守るために、心臓マッサージとAEDの使い方をともに学ぶことが大事だと思います。

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*上記電話の受け付け時間は、平日の午前10時から午後5時までです。

 

投稿者:松岡康子 | 投稿時間:06時00分

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