2012年05月14日 (月)妊娠時 寄生虫 "トキソプラズマ"の危険


妊婦さんが、生まれてくる赤ちゃんのために気をつけることはいろいろありますが、意外に知られていないのに赤ちゃんに重大な影響を与えかねないことがあります。
それは、レアステーキや生ハムなどの加熱が不十分な肉、ガーデニングなどの土いじりです。寄生虫「トキソプラズマ」が原因です。
私自身も妊娠の経験がありますが、全く知りませんでした。

街で小さなお子さんのいるお母さんたちに聞いてみました。
妊娠中に肉を生で食べることの危険性を知らなかった人は6割。ガーデニングのリスクは8割の人が知りませんでした。
妊娠中に母親が肉を生で食べたことで、赤ちゃんに影響が出たケースがあります。

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31歳の母親と1歳1か月の女の子です。
女の子は水頭症で、右手右足に軽いマヒがあります。主治医は「自分でちゃんと立てて自分で歩けるようになればいいとは思いますが、そうならない可能性も考えていかなければならないかと思います」と話しています。

120514014012.jpg女性が妊娠したのは結婚3年目。待ちに待った赤ちゃんでした。欠かさず受けていた妊婦健診では何の異常もなく、順調に育っていました。
「大きく育ってくれるし、よく動いてくれるし、胎動もすごく感じていて、普通の子よりも元気なんじゃないのと思ってしまうぐらい、本当に問題は何もなかったです」と話しています。

120514015.jpgところが、妊娠9か月のとき、胎児の脳に異常が発見されました。
脳室が通常の2倍以上に拡大していたのです。母親の血液を調べたところ、ある寄生虫に感染していることが分かりました。トキソプラズマという寄生虫です。
母親が妊娠中に初めて感染すると、胎盤を通して胎児にうつり、脳や目に障害のある赤ちゃんが生まれることがあります。感染は、加熱が不十分な肉を食べたり、猫のふんが混じった土をいじったりすることで起きます。

120514012.jpgいつ、トキソプラズマに感染したのか。
女性は日記を読み返してハッとしました。妊娠4か月のとき、焼き肉店に行き、ユッケやレバ刺しを食べたのを思い出したのです。その2週間後、首のリンパ節が腫れ、かぜのような症状が出ましたが、次第に治まったため、気にとめていませんでした。しかし、出産直後、子どもの血液からもトキソプラズマの感染を示す抗体が検出されました。
女性は「あのときに、私は何を浮かれて食べていたんだろうかと、すごく後悔しました」と話しています。

120514018.jpg妊娠中の人たちに、トキソプラズマの危険を知ってもらいたいと、女性はブログで体験をつづっています。
肉は、よく火を通して調理すること、ガーデニングや畑仕事をするときは、必ず手袋をすることなどの注意を呼びかけています。
女性は「私の場合は、たった一言、病院で、生肉を食べないでくださいと言われていたら食べなかったので、このブログを見た人だけでも知って身を守ってくれたらいいんじゃないかと思います」と話しています。

トキソプラズマは、マラリアと同じ寄生虫の一つ。目には見えない大きさです。人への感染源になる可能性のあるものは大きく2つです。
1つは、十分加熱されていない肉を食べること。生肉はもちろん、生ハムやレアのステーキでも感染することがあります
もう1つは猫のふんです。トキソプラズマはどんな動物の肉にも含まれている可能性がありますが、ふんに含まれているのは猫科の動物だけです。猫のふんが混じった土をいじることで感染する可能性があります。
人から人に感染することはありません。感染しても健康な人であれば症状は出ないか、出たとしても、かぜのような症状など軽いです。
問題は、妊娠中に初めて感染した場合です。胎盤から血液を介して胎児に感染する可能性があります。胎児が感染すると、脳や目に障害が出ることがあります。重症な例は、年間5例ほど報告されています。

120514016.jpg感染が初めてでなければ問題はないのでしょうか?
妊娠前に感染していれば、体の中にすでに抗体が出来ていますので、基本的には問題ありません。
猫を飼っていること自体が危険なのでしょうか?
「加熱が不十分な肉を食べる」ほどのリスクはありませんが、念のため、妊娠中、猫のふんを扱うときは手袋をしたり、猫を外に出さないほうが安全です。万が一、妊娠中に初めて感染した場合も、胎児への感染のリスクを減らす対策があります。

