2011年09月14日 (水)被災マンション 進まない修理・解体


きょうは、東日本大震災で被災したマンションを巡る最新の状況と課題をお伝えします。
仙台市では、全壊と認定されたマンションが100棟以上に上るとみられています。しかし、震災から半年たった今も、思うように修理や解体が進まず、不自由な生活を余儀なくされている住民が少なくありません。
取材を進めると、国の制度が、被災したマンションの実態に十分に対応できていないなどの課題があることが分かってきました。

20110914001.jpg

東北地方のマンションは7割が仙台市に集中しています。
震災から半年、被災したマンションで問題となっていたのは、生活用水のタンクやエレベーターなど、多くの人が使う「共用部分」の修理が進んでいないことでした。

取材した11階建てのマンションには、4つのエレベーターがありました。しかし、地震の揺れで地下に落ちて壊れてしまいました。今も2つが動かないままで、代わりに工事用のリフト(下の画像)を設置しています。運転は午前8時から午後5時までに限られています。住民は「高所恐怖症なので大変です」と話していました。

20110914011.jpg今回の震災で、国は応急修理の補助制度を見直しました。
1戸当たり最大で52万円出る修理の補助金は、これまでは、それぞれの部屋の修理だけに使うことができました。それを、廊下など共用部分にも使うことを認めたのです。しかし、共用部分の申請は、先週までに僅か2件にとどまっています。

20110914012.jpgなぜ、修理が進まないのでしょうか。

全壊と認定されて修理を決めた、あるマンションでは、修理費用は全体で1億5000万円になり、住民が積み立ててきた修繕金では賄えません。そこで、応急修理制度の活用を考えました。仮に、共用部分に220戸余りのすべての補助金を使えれば1億1000万円以上になり、大きな助けになります。
ところが、今の制度ではそれを思うように使えません。

20110914013.jpg例えば、この渡り廊下です。床が壊れて落ちたため、板を渡しただけの危険な状態が続いています。しかし、修理には廊下の先にある4世帯分の補助金しか使えません。この廊下を修理しないと困るのは、この4世帯だけとみなされるためで、修理費用が足りなくても、ほかの世帯の分を回すことができないのです。

20110914014.jpg管理組合では「修理する箇所や費用などを自分たちで決められるようにしてほしい」と訴えています。

さらに、大きな被害を受けたマンションで、解体が進まないという問題も浮かび上がっています。

20110914015.jpg2棟ある上の画像のマンションは、震災で傾き、上に行くほど間隔が広がっています。
廊下や壁もめちゃくちゃに壊れて全壊と認定され、およそ190世帯すべてが退去しています。当初25センチだった2棟の間隔は、震災で大きく開きました。測ってみると、1メートル13センチ。震災前から88センチも開いたことになります。
間隔は4月の余震でも広がったということで、管理組合の理事長を務めていた男性は、建物が崩れるのではないかと不安に思っています。

20110914016.jpg男性は「もし、倒壊した場合の責任はどこにあるのかというと、まだ所有者であるわれわれにあるわけです。とにかく大きな地震が無いことを祈るのみです」と話しています。

不安は周辺の住民にも広がっています。
近くの住宅の人は「やっぱり怖いね」とか、「地震が来たときに、これがどうなるのか心配です」と話していました。また、隣接するマンションでは、被害が及ぶのを恐れて退去した人もいるということです。

20110914017.jpgマンションの管理組合は建物の解体を考えました。理事長だった男性は、海外にいる所有者にも連絡を取り、およそ3か月かけて全世帯の同意を取り付けました。
しかし、解体するめどは未だに立っていません。工事を行う仙台市は「マンションの解体には特別な技術が必要だが、工事業者はほかの復興工事に追われ、引き受け手が見つからない」というのです。

専門家は、崩れる危険があるマンションは、優先的に解体を進めるべきだと指摘します。専門家は
「災害復旧ですので、二次被害の予防、危険の回避というのが時間との勝負です。マンションの集中している都市の中心部で、この問題を放置しておけば深刻な問題になってくると思います」」と話していました。

被災したマンションを巡っては、応急修理をしたくても、制度の使い勝手が悪いという問題、また、解体が急がれるのに、工事業者の手が回らないという問題がありました。
今後、首都直下地震などの発生も心配されるなかで、大量のマンションが被災する事態に備えた制度や態勢の整備が急がれています。

投稿者:天間暁子 | 投稿時間:06時00分

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コメント

天間記者は、以前は地震によるブロック塀の倒壊の問題を地道に追いかけていたと記憶しています。この度のマンションの件も、地震で被災した構造物という視点が更に進化した感じであり、天間記者の鋭い視点が光っています。しかも、阪神淡路大震災の時は同意を取り付けるのが困難だったのとは、内実が異なるのは神戸の人間としては驚きでした。
この後も、この問題を地道に追いかけて報道して頂ければと思います。
天間記者の益々の活躍に期待します。

投稿日時:2011年09月17日 11時23分 | You-chin

このような状況はマンションの老朽化でも指摘されていたことですが、自分の事として考えていなかった人が多いですね。このこともあって自分はマンション否定派です。一戸建てが絶対に無理なら、借りて住んだほうが良いと思います。ましてここ最近は災害が非常に多くなってきましたから持ち家は危険。借りた家が壊れたら引っ越せばいい。環境が変わった時に移動出来たほうがいいと思います。

投稿日時:2011年10月22日 08時46分 | 匿名

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