2015年02月13日 (金)ダウン症の女性がカフェオープン


名古屋市の住宅街に多くの人の笑顔に包まれているカフェがあります。ダウン症の女性、「やっちゃん」こと森川靖子さんが(30)長年の夢をかなえて作ったカフェです。やっちゃんがカフェにこめた思いやそれを支える地域の人たちの様子を取材しました。
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【カフェの店長「やっちゃん」】
名古屋市内の住宅街に平成26年6月、一軒のカフェがオープンしました。店の名前は「やっちゃんち」。そこで丁寧にコーヒーを入れているのが「やっちゃん」こと森川靖子さん、30歳です。ダウン症で知的障害があります。両親と一緒に多くの人の力を借りてこのカフェを作りました。「やっちゃん、おはよう」「おはようございます」と店の中には、明るいあいさつの声が響きます。
03.jpg【丁寧に入れるコーヒーが人気】
店のメニューは、コーヒーやジュースなど15種類の飲み物。ほとんどの飲み物は、やっちゃんが作ります。コーヒーは注文を受けてからお湯を沸かし、時間をかけて入れます。
04.jpg豆を扱う業者の人から、特訓を受けました。「おいしくてほっとする」「いつもやっちゃんとおしゃべりしています」と話すお客さんたち。やっちゃんも「幸せです」と笑顔で応えます。
05.jpg【カフェオープンまでの道】
やっちゃんは平成26年3月まで11年間、名古屋市内の病院で看護助手として働いてきました。新生児集中治療室で、ほ乳瓶を洗ったり、タオルを交換したり。丁寧な仕事ぶりで、医師や看護師の信頼を得ていました。
06.jpgでも、やっちゃんにはずっと抱いていた夢がありました。「喫茶店を開くこと」です。高校生の時、病院の喫茶店でコップ洗いをさせてもらってからの夢でした。
07.jpgそんなある日、家の近くでイメージ通りの一軒家が見つかり借りられことになりました。両親と一緒にカフェを開くことになったのです。母親の和世さんは「やっちゃんが30才、私たちも年齢なので、そろそろやっちゃんの夢は叶えてあげなければいけないという思いでした。今しかないと思い切って踏み込みました」と振り返ります。
08.jpg【カフェの1日】
毎日の仕事は両親との朝礼で始まります。「私たちはここをほっと一息するところ。ちょっとだけチャージするところにしたいです。みんなで作りましょう」とあいさつするやっちゃん。両親も「はい。お願いします」と応え仕事が始まりました。
09.jpgカフェを開いてから、やっちゃんはどんどん新しいことに挑戦しています。今、取り組んでいるのは、カフェラテを作ること。母親の和世さんに教えてもらいながら、牛乳を泡立て、最後に笑った顔を描きます。
10.jpgお金の計算をするのも、やっちゃんの仕事です。計算しやすいように、飲み物の値段はすべて300円。電卓を使っておつりを計算します。母親の和世さんは「自分がやっているという気持ちなので、意気込みが違います。好きなことをやることに関してはすごく伸びると思います。メニューも増やしていきたいとやっちゃんは思っているんですよ。自分が覚えたい、メモして覚えたい、それを見て作りたい、というのがあるので、それはできるようになっていくと思います」と話します。
11.jpg【ダウン症の人たちの励みに】。
カフェにはやっちゃんと同じダウン症の人も訪れます。この日は、中学2年生の木下優香さんと母親の美恵子さんが訪れました。
13.jpg優香さんの進路のことを考え始めている木下さん、「本人に働くという意識が、育つのだろうかと思っています」と今感じている将来の不安を和世さんに伝えました。和世さんは「やっちゃんもこのお店を始めるときは、ゼロからの出発でした。でも好きだったらやれるんですよ」とアドバイス。木下さんは「10年先、20年先がどんな風になっているんだろうと思っているときに、このカフェに出会えて、すごく心強く感じます」と話していました。
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木下さん親子が店を出たあと和世さんは「同じダウン症の人たちがこんなことができるんだという気持ちになり、励みになってくれたなら本当にありがたいことです。カフェをずっと続けていきたい。やっちゃんと。」と話していました。
15.jpg取材の最後に「これからの目標はなんですか」と質問されると、やっちゃん「自分の役割をこれからもずっと頑張っていきたいと思います。宜しくお願いします」とほほえみながら答えてくれました。
16.jpg「ガーデンカフェやっちゃんち」
名古屋市昭和区八事本町31-4
電話052-832ー8388
営業午前8時~午後4時
定休日第1・3土日曜
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投稿者:松岡康子 | 投稿時間:18時14分

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