120514021.jpg三井記念病院の小島俊行医師は、妊娠中にトキソプラズマに感染しているかどうかを検査する重要性を訴えています。
この病院では、すべての妊婦にトキソプラズマの感染を示す抗体の検査を行っています。感染が分かれば、感染の時期を特定するため、さらに詳しい検査をします。妊娠後の感染が疑われれば、トキソプラズマが胎盤から胎児にうつるリスクを減らす薬を出します。
小島医師は「お産まで薬を飲み続けることによって、重い病気の割合が7分の1くらいまでに減ると言われています」と話しています。

120514019.jpgしかし、トキソプラズマの検査をしている産婦人科は、全国の半数ほどです。
小島医師は「やはり、トキソプラズマの抗体を検査しないと、自分がリスクがあるかどうか、妊娠中初めて感染する可能性があるかどうか分からない。頻度が低いものですから、日本では全員調べようという傾向にはないですが、全国的に産婦人科の病院で調べてもらえたらと思っています」と話しています。

今のところは、症例が少ないとみられていることもあり、国も学会も、妊婦に必須の検査として位置づけていません。妊婦検診の項目に入れていない医療機関が多いのです。
検査してもらう場合の費用ですが、1000円前後で受けられます。妊娠初期に検査をするのが一般的です。検査を希望する場合は、掛かりつけの産婦人科に相談してください。
検査も大事ですが、やはり妊娠が分かったら、肉は十分加熱するなどの対策を徹底してほしいと思います。

先週のNEWS WEB 24では、小島医師に出演をいただきました。ツイッターなどでお寄せいただいた質問への回答として、以下のようなことが紹介されていました。

(トキソプラズマは昔からいたの?なぜ今、問題に?)
昔からいましたが、昭和60年には1例しか先天性のトキソプラズマ症の例が報告されず、それ以降、検査する病院が減っていました。しかし、その後、報告されるようになりました。食生活の欧米化で、生の肉を食べることが増えたことが原因かもしれません。
(「年間5例ほど」というのは危険な数字?)
本当に重い症状の赤ちゃんは年間5人というような数ですが、その10倍ぐらいは、全く症状がないまま、大人になるにつれて視力障害になるケースがあります。そういう場合は症状がないので、調査の対象となった小児科に行っていないのです。それに、妊娠初期ですと、感染が重い場合は流産という形で診断もされず、数字に表れません。感染している赤ちゃんは数字よりももっと多いということになります。
(飼い猫は危険?)
外に出して土に触ったりネズミを食べたりしないで、家の中だけで飼う猫で人工の餌を食べているのであれば、感染はしていないと思います。妊婦の方が猫を飼っていけないということではありません。

妊婦の方で、気になる場合は検査を受けることが大切です。

(関連サイト・クリックするとNHKのサイトを離れます)
小島俊行医師のページ
http://www003.upp.so-net.ne.jp/kojimas/#contents_7
上でご紹介した女性のページ
http://blogs.yahoo.co.jp/tomo0901_mame0601

投稿者:松岡康子 | 投稿時間:06時00分
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※NHKサイトを離れます。

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ネコからうつる??ヒトのトキソプラズマ症

ここ一週間の間に、二人の方から 『トキソプラズマって知ってる?妊婦は危ないらしいよ{%最悪webry%}』 と聞かれました。続きを読む

受信日時 : 2012年05月14日 17時33分 | 千塚どうぶつ病院 ブログ

妊娠20週 トキソプラズマ検査

1ヶ月ぶりの検診で、前回の血液検査の結果を聞く。 血液検査はHIVと糖尿病のもの。 心配していた妊娠糖尿病は実は、全く問題なしでむしろ血糖値が低かった。尿...続きを読む

受信日時 : 2012年08月26日 21時01分 | ゴーデンどんぶり@ペナン

コメント

トキソプラズマのみならず、猫の寄生虫は、非常に危険と思います。
一般的に、猫を室内のみで飼う事は難しく、放し飼いであることが多い、
猫の回虫に感染した場合、臓器移行症を起こす場合が有り、脳内に移行すれば癲癇症など、とんでもないことになる、
他にも鈎虫、条虫に感染する恐れがあります、アライグマの場合は人命に関わる場合もありますが、キタキツネしかり、猫も同様、濃厚な接触はとんでもないことです。
猫は砂場に糞をする、公園、学校の砂場要注意、

猫は可愛いいと、その点ばかりが強調されていますが、ペットとして飼うことの危険性を充分認識しないと、恐ろしいことになるやもしれません。

投稿日時:2012年07月14日 11時16分 | skywalker

猫は危険性があるといった考えはおかしい。地球上に危険なものはいっぱいあるのだし、地球は人間だけのものではない。トキソプラズマは気を付けていれば防げるのだから、ビクビクしすぎるのはおかしい。免疫をつけるためにも、なんでもかんでも排除してはいけない。

