2012年10月29日 (月)薬を飲みやすく~お悩み解消法~


「薬の味が苦手」、「つい飲み忘れてしまう」といった方がいらっしゃるかと思います。薬は医師の処方通り、きちんと服用しないと病気を悪化させるおそれもあります。薬を飲みやすくして、トラブルを防ごうという取り組みを取材しました。

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【薬が苦手な子どもには】
薬が苦手な子どもにも飲めるよう「味」を工夫している薬局があります。東京・国分寺市のよつ葉薬局では、粉薬の苦みをなくすため、アイスクリームやプリンなどと一緒に薬を飲むことを勧めています。「えっ、水以外のものと一緒に飲んでも大丈夫なの?」と疑問に思う方も多いと思います。確かに、組み合わせによっては、体に悪い影響が出るおそれもあります。
20121028_kusuri2.jpgそこで、この薬局では、子どもが好む食品と薬の飲み合わせについて製薬メーカーに聞いたり、論文を調べたりして、問題がないことを確認した上で、実際に薬剤師が味見をしています。

20121028_kusuri3.jpg例えば、ある粉末の抗生物質では、まずヨーグルトで試してみました。スプーンですくったヨーグルトの中に粉薬を包み込むようにして一緒に食べると、薬の味は全くしませんでした。しかし、牛乳に混ぜて飲んでみると、後味が苦いことが分かりました。

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20121028_kusuri5.jpgこのようにして、40種類余りの薬と15の食品の相性をまとめた表を作りました。◎は飲みやすい味になるもの、逆に×は苦くなったりするもの。△は薬の吸収が悪くなるため、避けるべきものです(※空欄は不明)。この薬局では薬を渡す際、子どもが薬を飲めているかを保護者から聞き出し、表を見せながらアドバイスしているほか、ホームページでも表を公開しています。

20121028_kusuri6.jpg実際に、食品との飲み合わせで薬を飲めるようになった子がいます。5歳の神谷航輝君は苦い粉薬が大の苦手。しかし、先月、全身にアレルギー性の湿疹(しっしん)ができ、苦い薬を飲まなければならなくなりました。そこで、薬局が勧めたのが練乳でした。母親の真理子さんが大きめのスプーンで薬と練乳を一緒に口に入れたところ、嫌がらずに飲めたということです。
真理子さんは「具合が悪い時に嫌々飲ませるのもかわいそうだし、親の方が飲ませなきゃと焦ると、子どもはますます嫌がり、悪循環になる。その点、好きなものと一緒だと喜んで飲んでくれるので助かる」と話していました。

20121028_kusuri7.jpg【薬の“お助けグッズ”】
薬の悩みを抱えているのは、子どもだけではありません。新潟県で6店舗の薬局を展開する、うおぬま調剤グループでは、大人のための薬の″お助けグッズ″を多く揃えています。

20121028_kusuri9.jpgこれは、錠剤を半分に割る器具です。大きな錠剤をうまく飲み込めない人向けです。

20121028_kusuri10.jpg20121028_kusuri11.jpgこちらは、肩や背中に湿布を貼る補助具です。痛みで肩や腕が大きく上がらなくても貼ることができます。

20121028_kusuri12.jpgさらに、市販の物だけではありません。この薬局では、100円ショップで手に入るものを利用して、さまざまな手作りの補助具を考案しています。

20121028_kusuri13.jpg割り箸やスポンジ、それに消しゴムから作った、こちらの道具は、目薬を差す時の補助具です。白いスポンジ部分を額に当てて、容器の先端が瞳の正面にくる位置で固定し、顔を上げると、確実に薬が目に入ります。パーキンソン病や脳卒中の後遺症で手が震えてしまう人などでも、簡単に差せる仕組みです。
薬局グループの金井秀樹代表は、「単なる服薬指導ではなく、これからは『服薬支援』の時代だと思っている。患者が渡された薬を本当に服用できるどうかというところまでよく確かめて、何か支障があれば、きちんと服用できるようサポートすることが大切だ」と話しています。

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【ニーズ高まる高齢者の服薬支援】
超高齢社会を迎え、支援の必要性が高まっているのがお年寄りです。東京・練馬区で1人暮らしをする80代の男性は去年、持病の高血圧の薬をたびたび飲み忘れるようになり、一時、血圧が急激に上がって体調を崩しました。飲み忘れの原因は、初期の認知症を発症したためでした。

20121028_kusuri15.jpgそこで、かかりつけの薬剤師の寺本仁さん(あおい薬局)は対策に乗り出しました。まず行ったのは、複数の薬を1つの袋にまとめる「1包化」です。

20121028_kusuri16.jpg男性への処方は、高血圧のほか、認知症の薬など5種類。認知機能が低下すると、どの薬をいつ飲むのか判断できなくなってしまうため、間違えないように朝昼晩ごとに1つの袋にまとめたのです。

20121028_kusuri17.jpgそして、2週間分の薬を入れるポケットの付いた「お薬カレンダー」にセットし、自宅まで届けます。その際も玄関で渡すのではなく、家に上げてもらい、持参したカレンダーを前回のものと交換。食卓に付く時に必ず目に入るよう、テーブルのそばの壁に貼るようにしています。

20121028_kusuri18.jpg寺本さんは訪問のたびに、「血圧の薬が入った朝食後の分は、特に忘れないように。もし飲み忘れに気付いたら、朝食からしばらく時間が経過していても、服用して下さい」とか、「飲んだかどうか分からなくなった時は、新聞の日付を見て、同じ日のカレンダーのポケットに薬が入っているかを確認して下さい」などと指導しています。介護ヘルパーや家族とともに、こうして頻繁に注意を促した結果、飲み忘れが減り、血圧も安定しました。

20121028_kusuri19.jpg男性は「一包化やお薬カレンダーによるサポートがなかったら、安心して暮らせない。こうした取り組みはとても大切なので、他の薬局にも広がって欲しい」と話しています。

20121028_kusuri20.jpg【必ず薬剤師に相談を】
薬を上手に服用するための工夫や取り組みをご紹介しましたが、注意点もあります。薬と食品の飲み合わせでは、一部に薬の吸収が悪くなったり、逆に効き過ぎたりするものがあります。取材した薬剤師の笠原徳子さん(よつ葉薬局)は「どうしても薬を嫌がる子ども向けの対策であって、大人は水やさ湯で飲んで欲しい」と話していました。
また、錠剤を半分に割ったり、砕いたりすると、効果に影響する場合もあります。いずれにしても、通常と違う方法で服用する場合、素人判断は禁物です。必ず、かかりつけの薬剤師に相談しながら行って下さい。 

投稿者:本木孝明 | 投稿時間:06時00分

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