2019年04月17日 (水)ついに職場が閉鎖...ここまで来てます「インフル×人手不足」


※2019年1月31日にNHK News Up に掲載されました。

猛威を振るうインフルエンザ。ネット上にあふれる、悲嘆の声。「すでに職場でインフルさん2人目…深刻すぎてヤバイの極み」「帰りたいんだけど、もちろん帰れるはずもなく…だって万年人手不足の飲食だもの」インフルに感染してしまった人も大変だけど、残された職場もまた大変。東京都内の患者数は、とうとう過去最多に。どこまでいくのか、「インフル×人手不足」

取材班 後藤岳彦・松井晋太郎・鮎合真介・山崎航

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<インフル猛威で減便!?>
東京都内のインフルエンザの患者。1月27日までの1週間での医療機関あたりの患者数は、とうとう過去最多に。インフルエンザの影響、広がっています。

190131tui.2.jpgJR中央線沿線を中心に路線バスを運行する「関東バス」(本社 東京 中野区)。

一時、運転手15人がインフルエンザに感染してしまいました。出した結論は「減便の特別ダイヤ」。
1月21日から5日間にわたってJR荻窪駅や西荻窪駅周辺の3つの路線で通常より1割ほど本数を減らしたのです。

190131tui.3.jpg「これまでにインフルエンザで減便した記憶はない」(関東バスの担当者)
日々の通勤・通学に欠かせない路線バスの運行にも影響がもたらされたのです。背景にあるのは、慢性的な「運転手不足」です。

「うちの会社でも減便はありえる」(ほかのバス会社)

かろうじてバスの運行に支障が出ない数の運転手しか確保できない会社が多く、休む人が相次ぐと減便せざるをえないのです。
「ただでさえ人手不足なのに、インフルエンザの流行時期に多くの運転手が休むと、やりくりが大変になってさらに休みにくくなる。そうなると体力が落ちて病気にかかりやすくなってしまう」(あるバスの運転手)

「マンパワーだけが頼りの業界なのにインフルエンザでさらに人手が足りなくなると我慢して働かざるをえないので、事故につながりかねない」(別の運転手)
まさに、インフルエンザが人手不足に追い打ちをかけている状況です。


<背景に「隠れインフル」?>

190131tui.4.jpg各地の病院では、病棟を閉鎖したり入院患者への面会を制限したりするところまで。
例えば、福井県にある「若狭高浜病院」では、インフルエンザの患者が複数出たため、病棟1棟を1月21日から閉鎖。31日までに新規の入院患者の受け入れも中止しました。

現場の総看護師長は、その背景の1つに、「隠れインフル」の可能性があるとみています。構図はこのようなものです。

○これまで 高熱など、症状からわかりやすかった!
       ↓
○今シーズン 36度台でも「陽性」

自覚症状ない患者がウイルスをばらまき、感染拡大の可能性もあるというのです。

企業の人事管理やリスクマネージメントに詳しい県立広島大学大学院の木谷宏教授です。人手不足の企業では、こうした“負のスパイラル”に陥りやすいと指摘します。

190131tui.5.jpg県立広島大学大学院 木谷宏教授
「人手不足で余裕のない中、『休んだら迷惑がかかる』と体調が悪くても出勤して感染がさらに広がるという負のスパイラルになっているほか、『隠れインフル』と言われるように症状が軽いと感じていると病院で診察を受けずに出勤してしまうことが感染につながっている可能性があります」


<思い切って職場閉鎖>
過去最多のインフル患者数の東京。思い切った対策をとったIT企業が渋谷にありました。

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社員50人ほどのIT関連会社「サムライト」は1月23日から25日の3日間、“学級閉鎖”ならぬ“職場閉鎖”を実施。
社員には、自宅で仕事してほしいと文書で呼びかけたそうです。

190131tui.7.jpg「今も社内にはインフルエンザウイルスがうじゃうじゃいることでしょう。落ち着くまでは“リモート推奨期間”とします」
オフィス外で仕事をする「リモートワーク」は、ふだんから認めてはいたものの、全員、出社しないというのは、初めての試み。社員からも好評だったそうです。

190131tui.8.jpg池戸聡CEO
「社内で4人感染して、日に日に感染者が増えていく状況で、オフィスに来てこの空間で仕事をすることは、みんなに感染するリスクもあがるうえ、業務が滞ると考えました。あのまま業務を続けていたら、もっと感染者が増えていたと思います。経営の本質で言うと、どこで仕事をするのかではなく、何をするのか、業務でいかに価値を効率的に発揮するのかが重要だと感じます」と話しています。
「職場閉鎖」も功を奏したのか、インフルエンザの新たな感染者は抑えられたそうです。


<時短で乗り切り>
大きな影響が出る前に「早めの対策」に乗り出した店が北海道にありました。
10人ほどが感染した函館市の大型書店では、1月10日から5日間、午前1時の閉店時間を4時間早め、午後9時までの営業にしました。
人と接触する機会を減らし、従業員に体をしっかり休めてもらいたい。あえて営業時間を短くした結果、インフルエンザの感染は拡大せず、その後は、通常営業に戻せたそうです。


<職場での対策は…>
インフルエンザの職場への影響、どう対応したらいいのでしょうか。
先ほどの木谷宏教授は、「インフルエンザによって企業活動に支障が出ると、災害と同じように損失が出るおそれがあるので、誰かが代わりを務めることができる環境づくりやガイドラインを整備することがリスクマネージメントとして必要だと認識するべきです。感染の状況しだいだが今後少なくとも1か月は警戒が必要だと思われるし企業にとっては対策を見直す機会にしてほしい」と指摘しています。
インフルエンザ対策、こうすればOK!というのは、なかなかないですが、知恵と創意と工夫と、そして無理しないこと。毎年のことになっていますから、職場での具体的な対策も必須かもしれませんね。

 

 

投稿者:後藤岳彦 | 投稿時間:15時37分

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