投稿日時:2012年09月24日 08時30分 | ハニー

猫を飼っていますが、飼育の本に、トキソプラズマのことも書いてありました。
寄生虫の危険性のために、妊娠したら飼っていた猫が捨てられた事例があると聞いたこともあります。

家では、猫を「室内飼い」しています。
(近所迷惑、事故・病気・迷子・虐待防止のため)
でも、飼わなかったら寄生虫のことは知らなかったと思います。
また、生肉で感染することは知りませんでした。

飲食物や生活習慣など、妊娠段階で、これは気を付けよう、というアドバイスをまとめた冊子があるといいですね。

投稿日時:2012年09月24日 08時31分 | 匿名

私も同じように焼き肉等生肉からの初感染で、妊娠初期にわかりました。妊婦健診で血液したときすぐにわかり、10000人にった1人位の高い確率だったので出産するまで薬を飲み、子供が1歳になったら血液検査するように言われていたので、ずっと不安でした。血液検査はどのような項目があるのか知らず、産院がやってくれたので検査結果聞いたときは驚いて不安でした。同じくトキソプラズマの名医ときいて私も小島先生にお世話になりました。毎回丁寧に診察していただいて、おかげで母子感染防げました。確率から考えると、あのタイミングで治療始めていなったら…はじめての妊娠は知らないことだらけ。たまたま選んだ産院がちゃんとした所だったようで私達は救われました。

投稿日時:2012年09月24日 08時32分 | 匿名

そもそも生肉を安心と思っているのが間違い。
それを病院が言ってくれれば食べなかった・・
なんて人のせいにしている。
こんな人が子供を育てていくことが心配でならない。

投稿日時:2012年09月24日 09時43分 | まなみ

「猫のフンからのトキソプラズマが、妊婦さんに危ない」というのは、結構誤解(早とちり)されていて、「妊娠したら、飼い猫はあきらめなきゃいけないんだって」などと言う説が出回ったりしているようで、愛猫家の間で「そんなことあるもんですか!」と反撃されたりしてるのを見かけたことがあるんです。
このような詳しい説明(妊娠中に気をつけるべきこと、とか)と認識(トキソプラズマに限らず、ネコの糞には・・・云々あたり)が広く伝わりますように。

投稿日時:2012年09月24日 09時59分 | かなこ

猫は 買うな 飼うな・・・

としか見えませんね


なんだか動物自体を飼うのが悪いみたいです。

投稿日時:2012年09月24日 10時49分 | 匿名

動物を飼う、ということ自体、人間のエゴだと思う。

家族は神様から与えられ、自然と増えるものじゃないかな。

買って増やすものではない。

投稿日時:2012年09月24日 14時42分 | けみ

高校の保健体育か家庭科で授業単位に加えるべきです。
栄養とダイエットや妊娠は女性にとって必要不可欠です。

投稿日時:2012年09月24日 15時12分 | みう

>そもそも生肉を安心と思っているのが間違い。
それを病院が言ってくれれば食べなかった・・
なんて人のせいにしている。
こんな人が子供を育てていくことが心配でならない。

投稿日時:2012年09月24日 09時43分 | まなみ


こんな人が子供を〜 は、言い過ぎでしょ。
妊婦に禁忌の食物・行動、全てご存知なんですか?すごいですね。
素人が、専門家にアドバイスを期待して何が悪いんでしょうか。
認知度の高いものでもないならなおさらです。

それに、そういう経験から、自らもトキソプラズマを広く知ってもらおうと、活動してるんですよね?単に医者を責めているわけではないと思うのですが。

投稿日時:2012年09月25日 13時26分 | 匿名

>問題は、妊娠中に初めて感染した場合です。

私が妊娠した時、獣医師からアドバイスがあり、
初回感染の危険がある組合せを教えてもらい
飼い猫のトキソ抗体検査をしました。

結果は猫も私もマイナス。
猫を外に出さないことと、便の始末をする時はゴム手袋をして
猫に触れた手をよく洗うことを徹底するよう言われました。

もう20年も前の話ですが、その時も飼い猫からの感染より
生肉からの感染のほうが多いと聞きましたので、
周囲の女性にその話をしてもまったく受け入れてもらえず
なぜ猫を処分しないのかとずいぶん責められました。
いまだに正しく認知されていと感じました。

