2013年12月11日 (水) レーシック手術に注意呼びかけ


メガネやコンタクトに頼らず、視力を向上させるレーシック手術。メリットがある一方、リスクを知っているでしょうか。消費者庁は、アンケートの結果、手術を受けた600人の4割余りに何らかの不具合があったとして注意を呼びかけています。実態を取材しました。

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レーシック手術は、目の角膜の表面を薄くめくり、直接レーザーを当てて角膜を削ることで近視や乱視を矯正するものです。
lt2.jpg消費者庁が、先月、過去に手術を受けた600人を対象にアンケート調査を行ったところ、4割余りの人に、手術後、▼光がにじんだ、▼暗いところでものが見えにくくなったなどの不具合があったことが分かりました。
lt22.jpg東京都内に住む40代の女性は、3年前にレーシックの手術を受けましたが、その直後から目に激しい痛みを感じ、症状は今も続いています。
lt4.jpg女性は、「目の中にシャンプーが入ったような痛みが、ひどい時は一日中続いている」と訴えています。
lt5.jpg原因の一つと考えられているのは、手術の合併症として知られる、涙の分泌が少ない「ドライアイ」です。
lt6.jpg女性は、朝起きた直後から夜寝る前まで、痛みを和らげるため、多くの目薬を使います。大好きな化粧もできなくなりました。
lt7.jpgまた、別の合併症として、光がにじんで見える「ハロー・グレア」という症状も出ていると言います。夜の車の運転ができなくなりました。
lt8.jpg女性は、
「レーシックによって、そうした痛みや、めまい、吐き気、頭痛といった症状が出るということは全く知らなかった」と話しています。


一方、見えすぎることが問題になっているケースもあります。
6年前に手術を受けた神奈川県の30代の男性は、角膜を削りすぎた「過矯正」と診断されました。
lt10.jpg矯正後の視力は1.5の「遠視」の状態で、遠くはよく見えますが、近くを見るときは負担がかかり、目の周りに強い痛みを感じるようになったといいます。
男性は、特殊な眼鏡を使い分け、目の負担を抑えています。
lt12.jpg男性は、
「クリニックから、周りはみんな1.5の視力にしていると言われ、過矯正については特に説明はなかった。万が一失敗したらどうなのか聞いたところ、失敗していれば、こんなに人は来ませんよと言われた。
今は顔や肩、首なども非常に痛くなって凝り固まった状態で、何とか仕事をしている状態だ」と訴えていました。
lt13.jpg日本眼科学会では、眼鏡やコンタクトレンズでの矯正でそれほど不便を感じていない場合には、レーシックの手術をするかどうか、慎重に考えてほしいと呼びかけています。
日本眼科学会常務理事の大鹿哲郎筑波大学教授は、
「手術による合併症はゼロではなく、削った角膜は元には戻らない。レーシックの手術には、メリットもあるがデメリットもあるということをきちんと理解してほしい」と話しています。
lt14.jpgこの問題について、医療被害を扱う弁護士のグループが、今月21日、専門の電話相談を行うことにしています。番号は、03・6869・8391です。
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【取材後記】

レーシック手術は自由診療のため、正確な手術件数は分かっていません。
大手クリニックに取材したところ、平成20年ごろをピークに、現在は半分ほどに減っているということですが、背景には、平成20年から翌年にかけて、東京・銀座にあった眼科の診療所「銀座眼科」で、器具の消毒が問題で患者に角膜炎の集団感染が起きたこともあるとみられています。

今回お伝えした不具合は、そうした衛生管理の問題ではなく、手術を受ける以上は、あらかじめ起きる可能性がある合併症などのリスクの問題です。
角膜は、一度削ると元には戻りません。筑波大学の大鹿教授のコメントを改めて紹介し、考えていただければと思います。
 
「眼鏡やコンタクトレンズは、非常に優れた矯正方法だ。それと比べレーシックは安全かというと、そのレベルまではまだ達していない。眼鏡やコンタクトレンズをどうしてもできない、したくないという強い理由がある場合は、レーシック手術を検討することになると思うが、レーシックにはメリットはあるけれどもデメリットもあるということを、きちんと理解してほしい。

矯正の程度については、アフリカのサバンナで遠くの動物を見るのはいいが、現代の社会というのは、身の回りを見ることが多く、特に携帯電話、スマートフォンでは、1.5や2.0の目は逆に見づらい。日常生活では少し控えめな視力、例えば0.9とか1.0くらいのほうが楽な視力、目だということをまず知ってほしい」
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取材を通し、レーシック手術がうまくいったという人にも何人も会っています。しかし、うまくいった人でも、リスクを理解できていたのかどうかは疑問なケースがありました。
うまくいかない場合、健康被害は深刻です。
大事なことは、クリニック側は、事前に十分な説明をすること、そして、消費者側も情報収集をしたり、質問をしたりして、十分理解し、納得した上で、手術を受けるかどうか判断することだと思います。

最後に、消費者庁の注意喚起を引用します。

(1)リスクがあることを認識しましょう
思ったような視力が出ないだけでなく、物が二重に見える、光がにじむ、光が放射線状に広がって見えるなど、根本的な治療が困難となる症状が起きることがあります。

(2)リスクについて医療機関でしっかり説明してもらいましょう
医師によっては具体的な後遺症について十分な説明がなされないケースがあります。
手術を受けるにあたっては、手術前の検査結果から考えられるリスクについて、十分な説明を求めましょう。

(3)インターネット上の情報はよく吟味しましょう
過去の施術数、芸能界やスポーツ界等の有名人のコメントなどが掲載されている医療機関のウェブサイトがありますが、必ずしもその医療機関の施術能力を反映するものではありません。

(4)本当にレーシック手術が必要か、慎重に検討しましょう
既に眼鏡やコンタクトレンズ等で視力矯正をしており、不便を感じていない場合には、レーシック手術及びその後のリスクをよく考え、本当にレーシック手術が必要か、慎重に検討しましょう。

詳細はこちら。
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/131204kouhyou_1.pdf

投稿者:三瓶佑樹 | 投稿時間:08時00分

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