2013年06月17日 (月)食物アレルギー事故防ぐカード 普及へ


食物アレルギーのある子どもが避けなければならないのが「誤食」による事故。アレルギーの原因となる食べ物を間違って食べる事故なんですが、場合によっては命にも関わります。家庭での食事や給食では対策がとれても、外出先などではいつも保護者の目が行き届くわけではありません。食物アレルギーのある子どもの親などで作るグループが調査した結果、子どもにアレルギーがあることを周囲の人に説明したのに忘れられていたり、子どもが食べてはいけないものをもらってヒヤッとしたり、あるいは、断れなくて困ったという経験がある人が、8割から9割にも上っていました。こうした事故を防ごうと、アレルギーを周囲に伝えるためのカードが作られ、普及が進んでいます。どんな効果があるのでしょうか。

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このカード、幼い子ども向けに、自分に何のアレルギーがあるかイラストで示す形です。国の表示制度をもとにアレルギーの原因として、注意が必要な卵、牛乳など26品目のイラストがあり、この中から子どもが食べられないものを選んで名刺ほどの大きさのカードに貼り付け、周囲の人に知ってもらおうというものです。

アレルギーのある4歳の女の子はアレルギーについて、まだ自分では周囲にうまく伝えられません。以前、友だちの家で間違って卵入りのケーキを食べ、のどがかゆくなったこともあったといいます。そこで役立つのがこのアレルギーをイラストで描いたカードです。外出先での食事などの際に、周囲の人に、何を食べてはいけないのか、知らせます。

card20130617-2.jpgcard20130617-3.jpg幼稚園の友達同士でお弁当を食べる日、子どもたちの楽しみは食後のお菓子交換です。その際、女の子がカードをつけていることに気がついた友達の母親は「ちょっと待って。卵だめなんだよね。じゃあママに聞いてからにするね」と声をかけ、お菓子の袋の表示を見て、卵が含まれていないか確認していました。

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 友達の母親は「子どもに直接食べられるか食べられないか聞いても間違ってしまうこともあるので、カードを見て大人の方で判断できるのは大きいと思います」と話していました。

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また女の子の母親は「アレルギーありますって話をするのですが、何回も何回も繰り返して言うのは、なんとなく言いにくいこともあるんです。しかし、このカードをつけていると、何も言わなくても皆さんに分かっていただけていいなと思います」と話していました。

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このカードは、幼稚園や小学生の子どもがいる親たちで作るボランティアグループ「ALサインプロジェクト」が作りました。代表の服部佳苗さんは子どもに食物アレルギーがあります。親の目の届きにくい遠足などの行事に子どもを参加させるのが不安でした。どうすれば安心して参加させられるのか、アレルギーがない子どもの親に相談した結果、このカードができたといいます。

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服部さんは「カードを付けていることでこれ食べられる?これ大丈夫?という言葉が生まれてくるんですね。その一言によって子どもたちは同じ行事に参加できるようになりますので、そのためにいろいろな所で活用してほしいです」と話していました。card20130617-8.jpgこのカードは専門の医師の診断のあとに医療機関で渡される仕組みになっています。「正しい診断を受けてほしい」という、服部さんたちの思いを受けたもので、子どもが自分のアレルギーを正確に知るきっかけにもつながると期待されています。小学5年生の男の子は赤ちゃんのころから10年間、6種類の食品を避けてきました。

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カードを受けとる前に、本当に今でも食べられないのか、専門の医師のいる病院で調べることにしました。実際に食品を少しずつ食べて症状が出るかどうかを調べる「食物負荷試験」を受けます。

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この日調べる食品はそばです。男の子はこれまで、そばを1度も食べたことがありません。医師の指導のもと、まず5グラムを食べ、そして40分ごとに食べる量を増やしていきます。結局、40グラム食べても症状は出ず、そばに対してはアレルギーがないことが分かりました。調べた結果、男の子はそばや小麦はアレルギーの心配はなく実際にアレルギーがあるのは卵や牛乳など4種類でした。

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小学生以上向けには「緊急時カード」と呼ばれるカードが作られています。幼い子ども向けのカードをより進化させた形で、食品のイラストをはりつけるのではなく、自分でアレルギーの種類などを書き込む形になっています。万が一誤って食べて症状が出てしまった場合どうするか、緊急連絡先やその際に必要な薬の種類も含めて、親子で話し合いながら書き込んでいきました。

cared20130617-12.jpgこうやって書くことで周りに知ってもらうだけでなく、子どもたち自身が自分の症状を理解し、緊急の際に備えて自分自身を守る力もつくといいます。医師は男の子に「まわりにいる大人の人たちが自分のことをすべて分かってくれている訳じゃないから、これは救急車を呼ばなくてはいけない時だと思ったら、ちゃんと自分で言うんだよ」と声をかけていました。

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card20130617-14.jpg男の子は「自分のことをあまりよく分かっていなかったので、こういう風に知ることができるのはいい機会だなと思いました」と話していました。小学生対象の「緊急時カード」は、大きくなると洋服に付けたくないと思う子どもが多いということで、普段は常備薬などとともにランドセルに入れたり、習い事に行く際の持ち物にさりげなく付けて、いざという時にどう対応したらいいかわかるように持っておく役割が大きいといいます。

このカードを監修した昭和大学病院の今井孝成医師は「まだまだ理解度が高くないのが食物アレルギーの現状だと思います。あやふやな診断のままに周囲の過剰な対応を求めるのではなくて、対応を求める以上は正しい診断をしっかり受けて必要最小限の対応ですむように努力していただきたいというところに思いが込められていますね」と話していました。

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食物アレルギーは、血液検査の結果だけでアレルギーを診断しているケースが依然として多いといいますが、実際には食べて調べる食物負荷試験などの詳しい検査をしないと、正しい診断はつきません。また、子どもの場合は、年齢が上がるとともに症状が良くなるケースも多いのですが、何年も前に診断を受けたままで、本来は必要のない厳しい食事制限をしている人も多いといいます。そういった子どもたちが、正しい診断を受けるためにもこのカードがひとつのきっかけになればと思います。カードは食物アレルギーの詳しい検査を行っている病院か、専門の医師と連携している診療所など、全国およそ130の医療機関で渡されていてこれまでにおよそ1万3000枚が配られたということです。詳しくは「ALサインプロジェクト」のホームページをご覧ください。cared20130617-17.jpg

            

投稿者:山本未果 | 投稿時間:06時00分

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