知識があれば必ず避けることができるのですから、
正しく恐れて、充分な対策を取って欲しいと思います。

投稿日時:2012年09月28日 17時29分 | miko

私も妊娠前から室内で飼っている猫がいます。トキソプラズマの事はなんとなく知っていました。妊娠したから実家に猫を預けたり捨てたりした話も聞いた事があります。私自身かなり妊娠中は神経質になり、猫の糞の処理は主人にやってもらうように協力して貰いました。トキソプラズマの抗体があるかどうかの検査を産婦人科でお願いしたら、かなり不思議がられました。先生曰くそんな事例は聞いた事がないと…やってもやらなくても一緒でしょう位の感覚でした。結果はマイナスでした。なので生肉、猫の糞だけは気をつけて妊娠生活をおくりました。私が思うのは、勿論自分のお腹の子が1番大事なのですが、だからといって今迄飼っていた猫を手放すのはやはり無責任だと感じます。家猫だったら大丈夫な確立は高いですし糞さえ気をつけたらトキソプラズマは恐くないと思いました。間違った情報や私の先生みたいに情報が 無さ過ぎるのも危険だと思いました。

投稿日時:2012年11月07日 00時36分 | きーとん

妊娠中に猫を飼っていてトキソプラズマや水頭症のことを知り、当時の産婦人科医に「一応、検査してもらえませんか?」とお聞きしたのですが、「イマドキ、水頭症なんて見たこと無い」と。
料金は払うので検査してもらえないんでしょうか、再度お願いしても、まるで変人扱いでした。
高校生の娘はとても元気に育っていますが、当時飼っていた猫は庭でネズミをつかまえては、くわえて戻り見せるような猫だってので、このニュースを読むと、医師の対応がなお更、理不尽に感じます。

投稿日時:2012年11月09日 18時49分 | たてたてよこ

んー。色々な思いがあって、いま立派に活動されてるんでしょうね。この方の尽力でトキソプラズマ母子感染の件が世間に広まって、妊婦などが考えるきっかけになったのは素晴らしいことだと思います。

でも私だったら妊娠中に生肉を食べるなんて考えられない...。それについては軽率すぎるとしかいいようがない。トキソプラズマでなくても、食あたりだったり妊婦が生肉を食べるリスク、お腹の子供に何かあったら?ってことを考えなかったんでしょうか。

この方のような妊婦の軽率な行動を防ぐためにも、普及活動を継続していただきたいです。

投稿日時:2012年12月03日 11時50分 | なお

果たしてどれだけの妊婦が、そして普通の方々が、普通の食事から感染する恐怖を知っているのでしょうか?
まなみさん、なおさん、
あなた方がどれだけの知識があるのか知りませんが、
あなた方が大丈夫だと考えて食べているような一見火の通った中が赤いままのステーキや生ハム、サラミなどからも感染するんですよ。
自分の知識が未熟なことを知らずに、
人のミスを笑っている自分の愚かさを学んでいただけたらと思います。
そして、たいていのそういう方々が、
自分が何でも知っているというような過信から、その外側にある新事実に足をすくわれ泣くことになるのです。
でも、そういう方さえも救いたい、予防していってほしいと考え、この方々は活動をされているのではないでしょうか?

投稿日時:2013年02月13日 02時08分 | 匿名

妊婦検診の血液検査でトキソプラズマの数値が高く、 今日病院から電話があり即再検査してきました。
妊娠初期から生肉はたべていないし、猫も飼っていません。
鳥のふんが粉末になって飛んできたのを偶然吸い込んでしまうということも考えられるそうです。
再検査の結果が出るのが来週。
寝られない日が続きそうです。

投稿日時:2013年03月25日 17時02分 | めぐ

2013年02月13日 02時08分 | 匿名 さんに同意ですね

自分が全てを知り尽くしている専門家でもないのに
他人のミスを叩けないです

後から「軽率だった」と責めたところで、時計の針は戻せませんしね

投稿日時:2013年05月02日 19時13分 | 匿名

今日38週で妊婦検診に行った所、初期の血液検査の結果でトキソプラズマ抗体が1280と陽性であったことを初めて聞かされました。
医師からは出産時に、母体と臍帯血の採血をすると言われました。
妊娠初期は、NTを指摘され羊水検査を行いそのことで頭がいっぱいで採血したことはすっかりわすれていました。
帰宅して、トキソプラズマについて調べたところ不安になってしまいました。
とくに感染源とされるものに、思い当たることはありません。猫は苦手ですし、妊娠中に生肉を食べた記憶はありません。ただ、ハワイ旅行から帰宅後翌日に妊娠発覚したのですが、何か影響はあったのでしょうか?
この時期になって、何か対処はできるのでしょうか?
今はただ、感染せずに元気な我が子が産まれてくるのを祈るばかりです。

投稿日時:2013年06月03日 22時01分 | 匿名

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