2017年01月16日 (月)色の感じ方は人によって異なる 知っていますか?


※2017年1月12日にNHK NEWS UPに掲載されました。

同じ色を見ても、人によって感じ方が全く異なることを知っていますか?
3年後に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、交通機関や公共施設などを誰もが使いやすいようにユニバーサルデザイン化する動きが本格化しています。
このうち、色覚に障害のある人にも使いやすいデザインのことを、「カラーユニバーサルデザイン」と呼びます。こうした人たちの色の見え方を実際に体験するアプリなどを通じて、いま関心が高まっています。
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<全国におよそ320万人>
色覚に障害のある人や医療関係者などで作るNPO法人「カラーユニバーサルデザイン機構」によりますと、色覚障害の人は全国におよそ320万人います。見え方の違いやレベルは人によって異なりますが、例えば赤と緑が同じ色に見える人は、男性では20人に1人に上るということです。

<見え方を体験 アプリが話題>
こうした人たちの色の見え方を体験し、気持ちを理解してもらおうと、アプリ「色のシミュレータ」が無料で公開され、話題になっています。デザインや医学に詳しい研究者の浅田一憲さんが開発したもので、ダウンロード数はこれまでに世界103の国で29万以上に上ります。インターネット上では、「アプリを通じて当事者の気持ちがよくわかった」「デザインをするうえで配色の参考になる」といった声が上がっています。

<どう見えている?>
色覚障害の人の実際の見え方について、1つの例として挙げられるのが次の2枚の写真です。

170113.2.jpg上の写真には、ピーマンとパプリカが合わせて4つ映っています。いちばん左が黄色、真ん中が赤、右側の上が緑、その下がオレンジ色に見えます。
これが、実際にはどう見えているかを示したのが下の写真です。いちばん左のパプリカは黄色に見えますが、それ以外の3つについては濃淡の差はあるものの色の違いがはっきりとはわかりません。

170113.3.jpg私たちの身のまわりにはさまざまな色があふれていて、印刷物や地図、道案内などはよりわかりやすく情報を伝えようと多くの色が使われています。しかし人によって色の感じ方は異なり、“見分けやすいように”と配色された色が、必ずしもほかの人にも見やすい色とは限らないのです。

170113.4.jpg「カラーユニバーサルデザイン機構」副理事長の伊賀公一さんは次のように話しています。「全く視力のない全盲の方や、見えづらい、弱視、またはロービジョンの方たちの不便さが徐々に知られるようになり、表示を点字や音声にしたり字を大きくしたりと対策が進められてきました。しかし、いわゆる色覚障害の人は色の見え方が異なるだけで、人に伝えることをためらう傾向もあり、生活上の不便さがこれまでなかなか知られてこなかったのです。」


<広がるカラーユニバーサルデザイン>

170113.5.jpgこうした人たちの感じている不便さがアプリや教育などを通じて次第に知られてきたことで、社会も少しずつ変わってきています。東京都や神奈川県を中心に鉄道を運営する小田急電鉄は、去年3月までにすべての駅で構内の表示や時刻表などをカラーユニバーサルデザインにしました。緊急時に電車を止められる「非常停止ボタン」は場所がひと目でわかるようにボタンの設置された柱に赤い斜線をつけたほか、時刻表も識別しやすい色合いに調節しました。

170113.6.jpgまた、ゆうちょ銀行では、今月4日にATMのデザインをリニューアルしました。これまでの液晶画面では主に青色と黄色を使い青色の操作ボタンには「お預け入れ」「お引きだし」など白抜きの文字が入っていましたが、より見やすいように全体の背景を緑色にし、操作ボタンを大きくしたうえで白色の操作ボタンに黒い文字を入れました。こうした動きは、3年後に東京で開催されるオリンピック・パラリンピックに向けてさらに広がる見通しです。

<スポーツシーンでも課題に?>

170113.7.jpgカラーユニバーサルデザインをめぐっては、スポーツシーンでも問題になったことがあります。3年前(2014年)、ヨーロッパのクラブナンバーワンを決めるサッカーのチャンピオンズリーグでのことです。対戦したチームは、それぞれ、赤と緑を基調にしたユニフォームを着ていました。しかし、テレビで観戦していた色覚障害の人から、「緑色のピッチと、選手の着る緑色と赤色のユニフォームがすべて同じ色に見える」「試合を見ているだけで頭が痛くなる」などのツイートがあり、問題になりました。オリンピック・パラリンピックの開催を控え、すべての人が観戦を楽しめるよう、スポーツの分野でも、今後、色の工夫が求められそうです。

<“色の感じ方は人によって異なる”を知ってもらう>

“色の見え方、感じ方は人によって異なる”ことを、まずは多くの人に知ってもらう。それが、すべての人にとって見やすい色を追求し、暮らしやすい社会を作るために欠かせない要素だと、「カラーユニバーサルデザイン機構」副理事長の伊賀さんは指摘します。「赤と緑が同じように見えるなど、どのようにわかりにくいのかを知ると、組み合わせる色を変える、色の濃度を調整するなど解決策も出てきます。人の色覚には多様性があることを知り、すべての人がわかりやすい色使いの社会ができることを望んでいます。」

投稿者:清有美子 | 投稿時間:15時24分

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